一つの家族の12年間を追った物語。同じキャストが年齢を重ねていく過程を撮る、といって思い浮かぶのは日本の名作ドラマ「北の国から」シリーズ。父や母になっているであろう純と蛍を見てみたい。この作品は、ゴールデングローブ賞作品賞を受賞しました。
6才のメイソンは、姉サマンサと離婚したばかりの母オリヴィアと3人で暮らしている。父は定期的に会いに来てボウリング場に連れていったりしてくれる。
オリヴィアが大学へ通うため一家は引越し。引越した先で、オリヴィアは同じように離婚していて2人の子供がいる教授と再婚する。しかしこの教授が実はアル中のDV野郎で、徐々に家庭内でも本性を露わに。ラベルを剥がしたウィスキー瓶をこそこそ隠したり、コーラかスプライトかの紙コップにウィスキーと氷を入れて、さも酒を飲んでいないふりをするのはなかなかリアルっぽくて笑いを誘います。
メイソンとサマンサは、せっかく仲良くなりかけた同じ年頃の教授の子供たちと離れて、また3人で暮らし始めます。オリヴィアは大学を卒業して今度は教鞭を執る側に。教え子を招いたホームパーティで、イラクかアフガンか軍隊帰りの学生と意気投合し一緒に住むことになるが、彼も束縛しがちなところがあるみたいで結局別れてしまう。
メイソンは高校で写真にはまりコンクールで銀賞を取るなど才能の片鱗を見せる。恋人との旅行や別離、レストランで皿洗いのバイトなどを経験し、高校を卒業して大学の寮へと移る。。
アメリカでは当然の法的権利であり当たり前なんだろうけど、実の父親が定期的に会いに来て週末キャンプをしたりして過ごすのがいい雰囲気です。メイソンの高校卒業パーティにオリヴィアの別れた夫の中で彼だけ招かれていたのも、実の父親だということももちろんありますが、メイソンとサマンサといい関係を続けていたからでしょう。2人とも親の言うことをしっかり聞いて、グレずに育っていい子供だなと思います。アメリカとはいえシングルマザーは大変だろうから。
家族のドラマをギュッと濃縮していますが、これは映画だからこそできたこと。「北の国から」は連続ドラマだったから、富良野の自然という大きな役割を果たした舞台があったけど、2時間半なら家族を中心とした人間ドラマだけでも尺に収まらないくらい。
企画段階から「12年撮る」と決めていてその通り実行したのはすごいなあ。途中で思春期とかあるから、子役のどちらかが「もう役者をやめる」と言い出すリスクもあるだろうし、もしメイソン役がバスケやフットボールに夢中になっていたら脚本も変わっていたんだろうか。DV教授の子供たちがどうなったのか、すごく心配です。本当の人生で小さいころ近所に住んでいたけど引越していった友達が、今頃どうしているんだろうと空想するみたいでした。
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1/4 TOHOシネマズ川崎
『KANO』
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