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軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

山野でみた鳥(14)アオゲラ

2025-03-21 00:00:00 | 野鳥
 今回はアオゲラ。雲場池周辺にはキツツキの仲間は3種いて、コゲラ、アカゲラはよく見かけるが、アオゲラの姿を見る機会は比較的少ない。散歩の途中、たまに見かける程度である。

 ところがある朝、散歩の帰り道、別荘地の中を歩いていると、どこからかキツツキのドラミングが聞こえてきた。音のする方を探してみると、真新しい別荘の屋根の軒裏にアオゲラの♂が止まっていて、すでにいくつもの穴をあけているところであった。

 この時、このアオゲラは夢中になって穴をあけていたので、しばらくの間撮影することができた。

 私にとっては、出会うと嬉しい種であるが、別荘の住人には迷惑この上ない存在ということになる。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)に、アオゲラは次のように紹介されている。

 「形態 前種(ヤマゲラのこと)に似るが♂の頭上は全体鮮紅色。嘴峰29~36mm、翼長138~148mm、尾長93~106mm、跗蹠24~26mm。背は前種より濃い緑色。眼先は黒く顎線は鮮紅色でその前後は黒。下面は灰緑色で腹以外には顕著な黒色横はんあり。♀は後頭だけ鮮紅色。
生態 我国特産種。主として低山帯の森林に生息するが、亜高山帯にも分布する。針葉樹の巨木林に生息することが多く、冬季には市街地の庭園にも漂行することがある。ピョー、ピョーと鋭い声でなきキャラ、キャラとなくこともある。好んでアリ類を食す。西日本ではキツツキ類中コゲラに次いで多い種類である。
分布 本州に周年生息繁殖。・・・」

  名前の「アオ」だが、実際には青みはなく背の色は緑色である。では、何故この鳥をアオゲラと呼ぶのだろうかと思うが、色の青と緑については曖昧なまま用いられている例はいくつもある。

 代表的なものは信号の色で、最近は青色発光ダイオードの採用で、きれいな青から青緑色の信号が普及してきたが、以前は緑~青緑色のものが多かったと思う。それでも信号の色を呼ぶときは青であった。

 ほかにも、青果、青物、青野菜、青りんご、青唐辛子、青梅、青汁など野菜や果物では青と呼ぶが全て色は緑。

 日本では古来、青から緑色にかけてはすべて青色と呼んでいたとされ、アオゲラの場合もその伝統を受け継いで命名されたようである。

 アオゲラ以外にも先の図鑑を見ると、「アオ」のつく鳥はアオサギ、アオジ、アオシギ、アオバズク、アオバトと載っているが、図版を見るかぎり、羽色の青い鳥はいない。

 一方、青く見える鳥は「ルリ」と呼ばれている。ルリカケス、ルリビタキ、オオルリ、コルリなどは確かに青い。

 さて、撮影した写真を見てみる。

アオゲラ♀ (2023.3.1 撮影)

アオゲラ♀ (2024.1.6 撮影)

アオゲラ♀ (2025.2.28 撮影)

 図鑑の説明にあるとおり、鮮紅色が頭上全体に広がっているのが♂で、♀は後頭部だけが鮮紅色になっているので、この赤色を確認できると雌雄の区別は容易である。上の写真で紹介したものは、いずれも♀ということになる。

 次はアオゲラの♂が新築されたばかりの別荘でいたずらをしているところである。ドラミングが聞こえてきたので、音のする方を探してみると、まさかのシーンが見られた。

 別荘の壁面に穴が開いているのを見かけることは時々あるが、この別荘はこの時新築されたばかりで、まだ入居前の様であった。この穴を発見した持ち主はさぞかし驚いたことだろうと思う。

別荘の軒裏に穴をあけるアオゲラ♂ (2023.9.20 撮影)


別荘の軒裏に穴をあけるアオゲラ♂ (2023.9.20 撮影)

 キツツキの仲間が別荘の屋根や壁などに穴をあけるのは、ねぐらや巣を作るためとされる。ただ、キツツキだけならまだしも、この穴を利用して、屋根裏に他の小動物が入り込むことがあるので、住人から嫌われることになる。

