まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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ウォーロード/男たちの誓い 投名状

2009-05-26 00:00:00 | 香港映画
時は清朝末期、太平天国の乱の時代、義兄弟の契り「投名状」を交わした男たちが陥る悲劇。





遅まきながら観ましたが、さすが『門徒』をかわして香港電影金像奨の作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門をとっただけあって、見応えのある映画でした。でもこんなにいい映画が公開3週目にして1日2回の上映、しかも9:40~と19:25~ってどういうこと?珍しくシネコンでやってくれるのは全国で公開されて観られるお客さんが増えるってことで単館公開よりもいいことなんだけど、上映スケジュールが無茶苦茶になるのは仕方ないのね。ええ、日曜日なのに早起きして観にいきました。『新宿インシデント』なんてもう1日1回しかもナイト上映で、大丈夫だろうか。





1600名の部隊が全滅するなかで一人生き残ったパン(李連杰:ジェット・リー)は、ふらふらと歩いているところを女(徐静蕾:シュー・ジンレイ)に助けられ一夜をともにする。そして山賊ウーヤン(金城武)に拾われて彼らの村に行くと、あの女を目にする。しかし彼女は山賊の頭領アルフ(劉徳華:アンディ・ラウ)の妻だった。





山賊の村が清軍に襲われたことがきっかけで、パン、アルフ、ウーヤンは義兄弟の契り「投名状」を交わし、山賊たちは清の正規軍となって太平天国軍との戦闘に赴く。舒城の戦いで寡勢ながら敵軍を打ち破ったパンたちは、山軍と名づけられ太平天国の軍勢を追い詰めていく。





敵の本拠地南京にほど近い蘇州の地。3年で終わると予想していた戦いは5年をこえて、攻め手の山軍、蘇州に籠城する太平天国軍とも兵糧弾薬が底を尽き、いつ終わるとも知れない日々を過ごしていた。この膠着状態を打開しようと、パンとウーヤンはライバルでもある魁軍に兵糧の無心にいく。そしてアルフは単身蘇州に乗り込み、太平天国軍の兵士4000人の無事を条件に、蘇州城主の投降を受け入れる。しかし山軍の兵士も4000人、そして分けてもらった食料は10日分、これで南京攻略をしなければならず、4000人の捕虜を食べさせる食料はない。パンはアルフの反対を抑え、非情にも投降した4000人全員を殺す命令を下すのだった。





蘇州を落とした余勢をかって山軍は南京も一気に攻め落とし、パンは両江総督という高位を与えられる。しかし山軍の人望がアルフにあることに気づいていたパンは、アルフを謀殺する。たまたま南京でパンとアルフの妻の密会を見たウーヤンは、パンとアルフの仲違いが彼女のせいだと思い込み彼女を殺すが、アルフも既に殺されたことを知り、投名状の誓いにかけてパンを許さない。。。








ラブロマンスの王者、陳可辛(ピーター・チャン)監督が歴史アクションを撮るってだけでも


凄いのに、カンフーアクションを封印して(まあ刀を振り回したりはするけれど)主演男優賞になった李連杰の演技も特筆ものです。成龍(ジャッキー・チェン)もカンフー封印して新宿やったし、そういう時期なのかしらん。「俺たちは正規軍になったんだ、もう山賊じゃない」といって二人の兵士を処刑したり、「南京にいる数百万の民を救うためだ」といって4000人の捕虜を虐殺したり、「これで平和な世の中になったんだ」といってアルフを暗殺したりするたびに、李連杰の眉間に皺が深く刻まれます。パンフの劉徳華のコメントで「ラブシーンで李連杰があんな繊細な演技をするとは思わなかったよ!」とあるけれど、ラブシーン?あの場面がラブシーンなの?って感じで、繊細な演技というよりは繊細なラブシーンでした。





劉徳華も李連杰とダブルで香港電影金像奨の主演男優賞にノミネートされたように、相変わらず安定感ある素晴らしい演技です。うおぉーと馬に乗って突進していくところや、一人宵闇に紛れて蘇州に紛れ込むところなど、俺は英雄になるんだっという野望の部分や4000人の捕虜を救おうとして救えなかったときの燃えるような悔悟の念から熱い思いが感じられ、山賊の頭領時代からのにじみ出るような人望が窺える。どうして徐静蕾の妻はこんなにいい男が夫だというのにパンに惹かれたのだろうか。やはり不在がちだからなのか、それとも遊郭に売られるところを救われた恩義だけで結婚したからか。





金城武はパンとの出会いから舒城の「大将の首を取ったぞー!」や南京の「家政婦は見た!ウーヤン版」を経て最後のシーンまで、主要人物の中で一人裏表なく真正直に正面から向かっていく。その役柄が金城くんの純な目とマッチしていて、なかなか良い感じでした。アルフやパンの下でやっている分にはいい働きをするウーヤンも自分ひとりが秘密を知ってしまうと単純明快な答を求めてしまうわけで、一途に投名状の誓いに従ったのは彼だけだったのかもしれません。





リアルな戦場場面も見所の一つ。舒城の突撃の場面では、馬が恐れるのを防ぐために馬に目隠しして敵軍の中に突っ込んでいく。蘇州では、城を囲む塹壕の中で兵士たちはみんな顔面が泥だらけで腹を空かしていて、飯がくればむしゃむしゃとあっというまに食べていく。しかし飯がないのは蘇州の太平天国軍とて同じこと。貧しいから反乱を起こした者たちと、貧しいから兵士になって俸禄をもらう者たち、そこに差がないからこそ、パンの命令で4000人の捕虜を殺すときに、弓を射る兵士たちは涙を流しながら命令を実行したのだろう。





元ネタは中国でも有名な清朝末期の実際にあった事件で、1973年には『刺馬』という名作映画になっている。この投名状は『刺馬』のリメイクでもあるんですが、自分は『刺馬』を観ていないので比べることはできません。DVDは出ているから、いつか観てみたいなあ。





日本で公開されてるのはワールド版で、香港オリジナル版より14分短いらしいのだけど、どんな場面がカットされているのか気になります。冒頭の説明が英語だったり、エンディングテーマをアルフィーが歌ってたり、雰囲気的にはおおいに異なるのでしょう。あの最後だったら、オリジナルのエンディングのインストだけのほうが、余情が残っていいような気もするし。以前からエンディングテーマを日本版だけ変えるってのはやってるけど、エンディングテーマの音楽も映画音楽の要素の一つなんだから、わざわざ日本版で誰かの歌をつけずにオリジナルで鑑賞したいな、というのが正直なところ。配給会社の思惑もあるんだろうけど。





これで、中華大作公開ラッシュも一段落しました。夢のようなワクワクした日々でしたね。





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