軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

雲場池の水鳥(6)キンクロハジロ

2021-02-26 00:00:00 | 野鳥
 今回はキンクロハジロ。名前に三つの色の名を持つ水鳥であり、雲場池では、マガモ、カルガモと並んで個体数の多い種である。マガモ、カルガモ、オオバンなどは、時には陸に上がって歩いているところを見かけるが、このキンクロハジロが歩いている姿は見たことがないので、苦手なんだろうと思う。

 一方、潜水は得意で、10秒以上もぐり、池の底を泳ぎ回り、かなり遠くにひょいと浮かんでくることが多い。こうした特徴から、カイツブリの仲間かと思っていたが、次に紹介するように、カモの仲間だという。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。

「中形のカモにて腹、脇及び翼鏡白くその他は黒。嘴峰38~42mm、翼長189~208mm、尾長49~57mm、跗蹠30~35mm、♂の頭頸部は紫黒色で後頭の羽毛長く冠羽をなす。♀は頭頸部黒かっ色、背、胸はかっ色を帯びる。嘴は青灰色。飛行時翼鏡の白色特に顕著。
 欧州およびアジアでは大体北緯40度以北で繁殖し、我国でも北海道には繁殖するものがある。冬期はアフリカ・フィリピン・印度にまで渡来するが我国では冬季も各地に見られる。湖沼、河口、入江などの比較的浅い所に群生し、巧みに潜水して魚や水底の貝類を食す。本州中部以北には年により夏期も少数残留するものがある。
 北海道(繁殖)・本州・伊豆七島・四国・九州・対馬・屋久島。に分布する」

 雲場池には5月下旬までいて北に戻っていったようであったが、10月には再びやってきて、マガモと並んで最も長期間見ることができる種である。
 期間が長く、個体数も多いので写真もたくさん撮ることができた。

 先ず♂の姿から。名前の由来の黒と白がはっきりしているのは♂の方である。名前にあるもう一つの色、「キン」は眼の虹彩が黄色いからだという。なるほどという感じがする。


雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.5.13 撮影)

 横から見ると長めの冠羽がはっきりと見える。

雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.5.13 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.2.29 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.1.12 撮影)


雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.1.22 撮影)


雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.3.22 撮影)


雲場池のキンクロハジロ♂ (2019.2.19 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.5.13 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♂ (2020.5.13 撮影)

 続いて♀。こちらは名前の由来となる「白」は見当たらない。

雲場池のキンクロハジロ♀ (2020.2.10 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♀ (2020.2.21 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♀ (2019.2.19 撮影)

 得意の潜水をするところ。10秒以上は潜っていて、少し離れたところに浮き上がる。餌は魚や貝とされているので、普段意識することはないが、雲場池にもそうした生き物が生息していることになる。



潜水して餌を探すキンクロハジロ♂ (2020.11.6 撮影)

 ♂ ♀ペアでいることも多い。

雲場池のキンクロハジロ♂・♀のペア (2020.3.22 撮影)


雲場池のキンクロハジロ♂・♀のペア (2020.3.17 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♂・♀のペア (2020.2.3 撮影)

雲場池のキンクロハジロ♂・♀のペア (2019.2.19 撮影)

 最後は少し多めの群れになっているところ。


雲場池のキンクロハジロ (2020.10.27 撮影)

雲場池のキンクロハジロ (2020.11.3 撮影)

雲場池のキンクロハジロ とカルガモ(2020.10.27 撮影)

雲場池のキンクロハジロ (2020.10.27 撮影)

 このキンクロハジロたちは、5月中旬まで我々の目を楽しませてくれる。







 

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続・新型コロナウイルス(8)ワクチン

2021-02-19 00:00:00 | 新型コロナウィルス
 新型コロナの第3波が襲い、2回目の緊急事態宣言が出されている中、この新型コロナ収束の切り札とされているワクチン承認のニュースが新聞で報じられた。 
 2月12日、厚労省の薬事・食品衛生審議会の部会が製造販売の承認を了承したという。承認を了承とは複雑な表現だが、具体的には2月14日に正式に特例承認されるということである。

 そのワクチンは2月12日にベルギーにあるファイザー社の工場から空輸されて、成田空港に到着した。2月17日から国立病院機構など100病院の医師や看護師ら1万人以上(当初の数字、その後4万人と報じられている)を対象として、先行接種が始まり、その後一般の医療従事者約370万人、次いで4月以降に65歳以上の高齢者約3,600万人、基礎疾患のある人など約1,000万人への優先接種が予定されている。

