今回は表題にある3種の蝶を一緒に紹介させていただく。その理由は、この3種は近縁で外観がとてもよく似ていて、初心者にはなかなか区別がつきにくく、以前出かけた草原で見かけて、写真撮影をしたものの、長い間、種を確定できずにいたからである。ようやく、何とか同定できそうになったので、紹介させていただこうと思う。
いつもの「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)の表現を見ると次のようである。
先ず「ヒメシジミ」の項から。私は知らなかったのであるが、この本の出版当時、ヒメシジミは「シジミチョウ」と命名されていた。シジミチョウの代表としての名をつけられていたということになる。
「草原地帯の花上に群がって吸蜜している姿は、美しく可憐である。・・・無風好天の日には無数に叢に見かける。・・・近縁3種のうちでは本種が最も普遍的な分布を示し、発生する個体数も多い。北海道から本州東半に多く、関東・中部の山地には普通で、近畿にはまれながら六甲山に、中国では伯耆大山に饒産し、周辺の山々にも見られる。
『ミヤマシジミ』との区別は次の相異によって明らかにされる。① 雄の翅表は青藍色、『ミヤマシジミ』のように紫色を帯びない。② 裏面中央の紋列第2室の黒点は丸い。
幼虫はキク科のヤマボグチなどを食べ、発生は年1回、6月なかばから7月の終わりまで多い。」
次に、「ミヤマシジミ」の項から。
「本種は従来、『シジミチョウ』と多く混同されてきたもので、独立種と認められたのは最近のことで分類上の大きな業績といわなくてはならない。本種の分布は狭く、本州においても中部・関東以外は不連続的に棲息し、北海道・九州には発見されていない。東北でも産地は南にかたより、山形・福島に知られ、中部には前種と混棲してやや多産するが、関東以北の山地には前種のみ多く本種はきわめて少ない。
前種との相違点は、① 雄の翅表は紫色を帯びて明るく、② 外縁の黒縁はきわめて細く、③ 後翅外縁の黒紋列はあざやかに特徴を示す。
本種は他の近縁のものとは異例の多化性の蝶で、5月から11月に至る長期にわたって、暖地や低地では年4~5回、寒冷地や高地では3回の発生をみる。」
最後に「アサマシジミ」の項から。
「本種も前2種と類似の蝶で、種の判別はやや困難であるが、次の諸点において区別される。① 前2種にくらべ形は最も大きく、② 雄の翅色は暗青色でやや紫がかっている。③ 前翅第2室裏面の黒紋は『ミヤマシジミ』と同様に横長く(『シジミチョウ』では円形)、④ 後翅裏面外縁の色紋は、『ミヤマシジミ』は朱色、本種は『シジミチョウ』と同じく略黄色である。⑤ 全翅裏面の黒紋は一般に他種より大きくあざやかである。本種の分布はきわめて狭く、関東の低山地にまれに産し、中部山地帯のみ多産地として、浅間・蓼科・八ヶ岳などは特に饒産することによって著名である。北海道・四国・九州には全く産せず、中部にても西部にはまれとなり近畿・中国にても未知の種に属する。発生は年1回、6月末から7月に多く幼虫はマメ科の植物を食す。」
また、もうひとついつも参考にしている「フィールドガイド日本のチョウ」(2013年 誠文堂新光社発行)では、三種の違いを次のように示している。生息地や発生時期なども含めて表に纏めた。
3種の識別法と生息地、発生時期の違い
この資料を見ると、軽井沢を含む本州の中部地方一帯は、これら3種のチョウが全て生息している場所であることがわかる。
数年前に、軽井沢の北にある草原に出かけた時に、足元をチラチラと飛ぶ小型のシジミチョウを撮影したことがあった。アサマシジミが含まれているといいなと思いながらも、他の2種との区別がうまくできなくて、長くそのままになっていた。今回その写真を整理していて、これら3種が含まれているのではないかと気付いた。撮影時期は2年にまたがるが、ほぼ同じ場所で撮影したものである。
ヒメシジミとミヤマシジミは前記識別法を手がかりに区別できたのではないかと思っているが、アサマシジミは実際のところ未だによく判らないでいる。撮影した写真は次のようである。3番目の蝶はアサマシジミかもしれないと思ったのであるが、翅はぼろぼろに痛んでいて、判りにくいこともあり、本当にアサマシジミかどうか、次の機会にまた現地に出かけ、撮影し確認してみたいと思っている。
先ずはヒメシジミの写真から。裏・前翅の黒点(図示)が円形に近いことから判断した。
