軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

雲場池の水鳥(26)ハシビロガモ

2024-01-26 00:00:00 | 野鳥
 今回はハシビロガモ(嘴広鴨)。嘴は幅広く、和名の由来になっている。また、英名shovelerもシャベル型の嘴に由来するとされる。

 この種は全国的には普通であるが、雲場池では珍しい種のようで、これまで5年近く雲場池にやってくる水鳥を見てきたが、今回初めて出会った。また、私自身過去にこの種に出会ったことが無かったので、実際に見て、その嘴の異様な大きさにぎょっとしたのであった。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「形態 嘴きわめて大で扁平へら状である。嘴峰59~69mm、翼長217~252mm、尾長73~58mm、跗蹠32~37mm、♂は頭頸部は黒緑色。胸から背にかけては白く、背の中央部黒。白色肩羽は長く延び先端では空色と黒と白の縦しまとなる。腹以下は濃栗色。雨覆は空色で翼鏡は金緑色。♀は上面黒かっ色下面は黄かっ色と黒かっ色とのまだらで喉は黄かっ色無はん。

生態 欧亜大陸の中北部・北米で繁殖し冬期はアフリカ・中国南部・南米などに渡る。我国では少数のものは北海道北部で繁殖するが大部分のものは秋期シベリア大陸より渡来す。冬期各地の湖沼、沼沢地、海上に普通である。海上では数百の大群をなし岸に近い浅瀬に生活することが多い。

分布 北海道では少数繁殖するほか冬鳥として北海道・本州・八丈島・四国・九州・種子島などに渡来する。」

 雲場池で初めて見かけた時は、マガモやオカヨシガモが30羽ほどの群を作っている中にいて、マガモよりやや小さく、1羽だけ胸の白さが目立っていた。カメラの超望遠レンズ越しに見ると、嘴の大きさが明らかにマガモやオカヨシガモとは違っていて、すぐにハシビロガモと気づいた。

ハシビロガモ♂エクリプス 1/7(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 2/7(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 3/7(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 4/7(手前、奥はマガモのペア 2023.12.25 撮影)


ハシビロガモ♂エクリプス 5/7(手前、奥はコガモ♂ 2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 6/7(中央、左右はコガモ 2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス 7/7(2023.12.25 撮影)

 雌雄の区別は、帰宅後図鑑を見て確認した。羽色と紋様は♀に近いものであったが、虹彩の色が黄色いところと嘴の色が黒いことから♂のエクリプスと判定した。
 ♀の場合、「虹彩は褐色で嘴はオレンジ色に黒みを帯びたものが多いが、ほとんど黒いものもいる。」(日本の鳥550・水辺の鳥、2000年 文一総合出版発行)、「♀は目が黒い、エクリプスは♀に似るが、目の色は黄色。」(野鳥観察図鑑、2005年 成美堂出版発行)とされている。

 この個体は翌日には姿を消してしまったので、もう見る機会はないのかと思っていたが、年が明けてしばらくたった1月16日に、今度は2羽が姿を見せた。


ハシビロガモ♂エクリプス2羽 1/3(2024.1.16 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス2羽 2/3(2024.1.16 撮影)


ハシビロガモ♂エクリプス2羽 3/3(2024.1.16 撮影)
 
 この2匹もまた♂エクリプスであると判定したが、これはやや難しかった。全体的な外観は先月来たものとほとんど同じであったが、同一個体が含まれているかどうかは判らない。問題は嘴で、その色は片方が黒く、もう片方はオレンジ色が混じっていた。前記の図鑑によると、♂の嘴は黒いとされているのである。一方、虹彩は2羽ともよく似ていて黄色である。

 嘴の色から片方が♀かもしれないと思えたが、虹彩の色が黄色いこと、胸の色が白く変化し始めていることから、2羽とも♂エクリプスであると判定した。

 嘴の黒い個体は次の通り。


嘴の色が黒いハシビロガモA 1/2(2024.1.16 撮影)


嘴の色が黒いハシビロガモA 2/2(2024.1.16 撮影)

 続いて嘴の色にオレンジが混じる個体。

嘴の色にオレンジ色が混じるハシビロガモB 1/2(2024.1.16 撮影)


