軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

ノチーノ作り

2022-07-29 00:00:00 | 日記
 ここしばらく、ジャコウアゲハの話が続いたので、話題を変えて、最近作った果実酒のお話。

 妻がツイッターで、「ノチーノ」というクルミとウォッカで作られた果実酒があってとても美味しいらしい、との情報を得て、作ってみたいと言いだしたのは6月中旬頃のことである。

 クルミは軽井沢の山地にも自生していて、近隣の小諸市や東御市はクルミの産地としても有名なところなので、実の入手も容易だろうから挑戦してみようということになった。

 これまでにも、梅酒をはじめとして、クサボケ(ジナシ)、マタタビ、サルナシ、グミ、カリンなどの果実酒を作ってきた経験があるし、オリーブの実の渋抜きをして塩漬けを作った経験があるので、ハードルはそんなに高くない。

 問題はクルミを最適な時期に確保できるかどうかである。このノチーノは、クルミのまだ青い状態のものを用いて、中の殻がまだ固くならないうちに果実を半分か4分の1にカットして、ウォッカに漬け込むのだそうである。従って、今回のクルミの実は道の駅などで入手できるものではなく、やはり自分でクルミの木を探して、採集しなければならない。

 そこで、軽井沢の林道などを車で通った際に、道路脇にクルミの木を探して、実の付き具合を確認してみた。実を付けている木はすぐに何本か見つかったが、まだその実はとても小さく、さすがに果実酒には早すぎるようなので、あと半月ほど待たなければならないだろうと考えていた。

 一方、素材のうちウォッカの方は、早々と用意ができた。というのは、道の駅に立ち寄った時に、めずらしく青梅の「白加賀」が店頭に並んでいたので梅酒を作ろうということになり、これを買い求めて、そのあとすぐに焼酎を買いにリカーショップにも立ち寄ったのであった。店の棚にはウォッカも種々あって、ノチーノ用として80%プルーフのものを用意した。

ノチーノ作りに用意した80%PROOF(40%アルコール)ウォッカ

 翌日、ジャコウアゲハの幼虫の餌となるウマノスズクサをいただくために、小諸のMさん宅を訪問した際、Mさんがまだ外出から戻ってきていなかったので、広い庭の一角のテーブルと椅子のある所で待っていたところ、妻が足元に2-3cmほどの青い実がたくさん落ちているのを見つけた。傍らにあり、日陰を作っている木はクルミの木であった。風で自然に落ちてきたもののようで、拾い集めるとすぐに500gほど集まった。

 Mさんにそのことを告げていただいて帰ったのであるが、思いがけず早く「ノチーノ」作りの材料が揃い、早速この日の夕方「白加賀」の梅酒と共に、ノチーノ作りを開始した。

 先ず、手慣れている梅酒の方から始めたが、白加賀梅のヘタを取っている妻が、他の種の梅に比べて、ヘタを取るのに手間取るとこぼしていた。ふつうはポロリと取れるが、白加賀は包丁などで掻き取るようにしないととれないという。間もなく、この梅の実を氷砂糖と共に、ホワイトリカーで漬け込んで、梅酒の方は順調に完了し、次にノチーノにとりかかった。

 拾い集めてきたクルミの実は、さすがに表面が一部黒くなっているものも含まれている。あまりに黒くなっているものは捨てて、一部が黒くなっているものはその部分を切り取って使用したが、果実は中がまだ柔らかく、包丁で簡単に半分に切ることができた。内部には未熟な殻の構造がみえる。

 きれいな実の場合は、中も淡い緑色をしているが、なかには外からは判らなかったが、中が黒くなっているものもある。すべて、半分にカットし、傷んでいるものをより分けて見ると、1/3ほど捨てることになった。

 クルミの実はカットすると、断面がすぐに黒くなると判っていたので、貯蔵瓶にウォッカを適当量注いで準備をしておき、カットしてみて中の状態の良いものはすぐにウォッカに漬け込んでいった。

 こんな風にすると、あらかじめクルミの分量を量ることができないので、瓶を計量秤の上に乗せたまま作業を行った。

 クルミの実をウォッカに漬け込むと、ウォッカの方はクルミから出てくる果汁ですぐに黄色く変化し始めた。クルミは結局350gほどあり、すべてのクルミを投入した後で、ウォッカの量をクルミの1.5倍重量にするため追加調整し、氷砂糖はクルミの1/2重量加えた。

