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荻原浩『明日の記憶』

2006-12-29 16:58:48 | ノンジャンル
 今日も朝日新聞の特集記事「2006年 この一冊」の対談から、荻原浩氏の「明日の記憶」です。
 物忘れがひどく、念のため病院を訪ねたサラリーマンの主人公は若年性アルツハイマーと診断されますが、その事実を会社に隠し、数々のミスを犯しながらも、聞いた事は何でもメモ書きし、ポケットはメモで膨れ上がります。やがて、病気のことが会社に知れることになり、現在のポストも失い、結局彼は会社を辞めてしまいます。彼はふと大学生の頃に訪れた山奥の陶芸家のもとを訪ね、アルツハイマーが相当進んでいるにも関わらず、1人で陶芸を続けている陶芸家の姿を見て、アルツハイマーであることを恐れずに生きて行こう、と思い、山を降りると、そこには彼を受け入れる決心をした妻が待っていたのでした。
 朝日新聞の対談によると、この小説は映画化され、それを期に本が売れた、とのことですが、小説自体はそれほど大した出来ではありません。この程度の小説ならごまんとありますし、もし、映画化の後に売れたのなら、売れた原因は映画化されたこと、それのみでしょう。
 映画のサイトを見ると、感動的な静かな音楽が流れ、主演が渡辺謙と樋口加奈子というのですから、おそらく夫婦愛を中心とした感動作なのでしょうが、原作はユーモラスなもので、原作と映画はかなりギャップがありそうです。映画を見て、原作を買った人はおそらく読んでがっかりしたのではないでしょうか?
 この本が売れるのなら、もっと売れてほしい本が山程あるのに。そして、映画を見てこの本を買った人が、最近の日本の小説はこの程度なのか、と思ってほしくない。そんなことを考える私なのでした。

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