軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

カラスアゲハの羽化

2024-05-31 00:00:00 | 
 昨年、我が家の庭にあるキハダにカラスアゲハの♀が飛来し、産み付けていった卵を育て、蛹になるまでを観察・撮影したが(2023.12.8 公開当ブログ)、この蛹が無事冬を越して、今年の春に羽化していった。

 蛹は3匹で、その内2匹はキハダの木から卵の状態で室内に取り込んで、飼育してきた。もう1匹は、3齢になったところを、同じキハダの木で見つけ、先の2匹と共に室内で育て、昨年10月に蛹になっていたものであった。

 5月のGWになり、旧軽井沢銀座通り近くにある私のガラスショップの前の道を、春型のカラスアゲハかミヤマカラスアゲハが青い構造色を輝かせながら、悠々と飛んでいるのを見かけるようになった。

 カラスアゲハの羽化の様子を撮影したいと計画していたので、我が家の3匹の蛹の羽化も近いと警戒を強めて、毎朝外観の変化を観察した。

 やがて、これまで全体に緑色をしていた蛹の内(腹)側の色が黒っぽくなってきているのに気が付いた。内側には翅が回り込むようにして折りたたまれているので、その色が見えてきたのであろう。いよいよ羽化が迫っている。

 前日の夕方に、黒化がさらに進んでいることを確認した翌朝、見に行ってみると羽化が始まっていて、すでに成虫が蛹から抜け出し、支柱の割りばしにつかまっている所であった。

 早速用意してあった室内の撮影場所にこの成虫を移して撮影を始めた。まだ伸び切っていなかった翅が次第に伸びていくところを撮影でき、次のようであった。

 
1頭目のカラスアゲハ♂(A)の羽化(2024.5.11, am 7:47~8:53  30倍タイムラプスと通常撮影後編集)

 残りの2匹の蛹の内、1匹は先に羽化した個体と同等の大きさであり、蛹化した時期も半日遅れとほぼ同じであったので、羽化は時間の問題と考え、2匹とも一緒に室内に取り込んで撮影にとりかかった。

蛹の外観変化(上から、2024.5.12, am5:18, 13:59, 22:40 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

 1頭目はすでに蛹から出てしまっているところを見つけたので、2頭目の今回は、蛹から出てくるところから撮影したいと思っていた。

 タイムラプス撮影をする都合上、連続してLED照明を当て続けることになる。羽化は通常夜明け前に起きると予想されるので、やむを得ず夕方に撮影を開始し、夜間も照明を使用し続けることにした。

 今回は心配した照明光の羽化への影響もなく、無事羽化を見届けることができた。次のようである。この2頭目も♂であった。

 
2頭目のカラスアゲハ♂(B)の羽化(2024.5.12, pm 22:49~5.13, am 7:51  30倍タイムラプスと通常撮影後編集)

 この時、羽化したカラスアゲハの周囲を這いまわったり、飛んだりしている1匹のハチがいることに気がついた。まだ飛ぶことのできないカラスアゲハを攻撃する心配があったため、これを追い払った。

 翅はすっかり伸びていたが、まだ乾くまでは大丈夫だろうと、撮影場所を離れてから戻ってみると、カラスアゲハはすでに飛び立っていて、ビデオ撮影画面から消えていた。

 締め切った室内のことで、すぐに見つけて捕らえ、そのまま前々日に羽化した個体を入れている大型のケージに移すことにした。

 この時、最後の1匹の蛹を確認しておこうと思い、よく見ると、内側の一部に数mmの穴があいていた。蛹の中は空洞である。


寄生バチが抜け出した穴があいているカラスアゲハの蛹(C: 2024.5.13 撮影)

 ここで、ようやく気がついたのであるが、先ほどのハチはカラスアゲハに寄生していたハチであった。成虫が羽化した後の他の2匹の蛹の色は褐色であるが、寄生バチが抜け出した後に残っているこの蛹の色は、緑色が残っていて、何とも生々しい感じがする。

 思い返してみると、この3匹目の蛹は、キハダにいるところを見つけた幼虫を育てたものであった。先の2匹は卵を見つけたので、すぐに室内に取り込んで育ててきたが、こちらはキハダにいた時にすでに寄生バチに卵を産み付けられていたようである。そのせいか、この3匹目の幼虫は、終齢になった時の大きさも、従って蛹になってからの大きさも他の2匹に比べると一回り小さかった。


卵から育てた2匹(左、中央)と3齢幼虫を採集して育てた1匹(右)の写真(2023.10.17 撮影)