嘴の色にオレンジ色が混じるハシビロガモB 2/2(2024.1.16 撮影)

 ところで、このハシビロガモの嘴だが、形状だけではなく、その機能も特異なものである。

 くちばしの側面には歯を思わせるくし状のものがあって、このくちばしを水面に付け、水を吸い込み、水とともに入ってくる植物プランクトンなどを濾しとり、水を排出するのだという。

 今回は2羽だけであったので、見ることはなかったが、水面を泳ぐ脚の動きで水を撹拌するため、植物プランクトンが水面近くへ動き、それを狙った次の個体が後方へ並ぶことがあるという。そのため何十羽も集まると、大きな渦になるとされる。

 その嘴の側面のくし状のものが分かる拡大写真と、水面を掬うようにして泳ぐ姿は次のようである。

嘴の側面のくし状のものが分かる拡大写真(2024.1.16 撮影)

水面を掬うようにして植物プランクトンを捉えながら泳ぐ姿(2024.1.16 撮影)




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テーブルウエア・フェスティバル

2024-01-19 00:00:00 | 日記
 昨年12月6日、東京ドームシティー プリズムホールで開催されていた、テーブルウエア・フェスティバルを見るためにJR水道橋駅に出かけた。

 もう20年ほど前になるが、転勤先の広島県三次市の液晶製造工場から東京の本社に戻ってきた時の職場は、この隣の飯田橋の駅近くにあった。この頃、本社は有楽町駅前にあったが、手狭になっていたこともあって、飯田橋のビルに電子関連の部門が分室として置かれていたからである。毎日通勤していたものの、飯田橋駅で乗り降りするだけで、周辺を見て回ったり、隣にある後楽園球場に足を運ぶことはなかった。

 職場での昼食時には飯田橋駅周辺から神楽坂あたりに出かけて行き、何軒かの行きつけの食堂も自然にできた。ただ、特に少し遠出して、おいしい店を探して水道橋周辺に出かけるということもなかった。

 今回水道橋駅から会場のプリズムホールを目指し歩き始めたが、後楽園ホールビルや東京ドームホテルなどが立ち並び、辺りの様子が一変していて、案内板を見てもなかなか目的の場所は見つからない。

 結局東京ドームホテルを通り過ぎて、周辺を見通せる2階の広場に上り、ここで再び案内板で確認してようやく会場に辿りついた。

 さて、このテーブルウエア・フェスティバル、1993年から毎年開催されているという。以前アンティーク・ガラスショップを始めようと計画していた頃にも、一度出かけたことがあったが、もう10年近くも前のことになるので、確か東京ドームでの開催であったと思うが、どのような様子であったのかよく覚えていない。

 今回は、新聞広告で開催を知ったが、その広告の写真には、たくさんの美しいワイングラスが写っていたので、一層、興味を持ったのであった。


テーブルウエア・フェスティバルのパンフレット

 この新聞広告には「海外ブランドが一堂に会する”器の祭典”」といった文字や、女優の黒柳徹子さんと田川啓二さんの写真と共に、「一年で最も華やぐクリスマスシーズンに開催となる『テーブルウエア・フェスティバル』。お二人が演出する華ある煌めきのクリスマス空間で皆さまをお迎えいたします。」といった文章が添えられていたことも興味を惹いた。会場で受け取ったパンフレットにも同様の写真や文章などの内容が掲載されている。

 また、「国内・海外のグラスウエアが壁面を美しく飾る中、シャンパンを憧れのグラスでテイスティングする。」といった企画もあり、グラスメーカーとしては、KAGAMI、北一硝子、島津薩摩切子、リーデル、ロブマイヤーの名前が見られた。

 会場に入るとすぐに黒柳徹子さんと田川啓二さんが演出を手掛けたという「Welcome Coordination」の展示ブースが目に入り、次のようであった。
 

黒柳徹子&田川啓二さんの「Welcome Coordination」展示ブース(2023.12.6 撮影)

 この展示ではグラス類もふんだんに使用されていて、モーゼル社の代表製品マハラニも見られた。今回のブログではこの展示内容の写真も含めて、会場の主な展示品を3D写真でご覧いただこうと思う。




