- 松永史談会 -

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高島平三郎の「心理漫筆」&「心理百話」

2014年02月20日 | 教養(Culture)
高島平三郎にはたくさんの著書がある。ジャンル的には心理学・教育学・修養(日本的倫理学)、体育学と多岐にわたるが、特に評価が高いのは心理学(児童研究)、女子教育・体育思想面でのものだろう。それらの著書を通じて高島は明治末期~昭和初期の我が国における国民教育に大きく貢献した。著書を大別すると専門書と教養書(教科書を含む)、一般書に分類できるが、ここで紹介するのは高島が高島らしさを発揮した教養書のジャンルのものだ。



高島平三郎「心理百話」
[目次]
標題紙・・・・・本のサイズは46版
目次
一 我国の心理学史 / 1
二 心理学説の変化 / 5
三 精神現象の区分 / 9
四 観念と観象と / 12
五 トツコニ、バツコ / 17
六 文字遊戯 / 20
七 五官皆触説 / 23
八 世界観 / 24
九 哲学の傾向 / 30
一〇 一種の一元論 / 31
一一 百人一首 / 32
一二 嗅覚の追懐 / 33
一三 妖恠 / 35
一四 幻影 / 36
一五 ややの火 / 37
一六 都会と地方と / 42
一七 経験は最良の教育なり / 44
一八 審美的感情 / 46
一九 形而上形而下 / 49
二〇 社会的心理学 / 50
二一 人国記 / 51
二二 死 / 58
二三 反動と反射と / 60
二四 郷歌 / 61
二五 霊魂不滅 / 66
二六 既読の書目 / 69
二七 児童心理学 / 71
二八 小児の擬似 / 73
二九 役人根性 / 77
三〇 徂徠の心理説 / 79
三一 記憶の試験 / 82
三二 動物心理 / 84
三三 刺激と力と / 87
三四 少年の欽仰せる人物 / 89
三五 忘却律 / 91
三六 小児の絵画 / 95
三七 言語 / 98
三八 戦争と発狂 / 101
三九 一般感情 / 103
四〇 依ト昆垤里 / 105
四一 観相術 / 107
四二 雪と文学との関係 / 109
四三 謝畳山 / 111
四四 観念連合 / 113
四五 連合作用の試験 / 114
四六 催眠術 / 116
四七 少年の志向 / 119
四八 夢 / 121
四九 心の称 / 127
五〇 ロマニース / 131
五一 児童観察の要点 / 133
五二 人間一生誌 / 140
五三 心性発達 / 143
五四 心身相関の例 / 145
五五 良心 / 146
五六 強迫観念 / 149
五七 理性 / 150
五八 善悪標準 / 154
五九 聖人 / 156
六〇 怒 / 159
六一 想像作用の階級 / 160
六二 国民心性の傾向 / 161
六三 人類学 / 164
六四 階級思想 / 167
六五 人物定義 / 171
六六 人心道心 / 172
六七 体力と威力 / 174
六八 仏 / 175
六九 山陽の書簡 / 177
七〇 身体と感覚との関係 / 179
七一 知識に乏しき者の推理 / 181
七二 概念の内包 / 182
七三 大なる刺激精神作用を狂はしむ / 183
七四 刺激と容貌との関係 / 185
七五 迷信及伝説 / 186
七六 形式及内包 / 188
七七 児謡 / 192
七八 心意博物学 / 193
七九 不平の心理 / 196
八〇 校規と自由意志と / 199
八一 心理的概念及論理的概念 / 201
八二 女性の心理 / 202
八三 社会と直覚との関係 / 106
八四 遊戯と体操との別 / 109
八五 統一 / 210
八六 教育者の理想 / 212
八七 悟道といへること / 215
八八 教権 / 217
八九 朱子の心理説 / 219
九〇 生徒の有せる教師の概念 / 225
九一 忠恕 / 227
九二 道徳 / 228
九三 外国語学と性格と / 229
九四 途上の心理研究 / 230
九五 敬の字 / 232
九六 性格と我と / 234
九七 活動 / 235
九八 欲望と進歩と / 237
九九 四謬念 / 240
一〇〇 板垣伯の三戒 / 244

「国立国会図書館のデジタル

和本同様に横積みされていたようだ。



高島平三郎の発想の豊かさには驚かされる
明治42年に河本亀之助が洛陽堂を創業したので、明治30年代に「心理漫筆」として好評を得ていたものを、「心理百話」とタイトルを変更して洛陽堂から刊行しなおしたのだ。

心理学の考え方をベースとしていろいろの面白い話題を提供したもので、もともとは雑誌「教育時論」(開発社刊)に投稿していたものを集成したものらしく、現在読んでみてもなかなか面白いしろものだ。
この中に高島が小学校教員をして沼隈郡神村(かむら)村の鬼火伝説(「ややの火」)を収録し、住民が夜中にみるという鬼火は当時、この地方の農村部では夜なべをして製塩業に提供する藁製品(コモ)を製造していた。その夜なべ作業時の燈火を”おやや”という女性の怨霊伝説と結びつけ「鬼火」として誤解したものだろうかと解釈している。いかにも少壮の心理学者らしく明快な迷信解釈を披露している。
この話は”おややの墓”として『沼隈郡誌』にも収録されているが、かなり話の中味は異なる。
この本の中には松永高等小学校の校長を勤めていた西川國臣に関して自分の友人として紹介していた。
同氏は日本の国歌を斉唱することを拒否していた丸山鶴吉(浜口内閣時代の警視総監)に対して”国賊め!”といってしかりつけた人物だった。

松永高等小学校校長時代の西川國臣(三原藩浅野氏家臣の子供で長谷川櫻南の弟子、明治31年頃)


「心理漫筆」は高島が30歳前後のころのものだが、学術的な問題を身の回りの出来事の中で例解する姿勢には脱帽させられるばかりだ。後日ゆっくりと分析をしてみたい。
なお、本書は高島平三郎著作集に所収されている。

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