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小田嶋隆『日本問題外論』

2010-07-05 18:07:00 | ノンジャンル
 中田秀夫監督の'99年作品『ガラスの脳』をDVDで見ましたが、手塚治虫の原作の荒唐無稽さだけでなく、役者の演技の稚拙さと演出のわざとらしさに見ていて気恥ずかしい思いをしました。中田監督、私とはあまり相性がよくないのかもしれません。

 さて、内田樹さんの本『ためらいの倫理学』の中で言及されていた、小田嶋隆さんの'98年作品『日本問題外論 ―いかにして私はデジタル中年になったか』を読みました。小田嶋さんが'95年から'96年にかけて様々な雑誌に掲載したエッセイをまとめた本です。
 当時話題になり始めていたインターネットの他に、ウィンドウズ95、バブル崩壊、お台場などなど、時事的な話題に関するエッセイが中心になっていますが、特に慰安旅行への出席を断ったことで会社を半年で辞めるに至った経緯には、共鳴する部分が多くありました。その中で入社前の研修資料の「フレッシュマン・コース」への感想文に「〈フレッシュまんこ押す〉というのは、いくらなんでも‥‥」と書いて会社に提出したのはスゴイと思いましたし、「研修の真の目的は、職業意識や士気向上ではなく、不良分子の割り出しであ」るという指摘も、やはり入社時の研修合宿で不適応を起こした私としては親近感を抱くものでした。他にも「本当の決断は、軽率な人間にしか下せない」、あるいは「決断というのは、(中略)下される瞬間には、ある軽率な力を要するのだ」という言葉にもなるほどと思い、「新しいものが現れると、必ず新しい不適応が発生する」という言葉も、「新しいもの」として今まで度々排除されてきた経験のある当事者として、力付けられる言葉でした。
 非常にユーモラスな語り口で、一気に一日で読めてしまいました。痛快な文明批評を読みたい方には特にオススメです。

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