軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

タラノメとコシアブラ

2017-05-26 00:00:01 | 山菜
 以前住んでいた上越市に用があり、妻と一緒に車で出かけた。途中、数か所の「道の駅」に立ち寄り、季節の山菜などを買い求めながらの移動であった。今年、4月20日のことである。

 最初に立ち寄ったのは浅間サンライン沿いにある「雷電クルミの里」。ここは江戸時代の名力士「雷電為右エ門(1767-1825)」の生家が近くにあるので、それにちなんだ名前がつけられている。

 ここでは、ギョウジャニンニクが店頭に並んでいたので迷わずこれを買った。我が家ではギョウザやハルマキの具材として重要なものだ。見つけると買うようにしていて、冷凍保存をしていつでも食べられるようにしている。自宅の庭にも少しだけ植えているが、まだ収穫をしたことは無く、これは山野草の仲間としての扱いである。


自宅庭に植えているギョウジャニンニク(2017.5.6 撮影)

 上信越高速道路のSAでもある「新井・道の駅」ではタラノメ、コシアブラ、コゴミ、フキノトウなどが豊富に販売されていた。タラノメとコシアブラはまだ幼芽の状態で葉が開いていないものや、すでに葉が伸び始めて15cm以上になっている若葉など、やま採りの物にはいろいろな状態のものが混じっている。我々は、6-7cm程度の長さの、まだ葉が伸びていない幼芽のタラノメと10cm程度に伸びたコシアブラとを選んで買った。

 最近は軽井沢でもこうした山菜がスーパーの店頭に早々と並んでいて、結構な値段が付いているのだが、これらは栽培品であり野菜と変わらないように思えてあまり買う気がしない。しかし、自然の中で育ったものをこうして見つけると、やはりその季節を味わいたく、買ってみたくなるものだ。実際、「道の駅」などで売られているものの人気は高い。

 次の写真は後日、下仁田の「道の駅」で撮影したものである。この時は店頭に出ている商品が少ないこともあって、写真を撮ってしばらくしてもう一度見に行くとすでに売り切れていた。


下仁田の「道の駅」で店頭に並ぶタラノメ(2017.5.6 撮影)

 タラノメとコシアブラは山菜の王、女王などと呼ばれるようになっているが、私がタラノメのことを知ったのは、最初の勤務地であった横浜市郊外の研究所でのことであった。同僚のOさんはタラノメ採りの名人で、春になると昼休みに周辺の雑木林に出かけては、たくさんのタラノメを持ち帰ってきて分けてくれた。1974-5年のことで、今とは違ってこのころはまだ都会ではタラノメを知る人はほとんどいなかったように思う。

 このOさんはタラノメだけではなく、自然薯(じねんじょ)堀りの名人でもあり、夏に自然薯のツルを見つけるとその根元に麦の種を播いておき、秋になって自然薯や周囲の草などの地上部が枯れたころに行くと、青々とした麦の芽が出ていて目印になるので見つけやすいのだと教えてくれた。

 Oさんと、ある時一緒にタラノメ採りに出かけたことがあった。タラノキには鋭いとげがあるので、素手では高いところにある芽をもぎ取ることができない。そこで竿の先に鉤を取り付けたものを用意し、タラノキを見つけるとこの鉤を枝先にひっかけてたぐり寄せ、先端部の芽をもぎ取るのである。木を折ったりしてしまっては翌年から採ることができなくなってしまうため、これを避けるためのマナーだ。

 私も自分で採りに行ってみようと思い、当時自宅があった相模原周辺の雑木林に出かけてとげのある木を探し、まだ葉が伸びていないその新芽を採って持ち帰り天ぷらにして食べたことがあった。だが、後で葉の茂ったその木を見ると葉の形が楓のような手のひら型をしていた。どうもタラノキとは違う別の木の芽を食べてしまったようであった。私も家族も中毒を起こすようなことがなかったのは幸いであった。

 タラノキはウコギ科の植物で、典型的な陽樹で、道路沿いや川岸、森林の伐採跡地などの開けた場所に群生するとされる。ふつう我々がこうした場所で見かけるのは高さがせいぜい2-3m程度の棒状のものだが、大きいものでは約6mになる。平地から1500m以上の高所にも生え、軽井沢の別荘地や周辺の山地でもときどき見かけることがある。ただ、別荘地の道路沿いに生えているものはたいてい芽を何度も摘まれているようで、立ち枯れているものも多い。

