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奥田英朗『沈黙の町で』

2014-02-21 10:20:00 | ノンジャンル
 奥田英朗さんの'13年作品『沈黙の町で』を読みました。
 中学教師の飯島は、午後7時頃、2年B組の名倉祐一の母から電話をもらい、祐一がまだ帰宅していないと言われます。名倉が所属するテニス部の部室に行くと、施錠がされておらず、部屋の中には名倉のスクールバッグがありました。部屋を出た飯島は、コンクリートの側溝に人が倒れているのを発見します。名倉でした。頭から大量に出血し、体は既に冷たくなっていました。桑畑警察署の刑事、豊川は、第二中学の校内で中学生の死体が見つかったと知らされ、現場に急行します。飯島の案内で部室の屋根に登ると、そこには新しい靴跡が複数あり、そこから近くの銀杏の木に飛び移るのが度胸試しになっていることを豊川は教わります。病院に名倉の遺体を見に行った豊川は、名倉の背中に無数のつねられた跡があるのを発見します。
 豊川と部下の石井は2人で組んで、テニス部の2年生を事情聴取することにしました。名倉がいつも行動をともにするグループのメンバー4人は、ゆうべのうちに割り出してありました。本人の携帯を家族から提出してもらい、通話記録を見ると、名倉が4人からいじめに逢っていたのは一目瞭然でした。連日《よろしく》という題名のついたメールが送りつけられ、そこには《今日中に宿題よろしく》とか、《ジャンプの今週号よろしく》とかいった文面が記されていたのでした。名倉のクラスメートの金子と藤田、A組の坂井瑛介と市川健太です。4人をばらばらにして、午前11時半になったら、4カ所で一斉に事情聴取するというのが、上層部の方針でした。そして事情聴取の結果、背中をつねった行為に対し、14歳以上の瑛介と藤田は傷害容疑で逮捕、14歳未満の健太と金子は児童相談所送りとなりました。混乱する親たち。
 検事では若手の橋本が、この件を担当することになりました。警察が「身柄事件」にしたということは、前科もない少年の傷害罪となれば、検察はほぼ百パーセント不起訴処分になるはずなので、殺人罪にもっていくつもりなのだろうと橋本は考えました。。名倉の通夜にはクラスメートとテニス部員が出席しましたが、4人の親と本人は出ませんでした。臨時PTA総会でも、4人の親は呼ばれませんでした。
 飯島とテニス部担任の安藤は、名倉が大きな呉服屋の子だからと、昔からいじめに会っていたと話し、3年生の不良グループにもちょくちょくたかられていたらしいが、テニス部の坂井瑛介が、もう名倉には手を出さないように不良グループと話をつけていたという噂があることを話していました。
 やがて4人は身柄の拘束を解かれ、自宅に帰ることとなりました。
 テニス部では以前から、金子と藤田が日常的に名倉をいじめていてました。名倉はテニス部の他の部員からもいじめられていました。補欠のくせに高級カーボン製ラケットを持っていたりするから、余計に反感を買うのです。しかし健太と瑛介はいじめには加わりませんでした。
 最初に名倉が金子と藤田から激しい肉体的ないじめに会ったのは、体育館での椅子の片付けの時でした。椅子を片付ける部屋の奥に名倉を押し込み、重なった椅子を乗り越えさせようとし、名倉は崩れた椅子の下敷きとなり、かなりの怪我を負わされました。体育測定の時も名倉は金子と藤田にいじめられました。
 息子の祐一が死んで十日が過ぎ、名蔵寛子の体重は5キロ落ちました。祐一は前後に2度の流産をはさんで授かった一粒種でした。代々続く呉服店ゆえ、跡取りを産むようにと周囲から圧力をかけられ、死ぬ思いで産んだ長男で、かけがえのない宝物でした。寛子は4人が既に普通に登校していると校長に聞かされ、わが耳を疑い、全校生徒に作文を書かせ、それを読ませてほしいと学校に強く要求しました‥‥。

 2日で読んでしまいました。段落ごとに話し手や時制が変わる小説でした。全編五百ページの作品でしたが、もっとコンパクトにまとめる手もあった気がします。それにしても奥田さんの小説は最近段々内容が暗くなってきているように感じるのは、私だけでしょうか? なお、上記以降のあらすじは私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)の「Favorite Novels」の「奥田英朗」のところにアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/