 漬け込んでから数時間で、ウォッカは淡黄色から濃い緑色へと変化していき、ネット情報で得たレシピに従って、瓶を振って泡立てていると次第に色が濃くなり短時間のうちに黒色へと変化していった。

 これは、クルミの実から出たタンニンが空気に触れて酸化して起きる変化だという。この瓶は、太陽光に当て、時々蓋を開けて新鮮な空気を取り入れ、そして泡立つように振ってやる必要があるという。こうすることで、熟成が進み、初めのうちは激しい渋さでとても口にすることができないものが、渋みが抜けてまろやかになっていくのだという。

 このノチーノの本場イタリアでは、6月24日、聖ジョバンニの日の夜に漬け込んで、翌年のクリスマスまで、1年半ほど寝かせてから飲みはじめるそうである。

 ネット情報では、漬け込む日はこの6月24日でなければならないとされているが、ここは日本、その事には目をつぶって、6月22日の作業であった。いつ頃から飲めるようになるか、白加賀の梅酒とどちらが先に飲み頃になるか楽しみである。

 こうしてノチーノ作りは思いがけずクルミを入手できたことで、予定していたよりも早く進めることができたが、やはり軽井沢のクルミでも作ってみたいとの思いがあり、あらかじめ下調べをしてあった山地の木のクルミの実がが大きくなったのを見計らって採集に出かけた。

 小諸のMさん宅で拾い集めたクルミは菓子グルミだと妻が言っていたが、軽井沢で見つけてあったクルミはオニグルミである。葉の形や実の付き具合が全く異なっているので、それとわかる。

 今度は樹上にある房状のものを、高枝切りばさみで切り取ったが、大きな2本の木からすぐに1.5Kgほどの実を採集できた。実の大きさは3cmほどである。

 初めに用意してあったウォッカはすでに大分使ってしまったので、新たに購入することにした。ノチーノの作り方をネットで調べていると、ウォッカの選び方には大別して2種類の方法があることがわかる。アルコール度数でいえば40%程度のものと、95%程度のものを用いる方法である。

 アルコール度40%のウォッカを用いる方法はすでに菓子グルミの時に採用していたので、今度は別の方法で作ろうと思い、リカーショップでアルコール度数95%のウォッカを探すと、「ワルシャワの幻想」(96%アルコール)という種が見つかった。ほとんどエタノールであるが、こうしたものも作られていることを初めて知った。

ノチーノ作りに用意した96%アルコール度数のウォッカ

 採集したオニグルミの実の半分をこの96%アルコール度数のものに用い、残る半分はホワイトリカーで漬け込むことにした。96%のウォッカを用いたものでは、イタリアのレシピに従い、クルミは切らずにそのまま漬け込み、これにクルミとだいたい同量の氷砂糖、シナモンとクローブを少量加え、クルミの葉も入れた。

 ホワイトリカーに漬け込んだ方は、菓子グルミの場合同様、半分にカットして用いた。今回のオニグルミは枝から直接採取したものなので、実の傷みはない。


軽井沢産のオニグルミの実(2022.7.5 撮影)


96%アルコール度数のウォッカにオニグルミの実をカットしないで漬け込んで作ったノチーノ(2022.7.5, 17:14 撮影)


しばらくするとウォッカは黒ずんでくる(2022.7.5, 18:08 撮影)

 結局、クルミの実の種類が2種、アルコールの種類が3種となり、3種類のノチーノを作ることになった。レシピは次のようである。


作製したノチーノの3種のレシピ

 漬け込むとすぐにウォッカもホワイトリカーも色が黄緑色になりやがて黒ずんでくる。そして、2日後にはもう真っ黒になる。この後は、窓際の日の当たる場所において、毎日のように泡を立てるように振り、ふたを開けて新鮮な空気を送り込む作業を続けている。


クルミで作ったノチーノ:右からレシピ①、②、③(2022.7.5, 20:53 撮影)


真っ黒になり中が見えなくなってきたノチーノ(2022.7.7, 9:54 撮影)

 3週間近くたった今では、実もウォッカやホワイトリカーも色が真っ黒である。40%アルコールのウォッカとホワイトリカーを用いたものでは、氷砂糖はすでに溶けているが、96%アルコールのウォッカを用いたものでは氷砂糖はまだ溶けていないようで、容器を振るとザラザラと音がしている。

 ネット情報によると、熟成して渋みのとれたノチーノは、バニラアイスクリームにかけて食べると絶品だという。今年の年末には食べることができるだろうか、それまで容器を振り続けよう。 
 
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安倍晋三元首相襲撃事件(7/21~7/27) 