 これは、寄生バチの影響ではなかったかと、今になってみると思える。それにしても、孵化してからわずかの間にすでに寄生バチに卵を産み付けられ、将来の運命も決まっていたことになり、自然界の厳しさを思わせる出来事であった。

 一方、キハダに産み付けられた卵から室内で孵化・成長し、蛹になり、この春無事羽化することができた2頭については、100%の羽化率であり、改めて、人の手が加わることで、羽化の確率が飛躍的に伸びることを実感する結果であった。

 羽化した2頭の♂のカラスアゲハは、揃って元気に飛び立っていった。この後、この2頭とペアとなった♀が庭のキハダやコクサギに産卵に来てくれることを期待したい。また更に夏にはクサギの花も咲くので、今回の2頭の次の世代の個体が吸蜜に来たり、傍らのキハダに今年も産卵してくれるところを今から楽しみにしている。そして、できることならミヤマカラスアゲハを連れてきてもらいたいと願うのである。

羽化して飛び立っていったカラスアゲハ♂ A(2024.5.14 撮影)

羽化して飛び立っていったカラスアゲハ♂ B(2024.5.14 撮影)


 

 
 


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Karuizawa Foto Fest 2024(4)フォト考

2024-05-24 00:00:00 | 日記
 今年開催されたKFF 2024の上位入賞作品のひとつに、フジバカマの畑の上を飛翔するアサギマダラの写真が選ばれ、そこには背後の太陽にピッタリ重なって、アサギマダラ特有の半透明な翅を通して光が漏れて美しく輝いている姿がとらえられていた。

 この写真の選評には次のように記されていた。

 「正直最後までこの作品を選ぶべきか迷った。理由は余りに奇跡的な一枚だからだ。・・・(選者は)いかに蝶の撮影が困難か多少わかっている。この作品をもし狙って撮るならば、一体何万回シャッターを切ればよいのか想像がつかない。
 当然、真っ先にフォトショップ等での加工を疑った。いろいろ確認してもらったが、そのような形跡はないらしい。
 次に考えたのは撮影者がどこまで意図して撮ったのかという点だった。・・・最終的にはアーティストの意図や意思の結果である作品を評価したい気持ちがある。
 しかし一方、カメラという機械を用いて産み出される写真作品には、時として偶然性が映り込むし、それが写真というミディアムの魅力の一部でもある。
 色々考えた挙句、目の前の100万分の1の奇跡を、ここは素直に眺めたいと思い選んだ。(柿島 貴志)」

 続いて私の写真について。昨年のKFF 2023の入選作品のひとつに、浅間山の稜線に接するように満月を配した写真がある。

 この作品は入賞していないので、選評はない。ところが、思いがけず著名なプロの写真家氏から今回のアサギマダラの写真の場合と似たような趣旨の質問をいただくことになった。

 先々週の当ブログで紹介したことのある内容なので、詳細は割愛させていただくとして、この作品を写真絵葉書にしたものを、プロの写真家 J.E.A. さんにプレゼントするという機会に恵まれた。その時、この写真を見た彼女から、「これは実写作品ですか?」と尋ねられた。

 時系列的には、私の作品についての質問の方が先で、その後、前述のKFF 2024の入賞作品についての選評を入選作品集で読むことになったが、同じような時期にプロの写真家2氏から、写真作品に対してこうした質問あるいは疑問が提出されたことに、少し考えさせられてしまった。

 一昨年11月にChat GPTが登場して以来、生成AIに関する議論が持ち上がり、今も続いている。生成AIを用いて文章だけではなく、画像や動画も作ることができ、フェイク画像がニュースとして流され大きな社会問題になっているからである。

 私が受けたChat GPTの講習では、「夕焼け、ドラマチック」や「スケートをしている猫」といった言葉を入力して、それに近い画像を即座に作成するところを実演して見せていただいた。

 今回のKFF 2024 の応募要領にも次のように記されていて、現代は生成AIによる作品制作について言及せざるを得ない状況にあり、当然ながらそうした作品の投稿は認められていない。
 