「Welcome Coordination」展示の3D写真 1/2(上:平行法、下:交差法 2023.12.67 撮影)




「Welcome Coordination」展示1の3D写真 2/2(上:平行法、下:交差法 2023.12.67 撮影)

 続いて、レイノーのブース。この展示品の写真は新聞広告やパンフレットにも使用されているものであるが、ここでの展示はその内の赤を基調とした部分だけの展示になっていて、白を基調とした展示の方は別のコーナーで見られた。



「Welcome Coordination」展示ブース2の3D写真 1/2(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)

 同じ展示ブースを、左側から撮影したものは次のようである。


「Welcome Coordination」展示ブース2の3D写真 2/2(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)

 この展示ブースに続いて、特集企画「Christmas & New Year 」として、著名ブランドの製品を展示したコーナーがあり、アウガルテン、エルキューイ、オレフェス、ジャン・ルイ・コケ、Twing New York、ベルナルド、ヘレンド、リーデル、レイノー、ロブマイヤーの製品展示ブースがあった。

 テーブルセッティングの主役は、皿や器類、ドリンキング・グラス類、そして各種のカトラリー、和食では箸ということになるが、私が興味を持っているグラス類についていえば、それほど多くのメーカーが出品していたわけではなかった。

 国内で人気の高いバカラをはじめとして、モーゼル、ラリックなどの製品の姿はなく、ロブマイヤー、リーデル、オレフェスなどの意欲的な最新作を見ることができた。

 次はリーデル社の展示コーナーの3D写真。この製品はほかのいくつかの展示作品にも用いられていた。



リーデル社の展示コーナーの3D写真(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)




特集企画・展示コーナーの3D写真(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)




オレフォス社の展示コーナーの3D写真(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)



ヘレンド社の展示コーナーの3D写真(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)

 また、今回はカトラリーにも期待していた。こちらもそれほど多くのメーカの展示はなく、ブースを構えていたのはフランスのエルキューイだけで、人気のクリストフルは専用ブースではなく、特集企画展示の中に最新のセット製品が見られた。



エルキューイ社の展示コーナーの3D写真(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)

 この奥の「テーブルウェア大賞」展示コーナーには、コンテストに入選した作品が展示されていた。



「テーブルウェア大賞」作品展示コーナーの3D写真 1/7 (上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)




「テーブルウェア大賞」作品展示コーナーの3D写真 2/7 (上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)



「テーブルウェア大賞」作品展示コーナーの3D写真 3/7 (上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)




「テーブルウェア大賞」作品展示コーナーの3D写真 4/7 (上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)




「テーブルウェア大賞」作品展示コーナーの3D写真 5/7 (上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)



 
「テーブルウェア大賞」作品展示コーナーの3D写真 6/7 (上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)




「テーブルウェア大賞」作品展示コーナーの3D写真 7/7 (上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)

 これらの展示に共通しているのであるが、グラス類が展示作品をより立体的に見せ、高さを演出するものとして使われていることがわかる。

 テーブルセッティングの展示のほかに、会場には100近くの出展ブースがあり、ここでは陶磁器、カトラリー、ガラス器などの展示販売も行われており賑わっていた。ガラス器では国内メーカーのKAGAMI、薩摩切子などのブースも見られた。



やや古い時代のガラス・チロリが見られる展示販売ブースから(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)



展示販売ブースから 1/7(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)



展示販売ブースから 2/7(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)


展示販売ブースから 3/7(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)


展示販売ブースから 4/7(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)




展示販売ブースから 5/7(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)


展示販売ブースから 6/7(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)



展示販売ブースから 7/7(上:平行法、下:交差法 2023.12.6 撮影)


 

 



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パール浅間とダイヤモンド浅間

2024-01-12 00:00:00 | 浅間山
 お正月恒例の特別番組を見ていると、今年も早朝、ヘリコプターから日の出を追う企画が放送されていて、太陽が地平線に現れると、スタジオでも歓声が上がり、大型スクリーンに映し出される初日の出の様子を、出演者も手持ちのスマホで撮影する様子がTV画面上で見られた。
 
