~永田和宏・NHK短歌~
11月16日のNHK短歌は永田和宏が講師。題は「書く」または自由題。入選歌は9首。
★ 一席 ふたたびは書くことなからむ「妻」といふ字をゆつくり記す死亡届に
神奈川県 青木良子
夫があってはじめて妻がある。妻を失い自分の存在が危うくなる。「ゆっくりがいいですね」と1位に選んだ永田は言う。妻の裕子を失った自身をおもうように、しみじみと言う。
★ 二席 ばってんを胸に書かれてオペを待つメスはここから入るというバツ
北海道 荒井由利子
人間の体に書かれた字、手術前の「患部はここだ」のマークか。初句の「ばってん」は平仮名、結句の「バッテン」はカタカナ、この違いが利いていますね。と永田が指摘する。
★ 三席 美人ではないがと書いたラブレター妻はいまでも矛を収めず
千葉県 小永井節夫
「おもしろい歌ですね」とゲストも言う、美人ではないけど君の性格が好きなどと手紙に書かれたら女は生涯忘れないでしょう。でも老人になったら性格がいい方が有難い妻。
ゲストはノンフィクション作家の梯久美子。♠ 短歌はタイムトンネル みたいですね。千年も前の人と繋がることができますから。 ♠ 科学文明などは進化するが人間の感情は進化しませんからね。と講師の永田。 ㊟ 米国のアリゾナ砂漠の地下数千mにある科学センターで、ボタンを押せば人間が現在から過去へ行けるとか。そこで詠めるかしら。
11月19日 松井多絵子
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