 「軽井沢フォトフェスト2024(KFF2024)応募要領
  ご応募前に必ずご一読ください
 ■応募資格:プロ・アマチュア問わず、国籍も問わずどなたでも応募できます。
 ■撮影期間:2023年1月1日~2024年1月31日
 ■募集期間:2023年11月1日~2024年2月11日
 ■応募料:5枚まで無料 6枚目以降は5枚単位で2500円(6枚から10枚までは、1枚で
  も5枚でも2500円の追加費用が必要です。例:11枚の場合は5000円となります。)
  6枚目以降の応募は、1〜5枚目の応募と同じ様に応募をお願い致します。後日追加応
  募分の請求書を発行させていただき、指定の銀行口座への振込をお願い致します。
 ■応募作品の条件:対象撮影期間中に軽井沢町・御代田町・小諸市・東御市・嬬恋村、
  長野原町・佐久市、安中市のエリアにて撮影された作品であること。
  応募者が撮影し、一切の著作権を有しているオリジナル作品であること。

  生成AIにより作成した写真(全部、一部を含む)は応募できません。
  未発表か否かは問いません。個人のホームページやSNSに投稿された作品、写真展
  などに出品された作品も応募可能です。」

 このように、最近では、生成AIが登場したことで、日々こうした情報・状況に接する機会が多く、また写真画像の加工技術にも精通しているプロ写真家諸氏にとって、作品の制作と評価に際しては、どうしても心理的影響を与えていると思えるのであるが、写真作品が実際に撮影されたものか、あるいは何らかの加工が施されたものではないかという疑念は、必ずしも今になって始まったことではないという例もある。
  
 私の身近な人に関する話題で、もうだいぶ前の2015年のことになるが、Y新聞社の報道カメラマンである彼が撮影した満月(スーパームーン)の写真が新聞に掲載された。その写真は、画面に大きくとらえられた満月の中に、カップルが月を見上げながら、スマートフォンで自分たちを撮影している様子がシルエットになり映り込んでいるものである。

 この写真はネット上にも公開されたようで、数日後の日曜日のTV番組「サンデーモーニング」で話題になった。この時コメンテーターとして出演していたプロ写真家AS氏がこの写真を見て、「ダブリングではないんですか?」と発言した。司会の関口氏は「本物らしいですよ」と答えていたのが印象的で、今も記憶に残っている。

 この写真も、先の「アサギマダラと太陽」と同様、「若いカップルと満月」がピッタリと重なり合うように撮影されていて、こうしたシーンに出会うことは容易ではないことから、先のAS氏の発言が生まれたのであろう。

 もうひとつ、「10万分の1の偶然」という松本清張の長編小説がある。

 『週刊文春』1980年3月20日号 - 1981年2月26日号に連載されたもので、夜間、東名高速道路のカーブで、自動車が次々に大破・炎上する玉突き衝突事故が発生。この大事故を偶然撮影したというカメラマンの写真は、新聞社主催の「ニュース写真年間最高賞」を受賞するという筋書きである。

 受賞式では、この決定的瞬間の場面に撮影者が立ち会っていたことは奇蹟的、10万に1つの偶然と評された。

 しかし、この事故発生原因とその現場にカメラマンが偶然居合わせたということに疑問を持つものが現れる・・・という話である。(2021.3.12 公開当ブログ参照)

 最終的には、この事故は撮影者が引き起こしたものであることが判明するのである。写真そのものは実際に撮影されたものであるが、撮影対象になっている事故が、故意に引き起こされたというものである。

 普通にはありえないような状況を写し出した写真に出会うと、これを見た人には、プロの写真家でなくても、本物なのだろうかという疑問がわく。

 ここには2通りの疑問があって、写真そのものが実写されたものかどうかという疑問と、被写体が実在の物あるいは自然なものかどうかということになる。

 松本清張の小説「10万分の1の偶然」では、これが意図的に引き起こされた事故を撮影したという設定であるが、先に紹介した私のフォトコンテスト応募作品と知人の新聞報道の例は、すべて実写であることは間違いない。その経験から、今年選ばれたアサギマダラの写真も、実際の物を撮影したものに違いないとの確信を私は持っている。

 これは、プロであれアマチュアであれ、人は何のために撮影するかということと関係していると思える。

 松本清張の小説「10万分の1の偶然」の場合、このプロカメラマンには、誰にも撮ることができないような決定的瞬間を撮りたいという職業的動機が設定されているので分かりやすい。

 写真は「発見の芸術」だと、学生時代に写真部の顧問教師から教わったことがあり、それ以来私はそのことを胸に刻んで撮影してきている。自分が撮っている写真が、芸術的と思ったことはないのであるが。

 そうした撮影姿勢からは、合成写真や、生成AIを利用した写真という発想は生まれてこない。

 絵画であれば、どのように構図を決め、どのように構成要素を配置するか、どのように色をつけるかは作者の意のままである。しかし、写真はそうはいかない。望む構図があるとすれば、自らが動くか、じっとそのタイミングを待たなければならない。これが、写真が絵画と違っている点だと考えてきた。