2022-07-28 00:00:00 | 安倍元首相銃撃事件
7月21日
・自民保守 影響力低下を懸念 安倍元首相死去 財政、憲法・・・旗振り役不在
・安倍氏追悼演説「来月5日」 自民、立民に提案
・警護や銃規制 あり方を議論 自民調査会
・安倍氏銃撃 銃の火薬 車庫で製造か 容疑者契約「乾燥させるため」

7月22日
・凶弾 要人警護㊤  30年前の教訓 薄れる
・安倍氏国葬 葬儀委員長は首相 国費支出 きょう閣議決定
・安倍派 暫定体制決定 塩谷・下村氏中心 後継不在 分裂含み
・昭恵夫人 首相と面会
・立民 旧統一教会調査へ
・国家公安委員長 「国の信用失墜」 安倍氏銃撃 警護検証

7月23日
・安倍氏国葬決定 9月27日、武道館
・政府、国葬準備本格化 内閣府、外務省、警察庁 担当部局を設置
・派閥研修再開

7月24日
・安倍氏銃撃 容疑者あすから鑑定留置 奈良地検 11月まで4か月
・凶弾 要人警護㊦ 公安委・警察 対応遅れ 銃器対策 SP・・・見直し急務
 二之湯智・国家公安委員長-中村格警察庁長官-鬼塚友章奈良県警本部長
 
7月25日
 休刊日

7月26日
・二之湯(国家公安委員長)、金子(農相)氏 民間閣僚に
・統一教会対策 立民検討へ
・広島サミット「万全警備を」
・山上容疑者を鑑定留置 拘置所移送 刑事責任能力見極め
・昭恵さん同乗車(警察庁の警護車両)に(同庁の別の警護車両)追突
 
7月27日
・甘利氏、安倍氏追悼演説へ 「アベノミクス」推進の盟友 衆院本会議
・甘利氏登壇 夫人が希望 安倍元首相追悼演説 第一次内閣から支える
・2閣僚、旧統一教会と関係 岸氏「選挙手伝ってもらった」
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ウクライナ情勢(7/19~7/25) 

2022-07-26 00:00:00 | ウクライナ情勢
7月19日
・ウクライナ検事総長(イリーナ・ベネディクトワし)解任 職員60人 露に協力疑い 
 情報機関トップ(イワン・バカノウ)も
・露、高機動砲破壊を優先 新露派「ドネツク年内制圧」 
・木材価格 再び高騰 直近3か月で2割 露から輸入減 品薄拍車 ウッドショック再燃か
・「反戦」元TV職員 モスクワで再拘束
・中国、台湾へ高速道計画
・ウクライナの平和願う音色 東京音大で演奏 ウクライナ出身音楽家など

7月20日
・プーチン氏 イランへ 侵略後初 旧ソ連圏外に 米けん制 トルコ交え首脳会談
・ザポリージャ 原発 露兵9人負傷か ウクライナ側投稿 「防護服着用せず」
・米、監視衛星28基発注 ミサイル防衛 極超音速兵器を探知
・【社説】「節ガス」要請 露のLNG供給停止に備えを 経産省は節ガス制度を設ける方針
・サウジ外相とエネ連携一致 首相
・露、制裁打撃緩和狙う イラン・トルコ首脳と会談 経済協力 主要議題に
・中央関係改善に期待感 王外相、仏高官と電話会談
・欧へガス供給「保証できず」 露国営企業 顧客に書簡 あす再開焦点
・エネ協力拡大 仏UAE一致 パリで首脳会談
・ウクライナ支援 米国務長官強調 ゼレンスキー氏夫人と会談 ワシントン
・ウクライナ復興 北労働者派遣 駐北露大使
・米「不当拘束リスク」新設 渡航情報項目に 中露やイラン対象
・米「一つの中国政策 不要」 前国防長官(エスパー氏)、台湾総統と会談
・英党首選  2位争い激化 保守党 スナク氏、3回目もトップ
・宝飾品 値上げ相次ぐ 金に投資マネー 露侵略 供給不安・円安も
・ウクライナ 平和願う音色 諏訪でコンサート パンドゥ-ラ奏者カテリーナさん
・ウクライナ基金 協力を 来月設置 避難民が呼びかけ(高森町) 