 続いてヘリは場所を移動させて、富士山の山頂に太陽がかかる瞬間、すなわちダイヤモンド富士の様子を捉えていた。

 毎日のように繰り返される日の出であるが、やはり元旦の日の出となると特別な感慨がある。

 こうした光景を地上から眺めることのできる地域もあるはずであるが、当地からは富士山は望めないので、代りに浅間山に託すことになる。しかし、私自身は元旦のこうした光景には特別な関心があるわけではないので、これまで元旦のダイヤモンド浅間を見ようとしたことがなかったし、撮影することもなかった。

 ところが、偶然ダイヤモンド浅間を見る機会が訪れた。2019年2月9日のことになるが、浅間山の東側、六里ヶ原付近の道路を車で通り抜けようとしたときに、偶然太陽が浅間山の山頂付近に沈んでいくところに出会った。

 かねてダイヤモンド富士やパール富士という言葉は聞いていたので、車を道路わきのスペースに移動させ、持っていたカメラで太陽がちょうど浅間山の山頂にかかる瞬間を撮影した。次のようである。


ダイヤモンド浅間(2019.2.9, 15:25 撮影)

 いつも連絡を取り合っている友人にはこの時の写真をメールに添付して紹介したが、その後はそれ以上、次は日の出時刻のダイヤモンド浅間を追うといったこともなく、忘れてしまっていた。

 一昨年になるが、皆既月食と天王星食が同時に起きる極めて珍しい現象が見られるとの報道に刺激され、11月8日の夕方急に思い立って撮影準備を始めた。その時のことは、当ブログ(2022年11月11日公開)で紹介したが、常用のカメラと超望遠レンズで、月をそこそこに撮影できることを確認した。


皆既月食と天王星(2022.11.8 撮影)

  これに味をしめて、この年の年末に2022年最後の満月を撮影した。この段階では、まだパール浅間を意識しておらず、自宅近くの浅間山を望める場所に行って撮影をしたが、満月は浅間山の左手、西側山麓に沈んでいった。

 ちょうどこの頃、サッカーワールドカップの三苫の1mmという話題で持ちきりであったことから、満月をサッカーボールに、稜線をゴールラインに見立てて、とっさに撮影したのが次の写真であった(2022.12.23 公開当ブログ)。


浅間山麓に沈む2022年最後の満月(2022.12.9, 6:57 撮影)

 この写真を眺めていて、次はぜひ浅間山山頂に満月が沈む、パール浅間を撮影してみたいと思うようになった。しかし、自宅付近で浅間山をきれいに望める場所は意外になくて、満月が浅間山頂上付近に沈んでいく場所となると、条件がさらに限られてくるので、月の入りに関する暦と、自宅周辺の地図とを見比べて撮影ポイントを探すことになった。

 ネット上に撮影ポイントの情報がないか検索してみると、ダイヤモンド浅間とパール浅間の観察会の情報が見つかった。いずれもすでに終了していたが、次のようであった。


小諸市・安藤百福センター主催のダイヤモンド浅間観察会のちらし


小諸市・安藤百福センター主催のパール浅間観察会のちらし

 ダイヤモンド浅間の方は、2121年11月13日開催で、観察場所はまさに私がダイヤモンド浅間に出会った六里ヶ原周辺であった。

 一方、パール浅間の方は、2022年10月10日開催で、観察場所は黒斑山周辺であった。

ダイヤモンド浅間観察場所、パール浅間観察場所と軽井沢の撮影場所

 ダイヤモンド浅間は太陽が浅間山山頂に沈んでいく様子の観察、パール浅間の方は浅間山の山頂付近から満月が昇ってくる様子の観察であった。一方、私が探しているのは、浅間山山頂付近に満月が沈んでいく様子を観察・撮影できるポイントなので、残念ながらこの観察会情報は参考にはならず、やはり自分で探し当てる他ないことが分かった。

 ただ、こうした観察に興味、関心を持つ人がいることに勇気づけられた。

 日の出・日の入り、月の出・月の入りに関する情報は、国立天文台から公開されている。長野県の暦から、上記観察会や、私が満月を撮影した日、今後撮影の可能性のある日に関連したものを抜粋すると、次のようである。


ダイヤモンド浅間とパール浅間に関連した長野県の暦(国立天文台の資料から抜粋)