 そういう意味で、松本清張が10万分の1という数値に込めた思いは、こうした極めて稀れな状況というものは、実際には偶然によって得られるものではなく、意図しなければ撮影できないということであろう。

 私は今年もKFF2024に浅間山と満月の写真を投稿し、選んでいただいた。この写真の場合についていえば、浅間山の山頂に満月が接する、いわゆるパール浅間の状態を、軽井沢町内(当初KFFでは撮影地を軽井沢町内に限定していたので)で撮影できるチャンスは年に12回程度の満月の日の前後2日くらいで、月の出または月の入りを狙うことになる。そして、日の出、日の入り、月の出、月の入りの暦と方位角情報を国立天文台が発表しているデータから得て、浅間山の山頂と撮影場所の関係を地図上で確認して撮影に臨むことになる。最後は天候に恵まれなければならない。

 アサギマダラの写真についていえば、アサギマダラの大群がフジバカマに集まってくる場所と日時などについての情報を得、周到に用意したうえで太陽の位置と撮影アングルを選ぶことで、一見、極めて稀にしか起きないようにみえる状況を、確実に捉えるための確率を大きく上げて撮影に臨んだ結果だと、選者も納得されたのであろうし、私にもそうした「決定的瞬間」を捉えた素晴らしい作品だと思える。



 

 

 
 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒメギフチョウの羽化

2024-05-17 00:00:00 | 
 昨年、卵から飼育し、観察と撮影を続けてきたヒメギフチョウが、長い蛹の期間を経て、今春羽化にこぎつけた。

 今年4月になって、卵を採集した場所に近い東御地区にヒメギフチョウの発生状況を見に出かけた時は、やや時期的に遅かったためか、成虫の姿を見ることができなかった。

 周囲のウスバサイシンの株を丹念に見て回ると、20数株中2つの株に卵を見ることができた。2年前に同様の観察をしたときには、7~8株に産卵してあったので、今年はこれに比べると随分少ない。

 産み付けられた2か所の卵の間隔はだいぶ大きくなっているので、産卵から時間が過ぎていると思われた。一方1枚目の写真の右側の8個の卵は、間隔が接近していて、最近産み付けられたもののようで、ごく最近まで成虫が生きていたことを示している。

 この時、なぜか1枚のウスバサイシンの葉裏には、オオムラサキの幼虫ではないかと思えるものが見られ、辺りにはイカリソウの花も咲いていた。

ウスバサイシンの葉裏に産み付けられたヒメギフチョウの卵 1/2(2024.4.23 撮影)

ウスバサイシンの葉裏に産み付けられたヒメギフチョウの卵 2/2(2024.4.23 撮影)

ウスバサイシンの葉裏に潜んでいたオオムラサキの幼虫?(2024.4.23 撮影)

イカリソウの花(2024.4.23 撮影)

 軽井沢と東御地区とでは、サクラの開花時期が半月ほどずれている。我が家のヒメギフチョウの羽化もそろそろではないかと毎日のように様子を見ていたが、外観上は真っ黒で、ほとんど変化らしい変化が無く、軽井沢ではやはり越冬は無理なのかと諦めかけていたある朝、屋外に置いたスミレの鉢植えの根元にいた蛹の1つから、ヒメギフチョウが這い出しているところを見つけた。

 早速撮影に取り掛かかり、タイムラプス撮影した。次のようである。
 
ヒメギフチョウの羽化(2024.4.26, am 8:10~8:42  30倍タイムラプス撮影)

 続いて他の蛹からも羽化してくるのではと、その後も期待して様子を見ていたが、羽化してきたのは、この1頭だけで、他の蛹からの羽化は見られなかった。

 昨年、東御地方の山中で採取した卵を飼育し、今春の羽化を見届けようとしてきたが、16個の卵から10匹の蛹が得られ、その内1匹だけが羽化したという結果になった。

 蛹は、冬期間ずっと屋外に置いた。すぐ隣にはカラスアゲハの蛹も3匹置いてあった。そのカラスアゲハの蛹は5月になって2頭が順調に羽化している。残る1匹の蛹からは、驚いたことに寄生バチが生まれてきた。この顛末については別途まとめる予定である。