 私が間違って食べてしまった、あの木は、今になってみれば、タラノキと同じくウコギ科のハリギリであったのだろうと思う。一応、若葉は食用になるとされている。

 コシアブラの方は、タラノメよりもずっと後になって知った。広島県三次市の工場に赴任していた1994-5年ころのことで、外注工場の一つが毎年春にバーベキューパーティーを開き、取引先の我々一同を招待してくれていた。その時にイノシシ肉のバーベキューなどと共に出された山菜天ぷらの主役がコシアブラであった。従業員が朝早く出かけて採ってきたものだと教えてもらったのだが、高い木の枝先にあるのだと言うだけで、どのくらいの高さのどんな木なのか詳細についてはこの時は判らなかった。

 最近も、春にてんぷら店でフキノトウと共にタラノメやコシアブラを食べさせてもらうこともあるが、いつもほんの少しだけという状態である。

 一昨年春、妻の友人Mさんの畑に出かけた時、Mさんの弟で群馬県庁に勤めているYさんが、趣味で山菜採りをしているということが判り、タラノメとコシアブラの話になった。この時、「おなか一杯コシアブラを食べてみたい!」と言う妻に、Yさんは「来年はその夢はかないますよ」と約束してくれた。

 そして、翌年約束通り大量のコシアブラとタラノメを採って持ってきてくださった。連日の山菜攻めになり、妻の夢がかなったことは言うまでもない。

 軽井沢に移住してからも、コシアブラの木がどのような姿をしているのかまだ判らなかった。ある時、小諸の植木市でコシアブラの苗木を売っているところに出会い、早速一株買い求めて庭の一角に植えた。1mほどの高さの株立ちのもので、数本の幹が根元から枝先まで7mm程度のほぼ一定の太さで棒状に立ち上がっている。木肌は白っぽいものである。知っている人に聞くと、山中でもこの木肌の白さを頼りにコシアブラを見つけるそうである。

 このコシアブラも、タラノキと同様ウコギ科・ウコギ属の植物であり、ウコギ属のなかでは別格で、高さ15m、直径50cmに達するという。買い求めたこのひょろっとした木が、いつか十数mとはいかないまでも、大きく成長してたくさんの幼芽をつけてくれるのかと思うと楽しみであるが、今のところ何とも頼りない姿をしているし、今年出てきた新芽も弱々しいものだ。同様に、植木市で買い求めたタラノキはすでに大きく葉を茂らせているのに比べると心配になる。


庭に植えているタラノキの芽吹き(2017.5.6 撮影)


大きく葉を広げた最近のタラノキ(2017.5.25 撮影)


新芽が出始めた、庭のコシアブラの枝先(2017.5.6 撮影)


特徴のある5枚の葉を広げたコシアブラ(2017.5.25 撮影)

 コシアブラを庭に植えてからは、5枚ある葉や枝の出方にも独特のものがあることが判り、木肌の様子と合わせて、山中でも見分けられるようになった。そんなわけで、最近は別荘地やその周辺の山に行っても妻はコシアブラをすぐに見つけることができるようになっている。2mほどの高さに成長した木も時々見かけるが、タラノキ同様、手の届きやすいところの芽は大抵もぎ取られていて、木の一部が枯れているものもある。

 まだ大木に成長したコシアブラに出会ったことはないが、慣れた人はどうやら木にはしごをかけて高いところの芽を採っているようだ。

 4月20日に上越に出かけたときに、懐かしさもあってスキー発祥の地として知られる金谷山に立ち寄ったのだが、尾根筋を歩いている時、すでにコシアブラには目ざとくなっている妻は次々とコシアブラの木を見つけた。4-5m程度の高さの木がほとんどであった。




上越市で見かけたコシアブラの木(2017.4.20 撮影)

 よく出かけていた場所であり、こんなに身近なところに、たくさんのコシアブラの木があったとは意外であったが、私が上越に住んでいたころにはまだ今のようには関心を持っていなかったのでやむを得ない。

 タラノメ採り名人のOさんからはコシアブラのことを聞いた記憶はないが、彼ならきっとすぐにコシアブラも見つけて採ってくれることだろうと思う。今度はこちらからOさんを誘ってコシアブラ採りに行ってみたいところであるが、このOさんはすでに数年前に亡くなってしまっている。