 接種は全額国が負担することになっており、ワクチンの購入費用をはじめ関連費用ならびに国内外で開発されたワクチンを国内で生産するために必要な設備投資補助などを含めて、総額1兆6,000億円の政府予算が確保されている。

 我々がワクチン接種を考える時に、二つの効果を期待する。一つは自身の感染予防や重症化防止であり、もう一つは集団免疫達成である。接種に際してはこうした効果と共にその副作用ももちろん気になる。

 我々に馴染み深いワクチンは、毎年話題になるインフルエンザワクチンである。新型コロナのワクチンを考える前に、先ずこれまで接種を受けてきているインフルエンザワクチンについてあらためてみておきたい。

 昨年秋、まだ今回の新型コロナの第3波の感染拡大が始まる前には、今季はインフルエンザと新型コロナ感染症の同時流行を指す「ツインデミック」ということが言われ、インフルエンザワクチンの接種が勧められた。インフルエンザにかかれば、新型コロナウイルスにもかかりやすくなるということで、ひとつのウィルスに感染すれば免疫系に負担がかかり、ほかのウィルスにも感染しやすくなるというのがその理由であった。

 厚労省では前年よりもワクチンの準備量を増やし、過去最大規模の6,300万人分を準備したと報じられた。

 我々夫婦もそうした言葉に従い、かかりつけの医院に事前に申し込み、その後10月中旬に接種を受けた。妻は有料、私は定期的な接種が推奨されている年齢を超えているため、公的な補助があり無料であった。インフルエンザワクチンの持つ感染や重症化の防止効果は約半年ほど持続すると言われている。

 その後、厚労省が発表したデータによると、今季(今年度)のインフルエンザワクチン出荷量は、3,340万本と前季(昨年度)の2,960万本から13%増加しており、日本人の人口を1億2,400万人とすると、その26.9%に相当していた。ただ、厚労省が目指した6,300万人には及ばなかった。この6,300万人という数字は日本の人口の約50%に相当する。私はこの準備されたという数字を集団免疫を達成するためのものと考えていた。 

季節性インフルエンザワクチンの供給本数(全国)・今年度と昨年度の出荷量
(厚労省発表資料より)
 
 前述のように、インフルエンザワクチンに期待するところを、個々人の免疫獲得と集団免疫獲得というように考えていたが、その実態はどうなっているのだろうかと思い、今更ではあったがいくつか資料をあたってみた。

 その結果、思いがけない記述に出会うことになった。インフルエンザワクチンには個人の感染予防効果などはあるものの、集団免疫効果は期待できないというのである。

 先ず、ウィキペディアで「インフルエンザワクチン」の項を見ると冒頭次の記述に出会う。

 「世界保健機関 (WHO) およびアメリカ疾病予防管理センター (CDC) は、生後6か月以上のすべての人々、特にインフルエンザへの罹患リスクの高い人々に対して、毎年のインフルエンザワクチン接種を推奨している。欧州疾病予防管理センター (ECDC) も同様に、高リスクの人々に対して、毎年インフルエンザワクチンを接種することを推奨している。・・・
 接種してもインフルエンザを発症する可能性が全くなくなるわけではない。不活化インフルエンザワクチンによるインフルエンザの発症予防効果は、小児で25-60%、成人で50-60%とされている。2歳未満、65歳を超える高齢者では証拠の品質が低く効果のための結論が導けない。全ての人々がワクチンを接種しても、理論的に集団免疫の獲得には至らない。・・・ 」

 最近報じられている新型コロナウイルスワクチンの有効性は95%といった数字をよく目にしているので、インフルエンザワクチンの発症予防効果が50-60%程度というのはいかにも低めである。2月17日の読売新聞には特に年齢を特定しないで、効果は30-60%と書かれていたりする。このことも意外であったが、それにも増して集団免疫が獲得できないとの記述には驚いた。