 軽井沢には別荘が多く、普段は人が住んでいないのでキツツキには絶好の場所になるのであろう。

 義父が40年ほど前に南軽井沢に建てた山荘にもいくつか穴があけられ、金属板などで塞いであった。この辺りでは、「いたちごっこ」ではなく、「きつつきごっこ」ということばがあるそうである。

 この山荘の近くに、元大関の貴乃花関一家の大きい別荘が建ち、挨拶に見えたことがあったとのこと。聞いたところでは内部には土俵も作られていたそうである。そういえば、東御にある雷電の生家とされる建物の中にも土俵が作られていたことを思い出す。

 この別荘は、私が軽井沢に住むようになった時には、既に一家が利用することはなかったようで、若貴兄弟や関係者の姿を見ることもなくなっていたが、近くで見るとキツツキの格好のターゲットになっていて、壁面には十カ所近い穴があけられていた。

 さて、先に紹介した新築の別荘の軒裏に開けられた穴だが、今回改めて現地に行って確認したところ、あけられた穴はそのままになっていた。当時は気付かなかったが、屋根の反対側の軒裏にも同様のキツツキのあけた穴が残されていた。

 しかし、キツツキ除けの針状の櫛歯状防護用品が軒先全体に取り付けられていたので、アオゲラがあけた穴は表面の板部分に留まり、屋根裏に通じるような穴はそれ以上掘られていなかった。

屋根の軒裏にあけられたキツツキの穴と針状の防護用品(2025.3.20 撮影)

屋根の反対側の軒裏にあけられたキツツキの穴(2025.3.20 撮影)

屋根の周囲全体に取り付けられている、キツツキ対策の針状用品(2025.3.20 撮影)

 周辺の別荘をざっとみたところ、この辺りではキツツキによるこうした被害は他にはなさそうなので、2年ほど前に、アオゲラがなぜこの新築されたばかりの別荘を狙って穴をあけたのかは不明である。














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雲場池の水鳥(28)トモエガモ

2024-03-08 00:00:00 | 野鳥
 今回はトモエガモ。この種も雲場池では珍しい部類に入り、今季初めて、それもほんの一瞬だけ姿を見たという状況である。

 それでも、なぜ取り上げるかというと、このところ国内数か所で異常な大集団が目撃され話題になっているからである。
 
 まず、いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。

 「形態 ♂は頭上、喉は黒。顔は黒、淡黄かっ色、金緑色で美しい模様をなす。嘴峰35~39mm、翼長190~220mm、尾長76~98mm、跗蹠32~38mm。背は灰青色で下方は黒かっ色。肩羽長く延び白、黒、黄かっ色の縦しまとなる。胸は淡かっ色にて黒色丸形はん散在。胸側には顕著な白色の一横はんがある。♀はコガモの♀に似ているがやや大型で嘴の基部に円形の白色はんがあるので容易に識別できる。

生態 シベリア東部で繁殖し、冬季は中国南部にまで渡る。我国には秋期多数渡来し、本州中部以西に多い。近畿地方では厳冬には一時数を減じ春季再び数を増す。淡水に生息し昼間でも海洋上にはあまり出ない。

分布 北海道・本州・八丈島・四国・九州・対馬などに渡来する。」

 ここには、大集団に関する記述はないが、「野鳥観察図鑑」(2005年 成美堂出版発行)には次のような記述がある。

 「・・・一般に数は少ないが、北陸地方には比較的多く、石川県の片野鴨池では年によって大群が見られることもある。・・・」

 雲場池でこのトモエガモを見かけたのは、今年1月20日のことで、数羽のカモが頭上を旋回して飛んでいるのを目で追っていたら、数十メートル先の雲場池の下流域近くに着水した。大きさや形態が見慣れない様子であったので、超望遠レンズ越しにみると顔の模様からトモエガモとすぐに判った。

 観察・撮影できたのはほんの一瞬で、すぐに飛び立ち、ややしばらく上空を旋回して、再び雲場池の、今度は奥の方に着水したので近寄ろうとしたところ、飛び立って行き、もう戻ることはなかった。

 他の水鳥に比べ、とても警戒心が強いようであったが、撮影できた姿は次のようである。

トモエガモのペア 1/2(2024.1.20 撮影)

トモエガモのペア 2/2(2024.1.20 撮影)