道の駅で買ったタラノメ、コシアブラなどのてんぷら(2017.4.20 撮影)

(2019.5.10 追記)
 最近、上田市郊外の「道の駅」に、タラノメやコシアブラなどの山菜を求めて出かけた時に、思いがけないものが売られているのに気がついた。かつて私がタラノメと間違って採ったことのある「ハリギリ」であった。これまで各地の道の駅で山菜を買ってきているが、ハリギリに出会ったのは今回が初めてであった。もう40年ほど前のことなので、私が採って食べた時の味はすっかり忘れているので、懐かしくなり一パック買って帰り、その日の夕食時にタラノメとコシアブラと共にてんぷらにしていただいた。味は、コシアブラより更にアクの強いものであった。

 その時の写真が次のものである。


山菜の王・タラノメ、女王・コシアブラと王子・ハリギリのてんぷら(2019.5.8 撮影)

(完)
 


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庭にきた蝶(8) キタキチョウ

2017-05-19 00:00:00 | 
 今回はキタキチョウ。以前はただ「キチョウ」と呼んでいたこの蝶、全国どこに行っても何となくみかけることができるおなじみの蝶であるが、いつの間にかミナミキチョウとキタキチョウに分けられていた。外見による識別は困難とされる。

 正式にキタキチョウとミナミキチョウに分離されたのは2005年のことで、南西諸島にのみ生息する種をミナミキチョウ、本州と南西諸島の両方にまたがり生息している種をキタキチョウとしている。

 前翅長は18-27mmと小型、翅は鮮やかな黄色で、雄の方が濃い色をしている。前翅、後翅とも外縁は黒色に縁どられ、裏面に褐色の斑点がある。成虫は年5、6回発生し、成虫で越冬する。幼虫の食草はネムノキ、ハギ類(メドハギなど)のマメ科の植物。

 我が家の庭にもときどきやってくるが、数はそう多くはない。ブッドレアやキャットミントで吸蜜していることが多い 。


ブッドレアの花で吸蜜するキタキチョウ(2016.10.4 撮影)


キャットミントの花で吸蜜するキタキチョウ(2016.10.4 撮影)

 このキタキチョウは翅を閉じて吸蜜することが多く、我が家の庭で撮影した写真はどれも翅表が見えない。そこで、南軽井沢の別荘周辺で撮影した開翅状態の写真を1枚追加する。


フウロソウの仲間に開翅して止まり吸蜜するキタキチョウ(2015.9.2 撮影)

 一昨年のこと、安曇野の山野草店に立ち寄ったときに、ビニールハウス製の店内にキタキチョウが出入りしているのに気がついた。しばらく見ていると、ある鉢植えの近くにやってきてはしばらく鉢の周りを飛び回るということを繰り返している。

 その鉢に行ってみると、それは萩の鉢植で、キタキチョウはその葉に産卵をしているのであった。

 少し迷いはしたが、結局その鉢ごと買って持ち帰ることにした。この一鉢に卵は十数個産みつけられていた。

 玄関脇にこの萩の鉢を置いておいたところ、やがてこの卵から幼虫が次々と孵化してきた。次第に大きくなって、増してくる幼虫達の食欲に応えるために新たな萩の鉢植えを探す羽目になった。

 鉢にはネットをかけて保護して飼育していたのだが、知らぬ間に幼虫の数は減ってしまい、何とか蛹にまでたどり着いたのは3匹であった。この3匹の蛹化と羽化とを動画撮影することができた。

 幼虫は青虫で、4回脱皮して5齢で蛹化するとされているのだが、脱皮をしている様子はついに観察も撮影もできなかった。気がついたら大きくなっていて、前蛹になりかかっていたという具合である。

 この観察の途中、幼虫が奇妙な動きをしているのに気がついた。体を妙な具合にねじっているのだ。しばらく見ていて、これが糸掛けをしているのだと気がついた。


キタキチョウの糸掛け1/2(2015.9.7. 23:50-23:59 30倍のタイムラプス撮影)

 糸掛けは2往復、合計4本の糸を掛けて終了した。


キタキチョウの糸掛け2/2(2015.9.8. 00:10-00:13 撮影)

