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中島京子『均ちゃんの失踪』

2008-10-02 15:41:57 | ノンジャンル
 高野秀行さんの推薦する、中島京子さんの「均ちゃんの失踪」を読みました。
 第一話「均ちゃんの失踪」は、片桐薫の恋人の均ちゃんが失踪し、その均ちゃんの家に泥棒が入ったので、その日の周辺にそこへ出入りした者たちが警察に呼ばれ、均ちゃんのパートタイムの恋人・木村空穂と家の大家であり均ちゃんの元妻の梨和景子と薫が集められ、均ちゃんの腹違いの弟・阿久津裕輔も現れるという話。
 第二話「のれそれ」は、梨和景子は警察で取り調べをした高木ケイブホが好きになり、彼がしょっちゅう行くという小料理屋に行ってみると、彼は料理をしていて、1年後の定年の後に向けて修行していると言い、景子が店に来てくれたことで見合いの予定を取り消し、景子のマンションまで景子を送ってキスをするという話。
 第三話「彼と終わりにするならば」は、木村空穂は妻子ある高村を恋人にしていますが、高村に重大事が次々と起こり、ほっておかれる時間が多かったところ、パリで仕事をしないかというオファーが入り、高村が引き止めてくれるだろうと思うと号泣してしまうという話。
 第四話「お祭りまで」は、内田均の家に、結婚する前に均を含めた仲間たちの誰とも寝ていた角替まりの娘が訪ねてきて、あなたは私の父親だから百万貸せと言うので追い返した後、しばらくして謝罪の手紙が浜松に住むまりから来ます。仕事で浜松に行ったついでにまりのアパートに寄ると、とても困窮している様子だったので、昔の仲間と恋人、元妻から金を借りてまりのところへ届けると、まりと娘に大歓迎されます。今までの人生は何もいいことが無かったという娘を慰め、娘が大阪に就職するまで母娘と一緒に住んだ後、酒乱で娘の耳を引きちぎったまりの彼氏が、アルコール依存症の施設から帰って来るので、その男から守ってもらうため祭りまでいてほしいとまりに言われ、均はうなずくという話。
 第五話「出発ロビー」は、青木ケイブホと婚約した景子の婚約パーティーで、均ちゃんのガールフレンド3人が再会し、その翌週に木村空穂はパリに転職して妻子ある恋人と別れる決意をし、そこへ均ちゃんが帰ってきますが、片桐薫も均ちゃんも腹違いの弟とルームメイトになっていて驚き、パリへ発つ空穂を空港で見送るという話、です。

 同じ出来事を登場人物たちが語るという形式は「平成大家族」と同じですが、関西生まれで鈍感な景子のキャラや角替まり親子が双子のようなキャラは「平成大家族」よりも面白く、楽しめました。そして中島さんの小説が目指しているのが「楽しいがちょっとせつない」小説であるということが分かりました。中島京子さんの小説は今までに「TOUR 1989」「桐畑家の縁談」「平成大家族」を読んでいましたが、今回読んだ「均ちゃんの失踪」で初めて、他の中島さんの作品も読んでみたいと思いました。明るい小説が好きな方にはオススメです。

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