 2022年12月9日に私が軽井沢町内で月の入りを撮影した時の方位角は、上の表に見られるように、304.0度である。地図から読みとると、同じ撮影場所から、浅間山山頂に沈むところを撮影するには、方位角が310度くらいでなければならないが、年間を通じてそうした状態になることはなく、撮影場所を別途探さなければならないことが分かる(実際には、撮影場所と浅間山の山頂の高度を考慮して、上表の方位角からの補正をしなければならない。)。

 満月時の方位角が最も大きくなる12月を選び、その撮影ポイントを求めると、次の地図の青のラインが得られるので、このライン上で浅間山が最もよく見渡せる場所を探したところ、運よくこれらの条件を満たす場所があった。


パール浅間撮影ポイントを地図上で探す

 撮影予定日は2023年12月27日(月齢14.1)と28日(同15.1)である。月の入りの方位角は26日と28日は全く同じになるので、予定前日の26日に月の入りの場所が期待通り浅間山山頂に来るかどうか確認ができる。

 12月26日早朝に撮影したパール浅間の写真は次のようであった。日の出時刻は6:58なので、まだ真っ暗な浅間山に月齢13.1の月が沈んでいくところを確認したが、ほぼ予定通りの場所であった。

満月前日のパール浅間(2023.12.26, 5:37 撮影)

 翌27日は一番期待していた日であったが、生憎の天候で、浅間山は霧の中。何も見えない状態であったので、翌日に期待するほかなかった。

 
霧が出て浅間山の姿は見えない(2023.12.27, 6:34 撮影)

 翌12月28日も自宅周辺は霧に包まれていて、期待薄であったが、撮影ポイントに行ってみると、自宅周辺よりも高度が高く、霧の上に出ることができたので、僅かに浅間山の山頂付近が望めた。

 
撮影ポイントからは満月と浅間山が見える(2023.12.28, 6:45 撮影)

 ビデオカメラをタイムラプスにして撮影を開始し、傍ら、常用のカメラ2台で写真撮影をおこなった。このタイムラプス映像の方は、先に公開(2024.1.1 本ブログ)しているので、撮影時の様子をご覧いただけるが、霧は濃くなったり山頂付近が見えたりを繰り返した。

 朝焼けが強くなる時や、満月が山頂に接してパール浅間状態になるところでは、幸いにも山頂部の霧が晴れて何とか撮影することができ、次のようであった。

朝焼けの浅間山と上空の満月(2023.12.28, 7:02 撮影)


浅間山山頂付近に沈む満月、パール浅間(2023.12.28, 7:18 撮影)

 できれば、冠雪の浅間山が朝焼けに染まり、その山頂に満月の沈むところを撮影したいものと思っているのであるが。何しろ様々な条件に恵まれなければならず、果たして今後そうしたチャンスが巡ってくるだろうか。



 
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地震予測と対策(7)令和6年能登半島地震

2024-01-05 00:00:00 | 地震
 少し遅めに届いた年賀状を読み始めた時、携帯電話がけたたましく鳴り響き、地震発生を伝えた。まもなく横揺れが到達し、おろおろと何もできないうちに2階で「こけし」の倒れる音が響いた。

 TVをつけると、震源地は能登半島の輪島付近とのことで、ゆっくりとした横揺れがしばらく続いてやがて収まり、転倒したこけしも4分の1程度で、他にはそれ以上の被害はなかった。当地の震度は4と発表された。

 ショップのガラス器は、冬季休業期間中は棚から下ろして、箱詰めしておいたので、こちらは心配なかったが、念のため車でショップの点検に出かけた。

 途中、車のナビを操作すると地震ニュースが流れ、大津波が発生するので、急いで高いところに非難するようにと、女性アナウンサーが繰り返し絶叫する声が続いた。まだまだ余震が続いていることをうかがわせた。

 ショップは何事もなく、詰め残してあった、壺や、ワインのボトルなども転倒することなく、まったく影響を受けた様子はなかった。

 ほっとして帰宅し、再びTV放送を見たが、津波警報は発令されたままで、余震の大きさが実感された。

 今回震源地となった能登半島では、一昨年の2022年6月19日15時08分頃、珠洲市付近でマグニチュード5.4の地震が発生し、この地方を最大震度6弱の揺れが襲っている。そして、その後もこの地方では繰り返し地震が発生していた。 