 さて、ヒメギフチョウが終齢になった時、1匹が飼育ケースから脱走して、行方が分からなくなっていた。その他の終齢幼虫は、蛹になった後飼育ケースごと屋外に置いたまま冬を越し、春を迎えたのであったが、行方不明の1匹は、冬を過ぎて、春先になってから、カーテンレールの溝に隠れるようにして蛹になっているのを見つけた。そしてこの1匹も他の仲間に後から加えておいた。

 従って、今回羽化した個体が、屋外に冬中置いてあった9匹中の1匹か、脱走し、室内で蛹化した1匹かは、残念なことに判らない。

 10匹の蛹の内、羽化したものが1匹だけであったので、確率的には室内で越冬した個体が羽化した可能性が高いと考えてはいるが。 

 もしそうだとすると、ヒメギフチョウの蛹は軽井沢の環境下では越冬できなかったということになる。また、ヒメギフチョウの蛹は通年20~25℃前後と、ほぼ一定の温度の室内にあっても、季節を間違えることなく、春になって羽化したことになる。

 どうしたものかと迷いながらも、ヒメギフチョウの蛹を室外の自然環境下に置いたのは、季節外れの時期に羽化してくることを恐れたからであった。

 実際、モンシロチョウなど、冬に室内で羽化させてしまった経験があったので、このようにしたのであったが、ヒメギフチョウの場合、これは間違いだったようである。


羽化したヒメギフチョウ (2024.4.26 am 9:05撮影) 
 

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Karuizawa Foto Fest 2024(3)こぼれ話

2024-05-10 00:00:00 | 日記
 さまざまな点で昨年の第1回KFF 2023からの変更があったKFF 2024であったが、中でも応募の方法と、入選作品の発表方法については戸惑うことがあり、いくつか思いがけない出来事が起きた。

 昨年、作品応募時には、先ず長辺を最大2000画素程度にリサイズした写真データを送り、第1次審査で選ばれた作品については、その後、画素数の大きい生データを送るように要請された。

 これは、審査時の利便性と、野外展示用大版のターポリンへの印刷時にも、画面の粗さが目立たないようにするためのものだと理解していた。

 今回も、はじめに応募する時には同じように、長辺の画素数を2000画素にリサイズしたものを送付していた。

 募集締め切りの後、しばらくして2月になると、私の場合応募点数が規定の無料審査対象枚数の5枚を超えて応募していたので、超過分に対する請求書が届いた。

 その後は開催月の4月が近づいてきても、事務局から生データの送付要請連絡がなく、今年は選に入らなかったのだと理解していた。

 同じころ、私の作品が入選することを楽しみにしてくれていた知人から、問い合わせのメールが届いた。彼によると、「たしか3月のある日、軽井沢フォトコンテストで検索し、ホームページを開いたところ、(入選作品の)画像がずらりと見れました。野外展示はしないとあり、あれ?と思いました。」と書かれていて、今年君はどうだったの・・とのことであった。

 このメールを見て、KFFのホームページをチェックしてみたところ、それらしい記事は見当たらず、知人には、「私のところには連絡がないので、何かの間違いではないか、今年私は入選しなかったようです・・」と伝えた。

 それきり、KFFのことは頭から消えてしまい、ガラスショップのオープンが迫っているので、慌ただしく日々を送るようになった。冬の間は、ガラス器類をショウケースから出して、梱包して箱に詰め、地震対策としていたからであった。

 4月1日には冬籠りから開けて、ショップをオープンした。4月中旬のある日、ショップに3人の外国人女性客が訪れた。中の一人の年配の女性客はガラス器やガラス製のペーパーウエイトを熱心に見ていたので、話しかけるとペーパーウエイトのコレクターだという。残念ながら気にいっていただいたその作品は非売品で、ディスプレイ用として置いてあるものであったので、その旨伝えて、諦めていただいた。

 帰りかけたその外国人客を出口まで見送っていき、傍らにあった写真絵葉書のスタンドを見せて、これは昨年開催されたKFF 2023での、自身の入選作品で作ったもので、希望者にプレゼントしているものだと説明した。

 昨年は、KFF開催を側面から支援しようと思い、あらかじめ入選作品についての連絡があったので、写真絵葉書を作り、KFF 2023の会期中ショップに来ていただいた方々に無料で配布していた。

 その残りがあったので、今年も4月1日からまた店頭に置いて、希望者に差し上げていたのであった。

 外国人客に、お好きなものをどうぞお持ちくださいというと、このときはもう2人になっていたが、スタンドからそれぞれ1点ずつ写真絵葉書を選んでいただけた。

 そして、中の若い方の外国人客が、私たちはそのKFFの関係で軽井沢に来ているのだという。さらに、2人から今選んだ写真絵葉書にサインをしてほしいと頼まれた。これまで、多くの方々にこの写真絵葉書をプレゼントしてきたが、サインをしてほしいと言われたのは今回が初めてのことであった。