北軽井沢の草原で見たヒメシジミ(2016.8.1 撮影)
北軽井沢の草原で見たヒメシジミ(2016.8.1 撮影)
次はミヤマシジミ。裏・前翅の黒点は隠れていて見えず、判定の助けにはならないが、裏・後翅亜外縁の黒斑列内に青色の鱗が3箇所見られることから判断した。
北軽井沢の草原で見たミヤマシジミ(2015.7.15 撮影)
北軽井沢の草原で見たミヤマシジミ♀(2015.7.15 撮影)
最後はアサマシジミかもしれない個体。裏・前翅の黒点(図示)が長楕円形に近いことと翅表のブルーから判断した。
北軽井沢の草原で見たアサマシジミ?(2016.8.1 撮影)
北軽井沢の草原で見たアサマシジミ?(2016.8.1 撮影)
北軽井沢の草原で見たアサマシジミ?(2016.8.1 撮影)
自宅の庭には、軽井沢への移住当時アサマシジミのことを意識して妻が植えたナンテンハギがあるが、4年目の今年になって見ると、大きく成長していて、今は花も咲き始めている。いつかアサマシジミが「庭にきたチョウ」の仲間入りをしてくれることを願っているのであるが。
庭で大きな株に成長しているナンテンハギ(2019.6.26 撮影)
故鳩山邦夫氏の「チョウを飼う日々」(1996年 講談社発行)の中の、『追憶の軽井沢』の章を読んでいると、アサマシジミが登場するところが2箇所あって、次のように書かれている。かつては町内や周辺地域に、アサマシジミは普通に見られたようである。しかし、それも過去のこととなり、現在の旧軽井沢でそれを求めるのは無理な話なのだろうと思う。
「私の軽井沢に対する愛着の念は格別で、第二のふる里と呼びたく思うほどだ。そして佐久市野沢の長岡勝さんとチョウ友関係を取り結んでからは、“私の軽井沢”は北佐久全域に広がりを見せた。・・・佐久市のヒメギフ、スギタニルリ、アサマシジミとゼフィルス各種、・・・それらすべてが軽井沢の別荘から小一時間で行けるものだから、東京に住んでいると全部”軽井沢のチョウ”の感がある。」
「軽井沢から汽車に乗り、うらぶれた信濃追分で下車。線路脇にはすでにヒメシロチョウやアサマシジミが可憐な姿を見せており、・・・でもその広大な追分ヶ原を、追憶をたよりに探してみても、別荘地と畑と樹林が目立つばかりで、どこにも見当たらないのである。・・・」
ここで紹介されているのは、1990年代の話だから、当時すでにアサマシジミは軽井沢周辺では稀少な存在になっていたということである。
ここで、義父のコレクションにもこれら3種は含まれているので、標本の写真を紹介させていただく。この標本をみると、アサマシジミは必ずしも他の2種よりも大きいとはいえないようである。前記識別法にも「一般的な大きさ比較」として紹介されていて、注記としては、「北海道や本州高地のアサマシジミは他種とほぼ同じ」とあるので、軽井沢とその周辺の高地産は、大きさの点ではヒメシジミ、ミヤマシジミと変わらないのかもしれない。
一方、もう一つの私の愛読書、写真集「軽井沢の蝶」(栗岩竜雄著 2015年発行)では、軽井沢産のアサマシジミは、ヒメシジミに比べ、明らかに大型として紹介されているので、判らなくなる。
上から、ヒメシジミ、ミヤマシジミ、アサマシジミ(2019.6.24 撮影、年号は昭和)
(追記:2019.6.30 アサマシジミの標本の♂について、ヒメシジミの誤同定とのコメントをいただきましたので、同標本の裏面の写真を追加して掲載します。)
アサマシジミ♂の裏面(2019.6.30 撮影)
こらら三種は共に絶滅の危険性のある種に指定されている。
ヒメシジミは北海道、本州、九州に棲息しているが、本州と九州で準絶滅危惧種に指定されている。他の2種と比較すると、まだ各地で見られるが、環境の悪化により個体数が減少傾向にあるとされる。
ミヤマシジミは本州のごく限られた地域にのみ棲息し、絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている。減少傾向が著しく、農地周辺ではほぼ消滅したとされる。
アサマシジミは本州と北海道に離散的に生息域が見られ、絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている。各地で激減していて、北海道では特に危機的な状況になっているほか、本州でも草原環境の悪化によって、生息地が非常に限られる状況にある。また、軽井沢の隣の御代田町では天然記念物に指定され、保護されている。