7月21日
・露大統領 穀物輸出「制裁解除が必要」 4者協議大詰め 米欧揺さぶりか
・露、部隊の規模縮小 英分析 長期化、消耗深刻か
・米艦 台湾海峡に 中国は反発
・立民議員 ウクライナ入国 2例目 自公、厳重注意の方針
・インド太平洋 連携強化一致 日・アイルランド首脳
・露、輸出再開見返り要求 制裁解除主張 プーチン氏強気崩さず
・対ウクライナ 軍事支援協議 米欧など会合へ
・露、ガス供給絞り再開か
・英保守党首選 5回目投票
・欧州議会副議長 台湾総統と会談 経済協力強化を確認
・ウクライナ侵略 経済分断リスク IMF専務理事指摘

7月22日
・露「南部2州制圧も目的」 領土拡大 強まる
・米中首脳会談 「10日以内に」 バイデン氏見通し
・中国測量艦が領海侵入 6回目 政府「懸念」伝達 屋久島周辺
・伊首相辞任 10月上旬総選挙か 物価上昇やウクライナ対応が批判受ける
・第三次世界大戦はもう始まっている エマニュエル・トッド著(文春新書)
・露パイプライン点検終了 欧州へ供給再開、6割減
・EU天然ガス使用15%減提案
・金禁輸・最大手行の資産凍結 EUが露制裁追加 
・穀物輸出3港対象に 南部オデーサなど 4者協議参加者見通し
・ウクライナ大統領夫人 軍事支援訴え 米議会演説「一人の母親として」
・分析ウクライナ危機 停戦の呼びかけ必要 中国社会科学院 ウクライナ研究室主任 趙会栄氏
・クルドで砲撃 観光客ら死傷
・インドネシア大統領訪中へ
・米アフリカ首脳12月に会議開催
・貿易赤字最大7.9兆円 対露輸入額7割増 資源高・円安 コスト増

7月23日
・防衛白書 中露の連携深化懸念 安保環境 厳しさ強調 露中北への認識 表現強める
・穀物輸出再開 署名へ 4者協議 合意文書 
・ウクライナ侵略 北岡伸一氏に聞く 「休戦協定」日本の仲裁も
 安保理「準常任理事国」創設を
・防衛白書 台湾有事 シナリオ明記 反撃能力の検討 推進
 「中国、偽情報流布から上陸」想定
・【社説】防衛白書 中露の軍事連携を警戒せよ
・2022年版防衛白書要旨 ウクライナ侵略強く非難
・露に天然ガス供給増要請 ハンガリー EU結束に乱れか
・露 欧州で諜報能力半減 英分析 スパイ400人追放
・穀物輸出 期待と思惑 
 代替ルート 生命線はドナウ川 貨物船100隻許可待ち ウクライナ領海新ルートも
 トルコ、仲介外交で存在感
・露、原発を攻撃拠点に ザポリージャ 緊張高まる
・欧州利上げ「予告」の倍 0.5% インフレ対応で加速
・露、8.0%に利下げ 侵略前より低く 

7月24日 
・ウクライナ情勢 大使ら議論
・露、オデーサ港を攻撃 穀物輸出再開 合意の翌日
・戦況「長期化の可能性」 識者討論 制裁強化が重要
・米、2.7億ドル追加支援へ 高機動砲や無人機580機
・ウクライナ侵略5か月 露産業界にじわり打撃 制裁、機械も原材料も不足
 ハイテク製品 輸入頼み 産業構造いびつ
 米欧と露 分断深く 非難応酬 妥協点見えず
・【社説】穀物輸出の再開 合意を食糧危機回避の一歩に
・ウクライナ 不信感 穀物輸出再開合意 艦艇護送なし 露の主張反映・欧米、履行を注視
・輸送船対象 国連「事実上の停戦」 自賛
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ジャコウアゲハ(3)前蛹・蛹化

2022-07-22 00:00:00 | 
 入手時に2齢と3齢が混じった状態であったジャコウアゲハの幼虫は、それぞれ脱皮を繰り返して、10日目には4齢と終齢になった。食草のウマノスズクサをよく食べて、1日に1回の葉の補充では追いつかず、葉を食べつくして、飼育箱の中を這いまわるものも出てくる。

 2齢から4齢の幼虫は、黒色→茶色→黒色と変化し、脱皮が近くなると、それと判るようになっていたのであったが、終齢幼虫の体色は脱皮後成長してもほとんど黒いままで変化しないようである。

 7月2日の朝、一番早く終齢になっていた1頭が、餌の葉がある瓶を離れて、飼育箱の側面に止まっていた。瓶に挿したウマノスズクサの葉には食べた形跡がなくて、見ると瓶の傍らには水分を多く含んだ便のかたまりのようなものがある。これは、以前キアゲハを飼育した時にも経験したことで、終齢幼虫が蛹化する時の行動と同じである。