 デスクに戻って漢字でサインをしながら、アッと気がついた。年配の女性の顔に見覚えがあったからである。この女性は、昨年のKFF2023で配布されていたパンフレットに写真が載っていた女性プロ写真家その人に間違いないと思えた。

 この時お名前は失念していたが、聞くと間違いないという。そして、若い方の女性客のすすめに従って、その女性写真家氏と私のツーショット写真を、彼女のライカと続いて手元にあった私のスマホで撮影していただいた。

 この2人がショップを立ち去る時に、昨年はこのように複数点が入選したが今年は1枚も採用されなかったので、がっかりしていると話すと、彼女は、諦めないで写真を撮り続けるようにと励ましてくれた。

 2人を見送ってから、年配の女性写真家氏の名前を調べておこうと思い、ショップのパソコンで、当ブログ記事「Karuizawa Foto Fest 2024(1)」(2023.9.22 公開)を探して、この時使用していた2023KFFイベント情報を見つけ、彼女の名前が、ジェーン・エブリン・アトウッドさんであることを確認した。

 昨年、各家庭に配布されたKFF 2023の開催案内で紹介され、私の記憶に残っていたアトウッドさんの写真は次のようであった。


KFF 2023の開催案内に紹介されていたジェーン・エブリン・アトウッドさん

 また、KFFのHPなどで紹介されている彼女のプロフィールは次のようである。

 「プロフィール:写真家 1947年ニューヨーク生まれ。『盲目の子どもたち』というテーマで、1980年に第1回W・ユージン・スミス賞を受賞。以降、ライカ社のオスカー・バルナック賞、アルフレッド・アイゼンスタット賞など権威ある賞を受賞。また報道カメラマンとして、1995年に阪神淡路大震災、2001年アメリカ同時多発テロの取材も行っている。世界各地で展覧会を行い、2022年にはシャネル・ネクサス・ホール(東京・銀座)にて日本初個展となる『Soul』を開催した。1971年からフランスに在住、現在もパリを拠点に、精力的に活動している。」

 私は、プロの写真家さんに、自分の撮影した写真絵葉書にサインをして差し上げたことになる。
 
 さらに、何となく気になって、パソコンメールを開くと、そこにKFF事務局からの次のような連絡が届いていた。


4月15日に届いたKFF事務局からのメール

 ここに記されていた「作家リスト Artist List」を開くと、私の名前もそこに並んでいた。諦めていただけに、驚き喜ぶことになった。ただ、入選作品についての情報はこの時はまだ公開されていなかった。

 さらに、このメールに添付されている昨年のKFF2023のだまし絵風のターポリン写真は、私の「浅間山と満月」の写真が写っているものであった。この写真は、先ほどジェーン・エブリン・アトウッドさんが選んだ写真絵葉書のもので、そこに私がサインしたものであった。

 サインをしてお返しする時、この写真絵葉書を見て、彼女は「実写作品ですか?」と質問をし、私は「もちろん実際に撮影したものです、私の背後からは朝日が昇ってきているところでした」と答えたのであった。

 アトウッドさんともう一人の女性客に選んでいただいた絵はがきは、次のようである。

ジェーン・エブリン・アトウッドさんが選んだ写真絵葉書


同行の若い女性が選んだ写真絵葉書
 
 帰宅後、そのことを妻に話すと、「あなたはその女性写真家さんのサインをもらわなかったの?」と聞かれたが、あの時は全く思いつかず、後になってとても残念なことをしたと、ちょっと悔しい思いがしたのでした。

 そして、4月27日に迎えたKFF 2024の開会式。そこで初めて入選作品が、入選作品集を通じて公表された。私の作品は3点選ばれていて、すべて追分公園に展示されていることがわかった。その内の1枚は、再び浅間山と満月を撮影したものであった。だが、今度は浅間山山頂に満月がくるように配していた。昨年の撮影から約1年、撮影時期と撮影場所とを計算して撮影に臨んだもので、浅間山が冠雪していないのは残念であったが、構図はほぼ予定したものであって、先週の当ブログで掲載させていただいた。

