まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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犯人に告ぐ 雫井脩介著

2014-05-30 21:40:17 | 読んだ本
 

6年前、幼児誘拐殺害事件で陣頭指揮を取りながら捜査に失敗し、被害者の殺害という最悪の結果を招いた巻島史彦警視、その事件の記者会見でも大失態を犯して左遷され、今は足柄署の特別捜査官という立場にいる。

川崎の新興住宅街で起きた連続児童殺害事件、神奈川県警の捜査は行き詰まりを見せ、本部長として再び神奈川県警に来た曾根は、巻島をこの事件の担当にしてテレビニュース番組に出演させる「劇場型捜査」に踏み切る。果たして「バッドマン」は姿を現すのか、そして「劇場型捜査」の行方は。。。

犯人捜しというよりも、警察の捜査のやり方そのものが主人公になっていて興味深い。6年前の誘拐事件の捜査はオーソドックスなものなのでしょう、身代金受け渡し場所に大人数を配置する様子や、捜査本部の態勢が整うまで犯人の指定した時刻を過ぎても動き出さないところなど、初めて知る事柄が多く警察の裏側をのぞき見した気分です。

そして川崎連続児童殺害事件の「劇場型捜査」は、手掛かりのほとんどない事件を話題にして犯人のアクションを待ち、そこから捜査の突破口を開こうというもの。前例のない捜査方法ながら、掌紋照合やローラー作戦など捜査方法を構成するピースのひとつひとつはオーソドックスなもので、それらを生放送のニュースに担当捜査官が出演して犯人に接触を呼びかけるという前代未聞の手法でどのように統率していくのか、未知のものを知りたいという好奇心が刺激されました。

極めて私的でよこしまな動機から捜査情報をライバル番組のニュースキャスターで、元同級生の松村未央子にリークする植草課長には失笑しかありませんが、巻島が罠にはめても傍目には本人のキャリアに傷がついていない、というところがお役所の中の限界なのか、こういう奴がキャリアだからという理由でいつの間にか出世すると思うとぞっとします。

6年前の誘拐事件の被害者家族、そして川崎の事件の被害者家族の心情、さらにはトミさんや有賀といった加害者の心が崩壊している様子など事件の周辺も鋭い筆致で描かれていて、特に人を殺した人間の心が壊れている様子はあまり目にしたことがありません。そして、巻島自身の家族も難しい任務を遂行する支えとして不可欠な役割を果たしていて、その他津田長さんや本田といった巻島の部下、ニュースナイトアイズ関係者などの人間模様も一人ひとり丁寧に描かれていました。
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