 この地震がきっかけとなり、地震とその対策について、2022年6月24日以来一連のブログ記事を書くようになったのである。

 ただ、珠洲市付近では群発地震が発生しているものの、規模が比較的小さく、その後それほど大きい地震が発生するといった危機感に乏しかったため、ブログでは主にマグニチュード7クラスの首都直下地震とマグニチュード9クラスの南海トラフ地震の発生メカニズムについて取り上げ、政府から発表されている地震発生確率の計算方法などについて調べてきた。

 しかし、今回1月1日に起きた能登地方地震の規模は、マグニチュード7.6、最大震度7に達するものであり、国内で震度7が確認されたのは、平成30(2018)年9月の北海道胆振東部地震以来で5年ぶりのもので、震度7が新設された昭和24(1949)年以来、6回目のものになった。

 石川県能登地方では、2018年頃から地震回数が増加傾向となり、2020年12月から地震活動が活発になっている。気象庁によると、2020年12月以降、2023年6月8日8時の時点までに震度1以上の揺れを437回観測している。

 今回1月1日に発生した地震はこうした一連の地震の中でも最大のものとなった。この他、2023年5月5日に発生したM6.5の地震では珠洲市で最大震度6強を観測、上記の2022年6月19日に起きたM5.4の地震では珠洲市で最大震度6弱の揺れを観測、2021年9月16日には珠洲市で最大震度5弱を観測するM5.1の地震が起きている。一連の地震活動は、東西約15km、南北約15kmの領域で発生しており、特に北側から東側にかけての領域で地震活動が活発とされる。

 これら群発地震の詳しい原因はわかっていないが、2022年の地震当時の、京都大学の西村卓也准教授の説明によると、海側のプレートと陸側のプレートの隙間にしみ込んだ水の一部が上昇し、地下十数キロメートル付近にたまって、周囲の岩盤に力を加えたり、しみ込んで地震を起きやすくさせていると解説している。

 金沢大学の平松良浩教授もまた今回、地下から上昇した流体により地殻が膨張している可能性があると指摘しているし、東京工業大学の中島淳一教授は、同地域における過去の地震の伝播を解析した結果から、やはり半島地下に水が広く存在していると推測している。

 2023年4月に地震調査研究推進本部地震調査委員会が発表した地震活動の評価でも、能登半島での活発な地震活動について、『地殻変動域の変化、地震活動の浅部への移動、電気伝導度の分布などから、今回の活動には、流体の移動が関与している可能性がある』としていた。(ウィキペディア 能登群発地震より抜粋)

 今回の「令和6年能登半島地震」の震源地と地震の規模は次のようである。


令和6年能登半島地震の震源地(ウィキペディアより)

令和6年能登半島地震の本震から約1日間の余震の発生時刻とマグニチュードの推移(日本気象協会資料を参考に震度4以上をグラフ化)

 この中から震度5弱以上の地震について、その震源分布を見ると次のようであり、能登半島周辺の比較的広い範囲にあることが分かる。


令和6年能登半島地震の本震発生から約1日間の震度5弱以上の地震の震源地分布(黒Xは本震 日本気象協会資料を参考に作図)

 ところで、今回の令和6年能登半島地震について、私が購読してきている「地震予測メルマガ」がどのように予測していたか、確認しておこうと思う。

 この地震予測メルマガは毎週1回水曜日に公開されていて、今回は2023年12月27日発行分が地震発生直前のものである。この地震予測メルマガでは、「ピンポイント予測」として、「マグニチュード6クラス以上の地震が1か月以内に起こる」ことを予測して公表しているが、今回の令和6年能登半島地震の予測はできなかったため、翌週地震発生後に次のようなコメントを載せた。

 「・・・弊社では複数の観測データに異常が現れましたので、11月8日から29日までピンポイント予測を発出しましたが、 この段階で地震は現れませんでした。 その後12月に入ってからもう一度観測データに異常が現れましたので、ピンポイント予測を出すかどうか検討しましたが、 規模はそれほど大きくならないと判断し、12月20日号にてM5クラスの地震が起きる可能性があるというコメントを掲載しました。
 結果としてM7.6の大地震が発生しました。 大きな地震ほど前兆現象から地震発生まで時間がかかる傾向がありますが、非常に難しい判断となりました。
いずれにしてもピンポイント予測を発出できず、加入者様のご期待にそえなかったことを深くお詫び申し上げます。(2024年1月3日発行分より) 」

