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はなうた日和

2006-05-22 17:35:21 | ノンジャンル
 三省堂書店の店員さんの推薦で山本幸久さんの「はなうた日和」を読みました。
 世田谷線(2両の単線電車)の沿線を舞台にした8つの短編からなっています。第一話「閣下のお出まし」は自分の母と離婚した俳優の父を訪ねていったら、腹違いの少年に歓待され、父が自分がファンの特撮ヒーローものの悪玉をやっているのを知る、という話。第二話「犬が笑う」は、バーで働く若い女性が、なじみ客の植木職人の棟梁と散歩中にたまたま会ったことがきっかけで親しくなり、恋を始めよう、と決心する話。第三話「ハッピー・バースデイ」は、昔のなじみの取引先を相手に、人まねのうまい美人の部下に頼まれて、その女性を弄んだ副社長をなぐったことを語るという話。第四話「普通の名字」は、校正が本職で雑貨屋の店番をバイトでやってる女性が店長にお見合いを勧められますが、店のテレビ取材をしている時に、相手の男性が来て、お見合いをドタキャンするつもりだと告白されます。同じことを考えていた主人公は、お見合いとは別に一緒に買い物をすることにし、うきうきしながら出かけるという話。第五話「コーヒー・ブレイク」は、会社でのつまらない会議中に、散歩させていた犬が逃げ出したのを目撃して、会議を抜け出て犬を探すうち、散歩させてたのは散歩代行業の人で、奥さんが社長の会社で働かせてもらってることが分かるという話。第六話「五歳と十カ月」は、年をごまかしてお姉様キャラのアイドルをしている女性が、撮影会の後デパートで小さい女の子を連れた中学生時代の恋人にあって、昔を回想する話。第七話「意外な兄弟」は、製紙会社に勤める主人公が特撮オタクの3人と定例会を開いているうち、最近親しくなったバナナから紙を作る研究をしている美人の同僚のために、その紙を使うアイディアを思い付く話。第八話「うぐいす」は、自分の夫との思い出がつまっている作業所をリフォームでまもなくつぶされてしまうおばあさんが、一人で和菓子を買いに行って道に迷い、警官から徘徊老人に間違われ、それからは散歩代行業の人とでないと外出できなくなってしまう話。
 特撮ヒーロー・キャタストロフィン、ガヤガヤ雑貨、飲み屋「狸」、バナナマンなど、それぞれの話に複数出てくるアイテムがあり、それぞれの話の関連性を感じさせる仕組みになってます。話自体はたわいもないもので、日常でのふとしたことを読みやすい文体で書いてあり、それなりに楽しめて、暇をつぶしたい人には最適の一冊だと思いました。

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