 掛けた糸に体をあずけ前蛹状態になる。そして約17時間後に美しく透明感のあるエメラルドグリーン色の蛹になった。


キタキチョウの蛹化(2015.9.8. 16:53-17:25 30倍のタイムラプス撮影)

 蛹の色は徐々に黄色に変化し、殻を透して翅の文様が見えるようになる。そして蛹化後2週間余りの後に羽化が始まった。


キタキチョウの羽化1/5(2015.9.24. 03:15-03:17 撮影)

 羽化終了後10分程度で翅は完全に伸びる。


キタキチョウの羽化2/5(2015.9.24. 03:20 撮影動画からのキャプチャー画像)


キタキチョウの羽化3/5(2015.9.24. 03:22 撮影動画からのキャプチャー画像)


キタキチョウの羽化4/5(2015.9.24. 03:25 撮影動画からのキャプチャー画像)


キタキチョウの羽化5/5(2015.9.24. 03:30 撮影動画からのキャプチャー画像)

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キャットミントとシャア・アズニャブル

2017-05-12 00:00:00 | 日記
 猫が「またたび」を好きなことは知っていたが、「キャットミント」もまた同じような猫の好物だとは知らなかった。

 庭に蝶を呼ぶために一昨年キャットミントを植えたのだが、昨年まではそれなりに奏効して、何種類かの蝶がこのキャットミントの花を目当てに吸蜜に来るようになっていた。


キャットミントに集まってきたウラナミシジミ(2015.11.24 撮影)


キャットミントで吸蜜するキタキチョウ(2016.10.4 撮影)

 そのころは、まだ猫が我が家の庭に出入りすることはそう多いことではなく、時々ご近所の飼い猫がふらりとやってきて通り過ぎていく程度であった。

 ところが、今年になって事態が変わった。今年初めに、ダイニングの窓際に設けた小鳥用の餌台にシジュウカラなど脂分を好む鳥たちのために牛脂の固まりをくくりつけていたところ、これが丸ごとなくなるという出来事が起き始めた。

 以前、ウッドデッキの方の別の餌台で同じように牛脂を金属製の網かごに入れてぶら下げていたのだが、これは何度となくカラスに引きちぎられて持ち去られていた。

 しかしダイニングの窓際に置いた餌台の牛脂にはカラスは長い間一度も来たことがなかった。それがなくなるようになったので、とうとうこちらの牛脂もカラスに狙われるようになったかと思った。

 このころは、毎日のように長時間3Dビデオを回して、餌台にやってくる小鳥たちの撮影をしていたが、ある日今度は牛脂をくくりつけた止まり木の枝先が折られ、更に翌日にはその枝も丸ごとなくなってしまったので、犯行現場を見てやろうと思い、2日分のビデオを再生してみて驚いた。

 1月17日のビデオには、餌台がぐらぐら揺れたかと思うとそこに猫の姿が映し出されていたのである。


餌台に前足をかけて顔を出したチャトラ猫(2017.1.17 10:56 撮影のビデオからのキャプチャー画像)


枝をまるごとくわえて先の方を折ってしまった(2017.1.17 11:08 撮影のビデオからのキャプチャー画像)

 こんなことが起きていたとはまだ知らなかったので、毎日の習慣で、この日も夕方見ると牛脂がなくなっていたので、短くなった枝先に再び牛脂をくくりつけた。

 翌日1月18日撮影のビデオには朝からいつものとおりシジュウカラがやってきていた。その後珍しくけんかをしないでヒヨドリとツグミも一緒に餌を食べ始め、さらに名前をつけたおなじみのメンバーであるキジバトの「モンドノスケ」とスズメの「サナチャン」も来ているのが写っていた。


いつものとおりシジュウカラが来て牛脂をついばんでいる(2017.1.18 8:31 撮影のビデオからのキャプチャー画像)


珍しくヒヨドリ(左)とツグミ(右)が一緒にやってきて、常連のキジバトの「モンドノスケ」とスズメの「サナチャン」も仲良く餌を食べている(2017.1.18 8:44 撮影のビデオからのキャプチャー画像)

 ところが、午後になるとまたしても餌台に猫が現れた。牛脂はすでに小鳥たちにほとんど食べられていたのであるが。


はじめは餌台の横に顔が見え(2017.1.18 15:57 撮影のビデオからのキャプチャー画像)


次に前に回り前足が見え(2017.1.18 15:57 撮影のビデオからのキャプチャー画像)