 初めて見る種であるが、時々出かけている安曇野の、御宝田遊水池(ごほうでんゆうすいち)にある看板には、この美しいトモエガモが絵入りで紹介されているので、是非見てみたいものと思っていたが、これまで果たせないでいた。

 そのトモエガモが思いがけず雲場池に現れたのであったが、先に書いたように、今年は年初からこのトモエガモが大群となり各地に現れているとのニュースに接していたので、なにかそうしたこととの関係でもあるのかと思ったのであった。

 トモエガモをウィキペディアで調べてみると、次のような記述に出会う。

 「カモ類の中では最も美味であるとされる。そのため古くはアジガモ(味鴨)や単にアジ(䳑)と呼称されることもあった。・・・
 開発による生息地の破壊、乱獲により生息数は激減している。・・・
 1993年の大韓民国にある2か所の保護区における生息数は5,0000-5,5000羽と推定されている。
 2020年代に入ると、環境の変化などで越冬地での生息数は急増しており、島根県宍道湖では2023年度に58,000羽、千葉県印旛沼では同年度に66,000羽の飛来がそれぞれ確認されている。」

 絶滅危惧種に指定されているが、近年数を増やす傾向にあり、今年はさらにその数が増えていることになる。

 TVのニュースをひろってみると、

・2023年12月25日(ニュース番組 めざまし8)
 【なぜ?】絶滅危惧種のトモエガモが千葉・印旛沼に大量飛来! 12月中旬には5万羽以上にも!? 竜巻のような巨大な渦を形成。
・2023年12月29日(ニュース番組 イット)
 島根・松江市に27日、鳥の大群が現れ、異様な光景を作り出した。専門家は、鳥の正体は「トモエガモ」で、シベリア東北部での数の増加が日本への渡来数の増加につながっているのではと推測している。
・2024年1月20日(ニュース番組 イット)
 16日、佐賀・嬉野市でトモエガモの大群が観察された。

 雲場池ではほんのわずかの時間だけであったので、近隣に生息地があるのであればぜひもう一度見てみたいのもと思い、生息地に関する情報を調べてみたところ、次のような地名が見つかった。

 ・石川県加賀市・片野鴨池
 ・千葉県の北印旛沼、八丁堰、山倉ダム
 ・埼玉県の狭山湖
 ・八王子の長池公園
 ・横浜の恩田川
 ・大阪の鶴見緑地、大阪城公園
 ・長崎県の諫早湾
 ・島根県の穴道湖
 ・神奈川県の相模原沈殿池

 狭山湖が一番近いが、残念ながら、簡単に行けるところは見つからなかった。

 さて、雲場池の水鳥に話を戻すが、これまで4年ほど、朝の時間帯であるが観察と撮影を続けてきた。今回のトモエガモで計18種になるが、参考までに、これらをまとめると次のようである。


雲場池で見られる水鳥とその時期(夏期に見られるマガモはエクリプス)


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雲場池の水鳥(27)オナガガモ

2024-02-16 00:00:00 | 野鳥
 冬の野鳥観察の楽しみの一つに、コハクチョウの観察がある。軽井沢に移住を決めた頃、安曇野方面にドライブに出かけて、初めて「白鳥湖」と呼ばれる場所のことを知り、これまでに、もう5回ほど出かけている。

 この犀川白鳥湖に2回目に出かけたのは2014年末のことで、年末に大阪から母が来ていて、ハクチョウを見たいというので一緒に出かけたのであった。

 この白鳥湖の近くにはもう1か所、やや下流にある「御宝田遊水池(ごほうでんゆうすいち)」という場所があり、ここにもコハクチョウが来ると現地で教えていただいて、そちらにも回ってみた。御宝田遊水池にはコハクチョウの他にも多数の水鳥が来ていたが、この時、数ではオナガガモが一番多く見られた。

御宝田遊水池のコハクチョウとオナガガモなどの水鳥(2014.12.31 撮影)


御宝田遊水池で餌に集まるコハクチョウとオナガガモなどの水鳥 (2014.12.31 撮影)


母の手から餌を食べるオナガガモ(2014.12.31 撮影)

