今回はミドリヒョウモン。前翅長31~40mmの中型の蝶。ヒョウモンチョウとしては大型ヒョウモン類に分類されている。軽井沢周辺でもツマグロヒョウモンよりも更によく目にする種であり、「長野県産チョウ類動態図鑑」(文一総合出版発行)によると長野県内では最も多い大型ヒョウモンとされている。
本ブログではツマグロヒョウモンに次いで2回目のヒョウモンチョウの仲間の紹介になるが、我が家の庭に来たヒョウモン類はこの2種にとどまった。成虫は年1回の発生で、幼虫の食草はスミレ科のスミレ、タチツボスミレなど多くのスミレ類である。卵または1齢幼虫で越冬する。
軽井沢周辺の山地では、このほかにメスグロヒョウモン、クモガタヒョウモン、ウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモンなどを見かけることがあるが、これらはよく似ていて、なかなか同定が難しい。そんな中で、このミドリヒョウモンは、特異な裏面後翅の斑紋により容易に区別されるし、また♂の場合、前翅表の性標(発香鱗条)が4本はっきりと現れるので、これが見えれば手掛かりになる。
先の「長野県産チョウ類動態図鑑」によると、ミドリヒョウモンの個体数は増加の傾向にあるという。その原因は、本種の産卵する環境が湿潤な、林冠がかなり閉鎖した森林であり、そうした環境が里山の森林化の進行により増加しているためとされている。
ミドリヒョウモンのこの産卵行動に関しては次のような面白い記述がある。
「・・・産卵習性は極めて粗雑で、卵は食草の生えている付近の他物(樹皮、露出した木の根、岩、地上の枯れ枝、建物の壁など)にでたらめに産みつけられ、産卵場所の付近にまったく食草のないこともめずらしくない・・・」(白水隆著:日本産蝶類標準図鑑、学研発行)。
ずいぶんひどく書かれたものであるが、それでも個体数を増加させているのは何か秘訣のようなものがあるのだろうか。粗雑ながらもこれが旺盛な生活力につながるためか、古い本の記述には次のようなものがある。
「・・・日本全土に饒産するが中国山脈には特に多く、7月中旬の伯耆大山はその中腹山路の草花上に幾百とも知れぬこの蝶の大群が乱舞する・・・」(江崎悌三校閲、横山光夫著:原色日本蝶類図鑑、保育社発行)。
今もこうした光景に出会うことができるのであろうか。
このミドリヒョウモンの行動に関しては、また次のような記述があった。
「・・・♂は地上や崖で吸水することが多いほか、山小屋などに集まる習性がある・・・」(フィールドガイド日本のチョウ、誠文堂新光社発行)。実際、軽井沢の千ヶ滝に出かけたときに、このようなシーンに出会った。
河原の砂で吸水するミドリヒョウモン♂(2017.7.27 撮影)
河原に建てられた東屋の軒下の蛾の繭のようなものに執着するミドリヒョウモン♂(2017.7.27 撮影)
さて、このミドリヒョウモン、我が家の庭のブッドレアの常連客である。
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアで吸蜜中の♀のところに♂がやってきて、盛んにモーションをかけるが相手にされず、しばらくして諦めて去っていった。
その様子を連続撮影したので見ていただこう(2016.9.6 撮影)
今回紹介したブッドレアに集まってきたミドリヒョウモンは、だいぶ翅が傷んでいた。ミドリヒョウモンの名誉のため、美しい姿が撮影できた他場所での写真を少し紹介しておく。
オカトラノオの花で吸蜜するミドリヒョウモン♂(2016.8.5 撮影)
オカトラノオの花で吸蜜するミドリヒョウモン♂(2016.8.5 撮影)
オカトラノオの花で吸蜜するミドリヒョウモン♂(2016.8.5 撮影)
ヤマボウシの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2017.7.3 撮影)
アザミの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2015.9.3 撮影)
ミドリヒョウモンの♀の中には、翅表の色彩が橙色をおびず暗灰緑色を呈する暗色型があることが知られている。これは「岐阜から熊本まで本州西南部地域で正常型にまじってまれに発見される」とある。これに似通ったものが長野県の八千穂高原で撮影した中に混じっていた。まだ、翅の中心に近いところには橙色が残っているが、周辺部は暗灰緑色であり、中間型といえるかもしれない。
