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若松孝二監督『千年の愉楽』

2014-11-28 16:27:00 | ノンジャンル
 若松孝二監督・共同企画・共同プロデューサーの’12年作品『千年の愉楽』をWOWOWシネマで見ました。
 “『花の窟(いわや)-----イザナミノミコトの御陵。イザナミは、火の神・カグツチを産んだ時、ホト(女陰)を焼かれて死んだと謂う----』”の字幕。貧しさが原因で、2歳で自分の子供を病で死なせたお竜(寺島しのぶ)は、それ以来村の路地に産まれる子の産婆を全てしてきました。初めて取り上げた子は中本半蔵で、若者となった半蔵は大阪に働きに出た後、妊娠した嫁を連れて戻ってきました。半蔵は路地の生まれで漁民にはなれないため、山で芝刈りの日雇い仕事に出ることになりましたが、村の若い女を連れ回して女遊びに狂い、胸にできた吸い跡(キスマーク)をお竜に見せたりもしました。嫁に浮気を責められても相手にしなかった半蔵は堤防の先に立ってぼんやりしていると、3年前に亭主を亡くし、それ以来男と寝ていないという女に誘われます。その女は、半蔵を夢中にさせ、やがて嫁に子供が産まれても、半蔵はその子を抱こうとせず、逃げ出してしまいます。未亡人は半蔵に服を新調してやり、村びとは亭主が死んだのも後家の色好みのせいだと噂します。やがて未亡人の家にいて「ホーホケキョ」と鳴くインコを半蔵は珍しがり、お前のこともうまく鳴かせてやろうかと後家を馬鹿にし、後家の怒りを買います。
 「あんな路地」と言った後家に腹を立てた半蔵は、もう二度とあの女のところには行かんと言い、お竜にインコを持っていってやります。半蔵は女を断って3日連続で山に入りますが、神木であるサカキを切ってしまい、祟りを怖れた仲間たちは清めの酒をサカキにかけますが、仲間の1人はケガをしてしまいます。後家の家に行き、治療代をせびる半蔵は、インコを仕込んだという男と鉢合わせとなり、女も仕込んでやろうという話になって、2人で後家を犯します。その帰り、鏡に映った自分の姿に絶望した半蔵は、路傍の石で顔に傷をつけます。お竜の許を訪ね、女に切られたと半蔵が言うと、お竜は男ぶりが上がると言い、半蔵はお竜に自分の松茸をいつでも焼かせてやると言います。
 やがて半蔵は質屋の女房と浮気をし、夫に刺されて死ぬと、お竜は中本の男のこれが最後の姿だと言います。
 やはりお竜がお産で取り上げた、半蔵の悪友達のミヨシはお竜を訪ね、パイナップルを持ってきてくれます。香具師の仕事をするミヨシはヤクも売り、妻には去られていました。ミヨシは桑原という男からいい話があると言われ、プロの女に本格的な筆下ろしをしてもらいます。桑原は直次郎と組み、盗みというでっかい仕事をしようとミヨシにもちかけ、ミヨシはそういう仕事の話を待っていたと言います。金庫を盗みだし、明け方まで隠れ家で金庫を持って待っていたミヨシは、次の仕事も待っていると言います。しかし飲み屋で客(山本太郎)から、立て続けに盗みがあり、昨晩は主人が殺されたと聞いたミヨシは、1人残され、ヤクを打ち、孤独を癒します。お竜を訪ね、ヤクを止めてこれを彫ったと背中の刺青を見せたミヨシは、お竜を感心させます。中本の血なぞへのかっぱだと言うミヨシ。やっと直次郎に会えたミヨシでしたが、冷たくあしらわれます。
 西本の娘の命日であり、お竜の子の命日でもある日、お竜の夫である僧(佐野史郎)は朝から念仏を唱えますが、ミヨシに邪魔されます。盗みもできないし、ヒロポンも売れないのでは、飯場に行くしかないとミヨシは言い、お竜は自分はずっとここにいるからいつでも帰って来いと言います。その夜ミヨシは女を連れてお竜の家を訪れ、女の夫を殺してしまったと言い、お竜に体を洗ってもらいます。翌日、目がかすむミヨシ。彼はダムの建設現場で働くと言い、燃え上がるように生きたかったと言うと、それは分かっていたとお竜も言います。
 ミヨシのいとこのタツオは、現場でミヨシに会いますが、ミヨシは既に盲目になっていて、ハンマーで左足をつぶしてしまったのを、タツオは村に連れて帰りますが、ミヨシは堤防で 首を吊ってしまいます。タツオはお竜の頼みを何でも聞いてくれ、お竜を抱いてくれます。しかしそのタツオも北海道の炭鉱に旅立ち、そこで殺されたという噂をお竜は聞くのでした。

 薄暗い画面が淡々と続く映画でした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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