 安曇野ではこのように多くのオナガガモを見ることができるが、朝の散歩に出かけている軽井沢の雲場池には、これまでその姿がなく、やってこないものだと思っていた。

 ところが、昨年9月25日の朝、まだ他の水鳥の姿もまばらな時期に、マガモ♂エクリプスやコガモに混じって、見慣れない2羽の水鳥がいるのに気が付いて撮影した。

 帰宅後、写真を確認したところ、嘴の色や、僅かに見える翼鏡やこれに沿った羽色などから、オナガガモのペアだと思えた。2羽の羽の色などはよく似ているが、1羽は♀、もう1羽の方は♂エクリプスで、こちらは安曇野で見た冬羽のオナガガモとは随分違っていた。次のようである。

オナガガモ♀(2023.9.25 撮影)

オナガガモ♂エクリプス(2023.9.25 撮影)

オナガガモのペア 1/3(2023.9.25 撮影)

オナガガモのペア 2/3(2023.9.25 撮影)


オナガガモのペア3/3(2023.9.25 撮影)

 しばらく見ていると、♂エクリプスの方が羽ばたいてくれた。

羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 1/5(2023.9.25 撮影)

羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 2/5(2023.9.25 撮影)

羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 3/5(2023.9.25 撮影)

羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 4/5(2023.9.25 撮影)

羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 5/5(2023.9.25 撮影)

 オナガガモのペアを見ることができたのはこの日だけで、それ以後姿を見ることはなかった。 

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)でオナガガモの記述を見ると、次のようである。

 「形態 ♂は頭頸部暗かっ色で黒色の長く尖った尾羽が顕著。嘴峰44~57mm、翼長230~282mm、尾長♂177~210mm、♀37~47mm。跗蹠37~47mm。背は灰色で白色の小さな虫食い状はん密に散在す。肩羽は長く後方に延びて黒色にて白い縁がある。翼鏡は緑黒色にてその上縁は赤かっ色、下縁は白。下面は白色にて頭側では白色部上向している。♀は上面黒かっ色で黄白色の羽縁がある。下面は白でかっ色はんがある。尾羽は♂より著しく短い。

生態 欧亜大陸及北米の中部以北で繁殖し、わが国には秋期多数渡来する。北海道では旅鳥として春秋渡りの際にのみ出現し冬季は本州中部以南に多い。

分布 北海道・本州・八丈島・四国・九州・対馬・種子島などに渡来。」

 雲場池では、完全に冬羽に換羽した♂を見ることができなかったので、安曇野で撮影した姿を以下に紹介する。


オナガガモ♂(2023.1.6 撮影)

集まってくるオナガガモ(2023.1.6 撮影)

去っていくオナガガモ(2023.1.6 撮影)

オナガガモ♀(2023.1.6 撮影)

オナガガモ♂(2023.1.6 撮影)

 次は♂のはばたく様子。サーモンピンクの美しい縞模様が翼鏡に沿って観察できる。

羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)

羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)


羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)


羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)

コハクチョウとオナガガモ(2023.12.30 撮影)

首を長く伸ばし、警戒している様子のオナガガモ(2023.12.30 撮影)



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雲場池の水鳥(26)ハシビロガモ

2024-01-26 00:00:00 | 野鳥
 今回はハシビロガモ(嘴広鴨)。嘴は幅広く、和名の由来になっている。また、英名shovelerもシャベル型の嘴に由来するとされる。

 この種は全国的には普通であるが、雲場池では珍しい種のようで、これまで5年近く雲場池にやってくる水鳥を見てきたが、今回初めて出会った。また、私自身過去にこの種に出会ったことが無かったので、実際に見て、その嘴の異様な大きさにぎょっとしたのであった。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「形態 嘴きわめて大で扁平へら状である。嘴峰59~69mm、翼長217~252mm、尾長73~58mm、跗蹠32~37mm、♂は頭頸部は黒緑色。胸から背にかけては白く、背の中央部黒。白色肩羽は長く延び先端では空色と黒と白の縦しまとなる。腹以下は濃栗色。雨覆は空色で翼鏡は金緑色。♀は上面黒かっ色下面は黄かっ色と黒かっ色とのまだらで喉は黄かっ色無はん。