 ところで、私の知人が3月頃に見た入選作品とは何だったのだろうかという疑問はまだ残ったままであった。

 KFF 2024の開会式翌日、各家庭に軽井沢観光協会発行の広報誌「GREEN BREEZE」第55号が届けられ、その表紙には早々と「軽井沢フォトフェスト 2024」グランプリ(日高 慎一郎氏 撮影)が紹介されていた。


軽井沢観光協会の広報誌「GREEN BREEZE」第55号の表紙

 そして、裏表紙を見るとそこには「写真でつながる2023軽井沢フォトコンテスト結果発表!」とした記事が掲載されていた。

 
軽井沢観光協会の広報誌「GREEN BREEZE」第55号の裏表紙

 私は、この軽井沢フォトコンテストのことは知らないでいたのだが、ほとんど同じ時期に軽井沢観光協会では2つの写真コンテストを進めていた。

 そして、記事を見ていくと、グランプリ他5つの賞の受賞作品名が発表されていて、これらの受賞作品はHP、instagram で公開中とある。

 これで、謎が解けた気がした。私の知人が見ていたという軽井沢フォトコンテストの写真はこちらの結果発表であったのだ。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Karuizawa Foto Fest 2024(2)

2024-05-03 00:00:00 | 軽井沢
 今年も4月27日から5月26日までの会期で軽井沢フォトフェスト(KFF)2024がスタートした。写真愛好家はこの日を待ちわびていたのではないかと思う。かく言う私もその一人なのだが。

 昨年は4月1日のスタートであったから、今年はほぼ1か月遅いスタートになった。ちなみに、来年の(仮)予定がすでに発表されていて、2025年4月26日から5月25日とされている。

 オープニングセレモニーの会場は、昨年同様、軽井沢駅に近い矢ケ崎公園で、11時から始まるとアナウンスされていたので、少し早めに妻と車で出かけた。昨年は矢ケ崎公園に隣接している無料駐車場に停めることができたのであったが、今年はなんとなくここは無理ではないかと思い、まっすぐ大賀ホール前の町営駐車場に向かった。しかし、ここも「満車」の赤い表示が出ていて、数台が入り口に並んで待っていた。

 以前、浅田次郎さんの講演会が大賀ホールで行われた時も同じようであって、矢ケ崎公園の反対側にある民間の有料駐車場に停めたのであった。今回はこの駐車場も満車状態で途方に暮れてしまった。自宅に戻り徒歩で出直すには時間がない。思い余って、妻が会場近くの知人宅に電話をして、車を停めさせてもらえるよう頼んでくれた。

 快く了解が得られ、おかげで何とか開会式の時間に間に合うように会場に着くことができた。

 関係者はすでに整列していて、すぐに開会式が始まった。主催者や来賓の挨拶に続いて、塩沢一洋審査委員長から今回の審査の状況と、入選作品の中から選ばれた佳作入賞作品5点と、日高慎一郎さんのグランプリ作品が紹介された。今年のグランプリ作品もまたとても素晴らしいものであった。


11時には関係者が勢ぞろい(2024.4.27 撮影)


実行委員代表の方々(2024.4.27 撮影)


土屋三千夫・軽井沢町長ほか来賓の皆さん(2024.4.27 撮影)

審査員を代表して、塩沢一洋 写真家 成蹊大学教授のご挨拶(2024.4.27 撮影)

シャンパンで開会を祝す(2024.4.27 撮影)

開会式会場の背後には大賀ホールがあり、傍の桜が美しい(2024.4.27 撮影)

矢ケ崎公園の反対側では参加者にシャンパンが振舞われ、傍らではチェロ演奏も行われた(2024.4.27 撮影)

 塩澤一洋氏が話された「総評」は、別途販売された「KFF2024 入選作品集」にも同様の内容が掲載されているので、こちらから引用させていただくと、次のようである。

 「総評:昨年より作品全体の質が高い!! 審査員の一致した所感です。応募枚数を一人5枚まで無料(それ以上は有料)とした変更がクオリティの向上に寄与したことは間違いないでしょう。撮影対象エリアも軽井沢町のみであった昨年から、周辺の3町4市1村へと大幅に拡大し、作品のバラエティが豊かになりました。 応募総数998点。作者の名前を伏せたままひとつひとつ大切に鑑賞したあと、3段階の審査で評価を重ね、審査会を開いて、入選、入賞、そしてグランプリを選出いたしました。それぞれの視点、観点、気持ち、意思がさまざまな工夫によって表現された珠玉の作品たち。撮影し、ご応募いただきましたみなさま、どうもありがとうございました。(塩澤一洋)」

