gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

今村昌平監督『豚と軍艦』

2018-10-30 09:18:00 | ノンジャンル
 国立映画アーカイブの小ホールで、今村昌平監督、姫田真左久撮影の1961年作品『豚と軍艦』を見ました。
 チラシから作品の説明を転載させていただくと、
「基地のある横須賀の『どぶ板通り』を舞台に、養豚で一儲けを狙う落ち着きのないチンピラ(長門裕之)と、彼を慕う純情な女(吉村実子、この映画がデビュー作)のはかない恋の行方を描き、敗戦国日本の底辺をえぐり出した作品。今村昌平の作風はしばしば『重喜劇』とも称され、人間の泥臭いエネルギーを発散する映画が多いが、その本格的な始まりとなった一本である。」
 出演者は他に南田洋子、大坂志郎、中原早苗、小沢昭一、三島雅夫、東野英次郎、西村晃、殿山泰司、加藤武、丹波哲郎、菅井きんという、すごい演技陣で、喜劇の面は、本当は胃潰瘍でしかないにもかかわらず、胃がんであと3日の命だと思い込む丹波哲郎が一手に引き受けていて、冒頭で「この話は架空の話である」という字幕で示されているように、姫田さんのキャメラの貢献もあって、ほとんどドキュメンタリーを見ているような気分になりました。
 特に素晴らしかったのは吉村実子の体を張った演技で、フランスでの公開当時、映画誌『カイエ・デュ・シネマ』の若き同人たちが彼女に熱狂し、当時留学生でパリにいた山田宏一さんに今村昌平論を書かせたというのもうなずけると思いました。
 この映画が日本で公開された1961年というのは、フランスでヌーヴェル・ヴァーグが産声を上げて数年しか経っておらず、そういう点で見ると、日本ヌーヴェル・ヴァーグといえば大島渚や吉田喜重と言われますが、この時期の今村昌平もそのうちの一人に挙げていいのでは、と思えました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

最新の画像もっと見る

コメントを投稿