小さく、足元を飛んでいても、一般には特に注目されることの無いこれら3種の蝶であるが、いずれも稀少で、減少傾向にあるとされる。上記の写真を撮影できたのは、手入れの行き届いた場所でもあり、これからもこれらの蝶の生育場所として保たれていくことを願いたい。
追記:この原稿を一応書き終わった後で、現地の状況が気になったこともあり、3度目の撮影に現地に出かけてみた。前2回よりも時期的には早かったこともあり、個体数は少なかったが、ヒメシジミが見られた。今回も、撮影後の写真を見てミヤマシジミ、アサマシジミを探してみた。それらしい写真が含まれているものの、やはり確証は得られなかった。
この日は、そのほか、ツバメシジミ、ベニシジミのシジミチョウ2種と、ウスバアゲハ、キアゲハ、オナガアゲハ、クロアゲハ、モンキチョウ、スジグロシロチョウ、アカタテハ、クモガタヒョウモン、ウラギンヒョウモン、フタスジチョウ、コミスジ、ヒメウラナミジャノメ、ギンイチモンジセセリの姿が見られた。
撮影できた種の姿を以下に紹介させていただいて、本稿を終る。
ヒメシジミ1/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ2/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ3/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ4/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ5/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ6/6(2019.6.25 撮影)
ツバメシジミ(2019.6.25 撮影)
ベニシジミ(2019.6.25 撮影)
ウスバアゲハ(2019.6.25 撮影)
モンキチョウ(2019.6.25 撮影)
スジグロシロチョウ(2019.6.25 撮影)
クモガタヒョウモン(2019.6.25 撮影)
ウラギンヒョウモン(2019.6.25 撮影)
フタスジチョウ(2019.6.25 撮影)
コミスジ(2019.6.25 撮影)
ヒメウラナミジャノメ(2019.6.25 撮影)
ギンイチモンジセセリ(2019.6.25 撮影)
いつもの「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)の表現を見ると次のようである。
先ず「ヒメシジミ」の項から。私は知らなかったのであるが、この本の出版当時、ヒメシジミは「シジミチョウ」と命名されていた。シジミチョウの代表としての名をつけられていたということになる。
「草原地帯の花上に群がって吸蜜している姿は、美しく可憐である。・・・無風好天の日には無数に叢に見かける。・・・近縁3種のうちでは本種が最も普遍的な分布を示し、発生する個体数も多い。北海道から本州東半に多く、関東・中部の山地には普通で、近畿にはまれながら六甲山に、中国では伯耆大山に饒産し、周辺の山々にも見られる。
『ミヤマシジミ』との区別は次の相異によって明らかにされる。① 雄の翅表は青藍色、『ミヤマシジミ』のように紫色を帯びない。② 裏面中央の紋列第2室の黒点は丸い。
幼虫はキク科のヤマボグチなどを食べ、発生は年1回、6月なかばから7月の終わりまで多い。」
次に、「ミヤマシジミ」の項から。
「本種は従来、『シジミチョウ』と多く混同されてきたもので、独立種と認められたのは最近のことで分類上の大きな業績といわなくてはならない。本種の分布は狭く、本州においても中部・関東以外は不連続的に棲息し、北海道・九州には発見されていない。東北でも産地は南にかたより、山形・福島に知られ、中部には前種と混棲してやや多産するが、関東以北の山地には前種のみ多く本種はきわめて少ない。
前種との相違点は、① 雄の翅表は紫色を帯びて明るく、② 外縁の黒縁はきわめて細く、③ 後翅外縁の黒紋列はあざやかに特徴を示す。
本種は他の近縁のものとは異例の多化性の蝶で、5月から11月に至る長期にわたって、暖地や低地では年4~5回、寒冷地や高地では3回の発生をみる。」
最後に「アサマシジミ」の項から。