 地震予測メルマガは国土地理院の電子基準点データを主な情報源として、その他の地震予測関連情報を加味して予測を行っているとされ、ピンポイント予測ではマグニチュード6クラス以上を予測対象としているので、今回のマグニチュード7.6に対しては、より大きな変化が捕えられていなければならないが、そうした兆候は見られなかったようであり、地震の直前予測は困難と言わざるを得ない結果である。

 1月3日の購読紙には、この能登半島地震のニュースが大きく報じられるとともに、そのメカニズムに関連して次のような記事が見られた。

 「・・・政府の地震調査委員会は2日、臨時会を開いた。盛山文部科学相は会議の冒頭、『できるだけ早く、どのような地震が発生したのかを正確に把握し、今後の見通しを得ていくことは、二次被害の防止や今後の災害対応に資する』と強調。『データが現状では十分収集できているとは言い難いが、最善を尽くして科学的な評価をお願いしたい。』と話した。
 2日の臨時会では、今回の地震の特徴やメカニズム、能登地方で相次いでいる一連の地震活動との関連などについて議論する。」

 また、東北大学の遠田晋次教授(地震学)の話として、「最悪のシナリオの地震が起きてしまった。」と紹介し、国土交通省の有識者会議が2014年にまとめた報告書について次のように紹介している。

 「(能登)半島北側には北東から南西に長さ100キロメートル余りの活断層帯がある。その全域が連動してずれ動く『最悪シナリオ』では、今回と同じM7.6の地震が起きると予想されていた。・・・M7.6の地震発生後は、幅130キロメートルの範囲で地震活動が活発化。遠田教授は『活断層帯が活動した結果、延長線上にある周辺の断層も活発になっている』とみる。今後、さらに広範囲に活動が及ぶ可能性もあるという。
 半島一帯では、2020年12月以降、今月2日までに震度1以上の地震が700回以上発生。地下に存在する水のような流体が、周辺の岩盤を滑りやすくしているのが一因とみられている。群発地震が長期に及んだ影響で、地下の岩盤にかかる力のバランスが変化し、活断層帯が刺激された可能性もある。」

 「能登半島周辺以外にも、日本海側の沿岸近くの海域には、津波をもたらす大規模地震を起こすような断層が存在する。国交省の有識者会議では、少なくとも60か所の活断層が存在し、数メートルから12メートルの津波をもたらす可能性があると指摘している。ただ、、こうした断層による地震の発生確率については評価が遅れている。
 政府の地震調査研究推進本部は22年、日本海側の海域活断層による地震の発生確率の評価の一部を公表。現在までに公表されているのは、九州から中国地方にかけた『南西部』のみで、今回の地震の起きた海域は評価が公表されていない。」
 
 この委員会に関して、日経新聞は次のように伝えている。 
 「政府の地震調査委員会(委員長・平田直東大名誉教授)は2日、臨時会を開き、最大震度7を記録した能登半島地震の分析や今後の動向について検討した。国は主要な活断層について長期評価を公表しているが、今回地震のあった断層は対象外だったと明らかにした。
 平田委員長は『(長期評価は)慎重にやっており、非常に時間がかかる』とした上で評価していない断層で大きな地震が起きたことについて『非常に残念だ。もっと早く評価しておくべきだった』とも話した。
 世界でも有数の地震大国の日本では各地に断層が存在し、リスク評価が追いついていない側面が浮き彫りになった。今後、政府の長期評価のあり方も問われそうだ。」

 この地域での地震発生のメカニズムが分からない限り、その発生確率もまた求めることができないのであるが、「海側のプレートと陸側のプレートの隙間にしみ込んだ水の一部が上昇し・・・」という指摘があるので、次図から判断するとユーラシアプレートおよび北米プレートの2枚の陸側のプレートの下に潜り込む太平洋プレートおよびフィリピン海プレートの先端付近で起きている地震と考えられ、そうだとすれば、今最も懸念される南海トラフを震源とする超巨大地震との関連もあるのではと思われ、今後の発表に注目したい。(赤の点線は資料図に筆者が追記したもので、地震発生メカニズムとは直接関係しない)