 一般にアゲハチョウの仲間は終齢幼虫になるとそれまでの黒褐色から緑色に変化して、それと判るものが多いが、今回のジャコウアゲハの場合は、終齢になっても大きな変化がないので、脱皮の様子を見てきたものの本当に終齢幼虫かどうか、今一つ確信が持てないでいたが、これで確認ができたことになる。
 
 終齢幼虫は餌を離れて長い距離を移動すると言われる。瓶を離れて徘徊し、飼育ケースの側面や蓋部に移動してそこに糸をかけて前蛹になると、もう撮影のために移動させることは難しくなる。そこで一計を案じて、幼虫用の無限軌道を作ることにした。といっても、らせん状に針金を巻いたものを作って割りばしに固定し、これまでのウマノスズクサの葉に替えて餌用の瓶に刺しただけであるが、これを伝って移動することで、幼虫が長い距離を這ったと感じることを期待したのである。

 それでも脱走をするかもしれず、2Lのペットボトルにこの螺旋軌道を挿した瓶と、念のためにこれまでの餌用のウマノスズクサの葉を挿した瓶の両方を入れて、他の幼虫から隔離して様子を見ることにした。再び餌を食べ始めればまだ蛹化には早いし、針金の上で移動を繰り返してどこかに静止してしまえば、そこで蛹化の可能性がある。初めてのジャコウアゲハ幼虫の飼育であり、ビデオ撮影が主目的なので、前蛹になる場所にも気を遣う。果たしてどちらだろうか。

 次の映像は2番目と3番目に、液状便をして徘徊しはじめた別の終齢幼虫を、同じような螺旋状の針金に止まらせて撮影したものだが、これと同様のものを最初の終齢幼虫①にも用意した。

 
ジャコウアゲハの終齢幼虫が螺旋状の針金を移動する様子(2022.7.3, 8:05AM~8:55AM 30倍タイムラプスで撮影)

 夕方帰宅してみると、期待通りこの幼虫①は螺旋に巻いた針金の途中に静止し、この場所で前蛹になることを決めたようであった。支柱の周りに巡らせていたこの針金を外して、撮影しやすいようにセットしなおして、ビデオ撮影を開始した。
 
 針金上に位置を定めて静止してからしばらくすると、幼虫は反転してしっぽの位置に念入りに糸を吐き始めた。これは蛹化後にしっぽの部分をしっかりと固定し、落下を防ぐための重要な作業である。しっぽの位置が決まると、次は糸かけの行動に移る。丁度胸のあたりに糸をかけて、からだを支えるのである。

 
ジャコウアゲハ終齢幼虫の糸かけ(2022.7.2 19:03PM~20:33PM 30倍タイムラプスで撮影後編集)

 チョウが蛹になる時には、帯蛹と垂蛹の二通りの形態がある。アゲハチョウやシロチョウの仲間は帯蛹に、タテハチョウの仲間は垂蛹になるのだが、ジャコウアゲハは帯蛹であり、しっぽの先と体の胸部付近に輪を描くように糸を吐いてこれで体を支える。

 一方、オオムラサキやツマグロヒョウモンなどは垂蛹で、まず前蛹になった時にしっぽの先だけでぶら下がり、そのまま脱皮して蛹になるが、前蛹時に丹念に糸を吐いて、これに上手にしっぽの先をひっかけてぶら下がる。蛹になる時に落下しないかと心配になるが、たいていはうまくこれをやり遂げる。しかし、中には失敗して落下するものもいるのだという。

 さて、これまで何回もナミアゲハやキアゲハの蛹化を見てきたが、この糸掛けの行動は共通している。撮影したビデオ映像を後で確認すると、このジャコウアゲハの終齢幼虫①の場合には23本の糸をかけていた。11.5往復である。ちなみにキタキチョウでは2往復、4本、キアゲハでは約10往復、20本であった。

 最後の糸をかけ終わると、からだをくねらせて、上手にこの糸の輪の中にからだを収め、次いでしばらくして腹足を針金から離す。こうして前蛹はしっぽの先と、糸でささえられた形になる。

 体の位置を安定させてからしばらくして蛹化が迫ると、前蛹の体形は次第に細くなって行き、勾玉のように湾曲したものとなり、やがてこれまでの黒い皮膚をしっぽの先で手繰るようにして脱いで、黄色みをおびた蛹になった。

