ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

新池

2017-10-17 17:50:01 | 福島県
2017年10月8日 新池
 
新池は福島県いわき市四倉町白岩の仁井田川水系白岩川源流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
ダム便覧には1942年(昭和17年)にいわき市の事業で建設と記されており、当時の四倉町の事業で建設されたようです。
管理は白岩地区が行っています。
 
常磐道いわき四倉インターから県道35号を北上すると左手に新池が見えてきます。
ただ堤体の入口手前に規制があり堤体への立ち入りはおろか竣工記念碑も見ることができません。
 
越流部。
 
上流から
狭隘な谷間に作られダム便覧記載の堤頂長26メートルもあるようには見えません。
 
総貯水容量25万立米の細長い貯水池。
 
帰宅後調べるとダム下へ下りるルートがあったようです。
コンクリートは戦前のものとは思えず竣工当時からコンクリートの堰堤だったのか?謎が残ります。
是非とも竣工記念碑を読んでみたいのですが・・・。
 
3407 新池(1158)
福島県いわき市四倉町白岩
仁井田川水系白岩川
15.4メートル
26.3メートル
250千㎥/250千㎥
白岩地区
1942年

木戸ダム

2017-10-17 08:00:00 | 福島県
2015年12月18日 木戸ダム
2017年10月  8日 
 
木戸ダムは左岸が福島県双葉郡楢葉町大谷、右岸が同町上小塙の木戸川水系木戸川中流部にある福島県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
木戸ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、木戸川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水の補給、双葉地方広域水道供給企業団(現双葉地方水道企業団)を通じた広野町・楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町への上水道用水及び工業用水の供給を目的として2008年(平成20年)に竣工しました。
しかし2011年3月11日の東日本大震災を受けて受益地域の大半が津波被害及び福島原発事故による避難指示区域に指定され木戸ダムの利水運用は一時的に停止しました。
その後、避難指示区域の再編により津波被害区域及び帰還困難区域以外への給水は徐々に復旧しています。
 
県道250号線を木戸川沿いに西進すると木戸ダムに到着します。
ダム下は立ち入り禁止のため左右両岸および上流側からの見学となります。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート8門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート3門を装備したゲートレスダムです。
(2017年10月8日)
 
右岸展望台から、手前が管理事務所
(2017年10月8日)
 
上流面
堤体中央に取水設備があります。
 
右岸ダムサイトのモニュメント、山と谷そしてダムを表現しています。
(2017年10月8日)
 
天端は車両通行可
納車したばかりのBMWF87M2の初ドライブです。
(2017年10月8日)
 
天端から
3門のオリフィスゲートから放流されています、右手は利水放流設備。
 
左岸から減勢工(2017年10月8日) 
 
木戸川湖と命名されたダム湖は総貯水容量1847万立米。 
(2017年10月8日)
 
堤体は左岸で少し屈曲しています。
(2017年10月8日)
 
天端車道もカーブを描いています。
(2017年10月8日)
 
左岸上流から。
 
懸命の復興作業により双葉地区5町の立ち入り制限地域は大きく減少し、避難していた住民の帰還も徐々に進んでいます。
しかし震災前は浜通り有数の景勝地として多くのハイカーや観光客が訪れた木戸川渓谷は閑散としたまま、公園として整備されてたダム周辺も草木が生い茂り荒れ放題の状況です。
木戸ダムが本来の機能を発揮し、木戸川渓谷やダムに人々の声が響き渡る日が来るのはまだまだ遠い先になりそうです。
 
追記
木戸ダムには1140万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害予想される場合に事前放流によりさらに49万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0539 木戸ダム(0120)
左岸 福島県双葉郡楢葉町大谷
右岸        同町上小塙
木戸川水系木戸川
FNWI
93.5メートル
350メートル
福島県土木部
2007年
◎治水協定が締結されたダム

小玉ダム

2017-10-17 02:00:00 | 福島県
2015年12月19日 小玉ダム
2017年10月  8日
 
小玉ダムは福島県いわき市小川町高萩の夏井川水系小玉川にある福島県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、小玉川および夏井川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、いわき市への上水道用水の供給、いわき市好間工業団地への工業用水の供給、東北電力小玉川第一発電所での最大2800キロワットのダム水路式発電を目的として1996年(平成8年)に竣工しました。
 
いわき市街から国道399号線を北上し小玉ダムや草野心平記念館の表示に従って市道を西に折れると左岸ダムサイトに到着します。
左岸から上流面、ちょうど朝日が差し込んできました。
 
下流面
クレストには自由越流式洪水吐がずらっと並びます。
 
ダム湖の石碑(2017年10月8日) 
 
左岸のインクラインと艇庫。(2017年10月8日) 
 
天端は歩行者のみ通行可。
 
円形テラス状の出っ張りと青い屋根が小玉ダム各建屋に共通したデザインです。
対岸にインクラインと艇庫
取水設備の手前にオリフィスゲートの取水口が見えます。
 
減勢工
利水放流設備から河川維持放流が行われています。
 
天端から海が見えるます。
 
ダム湖(こだま湖)は総貯水容量1393万立米
湖岸には大きな鬼の壁画があります。
いわきはもともと『岩鬼』が由来とされ周辺には多くの鬼伝説がありこれをモチーフとしたようです。
ちなみに鬼の正体は大和朝廷に反抗した蝦夷と言われています。
 
天端に描かれたいわき市の地図。
 
追記
小玉ダムには960万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害予想される場合に事前放流により新たに最大180万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0527 小玉ダム(0121)
福島県いわき市小川町高萩
夏井川水系小玉川
FNWIP
102メートル
280メートル
13930千㎥/12230千㎥
福島県土木部
1996年
◎治水協定が締結されたダム

小玉第二発電所取水ダム

2017-10-17 00:00:00 | 福島県
2017年10月7日 小玉第二発電所取水ダム
 
小玉第二発電所取水ダムは福島県いわき市三和町下永井の夏井川水系小玉川上流部にある東北電力の発電目的の重力式コンクリートダムです。
1935年(昭和10年)に平電力によって建設されますが1942年(昭和17年)の配電統制令により東北配電により接収、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により東北電力が事業継承しています。
ここで取水された水は約1600メートルの導水路を経て小玉川第二発電所に送られ最大2920キロワットのダム水路式発電を行っています。
なお堤高が8メートル強と河川法のダムの要件を満たしていないためダム便覧には掲載されていません。
 
磐越道いわき三和インターから県道66号を北上、明神橋を左折して小玉川沿いに隘路を下ると小玉第二発電所取水ダムに到着します。
堤高8メートル強ながらラジアルゲート2門を備えた立派なダムです。
 
立ち入り制限のため下流から対峙できないのが残念。
 
 
天端も立ち入り禁止。
 
上流から
手前に取水口があります。
 
ダム湖
ウィキペディアによれば総貯水容量は440万7000立米
かなり堆砂が進んでおり有効貯水容量は半分もないような・・・。
 
小玉第二発電所もなかなか趣のある建屋でしたが写真を撮り忘れる大チョンボ!
 
小玉第二発電所取水ダム
福島県いわき市三和町下永井
夏井川水系小玉川
8.03メートル
86メートル
東北電力
1935年