 

 

 





 

 

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ウクライナ情勢(12/26~12/31 最終回)

2024-01-02 00:00:00 | ウクライナ情勢
12月26日
・ガザ包括停戦 3段階案 サウジ報道 エジプトが提示
・日本船攻撃 イラン否定
・【社説】2023回顧・世界 ガザの惨状に胸を詰まらせた
・ウクライナ支援 冷める欧州 生活苦「内向き」に ポピュリズム政党伸長
・ウクライナ世論調査 反攻進まず厭戦ムード 「領土諦めてもよい」19%
 露では「来年の終結期待」45%
・イスラエル 人手不足 ガザ戦闘で パレスチナ人排除 アジア系帰国 アフリカから補充

12月27日
・イラン将官 シリアで死亡 革命防衛隊 イスラエルに報復宣言
・処理水 日中専門家協議へ 来年
・ガザ人道支援へ 調査チーム派遣 医師ら3人 外務省
・露 ウクライナ拠点「解散」 プーチン氏「戦果」アピールか
・人質解放へ「戦闘やめぬ」 ガザ情勢 ネタニヤフ首相演説
・「自発的に移住」ガザ住民に促す ネタニヤフ氏方針
・防衛事業 拡大の動き IHI、人員1.5倍に
・【解説】ウクライナ支援 官民が連携 日本・現地企業 共同事業
 経済力維持 士気に直結、越冬へ電力に重点

12月28日
・イスラエル 「多方面と戦争状態」 ヒズボラ 相次ぎ攻撃か
・ウクライナ 東部 露軍が主導権 拠点マリンカ撤退
・ウクライナ 苦戦打開へ動員強化 年齢引き下げ 訓練拡充
・兵器共同生産 露印に「進展」 外相会談
・イスラエル ネタニヤフ氏 強まる批判 政権1年 国内分断 ハマス伸長
・イラン 60%ウラン増産 IAEA報告 11月下旬から月9キロに
・スウェーデン加盟へ トルコ議会委が可決 NATO関連法案
・米カタール首脳 人質解放へ協議
・人道調整官にカーフ氏(オランダ) 国連事務総長が任命

12月29日
・ヒズボラへ反撃強化 警告 イスラエル軍 「高いレベルの準備」
・金正恩氏 韓国挑発を指示 韓国情報機関 来年初め可能性
・日本の武器輸出 露「敵対行為だ」 米にパトリオット解禁
・米、ウクライナ支援2.5億ドル 弾薬など 予算枯渇 追加は困難
・イスラエル兵士 拘束の村人虐待 5人免職
・「ヒトラーと同じ」「クルド人虐殺」 トルコ・イスラエル応酬

12月30日
・露、ウクライナ全土攻撃 「最大規模空襲」 19人死亡、108人負傷
・回顧2023 対中露「法の支配」訴え 日韓改善 安保を強化
・竹島周辺で訓練 韓国に政府抗議
・米、防御重視へ転換促す ウクライナに 支援予算枯渇で
・ヒズボラ拠点を攻撃 イスラエル
・人質射殺「悪意なかった」 イスラエル軍調査 脅威と見なし発砲

12月31日
・ロシアにらむ潜水艦隊 スウェーデン NATO加盟 抑止力に
・露攻撃 ウクライナ全土被害拡大 死者30人に 要陸艦破壊の報復か
・露ミサイル ポーランド侵入
・「ハマス指導者 潜伏先破壊」 イスラエル ラファ避難さらに10万人
・【社説】パリ五輪 露選手出場には違和感がある
・バルト海 NATO優位に スウェーデン加盟なら 危険な海 潜水艦隊に自信
・バイデン氏 「プーチン止めなければ」 ウクライナ全土攻撃で声明
・米、イスラエルに砲弾売却
・露侵略 国民が危機感 中立・非同盟を転換 スウェーデン
・イスラエル侵攻 南ア「集団殺害」 ICJに提訴

今回で最終週とします。




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