 一体どういうことだろうかと思い、その部分の引用論文「成人予防接種のガイダンス 2016年改訂版」を見ると、確かに次の記述があった。

 「 インフルエンザの流行指数(reproductive number:Ro)を 3~4 と考えると,集団免疫を 確立するための集団免疫閾値(herd immunity threshold:HIT)は 66~75%になります(集団 免疫閾値=[(Ro-1)/Ro]×100%として計算で きる)。これは,予防対象人口のこの割合にワクチンを接種すると,理論上は感染拡大を防止 できるということを意味します。しかし,これ にはワクチン接種による抗体獲得効率がHIT以 上であるという前提条件が必要です。抗体獲得効率がHIT以下の数値であれば,対象者の100% にワクチンを接種してもHITに至らないという 計算になります。残念ながら,インフルエンザワクチン接種の抗体獲得率は 50~70%程度と考えられており,HITを達成することは難しいと予測されます。・・・ 」

 流行指数(R0)とは、最近TVでもよく聞くようになった基本再生産数のことである。また、ウィキペディアの「発症予防効果」に対して「抗体獲得確率」という用語が出てきたが、両者の数値も近いのでここでは同じことを意味しているのであろうと理解するが、いずれにしてもインフルエンザワクチンでは集団免疫が期待できないということはちょっとした衝撃であった。

 理論の教えるところからすればそのとおりであるし、実際考えてみれば、ワクチンの効果についても、例年数千万人がワクチン接種を受けているにもかかわらず、千万人規模での感染者が出、インフルエンザを直接の死因とする死者数は数千人を数えている。
 さらに、超過死亡としてカウントされる(インフルエンザを直接の死因としないが、インフルエンザに感染しなければ死亡することはなかった人数も加えたもの)人数を見ると年によっては1万人が死亡しているという現実に出会うことになり、インフルエンザワクチンの実力は私が勝手に想像していたレベルとは違っているようである。

 集団免疫は、多くの国民がワクチン接種などにより免疫を獲得することで、ワクチン接種を何らかの理由で受けることのできない人々を護ることができる、そういうものだと考えてきたが、インフルエンザワクチン接種の推奨というのは、集団免疫は得られないことが判ったうえでの国の方策であった。

 厚労省が公表している人口動態統計によるとインフルエンザによる死亡者数は次のようである。最近10年間をみるとインフルエンザによる死亡者数は年々増加傾向にあり、直近の数値では2019年が3,575人である。


厚労省・人口動態統計にみるインフルエンザ死亡者推移(筆者作成)
 
  そのインフルエンザの流行であるが、今季はこれまでに比べ異例な状態になっている。次の2つのグラフはいずれも国立感染症研究所がまとめたインフルエンザの発生数を示すものだが、全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診した患者数が週ごとに把握されている。

 図1は、2018年9月3日から2021年1月31日までの報告数の推移を示している。2018年から2019年にかけての季節性インフルエンザ発生ピークは平均的なものであるが、2019年から2020年にかけての発生ピークには特異な落ち込みが見られ、2020年から2021年にかけてのシーズンは、今の時期には既に立ち上がり始めていていいはずであるが、未だほとんど感染者の発生が見られず、極めて特異な状況になっていることがわかる。


図1.2018年9月3日(36週)から2021年1月31日(4週)までのインフルエンザ報告数の推移(厚労省 Press Release 令和3年2月5日より転載)

 図2は同じデータを10年前から年ごとに重ね合わせたものであるが、2020年(2019/2020)と2021年(2020/2021)がそれまでとは違った変化を示していることがわかる。特に2021年度の異常ぶりがここでも際立っている。


図2.2011年から2021年(途中)までのインフルエンザ報告数の推移
(国立感染症研究所  過去10年との比較グラフ・2021.2.5更新から転載)

 このように今季はインフルエンザの流行は起きず、ツインデミックにはならずに新型コロナウイルスの独り舞台になっている。

 前季、2019/2020のインフルエンザの流行曲線に起きていたピークのいくつかのへこみについては、新型コロナウイルス発生の影響による「ウイルス干渉」が起きたとの解釈が出されているが、2020/2021も同様のことがより顕著に起きているのだろうか。

 このウイルス干渉という現象は、まだ動物実験だけの話で、人間では確認されていないというが、感染力の強いウイルスが、弱いウイルスを駆逐するものとされる。  
 具体的には、ウイルス感染に対して免疫細胞が出すウイルスを攻撃するタンパク質サイトカインが、後からやってくるウイルスの侵入を防ぐというもので、前記の同時感染とは逆の考え方である。

