ジェフリー・ディーヴァーのジョン・ペラム・シリーズの3作目であり最後である'02作品「ヘルズ・キッチン」と読みました。
映画のロケーション・スカウト(ロケの場所を探す仕事)を卒業し、自分でインディペンデント作品を作るようになったペラムは、ヘルズ・キッチンのあるアパートの住人にインタビューするドキュメンタリー作品を作っていますが、あと少しで完成というところで、そのアパートが放火により全焼してしまいます。彼がドキュメンタリーの中心にしようとしていたエティは放火犯にされてしまいますが、ペラムは彼女が犯行時間に現場にいなかったのを知っていたので、彼女の無実を証明するため、弁護士のベイリーと協力し、証人探しに奔走します。その間にも放火犯のトニは次々に放火を繰り返し、ペラムは様々な妨害を受けながら、最終的にヘルズ・キッチンの不動産を安く買い、従来の建物を取り壊し、近代的なビルを建設して膨大な利益を得ているマケナーに辿り着きますが、どうしてもマケナーとトニを結び付ける決定的な証拠が見つかりません。そんな中、マケナーの仕事の仕上げである巨大なタワーが完成し、完成披露パーティーにセレブが多数集まります。そしてトニもこれが最後の仕上げと、その巨大タワーと何千人という人を炎に包むため、大量のガソリンをタワーの中に運び込みますが、‥‥。
ジェフリー・ディーヴァーの他の小説と同様に、この小説でも多くの登場人物が現れ、誰が誰なのか覚えるのに苦労します。他の小説では、それでも中盤あたりから話が盛り上がって来て、次々に見せ場があり、また登場人物も絞れて来るので、登場人物の多さは気にならなくなってくるのですが、この小説では最後まで「これ誰だっけ?」という状態が続き、いつのまにか物語が終わってしまうという、何とも欲求不満が残る最後でした。
解説には「映画好きにも楽しめる要素がたくさん用意されている」といった主旨のことが書いてありましたが、この解説を書いている人自体、映画をあまり知らないのでしょう。ニューヨークのインディペンデント映画でしかも住民を描く映画をペラムは撮っているのですから、そうした映画の創始者とも言えるジョン・カサヴェテスの名前ぐらい出してほしかったのですが、ジョン・カサヴェテスの「ジ」の字も出て来ませんでした。他にもアメリカには優れたインディペンデント映画の作家がいますが、出て来る固有名詞はハリウッド映画のものばかりで、映画ファンの私としてはちっとも楽しめませんでした。
放火の話ですが、放火魔もその異常性が今一つで、魅力に欠けます。ペラム・シリーズがこの小説で終わったのも、何となくうなずけました。
ただ、ジェフリー・ディーヴァーの小説なので、もちろん面白く読めます。他の彼の作品と比べたら落ちるということで、決してつまらない小説ではありません。まだ読んでない方はぜひ読んでみて下さい。また、詳しく最後まで書いたあらすじを「Favorite Novels」の「ジェフリー・ディーヴァー」の項に掲載してありますので、興味のある方はぜひご覧ください。
映画のロケーション・スカウト(ロケの場所を探す仕事)を卒業し、自分でインディペンデント作品を作るようになったペラムは、ヘルズ・キッチンのあるアパートの住人にインタビューするドキュメンタリー作品を作っていますが、あと少しで完成というところで、そのアパートが放火により全焼してしまいます。彼がドキュメンタリーの中心にしようとしていたエティは放火犯にされてしまいますが、ペラムは彼女が犯行時間に現場にいなかったのを知っていたので、彼女の無実を証明するため、弁護士のベイリーと協力し、証人探しに奔走します。その間にも放火犯のトニは次々に放火を繰り返し、ペラムは様々な妨害を受けながら、最終的にヘルズ・キッチンの不動産を安く買い、従来の建物を取り壊し、近代的なビルを建設して膨大な利益を得ているマケナーに辿り着きますが、どうしてもマケナーとトニを結び付ける決定的な証拠が見つかりません。そんな中、マケナーの仕事の仕上げである巨大なタワーが完成し、完成披露パーティーにセレブが多数集まります。そしてトニもこれが最後の仕上げと、その巨大タワーと何千人という人を炎に包むため、大量のガソリンをタワーの中に運び込みますが、‥‥。
ジェフリー・ディーヴァーの他の小説と同様に、この小説でも多くの登場人物が現れ、誰が誰なのか覚えるのに苦労します。他の小説では、それでも中盤あたりから話が盛り上がって来て、次々に見せ場があり、また登場人物も絞れて来るので、登場人物の多さは気にならなくなってくるのですが、この小説では最後まで「これ誰だっけ?」という状態が続き、いつのまにか物語が終わってしまうという、何とも欲求不満が残る最後でした。
解説には「映画好きにも楽しめる要素がたくさん用意されている」といった主旨のことが書いてありましたが、この解説を書いている人自体、映画をあまり知らないのでしょう。ニューヨークのインディペンデント映画でしかも住民を描く映画をペラムは撮っているのですから、そうした映画の創始者とも言えるジョン・カサヴェテスの名前ぐらい出してほしかったのですが、ジョン・カサヴェテスの「ジ」の字も出て来ませんでした。他にもアメリカには優れたインディペンデント映画の作家がいますが、出て来る固有名詞はハリウッド映画のものばかりで、映画ファンの私としてはちっとも楽しめませんでした。
放火の話ですが、放火魔もその異常性が今一つで、魅力に欠けます。ペラム・シリーズがこの小説で終わったのも、何となくうなずけました。
ただ、ジェフリー・ディーヴァーの小説なので、もちろん面白く読めます。他の彼の作品と比べたら落ちるということで、決してつまらない小説ではありません。まだ読んでない方はぜひ読んでみて下さい。また、詳しく最後まで書いたあらすじを「Favorite Novels」の「ジェフリー・ディーヴァー」の項に掲載してありますので、興味のある方はぜひご覧ください。
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