”ばっきん”のブログ

日常生活中心のブログです。
平成28年9月から妻と息子、母の4人で暮らしています。

政府の事業仕分けに現職市長が勇気ある批判

2009年11月19日 13時34分25秒 | 政治
(理不尽な事業仕分けと市職員向けメルマガで痛烈批判)
2009年11月18日付けH新聞3面に載った記事のもととなったH市長のメッセージを少々長くなるのですが、紹介します。
*****以下引用*****
 13日,政府与党の事業仕分け会議で「産学官連携事業の助成」が廃止と判定されました。具体的には,都市エリア産学官連携促進事業の認定を受けている20地域(H地方ではO市)と知的クラスター創生事業の認定を受けている13地域(H地方ではS市・H市)に重大な影響を与える事項ですので,今何が起こっているのか,あるいは起きようとしているのか,職員の皆さんに私の見解も含めてお伝えします。
 H市地域では,H大水産学部を中心として国際水産・海洋都市構想を進めてきました。
ここ10年来,大学や研究機関,経済界・企業・団体・市民有志が力を合わせて,将来,H市が水産・海洋に関する世界的な研究拠点となり,関連する産業も張り付いていけるまちをつくろうと取り組んできており,そのことで地域を振興させ,世界にも貢献していけるまちをつくろうというのが運動の趣旨です。
 この間,国からは都市エリア産学官連携促進事業で1億円×3年間,その後,2億円×3年間の助成を受け,21年度からは全国4指定地域のひとつとして,3億円×5年間の助成が決定していたものです。
指定に向けては,なにせ15億円の国費が投入される研究事業ですから,H総合政策部科学IT振興局の全面的な指導・支援をいただきながら,H大や研究機関の先生・研究者を中心に研究テーマを掘り下げ,国際レベルで通用する,より高度なものにすべく,膨大な作業にたいへんな労力を費やしてきたものです。その後,国の専門委員による現地ヒアリング・東京でのヒアリングを経て指定を受け,すでに研究活動がスタートしているものです。
 おそらく全国33箇所は同じように,地域の大学を中心に地域特性を生かした研究テーマを定め,地域にあった学術・研究と産業のまちをめざして取り組んでいるのが現状と思います。研究テーマもいずれ日本に貢献できる広範多岐にわたるものでしょう。
「疲弊した地方を立て直す」「コンクリートから人へ」が,民主党の公約でした。
 その民主党が,事業仕分けの名のもとに,事業の内容に踏み込むこともなく,また内容すら理解していない委員によって10分や20分の感覚的な検討?をもって,バッサリ,廃止を判定するなどということはいかがなことか,私は理解できませんし,このような乱暴で理不尽な話しは聞いたことがありません。廃止判定の説明責任も果たしていません。
派手にマスコミの眼を集め,説明員の真摯な説明に対して,謙虚に耳を傾ける姿勢も見られない劇場型事業仕分けをテレビで見ていると,日本の国は何かがおかしくなっていると思わざるをえません。
 予算がない・財源を捻出しなければならない,したがって公共事業を切らざるをえないといえば,ある程度は皆理解するかも知れません。道路や橋は優先順位をつけて,予算のめどがたってからになるのはやむをえないかも知れません。
 しかし,学術・科学技術の振興は,数多くの学者・研究者が関わってなりたつ「運動」です。一旦この運動を断ち切ってしまえば,再び立て直すのには5年・10年を要する営みになると思います。H市の水産・海洋都市の運動も,もともとH大水産学部の移転問題からですから,平成6年頃から15年でようやくここまで到達した運動なのです。
「コンクリートから人へ」というのであれば,日本が科学技術立国を目指すうえでも,今回の廃止判定は,軽々に判断すべき事柄ではなかったのではないか?江戸時代,多くの優れた学者は地方の藩にいたと言われます。知をもって立つ地方が幾多あって初めて,優れた国家が生まれるものです。地方都市の大学に関わる地方の真剣な運動をバッサリと切り捨てる今回の判定は,地方主権を目指す民主党の思想から考えてもおかしいといわざるをえません。
 明日からは東京に出ます。微力ですが,全力でこのことを各界に訴えてまいります。職員の皆さんも,それぞれの立場で今の日本と地域のことを考えていただきたいと願っています。
(日本の民主主義が危ない)
 民主党は「陳情を一元化」との報道がされています。自治体や業界からの陳情は,国の省庁で受け付けさせない,民主党の都道府県連がとりまとめ,党の幹事長室で判定するとのことです。
 このことに関して,地方からは手間が省けて良いといった意見も紹介されています。しかし,本当にそうでしょうか?
 日本は,司法・立法・行政の三権分立の国家です。それぞれの権能を侵してはならない間接統治の国家ともいえます。
 国民は今回の国政選挙で民主党に立法府の支配権を委ねはしましたが,行政=政府機構の直接的支配権を委ねたわけではありません。その代わり,民主党は,党員を総理大臣や国務大臣として派遣し,間接的に支配することを認めているものです。
 その際,国務大臣は,民主党員である以上に,行政の長として官僚を使いながら地方自治体や関係業界などの意見を幅広く聴取し,実情を把握し,より良い政策を策定し,実現していくのが務めです。したがって,国民のためのより良い政策をつくるためには,国務大臣が自立して各界から意見を聞き,自ら判断していく権利と義務があるはずです。
市町村や業界からの陳情・要望を聞かない・対話することもないとなれば,党の幹事長室からの情報で判断し,党の幹事長室に支配されるということでしょうか?これでは,一党独裁体制につながっていくのではないでしょうか?
日本の統治機構は,国各省庁=都道府県=市町村から成り立っています。それぞれが真摯に対話をして,国や地域の実情を伝え,考慮し,より良い政策が生まれてくるはずです。これが,各省庁が市町村の話を受け付けないとなれば,実態も分からないし,まともな政策は生まれてくるはずがありません。
今,言われていることは,市町村長は都道府県の民主党に行きなさいということで,本来あるべきルートが違うのではないでしょうか?しかも,報道によれば,評価に当たっては,「過去の選挙応援の有無」が評価されるとあります。このことにどこからも異議が出ないこと自体に,民主主義の危機を感じるものです。
先般,民主党と渡島首長の政策懇談会があり,私からは,「市町村長は,市民・町民全体の公に奉仕する者であり,特定の政党に奉仕する者ではない。地域課題の要望を考慮するに当たって,党への貢献度に左右されるのはおかしいのでは」と指摘をさせていただきました。
市町村の行政は,政治家にお願いすることはありますが,本来のルートは都道府県・国でなければならないものと感じています。
党による支配がどこまで直接的であって良いか・悪いかは,今回の事業仕分けの結果について,各国務大臣が最終的にどう決定されていくのかの推移を見れば分かるかも知れません。
時代は流動的です。民主主義や国家制度のあり方を考える良い機会でもありますよ(^_^)。
 2009.11.16
*****以上引用終わり*****
やはり、権力は怪物なのかもしれません。