餌台に登ってきた(2017.1.18 15:57 撮影のビデオからのキャプチャー画像)

 牛脂を狙って餌台によじ登り、これを丸ごと持ち去っていたのはチャトラの猫であった。

 今は牛脂だけの被害であるが、餌台に集まってくる野鳥にまで被害が及んではいけないと、小鳥と猫の両方が好きな妻は餌台から離れた玄関脇に猫用の餌を置くことにした。

 猫用の餌を置いてからしばらくして、このチャトラ猫が食べに来るようになった。はじめのうちは、妻が近くに行こうとすると、「シャー」といって威嚇をした。


「シャー!」と威嚇してみせるチャトラ猫(2017.2.6 撮影)

 そのうち、妻には慣れてきて近くに寄っても逃げなくなり、毎朝のように餌を食べにくるようになってきた。


玄関脇の発泡スチロールの箱の中で休むチャトラ猫(2017.2.16 撮影)

 この雄猫に名前をつけようかと言う事になり、私は餌台によじ登ってきたのだから、昇太(ショウタ)にしようと提案したが、略して呼ぶときに「ショー・ショー」となるのでは響きがよくないとのことで妻から却下された。その後妻から折衷案のような「シャア」が提案され、これに決まった。正式な名前は「シャア・アズニャブル」である。

 この「シャア」、妻にすっかりなれてしまい、始めのうちは玄関先にいたのだが、次第に用心しながらも玄関の中にまで入ってくるようになった。


玄関の中で専用の小屋をもらって、その中で楽しい夢を見る「シャア」(2017.2.24 撮影)


時にはドアストップになる「シャア」(2017.3.8 撮影)

 雄猫なので仕方が無いのかもしれないが、ご近所のどこかで飼われている雄の黒猫や、少し離れたお店で買われているという白い長毛の雄猫と激しいケンカをするようで生傷が絶えない。後ろ足を引きずったり、前足を浮かせて地面につかない様にしながらもほぼ毎朝のように通ってきている。


すっかり我が家の猫のようになり、玄関で外を眺める「シャア」(2017.3.9 撮影)

 4月も中旬になり、だいぶ暖かくなって庭に植えた草花の芽が出始め、庭木の芽も膨らんできたある日、この「シャア」が玄関先の木道の隙間から顔を出しているキャットミントの新芽を舐め回し、先端をかじっているのを見かけた。別な場所のキャットミントの芽を妻が摘んで与えると舐め回してから食べてしまった。


キャットミントの新芽を舐める「シャア」(2017.4.16 撮影)

 少し伸びてきたキャットミントの上で体をこすり付けてうっとりとする姿もも見られるようになった。


キャットミントの上に横たわってうっとりする「シャア」(2017.4.19 撮影)

 ここで遅ればせながら初めて、このキャットミントの名前の由来を悟った。猫が好きなミントという意味が込められていたのである。

 このキャットミント、そろそろその芽が出始めて今年もまたたくさんの蝶を呼び寄せてくれると期待していたところであったので、「シャア」がこれを食べてしまうのでは少々困ったことになるなと思っていた。


庭で「こうばこ」状態になってくつろぐ「シャア」(2017.4.22 撮影)

 しかし、すっかり我が家になついていると思っていた「シャア」だったが、所用で2日ばかり留守にすることが続いた日を境にぷっつりと来なくなってしまった。これまでも2日ほどやってこないことがあったようだが、その時は決まって足に大きな怪我をしていて、足を引きずりながら再び現れていた。

 今回はそれとは様子が違っている。交通事故にあったのではないだろうかと妻と心配したりもしたが、少しいいほうに想像することにしている。

 軽井沢は別荘地なので、「シャア」はどこかの別荘主に飼われていたのであろう。その証拠にしつけがとてもよくできていて、妻が餌を与えても実に行儀よく食べているという。その飼い猫であった「シャア」が何かの理由で別荘を離れ、飼い主が都会の自宅に帰るときに一緒に帰ることができなくなってとり残されていた。

 そして、その飼い主が、今回ゴールデンウィークで別荘にやってきたので、再会することができた・・・というのである。これは「シャア」がいなくなってシャアロス気味の妻が考え出した物語である。


あまり抱かれるのは好きではないが、仕方なく妻に抱かれている「シャア」(2017.4.22 撮影)