 もし今季起きていることをウイルス干渉と見るならば、例年のインフルエンザ感染者数と同じレベルの千万人規模の新型コロナウイルス感染が起きてインフルエンザの流行を阻止したことになると思えるのだが、そんなことが実際に起きているのだろうか。

 このような状況にはもちろん別な見方もあって、今季インフルエンザの流行が見られないのは、手洗い、マスク着用、外出自粛や飲食店への時短要請など新型コロナ対策として行われている国民の行動がその流行を阻止したとする意見もある。
 この見解を強く支持する証拠として、今季は飛沫感染を起こす他の感染症もまた同時に大きく減少しているとされている。 
 南半球のオーストラリアでも、昨年夏のシーズンに同様のことが起き、同様の議論が行われている。いずれにしてもワクチンの効果ではなさそうである。

 さて先日、2月4日の読売新聞の解説欄にこのワクチンに関する次のような記事が掲載された。
 「日本ワクチンへの信頼低く 英医学誌『ランセット』に昨年9月、ワクチンの信頼性に関する国際調査結果の論文が掲載された。そこにはこんな記事がある。『日本は、ワクチンの信頼度が世界で最も低い国の一つにランクされている』。」

 ランセットの報告から引用した数値、ワクチンが「有効である」と「安全である」に強く同意した人数の割合が主要国と共に示されている。

 ランセットの実際の調査報告を見ると、調査の解答には「どちらでもない」が用意されていて3択になっているので、あいまいな判断をしがちな日本人の個性が反映されていることを考慮しなければならないとの見方もあるが、次のようである。

ワクチンが「有効である」と強く同意する人の割合(%)
(ランセットの調査結果を報じた読売新聞(2021.2.4)の数値から筆者作成)

ワクチンが「安全である」と強く同意する人の割合(%)
(ランセットの調査結果を報じた読売新聞(2021.2.4)の数値から筆者作成)

 ワクチンを評価する際に重要な項目はもちろん「有効性」と「安全性」である。今回のこのランセットの調査結果はワクチン一般についてのもので、インフルエンザ単独についてのものではないし、新型コロナワクチンに対するものでもない。

 冒頭記したようにいよいよ新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったが、接種は任意とされている。私と同年代の友人の間では接種するという意見がほとんどであるが、これまでのワクチンに対する日本人の傾向をみると若い人はどう判断し、国民全体ではどのような結果になるのだろうか。期待されているように、新型コロナ対策の切り札になるといいのだが。



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回転する地球儀

2021-02-12 00:00:00 | 日記
 もしガリレオ・ガリレイがこれを見ることができたら、きっと大喜びするに違いない。そんな地球儀の話。

 コロナ禍が始まる前だから、もう1年以上前のことになる。軽井沢駅南のアウトレット・プリンス・ショッピングプラザに出かけ、1軒の店に立ち寄ったときに不思議なものを見かけた。棚に置かれていて、回転する地球儀であった。

 しばらく見ていたが、どうして回転しているのか全く分からなかった。その様子は次のようであった。直径約12cmほどの球体が、3本の支柱の上で静かに回転している。

回転する地球儀  

 店でこの回転する地球儀を見て不思議に思い、帰宅後あれこれ調べてみたところ、光エネルギーと地磁気・重力を利用しているとの記述に行き当たった。

 回転力の元が光エネルギーというのは理解できるものの、地球磁場がどのように関係しているのか分からなかったが、その時はそれ以上調べることもなく、その後忘れてしまっていた。

 その回転する地球儀のビデオを今こうして撮影できるのは、もちろん手元にあるからであり、私が店で熱心にこの回転する地球儀を眺めているのを、傍で見ていた妻が覚えていて、昨年の私の誕生日祝いにプレゼントしてくれたからである。 

 改めて、手元に届いた回転する地球儀を眺めてみたが、とてもよくできている。暗い場所では回転することはないが、室内照明を受けると回転を始める。

 光エネルギーを蓄える機能は持っていないようである。照度によって回転スピードが大きく変化する様子はなく、大体一定の速さで回転しているように見える。

 無粋なこととは思いながらも、この地球儀の回転メカニズムを確認したく、ネット上で再びあれこれ探してみたところ、メーカーが公開している説明文と、購入者がこの地球儀を分解した写真を見ることができた。