生態 欧亜大陸の中北部・北米で繁殖し冬期はアフリカ・中国南部・南米などに渡る。我国では少数のものは北海道北部で繁殖するが大部分のものは秋期シベリア大陸より渡来す。冬期各地の湖沼、沼沢地、海上に普通である。海上では数百の大群をなし岸に近い浅瀬に生活することが多い。

分布 北海道では少数繁殖するほか冬鳥として北海道・本州・八丈島・四国・九州・種子島などに渡来する。」

 雲場池で初めて見かけた時は、マガモやオカヨシガモが30羽ほどの群を作っている中にいて、マガモよりやや小さく、1羽だけ胸の白さが目立っていた。カメラの超望遠レンズ越しに見ると、嘴の大きさが明らかにマガモやオカヨシガモとは違っていて、すぐにハシビロガモと気づいた。

ハシビロガモ♂エクリプス 1/7(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 2/7(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 3/7(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 4/7(手前、奥はマガモのペア 2023.12.25 撮影)


ハシビロガモ♂エクリプス 5/7(手前、奥はコガモ♂ 2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 6/7(中央、左右はコガモ 2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 7/7(2023.12.25 撮影)

 雌雄の区別は、帰宅後図鑑を見て確認した。羽色と紋様は♀に近いものであったが、虹彩の色が黄色いところと嘴の色が黒いことから♂のエクリプスと判定した。
 ♀の場合、「虹彩は褐色で嘴はオレンジ色に黒みを帯びたものが多いが、ほとんど黒いものもいる。」(日本の鳥550・水辺の鳥、2000年 文一総合出版発行)、「♀は目が黒い、エクリプスは♀に似るが、目の色は黄色。」(野鳥観察図鑑、2005年 成美堂出版発行)とされている。

 この個体は翌日には姿を消してしまったので、もう見る機会はないのかと思っていたが、年が明けてしばらくたった1月16日に、今度は2羽が姿を見せた。


ハシビロガモ♂エクリプス2羽 1/3(2024.1.16 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス2羽 2/3(2024.1.16 撮影)


ハシビロガモ♂エクリプス2羽 3/3(2024.1.16 撮影)
 
 この2匹もまた♂エクリプスであると判定したが、これはやや難しかった。全体的な外観は先月来たものとほとんど同じであったが、同一個体が含まれているかどうかは判らない。問題は嘴で、その色は片方が黒く、もう片方はオレンジ色が混じっていた。前記の図鑑によると、♂の嘴は黒いとされているのである。一方、虹彩は2羽ともよく似ていて黄色である。

 嘴の色から片方が♀かもしれないと思えたが、虹彩の色が黄色いこと、胸の色が白く変化し始めていることから、2羽とも♂エクリプスであると判定した。

 嘴の黒い個体は次の通り。


嘴の色が黒いハシビロガモA 1/2(2024.1.16 撮影)


嘴の色が黒いハシビロガモA 2/2(2024.1.16 撮影)

 続いて嘴の色にオレンジが混じる個体。

嘴の色にオレンジ色が混じるハシビロガモB 1/2(2024.1.16 撮影)


嘴の色にオレンジ色が混じるハシビロガモB 2/2(2024.1.16 撮影)

 ところで、このハシビロガモの嘴だが、形状だけではなく、その機能も特異なものである。

 くちばしの側面には歯を思わせるくし状のものがあって、このくちばしを水面に付け、水を吸い込み、水とともに入ってくる植物プランクトンなどを濾しとり、水を排出するのだという。

 今回は2羽だけであったので、見ることはなかったが、水面を泳ぐ脚の動きで水を撹拌するため、植物プランクトンが水面近くへ動き、それを狙った次の個体が後方へ並ぶことがあるという。そのため何十羽も集まると、大きな渦になるとされる。

 その嘴の側面のくし状のものが分かる拡大写真と、水面を掬うようにして泳ぐ姿は次のようである。

嘴の側面のくし状のものが分かる拡大写真(2024.1.16 撮影)

水面を掬うようにして植物プランクトンを捉えながら泳ぐ姿(2024.1.16 撮影)




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雲場池の水鳥(25)カルガモの子育て 2022ー2/2

2023-01-20 00:00:00 | 野鳥
  6月26日に初めてヒナを連れたカルガモの母親の姿を見てから約2週間が過ぎたころには、ヒナ達もすっかり成長し、親をまねて潜水したり、自分で池の底から藻などの餌を採って食べるようになった。