「本種も前2種と類似の蝶で、種の判別はやや困難であるが、次の諸点において区別される。① 前2種にくらべ形は最も大きく、② 雄の翅色は暗青色でやや紫がかっている。③ 前翅第2室裏面の黒紋は『ミヤマシジミ』と同様に横長く(『シジミチョウ』では円形)、④ 後翅裏面外縁の色紋は、『ミヤマシジミ』は朱色、本種は『シジミチョウ』と同じく略黄色である。⑤ 全翅裏面の黒紋は一般に他種より大きくあざやかである。本種の分布はきわめて狭く、関東の低山地にまれに産し、中部山地帯のみ多産地として、浅間・蓼科・八ヶ岳などは特に饒産することによって著名である。北海道・四国・九州には全く産せず、中部にても西部にはまれとなり近畿・中国にても未知の種に属する。発生は年1回、6月末から7月に多く幼虫はマメ科の植物を食す。」
また、もうひとついつも参考にしている「フィールドガイド日本のチョウ」(2013年 誠文堂新光社発行)では、三種の違いを次のように示している。生息地や発生時期なども含めて表に纏めた。
3種の識別法と生息地、発生時期の違い
この資料を見ると、軽井沢を含む本州の中部地方一帯は、これら3種のチョウが全て生息している場所であることがわかる。
数年前に、軽井沢の北にある草原に出かけた時に、足元をチラチラと飛ぶ小型のシジミチョウを撮影したことがあった。アサマシジミが含まれているといいなと思いながらも、他の2種との区別がうまくできなくて、長くそのままになっていた。今回その写真を整理していて、これら3種が含まれているのではないかと気付いた。撮影時期は2年にまたがるが、ほぼ同じ場所で撮影したものである。
ヒメシジミとミヤマシジミは前記識別法を手がかりに区別できたのではないかと思っているが、アサマシジミは実際のところ未だによく判らないでいる。撮影した写真は次のようである。3番目の蝶はアサマシジミかもしれないと思ったのであるが、翅はぼろぼろに痛んでいて、判りにくいこともあり、本当にアサマシジミかどうか、次の機会にまた現地に出かけ、撮影し確認してみたいと思っている。
先ずはヒメシジミの写真から。裏・前翅の黒点(図示)が円形に近いことから判断した。
北軽井沢の草原で見たヒメシジミ(2016.8.1 撮影)
北軽井沢の草原で見たヒメシジミ(2016.8.1 撮影)
次はミヤマシジミ。裏・前翅の黒点は隠れていて見えず、判定の助けにはならないが、裏・後翅亜外縁の黒斑列内に青色の鱗が3箇所見られることから判断した。
北軽井沢の草原で見たミヤマシジミ(2015.7.15 撮影)
北軽井沢の草原で見たミヤマシジミ♀(2015.7.15 撮影)
最後はアサマシジミかもしれない個体。裏・前翅の黒点(図示)が長楕円形に近いことと翅表のブルーから判断した。
北軽井沢の草原で見たアサマシジミ?(2016.8.1 撮影)
北軽井沢の草原で見たアサマシジミ?(2016.8.1 撮影)
北軽井沢の草原で見たアサマシジミ?(2016.8.1 撮影)
自宅の庭には、軽井沢への移住当時アサマシジミのことを意識して妻が植えたナンテンハギがあるが、4年目の今年になって見ると、大きく成長していて、今は花も咲き始めている。いつかアサマシジミが「庭にきたチョウ」の仲間入りをしてくれることを願っているのであるが。
庭で大きな株に成長しているナンテンハギ(2019.6.26 撮影)
故鳩山邦夫氏の「チョウを飼う日々」(1996年 講談社発行)の中の、『追憶の軽井沢』の章を読んでいると、アサマシジミが登場するところが2箇所あって、次のように書かれている。かつては町内や周辺地域に、アサマシジミは普通に見られたようである。しかし、それも過去のこととなり、現在の旧軽井沢でそれを求めるのは無理な話なのだろうと思う。
「私の軽井沢に対する愛着の念は格別で、第二のふる里と呼びたく思うほどだ。そして佐久市野沢の長岡勝さんとチョウ友関係を取り結んでからは、“私の軽井沢”は北佐久全域に広がりを見せた。・・・佐久市のヒメギフ、スギタニルリ、アサマシジミとゼフィルス各種、・・・それらすべてが軽井沢の別荘から小一時間で行けるものだから、東京に住んでいると全部”軽井沢のチョウ”の感がある。」
「軽井沢から汽車に乗り、うらぶれた信濃追分で下車。線路脇にはすでにヒメシロチョウやアサマシジミが可憐な姿を見せており、・・・でもその広大な追分ヶ原を、追憶をたよりに探してみても、別荘地と畑と樹林が目立つばかりで、どこにも見当たらないのである。・・・」
