まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

新宿インシデント 新宿事件

2009-05-12 00:00:00 | 香港映画
遅ればせながら観てきました。成龍(ジャッキー・チェン)がアクションもコメディも封印して挑んだ社会派ノワール。監督は爾冬陞(イー・トンシン)で、旺角門徒に続く暗黒三部作。





観た第一印象は、完全アウェイのなかよく頑張ったという感じです。成龍にとってジャッキーアクションを封印してダークサイドな役柄をやることが初めての挑戦なら、爾冬陞監督にとっても自分の庭である香港を離れて新宿や神戸でロケすることは大きな挑戦だったのではないでしょうか。えてして、新しいことを一つ取り入れる分には充分に対応できても、新しいことを二つ同時に取り入れることは非常に難しいと思うのです。


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音信不通となったかつての恋人シュシュ(徐静蕾:シュー・ジンレイ)を追って日本に不法入国した鉄頭(成龍)は、同じ村出身の阿傑(呉彦祖:ダニエル・ウー)を頼って新宿へとやってくる。密入国者ならではの仕事、ゴミ拾いや下水道掃除、皿洗いなどを阿傑と一緒に転々としているうちに、刑事の北野(竹中直人)と知り合い、中国人ホステスのリリー(范冰冰:ファン・ビンビン)とも親しくなる。ある日、台南派の中国人の開店祝いから日本人のヤクザ江口(加藤雅也)とともにシュシュが出てくるのを見かけた鉄頭、しかしシュシュは日本の着物を着て結子と名前も変えて、すっかりヤクザの女房となっていた。





不法滞在者としてこのまま日陰で細々と暮らしていくか、それとも少しくらいの悪事をしてでも金を稼いで人並みに暮らすか、鉄頭たちは後者を選び、偽造テレカの販売から偽造カードでの買物、パチンコ台への細工などで次第に悪事に手を染めて、金を稼いでいく。ただ阿傑は気が弱く、偽造カードで買物をするのにも冷や汗をかく始末で、そんな彼を見かねて仲間たちは阿傑の夢だった天津甘栗の屋台を買ってやるのだった。





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パチンコ台への小細工がばれて、たまたま台にいた阿傑がヤクザに捕まる。阿傑は右目の下から鼻を越えて左目の下までざっくりと切られ、さらに助けに駆けつけた鉄頭やホンコン(錢嘉樂:チン・カーロッ)、林雪(ラム・シュ)たちの目の前で、右手を天津甘栗の鍋に突っ込まれ、あの大きな鉄匙で腕をざっくり!しかもちぎれた右手をぐりぐりっと踏み潰されてしまう。このシーン、門徒の手首を連想します。





復讐の念に燃える鉄頭たちだが、真正面からいって勝てるわけがないと仲間を抑え、一人刀を持ってヤクザの店に侵入し、機会を窺う鉄頭。その場に毎月の見回りで江口があらわれ、いきなり襲われるのを偶然助ける形になった鉄頭、しかも阿傑の手を切ったヤクザの腕を切るという形で。





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江口の家に招かれた鉄頭はシュシュと再会し、お互いが違う人生を歩んでいることを確認する。結子と鉄頭が幼馴染と知った江口は、鉄頭にヒットマン役を依頼し、滞在許可証と新宿のシマを条件に鉄頭は江口の親にあたる三和会会長の村西(峰岸徹)、そして江口と対立する渡川組の組長を次々を殺していく。こうして江口の三和会会長就任に重要な役割を演じた鉄頭は新宿のシマを任され、鉄頭たちは華東会としてついに新宿の裏社会の主役になった。





組の仕切りをホンコンと阿傑に任せ、自分は中国にいた頃からの夢だったのか中古トラクター販売を始める鉄頭は、リリーから一緒に新宿から出ようと誘いを受ける。しかし、華東会はヤクを扱ったりして警察から指定暴力団に認定され、東京の一大勢力となっていた。そして、かつての江口の配下で中国人嫌いの中島(拳也)や対立する中国人マフィアがある晩、華東会に刃を向ける。。。





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ダークな昭和の雰囲気がする映画。呉彦祖なんてパンチパーマだし、まだ歌舞伎町が元気な頃かな。思うんだけど、旺角や門徒は悪と対になる側の警察の情景もよく描かれていたじゃない?ミウ警部とか、門徒なんて潜入捜査官だし。でもこの作品では竹中直人の北野が絡んでくるけど、いまいちその重要性というか、タイミングというか、なんかこう筋やストーリー、事情みたいなものが感じられないんだよね。やはり場所が日本ということで、あまり日本の警察事情に詳しくない爾冬陞監督はそこらへん細かく描写しなかったのでしょう。ただ、そのために物語がひとつの枠をこえてないのかなあ、と考えてしまいます。





主演の成龍は、今回アクションを封じて他人のアクション指導に身を任せる、という挑戦をしたこと自体、凄いことだと思います。国際的な大スターがもう50を超えているのに、俳優として新境地を見出そうというその情熱に感嘆します。





呉彦祖は、旺角と門徒では主演でしたが、今回は成龍の引き立て役ということで、まずまずではないでしょうか。銀髪のパンク頭がカツラだったのには笑いました。范冰冰や徐静蕾も日本語を話したりして物語のスパイスとなっていましたが、やはり脇にいる感は否めません。門徒の袁詠儀ほどの存在感は感じられませんでした。





比較すると、やはり旺角や門徒の完成度の高さに目を瞠ります。ただ、この作品も日本の不法滞在者の視点から描かれた映画であるということ、そして成龍がこれまでのイメージをかなぐり捨ててダークな役柄に挑んだこと、最後の襲撃シーンのアクションの激しさや主要人物がバタバタと死んでいき、成龍も下水の中を流れていく救いのなさなど、なかなか面白い作品に仕上がっていたなと思います。





中国本土では暴力表現が過激なため上映禁止だそうですが、当局が映画をみた観客たちに襲撃されるのを恐れたのでは?と勘繰っちゃいます。





公式サイトはこちら





5/10 TOHOシネマズ川崎


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