 
ジャコウアゲハ終齢幼虫①の蛹化(2022.7.2 19:00PM~7.3 21:50PM 30倍タイムラプスで撮影後編集)

 蛹化は次々と続き、最初の1匹が蛹になってから10日間で、12匹すべてが蛹化し、内10匹は螺旋針金か支柱の割りばしにとまって蛹になった。残る2匹の内1匹は螺旋針金を脱走してケースの壁面で、もう1匹はケースの底に敷いてあった紙の上で蛹になってしまった。

 次の映像は、割りばしの支柱に止まって蛹化した例である。この幼虫②の場合の糸掛け本数は25本であった。しっぽを固定する糸球作りから、蛹化までを通して見ていただく。

前蛹から蛹化までの様子(2022.7.9, 8:19~7.10, 15:53 30倍タイムラプス撮影後編集) 


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安倍晋三元首相襲撃事件(7/14~7/20) 

2022-07-21 00:00:00 | 安倍元首相銃撃事件
7月14日
・安倍元首相銃撃 容疑者母 献金1億円 旧統一教会に 自宅も売却、破産
・英とカナダ首相 安倍氏に哀悼
・安倍派、分裂回避優先 後継見当たらず 集団指導体制へ 世話人会案
・安倍元首相銃撃 旧統一教会トップ襲撃計画 容疑者 来日時、火炎瓶で
・弾痕か 90メートル先の壁3か所 
・献金「生命、財産はたいてでも」 創設者 文氏の言葉

7月15日
・安倍元首相銃撃1週間 警護の検証 本格化 1発目 県警3人遅れる
・秋に国葬 戦後首相2人目
・「警備に問題」首相
・国葬 国内外の追悼受け 安倍元首相銃撃 首相 党内保守派に配慮も
・安倍元首相銃撃 警備の「穴」露呈
 危機感薄れ リスク軽視 日本大学危機管理学部教授 福田充氏
 SP・警察官 配置に疑問 元警視総監 池田克彦氏
・検証 安倍元首相銃撃 警護の基本 守られず 開けた路上・後方 接近許す
 発砲音 回避行動とれず、SP 選ばれた警護のプロ 武道・拳銃 優れた警察官
・家族壊れ 孤立の果て 母の入信・破産、慕った兄自殺
 容疑者母「申し訳ない」
 前日の岡山には 別の手製銃持参、統幕長「捜査に協力」 容疑者に海自勤務歴
・「頸部、頸部に銃創。心肺停止」 奈良市消防局 緊迫の交信
 
7月16日
・安倍氏銃撃1週間 献花台 絶えぬ列
・【社説】安倍氏国葬に 内外の悼む声を踏まえた判断
・安倍氏国葬の準備 加速 9月予定 警備体制の点検強化
 各党 国民賛意 共産は反対
・警察庁責任問題 検証踏まえ判断 官房副長官
・安倍派 新会長置かず 塩谷・下村氏中心に運営
・凶弾 元首相銃撃㊥ 動画で「つながり」妄信 矛先旧統一教会から安倍氏に
 山中穴開いたドラム缶 弾痕か 容疑者「銃作るたび試射」
・岡山 防犯カメラに容疑者か 安倍氏演説会場から200メートル
・山口で県民葬 知事が方針

7月17日
・安倍元首相国葬 閉会中審査要求 立民・泉代表
・凶弾 元首相銃撃㊦
 自作銃 実用性に執着 組織に属さず 警察「想定外」
・安倍元首相銃撃 銃持ち込み 岡山が最初 容疑者供述 今月初旬、最終決断か

7月18日
・安倍氏殺害 手紙で示唆 旧統一教会批判男性に 山上容疑者
・安倍氏銃撃 容疑者「母信じたかった」ツイッターに投稿
 「母の入信、破産・・・」容疑者の手紙 
・国家公安委員長が現場確認

7月19日
・安倍氏銃撃 コンビニで手紙投函 容疑者、岡山で 防犯カメラに映る
・献花台の花 供養の法要 奈良・西大寺
・警察庁次長が事件現場確認 検証チーム長 

7月20日
・野党の国葬批判 茂木氏反論 「国民の声とずれている」 首相 海外要人の警備「強化」
・安倍氏追悼演説 臨時国会で実施 自民が検討
・安倍派 現執行部を維持 幹事会で確認 9月の国葬まで
・安倍氏銃撃 借金100万円超 銃製造か 山上容疑者 多数の工具押収
・アカウント凍結 投稿閲覧できず
・銃作成の知識と海自経験無関係 海幕長
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