 それらから得られる情報を組み合わせ、この回転地球儀の構造と回転メカニズムがようやく理解できた。開発者の中国系アメリカ人 Shaw.Y.Lin 博士が、着想を得てから完成させるまでに7年を要し、特許を取得したとされている。わかってしまえば、簡単な構造であるが、とてもよくできていて、人を驚かせる要素は十分である。

 構成部材と内部構造は次のようである。室内照明のもとで、1分間におよそ2回転する。

【構成部材】
1.外球・・・透明アクリル
2.内球・・・地球画像がプリントされている
3.液体・・・外球と内球の間隙を満たし、内球と等比重の潤滑液体
4.円板・・・内球内部に固定、太陽電池の基板
5.太陽電池・・・弱い外光下でも発電する
6.モーター・・・低速回転モータ、内球に固定
7.モーターの回転軸
8.方位磁石・・・モーターの回転軸に固定

【回転の機構】
 内球は、内部の部材の重量バランスを円盤が水平に、モーターの回転軸が鉛直方向になるように調整されている。 
 外光が外球、液体、内球の表面を通過して太陽電池に到達して、起電力を発生し、モーターを回転させる。内球表面には地球画像がプリントされているが、外光が一部透過するように作られている。
 モーターが(北極から見て)時計まわり方向の回転力を発生するが、方位磁石が常に地球磁場の方向に向こうとするため、モーター本体およびそれに接合している基板、内球全体を反時計方向に回転させる力に変わる。
 その結果、外球をどのように回転させても、内球は常に北極を上に保ち、反時計回りに回転する。
 といった具合である。

回転する地球儀(MOVA™)の内部構造
 
 この地球儀はゆっくりと自転する地球を再現している。

 ところで、この原稿を書き始めている今日は2月3日。本来ならば節分の日であるが、どういうわけか今年の節分は昨日2月2日とのことで、ニュースでも採り上げられていた。

 こうした日本の暦を決めているのは、国立天文台の暦計算室で、毎年2月に翌年分を発表しているという。昨年2月3日に発表された今年の暦は次の様であり、節分は2月2日になっている。


国立天文台・令和3年(2021)暦要項(2020年2月3日発表、12月4日改訂より)
 
 こうした暦に登場する二十四節気や雑節の日が年により変化するのは、地球の公転周期と自転周期の関係によるものであり、1年(太陽年)が365日ピッタリではなく、365.2422日(理科年表による)、すなわち365日5時間48分46秒だからである。

 4年に1度の閏年があり、2月が29日と1日追加されるのはよく知られているが、これは、差分の 0.2422日x4=0.9688日であり、4年でほぼ1日分の誤差ができるからである。
 100年間閏年を作り続けると、25日増えることになるが、0.2422日x100=24.22日
なので、約1日増やし過ぎた計算になることから100で割り切れる年、直近では2000年になるが、この年は閏年ではないことになる。
 400年間これをつづけると、0.2422日x400=96.88日になり、この間、96日追加してきているので、97日に近づけるために、400で割り切れる年は閏年になる。

 といった具合で、暦と実際のカレンダーとの関係は随時調節されることになる。
 節分に話を戻すと、これまでに下表のような変遷があり、前回2月2日が節分の日とされたのは1897年、124年前のことになるという。前年の1896年は閏年である。今回も前年は2020年で閏年である。また、次に2月2日が節分になるのは4年後の2025年となっている。節分の日にちが変化する理由は閏年を設ける理由と同じはずであるが、閏年のように規則的にはならないように見える。


節分の日

 さて、地球の自転と公転に話が及んだついでに、太陽系の惑星の自転と公転に関する数字についてみると次のようである。惑星の公転方向は太陽の自転と同様で(北極星の方向から見て)反時計回りの回転で揃っているが、自転方向や自転軸の向き(赤道傾斜角)は一定ではない。


太陽系の惑星の自転と公転に関する数値(理科年表昭和61年から引用、一部追加)

 数字の多くは地球基準になっていることがわかるが、オヤと思うのは地球の自転周期が1.0000日ではなく0.9973日になっていることである。
 閏年が生まれる理由に挙げた1年が365.2422日であることに関係するのかと思ったが、そうではなく、別な単純な理由であった。

 よく考えてみると、地球は1年間にほぼ366回自転をしていることに気がつく。ほぼ365回ではない。この比 365日/366回=0.9973日/回であった。
 地球は自転しながら、太陽の周りを公転しているので、実際の回転数と地球から見て太陽が地球の周りを回転しているように見える回数=日数との間には1回分の差が生じていることが原因であった。