ここで紹介されているのは、1990年代の話だから、当時すでにアサマシジミは軽井沢周辺では稀少な存在になっていたということである。
ここで、義父のコレクションにもこれら3種は含まれているので、標本の写真を紹介させていただく。この標本をみると、アサマシジミは必ずしも他の2種よりも大きいとはいえないようである。前記識別法にも「一般的な大きさ比較」として紹介されていて、注記としては、「北海道や本州高地のアサマシジミは他種とほぼ同じ」とあるので、軽井沢とその周辺の高地産は、大きさの点ではヒメシジミ、ミヤマシジミと変わらないのかもしれない。
一方、もう一つの私の愛読書、写真集「軽井沢の蝶」(栗岩竜雄著 2015年発行)では、軽井沢産のアサマシジミは、ヒメシジミに比べ、明らかに大型として紹介されているので、判らなくなる。
上から、ヒメシジミ、ミヤマシジミ、アサマシジミ(2019.6.24 撮影、年号は昭和)
(追記:2019.6.30 アサマシジミの標本の♂について、ヒメシジミの誤同定とのコメントをいただきましたので、同標本の裏面の写真を追加して掲載します。)
アサマシジミ♂の裏面(2019.6.30 撮影)
こらら三種は共に絶滅の危険性のある種に指定されている。
ヒメシジミは北海道、本州、九州に棲息しているが、本州と九州で準絶滅危惧種に指定されている。他の2種と比較すると、まだ各地で見られるが、環境の悪化により個体数が減少傾向にあるとされる。
ミヤマシジミは本州のごく限られた地域にのみ棲息し、絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている。減少傾向が著しく、農地周辺ではほぼ消滅したとされる。
アサマシジミは本州と北海道に離散的に生息域が見られ、絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている。各地で激減していて、北海道では特に危機的な状況になっているほか、本州でも草原環境の悪化によって、生息地が非常に限られる状況にある。また、軽井沢の隣の御代田町では天然記念物に指定され、保護されている。
小さく、足元を飛んでいても、一般には特に注目されることの無いこれら3種の蝶であるが、いずれも稀少で、減少傾向にあるとされる。上記の写真を撮影できたのは、手入れの行き届いた場所でもあり、これからもこれらの蝶の生育場所として保たれていくことを願いたい。
追記:この原稿を一応書き終わった後で、現地の状況が気になったこともあり、3度目の撮影に現地に出かけてみた。前2回よりも時期的には早かったこともあり、個体数は少なかったが、ヒメシジミが見られた。今回も、撮影後の写真を見てミヤマシジミ、アサマシジミを探してみた。それらしい写真が含まれているものの、やはり確証は得られなかった。
この日は、そのほか、ツバメシジミ、ベニシジミのシジミチョウ2種と、ウスバアゲハ、キアゲハ、オナガアゲハ、クロアゲハ、モンキチョウ、スジグロシロチョウ、アカタテハ、クモガタヒョウモン、ウラギンヒョウモン、フタスジチョウ、コミスジ、ヒメウラナミジャノメ、ギンイチモンジセセリの姿が見られた。
撮影できた種の姿を以下に紹介させていただいて、本稿を終る。
ヒメシジミ1/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ2/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ3/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ4/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ5/6(2019.6.25 撮影)
ヒメシジミ6/6(2019.6.25 撮影)
ツバメシジミ(2019.6.25 撮影)
ベニシジミ(2019.6.25 撮影)
ウスバアゲハ(2019.6.25 撮影)
モンキチョウ(2019.6.25 撮影)
スジグロシロチョウ(2019.6.25 撮影)
クモガタヒョウモン(2019.6.25 撮影)
ウラギンヒョウモン(2019.6.25 撮影)
フタスジチョウ(2019.6.25 撮影)
コミスジ(2019.6.25 撮影)
ヒメウラナミジャノメ(2019.6.25 撮影)
ギンイチモンジセセリ(2019.6.25 撮影)