 昨年2022年は7羽のヒナが生まれたが、その前年の2021年に生れたのは3羽であった。この時はヒナの数が少なく、移動が容易であったためか、カルガモの親子は頻繁に移動し、雲場池の上流からさらに道を隔てた私有地内を流れる川にまで行動範囲を広げていた(2021.8.20, 8.27 公開当ブログ参照)。

 その時も、散歩しながらカルガモのヒナの成長具合を観察・撮影していたが、姿が見えなくなることもしばしばで、他の野生動物に襲われたのではないかと心配したこともあった。

 その点、今回は7羽のヒナが育っていることも手伝ってか、親鳥は雲場池の大池を離れて移動することもなく、7羽のヒナは揃って順調に成長していた。 

カルガモの母鳥とヒナ(2022.7.9 撮影)


カルガモの母鳥と7羽のヒナ(2022.7.11 撮影)


7羽のヒナ(2022.7.11 撮影)

 そんなある朝、いつものようにヒナの姿をカメラで追っていたところ、突然激しい水音がして親鳥が水面上を横切って行った。


ショウブの間で餌を探しながら泳ぐカルガモのヒナ(2022.7.13 撮影)


水音を立てて追いかける母親を見つめるヒナたち(2022.7.13 撮影)

 その先の方を見ると一羽のカワウが慌てて逃げていくところであった。カワウがヒナを襲おうとしたのかどうかはわからなかったが、母鳥の激しい行動であった。


慌てて逃げ去るカワウ(2022.7.13 撮影)


離れた場所まで逃げてきたカワウ(2022.7.13 撮影)

 カルガモやチドリ、シギなど、子育中の野鳥の中には、偽傷行動をとるものがあるとされる。以前、新潟の上越に住んでいたころ、飼っていた犬を連れて、妙高山の麓にある「いもり池」に散策に出かけたことがあった。池を周回する遊歩道を、犬を連れて歩いていたところ、突然目の前にカルガモが飛び出してきて、片方の羽を引きずるようにして先の方へと移動していった。

 何事かと驚いてみていると、親鳥の前方にカルガモのヒナが数羽飛び出してきて遊歩道を横切り、茂みの中に消えていった。親鳥もそのあとを追って姿を消したのであったが、これが母親の偽傷行動といわれるものだとその時気が付いた。

 日常、朝の散歩していてもカルガモたちは特に私を意識することなく、自然に振舞っており、逃げ去るようなことはなかったが、今回カワウと出会ったときのカルガモの母親は、ヒナを守り、激しくカワウを追い払う行動をとった。なかなか気の強い、警戒心の強い種だと改めて思わされたのであった。


カルガモのヒナ(2022.7.17 撮影)

成長したヒナと親鳥(後方、2022.7.24 撮影)

7羽のヒナと親鳥(2022.7.25 撮影)

 7月下旬になるとヒナはすっかり成長して、母鳥との区別がつきにくくなってきた。よく見ると、嘴の色などにまだ幼鳥のなごりが見られるが、ちょっと見ただけではわからないようになった。


親鳥と区別が付きにくくなったヒナ(中央上が親鳥、2022.7.27 撮影)

親鳥と区別が付きにくくなったヒナ(右から2番目が親鳥、2022.7.27 撮影)

くちばしの色が異なるヒナ(左)と親鳥(右)、上の写真を拡大した

 ヒナ達は、はじめのうち7羽が揃って行動していたが、次第にばらばらに池を移動するようになり、7羽が一緒に画面に収まることもなくなってきた。

 約1か月後、久々に親子が揃っているところを撮影できた。


久々に親子8羽が揃った(右端が親鳥、2022.8.24 撮影)

 このころ、雲場池ではカイツブリのヒナが3羽誕生し、両親とともに池に姿を現し、ぎやかなヒナの鳴き声が響き渡るようになった。

親鳥の背に乗るカイツブリのヒナ(2022.9.1 撮影)


ヒナに餌を与えるカイツブリの親鳥(2022.9.1 撮影)

 雲場池の主役がこうして交替していった。


 
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