 似たような話に、月がいつも同じ側を地球に見せているのは何故かという話がある。もちろん、公転周期と自転周期が同じであるからと説明されているのであるが。

 月が1回自転しながら地球の周りを1回公転しても、月から見た地球は同じ位置にあり、日にちは変わらない。月が1回公転する間にもし2回自転するなら、月から見た地球は月の周りを1回転する、つまり月の1日が過ぎるといった具合である。

 もう一つの話。自転の回転方向について見ると、金星と天王星は他の惑星と自転の回転方向が異なっている。しかし、表をよく見ると自転が「時計」方向となっている金星と天王星の自転軸はそれぞれ 177.3°と97.9°である。これは、自転方向は全ての惑星で反時計回りで同じであったものが、何らかの理由で金星と天王星の回転軸の向きが変化したものと考えられていることがわかる。
 太陽系のすべての惑星は、元々は同じ方向に公転し同じ方向に自転していたのである。

 我々は地球が自転し、さらに公転していることを知っている。しかし、ほんの数百年前まで、我々の先人たちは地球が自転していることを知らなかった。知っている知識人もいたが、公にそれを口に出すことができなかったというのが正しいかもしれないが、一般大衆は知らなかった。目の前で起きている現象は、宇宙の星や月、太陽が地球の周りを回っているということである。

 人々に、地球の自転を目に見える形で示したのは、フランス人のレオン・フーコーであった。パリ天文台で振り子の実験を行った1851年のことである。(2020.3.6 公開の当ブログ「フーコーの振り子」参照)

 上の表に見るように、地球は秒速約30kmで太陽の周りを回っている。自転を考えると、赤道上では秒速約0.46kmで回転していることになる。

 地球を含む太陽系は、天の川銀河の縁を秒速約240kmで移動し、その銀河は膨張する宇宙の中で秒速約600kmで移動しているとされる。

 宇宙船地球号という表現があるが、この船の巡航速度を感じることができるフーコーの振り子に代わる方法はあるのだろうか。

 次の2つの優れた映像で実感することができるかもしれない。

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雲場池の四季(3)秋・冬の水鳥

2021-02-05 00:00:00 | 軽井沢
 前回に続き、9月から2月、秋から冬にかけて雲場池にやって来る水鳥を紹介する。

 1年を通じて見られる種はカルガモのみで、越冬のために渡ってきていた、マガモ、キンクロハジロ、オオバンなどの種は5月下旬になると姿を消しマガモとキンクロハジロが再びやってくるのは10月下旬になってからである。

 この後、少し遅れて、再びオオバン、コガモ、ヒドリガモ、ホオジロガモなどの姿も見られるようになり、雲場池はにぎやかになる。また時には、アオサギやダイサギの姿も見られる。

 雲場池に観光客が訪れるゴールデン・ウイーク時には渡りの前のマガモとキンクロハジロ、そしてカイツブリを見ることができるが、夏期にはほとんど水鳥の姿はない。秋の紅葉は10月下旬から11月上旬が見ごろになるが、大勢の観光客が訪れるこの季節には先ずマガモとキンクロハジロが戻ってきていて、その姿を見ることができる。

 冬は観光客の姿はほとんどないが、水鳥の種類はこの時期に多くなる。数が多いのはマガモ、キンクロハジロ。カルガモは時々全く姿を消してしまうことがある。オオバンは冬にはいつ行っても見られるが、数は少なく、今年は二羽だけである。コガモ、ホシハジロ、ホオジロガモ、ヒドリガモは移動途中で立ち寄るだけなのだろう、姿を見ることができれば運がいいということになるようだ。

 今回ダイサギとして紹介したシラサギは、まれに雲場池にやって来る種であるが、今年1月にはめずらしく8羽の群れを目撃し、撮影した。

 種の同定では、チュウサギとの区別が難しく、ここではダイサギとしたが、実のところあまり自信がない。
 図鑑によると、口角が眼の後方を越えるのがダイサギで、口角が眼と同じくらいのところにあるのがチュウサギ。また、目先の色が青緑色がダイサギ、黄色がチュウサギとされている。

雲場池で見られる水鳥(2020.1-2021.1) 

水鳥の四季 冬-秋・冬(2020.1,2, 9-2021.1 撮影)


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