軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

山野で見た蝶(16)ミヤマシジミ

2024-06-28 00:00:00 | 
 以前、このミヤマシジミと、近縁でよく似たアサマシジミ、ヒメシジミを比較して紹介をしたときは、まだ確実に、ミヤマシジミを山野で見たわけではなく、義父のコレクションの標本で確認していた(2019.6.28 公開当ブログ)。

 そのミヤマシジミを、自然に近い形で繁殖させているバタフライガーデンが小諸にあることを知ったのは、3年前の10月のことであった。その時はもうミヤマシジミの発生時期も終わりかけたころで、この年には実際に見ることはできなかった。

 その後、このバタフライガーデンでは思うようにミヤマシジミが発生しなかったようで、年に数回、このバタフライガーデンに通う機会があったものの、ミヤマシジミを見ることはできなかった。

 今回、このバタフライガーデンの管理者Mさんからミヤマシジミを見ることができそうですよとの連絡を受けて早速出かけてきた。

 現地では、自然に発生したという♂が1頭、ガーデン内に植えられている食樹の周辺をあちらこちら、飛び回っては止まるといった行動を繰り返しているのを見、撮影することができた。♀はまだ少し先の発生になりそうである。

 園内のコマツナギは、ミヤマシジミの産卵習性に合わせて、冬の間は丈を低めに刈り込んでいる。今回見た個体は、こうした環境下で自然に発生したものとのことである。

 この他、1mx1.5mほどのネットで囲ったケージの中にコマツナギとナンテンハギを植え、ミヤマシジミやアサマシジミの卵と幼虫を保護できるようにしている場所もあるが、今のところこのケージ内での発生は認められないとのことであった。

 いつもの「原色日本蝶類図鑑」(横山光夫著 1964年保育社発行)によると、ミヤマシジミは次のようである。

 「本種は従来、前種『シジミチョウ(注:ヒメシジミのこと)』と多く混同されてきたもので、独立種と認められたのは最近のことで、分類上の大きな業績といわなくてはならない。本種の分布は狭く本州においても中部・関東以外は不連続的に生息し、北海道・九州には発見されていない。東北でも山地は南にかたより、山形・福島以東に知られ、中部には前種(ヒメシジミ)と混棲してやや多産するが、関東以北の山地には前種のみ多く本種はきわめて少ない。
 前種との相違点は、① 雄の翅表は紫色を帯びて明かるく、② 外縁の黒縁はきわめて細く、③ 後翅外縁の黒紋列はあざやかに特徴を示す。卵はコマツナギの根もとに近い茎や枯枝・枯草などの上に見出される。本種は他の近縁のものとは異例の多化性の蝶で、5月から11月に至る長期にわたって、暖地や低地では年4~5回、寒冷地や高地では3回の発生をみる。」

 「信州 浅間山麓と東信の蝶」(鳩山邦夫・小川原辰雄 著、 2014年信州昆虫資料館発行)で、近年の分布と個体数の動態をみると次のようである。

 「長野県では分布に濃淡があり、稀な地域があるものの、平地から低山地にかけて比較的広く分布している。かつては、多産地も数多く存在したが、近年は長野県でも減少傾向が著しく、保全対象として注目されている。
 東信地方でも千曲川の河川敷や里山の草地環境などでよく見られたが、里山農地周辺を中心に減少、消滅した産地が多い。
 環境省版レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類、長野県版では準絶滅危惧種に区分されている。

 採集・目撃記録
 1972.6.18 軽井沢町追分
 1973.7.25 軽井沢町追分
 1980.6.22 軽井沢町追分
 1981.6.21 小諸市井子
 1981.6.27 小諸市井子
 1982.7.11 軽井沢町追分
 1993.6.20 小諸市井子
 1995.8.15 佐久市
 1995.9.3   軽井沢町追分原
 1996.6.16 軽井沢町追分原
 2001.9.17 小諸市
 2010.6.13 小諸市」

 ヒメシジミ、アサマシジミは年1回、6月から7月にかけての発生であるが、このミヤマシジミは上記のように、5月下旬から発生し始め、10月まで、年3回発生する。

 では以下、今回撮影したミヤマシジミを紹介する。翅を全開してくれなかったので、その写真はないが、翅表の青色の見える写真から。

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.19 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.19 撮影)


ミヤマシジミ♂(2024.6.19 撮影)

続いて左右の側面からの写真。

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

 次は右側面から。

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)


ミヤマシジミ♂(2024.6.11 撮影)

 

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