八千穂高原で撮影した翅色が部分的に暗灰緑色化したミドリヒョウモン♀(2015.9.3 撮影)
本ブログではツマグロヒョウモンに次いで2回目のヒョウモンチョウの仲間の紹介になるが、我が家の庭に来たヒョウモン類はこの2種にとどまった。成虫は年1回の発生で、幼虫の食草はスミレ科のスミレ、タチツボスミレなど多くのスミレ類である。卵または1齢幼虫で越冬する。
軽井沢周辺の山地では、このほかにメスグロヒョウモン、クモガタヒョウモン、ウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモンなどを見かけることがあるが、これらはよく似ていて、なかなか同定が難しい。そんな中で、このミドリヒョウモンは、特異な裏面後翅の斑紋により容易に区別されるし、また♂の場合、前翅表の性標(発香鱗条)が4本はっきりと現れるので、これが見えれば手掛かりになる。
先の「長野県産チョウ類動態図鑑」によると、ミドリヒョウモンの個体数は増加の傾向にあるという。その原因は、本種の産卵する環境が湿潤な、林冠がかなり閉鎖した森林であり、そうした環境が里山の森林化の進行により増加しているためとされている。
ミドリヒョウモンのこの産卵行動に関しては次のような面白い記述がある。
「・・・産卵習性は極めて粗雑で、卵は食草の生えている付近の他物(樹皮、露出した木の根、岩、地上の枯れ枝、建物の壁など)にでたらめに産みつけられ、産卵場所の付近にまったく食草のないこともめずらしくない・・・」(白水隆著:日本産蝶類標準図鑑、学研発行)。
ずいぶんひどく書かれたものであるが、それでも個体数を増加させているのは何か秘訣のようなものがあるのだろうか。粗雑ながらもこれが旺盛な生活力につながるためか、古い本の記述には次のようなものがある。
「・・・日本全土に饒産するが中国山脈には特に多く、7月中旬の伯耆大山はその中腹山路の草花上に幾百とも知れぬこの蝶の大群が乱舞する・・・」(江崎悌三校閲、横山光夫著:原色日本蝶類図鑑、保育社発行)。
今もこうした光景に出会うことができるのであろうか。
このミドリヒョウモンの行動に関しては、また次のような記述があった。
「・・・♂は地上や崖で吸水することが多いほか、山小屋などに集まる習性がある・・・」(フィールドガイド日本のチョウ、誠文堂新光社発行)。実際、軽井沢の千ヶ滝に出かけたときに、このようなシーンに出会った。
河原の砂で吸水するミドリヒョウモン♂(2017.7.27 撮影)
河原に建てられた東屋の軒下の蛾の繭のようなものに執着するミドリヒョウモン♂(2017.7.27 撮影)
さて、このミドリヒョウモン、我が家の庭のブッドレアの常連客である。
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2016.9.6 撮影)
ブッドレアで吸蜜中の♀のところに♂がやってきて、盛んにモーションをかけるが相手にされず、しばらくして諦めて去っていった。
その様子を連続撮影したので見ていただこう(2016.9.6 撮影)
今回紹介したブッドレアに集まってきたミドリヒョウモンは、だいぶ翅が傷んでいた。ミドリヒョウモンの名誉のため、美しい姿が撮影できた他場所での写真を少し紹介しておく。
オカトラノオの花で吸蜜するミドリヒョウモン♂(2016.8.5 撮影)
オカトラノオの花で吸蜜するミドリヒョウモン♂(2016.8.5 撮影)
オカトラノオの花で吸蜜するミドリヒョウモン♂(2016.8.5 撮影)
ヤマボウシの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2017.7.3 撮影)
アザミの花で吸蜜するミドリヒョウモン(2015.9.3 撮影)
ミドリヒョウモンの♀の中には、翅表の色彩が橙色をおびず暗灰緑色を呈する暗色型があることが知られている。これは「岐阜から熊本まで本州西南部地域で正常型にまじってまれに発見される」とある。これに似通ったものが長野県の八千穂高原で撮影した中に混じっていた。まだ、翅の中心に近いところには橙色が残っているが、周辺部は暗灰緑色であり、中間型といえるかもしれない。
八千穂高原で撮影した翅色が部分的に暗灰緑色化したミドリヒョウモン♀(2015.9.3 撮影)
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