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庭にきた蝶(7) キアゲハ

2017-05-05 00:00:00 | 
 今回はキアゲハ。成虫の前翅長は40-60mmの大型の美しい蝶で、全国で普通に見られる。アゲハチョウの仲間でナミアゲハとよく似ている種であり、ユーラシア大陸と北米大陸に広く分布している。

 多くのアゲハチョウの仲間がミカン科の植物の葉を食べるのに対して、このキアゲハの幼虫は、セリ、ハマウド、シシウドなどのセリ科の植物の葉や花序、若い果実を食べて育つ。また、野菜のニンジン、ミツバ、パセリ、アシタバなども食草となる。

 類似種のナミアゲハとの区別は、キアゲハは前翅のつけ根が黒ずんだ色彩で塗りつぶされたようになっていて、ナミアゲハのような縞模様にはならない点と、翅の中ほどは黒い線が細く、和名どおり黄色みが強いことで容易である。

 成虫は4月から10月ごろまで、年2回から4回の発生。蛹で越冬する。驚くべきは、冬型の蛹は-196℃の低温にも耐えられるというもの(*1)、この温度は液体窒素温度である。
*1 ウィキペディア フリー百科事典 2014年5月31日 20:54UTC

 3年ほど前に北海道の函館に行ったとき、函館ハリストス正教会に向かう坂道の途中、道端にミツバが生えていたが、そこに多数のキアゲハの幼虫がいたのを思いだす。このとき辺りには成虫も飛び回っていた。


函館ハリストス正教会に向かう坂道で見たキアゲハの4齢幼虫(2014.8.18 撮影)


函館ハリストス正教会に向かう坂道で見たキアゲハの終(5)齢幼虫(2014.8.18 撮影)

 我が家の庭の花には、8月から9月にかけてやってきている。


ハナトラノオの花で吸蜜するキアゲハ1/7(2016.9.9 撮影)


ブッドレアの花で吸蜜するキアゲハ2/7(2016.8.2 撮影)


モミの木の上で休息するキアゲハ3/7(2016.7.31 撮影)


ハナトラノオの花で吸蜜するキアゲハ4/7(2016.9.9 撮影)


ハナトラノオの花で吸蜜するキアゲハ5/7(2016.9.9 撮影)


日本ハッカの花で吸蜜するキアゲハ6/7(2016.9.9 撮影)


アザミのつぼみに止まるキアゲハ7/7(2016.8.8 撮影)

 このキアゲハは以前このブログで紹介したように、ときどき出かける畑の隅に生えているアシタバに産卵にやってくる。


アシタバの花穂に産卵するキアゲハの♀(2015.9.26 撮影)

 このアシタバに産み付けられた卵を持ち帰りアシタバの鉢植えで育て、蛹化と羽化の様子をタイムラプス法などを交えながら動画撮影したので、これを紹介させていただく。

 幼虫は4回の脱皮を繰り返し終齢幼虫になってしばらくすると、アシタバを離れて這いまわるようになる。落ち着いたところで用意した枝にとまらせると、ここで前蛹になりやがて蛹化が始まる。


キアゲハの前蛹1/3(2016.8.16. 00:00 撮影の動画からのキャプチャー画像)


キアゲハの前蛹2/3(2016.8.16. 02:00 撮影の動画からのキャプチャー画像)


キアゲハの前蛹3/3(2016.8.16. 03:00 撮影の動画からのキャプチャー画像)


キアゲハの蛹化(2016.8.16. 03:19-04:19 30倍のタイムラプス撮影)

 このあと蛹は次第に変色するが、10日ほどして羽化が近くなると色が濃くなり内部が透けて見えるようになる。


羽化直前のキアゲハの蛹(2016.8.26. 23:43 撮影)

 羽化は突然始まる。注意して見ていないと、気が付いたら蝶になっていたということがある。


キアゲハの羽化(2016.8.27. 04:30-05:13 30倍のタイムラプス撮影)

 翅が完全に乾くまで約3時間余り、抜け殻の周りにぶら下がり、翅を開閉させて、そしてしばらく飛翔の練習をして飛び立っていく。


羽化後翅が十分に乾いた状態のキアゲハ(2016.8.27. 08:00 撮影の動画からのキャプチャー画像)


そして飛び立った(2016.8.27. 08:14 撮影の動画からのキャプチャー画像)

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