 開会式で紹介されたのは、グランプリ作品1点と、佳作入賞作品5点であったが、この入選作品集には、「KFF 2024 FINALISTS」 として、全入選作品の写真と共に作者名が記されている。私の作品も3点選んでいただいていたことがここで初めて分かったのでした。

 同様の作品集は昨年も入選者に配布されていたので、これらを比較してまとめると、作品の応募総数、入選作品数、そして同一作者の入選作品数は次のようである。


KFF 2023とKFF 2024における応募作品数と入選作品数などの状況

 塩澤氏が述べておられるように、今年のKFF2024は昨年とは異なる点がいくつかあって、すでに紹介した会期変更の他、撮影対象地域が大きく変わるなどしている。

 昨年は軽井沢町内に限られていた撮影対象地域が今年から周辺の8市町村に拡大された(2023.9.22 公開当ブログ参照)。

 また、昨年は作品の応募は枚数に関係なく無料であったが、今年は応募枚数を一人5枚までを無料とし、それ以上は5枚までごとに2500円と有料化された。

 そして、展示会場については、昨年の4会場から、旧軽井沢の諏訪ノ森公園と、中軽井沢の湯川ふるさと公園(上流部)がなくなり、矢ケ崎公園と追分公園の2か所となったことも変更点である。

 こうした変更の効果が、クオリティの向上に寄与したことは塩澤氏の述べられた通りだと思える一方で、応募総数の減少と入選作品数の減少につながっていると思われる。

 撮影対象地域の大幅な増加は、応募総数の増加につながっているはずと思われるのに、実際には減少していることから、応募の(一部)有料化の効果で相殺されているのかもしれない。

 入選作品数の減少は展示会場面積を減らしているので、当然の結果だと思える。

 同一作者の入選作品数が減っているのはどう理解すればいいのだろうか。ここには、同一作者の入選作品を3点以下にするという、主催者の強い意図が感じられるが、この点についての言及はないので、実際のところは不明である。

 結果として、入選作品が昨年比で66%に減少したにもかかわらず、入選者数が同じく9%増加しており、より多くの作者の作品が入選し、展示されることになっているので、これはこれで喜ばしいことだと思える。

 入選作品集で、今年の撮影地について調べてみると次のようである。昨年は当然100%軽井沢町であったのにたいして、今年軽井沢は64%にまで低下している。

 ちなみにグランプリ作品の撮影地は小諸市、佳作入賞5作品の撮影地は軽井沢町が2、佐久市、小諸市、御代田町が各1作品となっている。


KFF2024 入選作品の撮影地

 次に示すのは、昨年送られてきた写真公募案内と、KFF 2024 入選作品集の表紙である。
 

写真公募案内(はがきサイズの表面と裏面とを示している)


KFF 2024 入選作品集の表紙(写真は野辺地ジョージ氏による)

 矢ケ崎公園の会場の一角では、前述の入選作品集のほか、幾種類かのグッズの販売も行われていた。私は、記念にと入選作品集を購入するべく列に加わっていたところ、妻が販売されているグッズの中から面白いものを見つけてきて見せてくれた。

 昨年開催されたKFF2023で展示に使用された、ターポリンに印刷された写真を切り取って、バッグに仕上げたものである。その側面には見覚えのある「リス」の写真があった。私の入選作品であった。

 迷うことなく購入したそのバッグは、しばらくは我が家の「リス」の写真の傍に飾っておこうと思う。


入選作品のターポリンを使用して作られたバッグとその写真

 無事2回目を迎え、更なる発展が期待できそうなこのKFF、来年の開催も決定しているので、これからも楽しみにしたい。

 展示会場でじかに見る写真は、細部の描写など、ネットで公開されているものとは一味違ったものになっている。首都圏や関西在住の私の友人各位には難しいことだが、お近くの方々にはぜひ現地会場に足を運んでいただけたらと思う。

 最後に今回のKFF 2024に入選した私の3作品について。すでに当ブログで紹介したものばかりであるが、現地でご覧いただけない諸氏のために再掲載させていただく(入選作品集に掲載順)。展示会場の写真にも作品集にも写真の「題名」はないが、ここでは説明を兼ねて撮影日と共に付記させていただいた。


KFF 2024 入選作品 「朝の雲場池」(2023.12.3 撮影) 追分公園に展示

KFF 2024 入選作品 「浅間山山頂に沈む満月」(2023.12.28 撮影) 追分公園に展示

KFF 2024 入選作品 「カルガモ親子」(2023.6.30 撮影) 追分公園に展示

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする