ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

太田川ダム

2015-11-30 17:00:00 | 静岡県
2015年11月29日 太田川ダム
 
太田川ダムは静岡県周智郡森町亀久保の二級河川太田川本流上流部にある静岡県交通基盤部が管理する重力式コンクリートダムで、建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムとして2008年(平成20年)に竣工しました。
最大350立米/秒の洪水をカットし太田川下流の基準地点で最大500立米/秒の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、遠州地域16市町村への上水道用水の供給を目的としています。

ダム下へのアプローチはできませんが、それ以外の展望ポイントは充実しています。
右岸展望台から
右手は管理所。
 
一見アーチのようですが型式は曲線重力式。
緩やかなカーブはある意味本物のアーチよりも美しい。
左岸は地盤が脆弱なのか?アンカーが並びます。
 
2008年竣工なので、放流設備は当然ゲートレス。
クレストラジアルゲート4門、自然調節式オリフィス1門を備えています。
左手の建屋は取水設備、右手はエレベーター棟。

竣工から8年しかたっていないので、コンクリートが真新しい。
 
天端は徒歩のみ開放。
 
天端から
右岸には放流設備があり河川維持放流中
川は減勢工のすぐ下流で左に直角に曲がります。
 
左岸から
1~3枚目の写真は対岸高台の展望台から撮りました。
 
かわせみ湖と命名されたダム湖は総貯水容量1160万立米
湖畔に沿って遊歩道が整備されています。
 
上流面をズームアップ
取水設備は選択式のようです。
 
(追記)  
太田川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  

3014 太田川ダム(0077)
静岡県周智郡森町亀久保 
太田川水系太田川
FNW
70メートル
290メートル
11600㎥/10800㎥
静岡県交通基盤部
2008年
◎治水協定が締結されたダム

大間ダム

2015-11-30 16:00:00 | 静岡県
2015年11月29日 大間ダム
 
大間ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町奥泉、右岸が同町千頭の一級河川大井川水系寸又川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な大井川本支流では1931年(昭和6年)の大井川鉄道金谷~千頭間の開通を契機に複数の業者による電源開発が本格化します。
大井川右支流の寸又川では富士電力(株)による電源開発が進められ、1935年(昭和10年)の千頭ダム・湯山発電所に次いで次いで1938年(昭和13年)に建設されたのが大間ダムです。
大間ダムは併せて建設された大間発電所の取水ダムで約2キロの導水路による最大1万3200キロワットのダム水路式発電が稼働しました。
大井川流域の発電施設は電力管理法による日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した中部電力が事業を継承しました。 
その後1992年(平成4年)の改修で大間発電所の出力は最大1万6500キロワットまで増強されました。
大間ダムは戦前の貴重な土木建造物としてAランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
寸又峡温泉に車を止め、森林鉄道軌道跡を利用した寸又峡の遊歩道を進むと右下に大間ダムが見えてきます。
戦前戦中のダムによくみられる、ゲートビアが一段高くなっている構造。
 
ダムへの立ち入りはできません。
遊歩道を進み上流にある夢の吊り橋を渡ります。
 
吊橋からは正面にダム上流面が見えます。
ダム右岸の斜面に管理建屋群が張り付くように建っています。
 
クレストラジアルゲート4門
右岸に大間発電所への取水口があります。
 
寸又峡温泉の駐車場に展示された千頭森林鉄道の機関車。
 
ダムの展望ポイントは限られていましたが、渇水期であれば下流の河原を遡上して堤体直下にたどり着けるようです。
また大間ダムからさらに10キロ上流には千頭ダムもあります。
機会があればぜひチャレンジしたいですね。
 
追記
大間ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。   

1155 大間ダム(0076)
左岸 静岡県榛原郡川根本町奥泉 
右岸         同町千頭 
大井川水系寸又川
46.1メートル
107メートル
1519㎥/741㎥
中部電力(株)
1938年
◎治水協定が締結されたダム

笹間川ダム

2015-11-30 15:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 笹間川ダム
 
笹間川ダムは静岡県榛原郡川根本町笹間渡の一級河川大井川水系笹間川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令で新たに誕生した中部電力は、高度成長による電力需要急増に対処するため包蔵電力の豊富な大井川流域での新規電源開発に邁進します。 
この一環として1960年(昭和35年)に完成したのが川口発電所で、併せて建設された取水ダムである塩郷ダム  からの約12キロの導水路により最大5万8000キロワットのダム水路式発電を行います。 
この導水路と笹間川の交差地点に建設さたのが笹間川ダムで、上部調整池として大井川から導水した水をいったんダム湖に貯留するとともに、当ダムで取水した水と併せて川口発電所に送水します。

県道77号から『笹間川ダム』の標識に従い旧道に入るとダム右岸に到着します。
真正面からの展望ポイントはありません。
クレストにラジアルゲート2門。
後付けの維持放流設備から放流されています。
 
ゲートをズームアップ
奥のゲートにはフラップが付いています。
ゲート右手の建屋は後付けの維持放流用設備と思われます。
 
天端は車道です。
対岸に道路が続いており、バブル期には対岸で分譲地開発が企図されたそうですがバブル崩壊で計画はとん挫。
対岸左手が川口発電所への取水口。
 
左岸側の洪水吐導流部
ゲートからの放流ではなく、後付けの河川維持放流設備からの放流です。
ゲートのフラップが見えます。
 
減勢工。
 
取水口と沈砂池。
 
日が暮れてきたため急ぎ足での見学となり、塩郷ダムからの導入口やダムの上流面などあれやこれや見落としてしまいました。
機会があればぜひ再訪してみたいです。
 
追記
笹間川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。 

1166 笹間川ダム(0075)
静岡県島田市川根町笹間渡 
大井川水系笹間川
46.4メートル
140.8メートル
6340㎥/1680㎥
中部電力(株)
1960年
◎治水協定が締結されたダム

塩郷ダム

2015-11-30 14:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 塩郷ダム
 
塩郷ダムは左岸が静岡県榛原郡本川根町下泉、右岸が同町久野脇の一級河川大井川中流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリート堰堤です。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令で新たに誕生した中部電力は、高度成長による電力需要急増に 対処するため包蔵電力の豊富な大井川流域での新規電源開発に邁進します。   
この一環として1960年(昭和35年)に完成したのが塩郷ダムです。
塩郷ダムは併せて建設された川口発電所の取水ダムで、約12キロの導水路により最大5万8000キロワットのダム水路式発電を行います。  
さらに川口発電所放流口には県営の灌漑用水である大井川用水の取水口があり、塩郷ダムは発電用水のみならず大井川用水の実質的取水口にもなっています。
塩郷ダムは堤高3.2メートルとダムの要件を満たしておらずダム便覧にも未掲載ですが、大井川の発電網の中枢となる重要な堰堤のため立ち寄ることにしました。

かつて塩郷ダムでは大井川の河川流量のほぼすべてを取水していたため、完成直後から大井川下流はその大半が水無川となりました。
そんな中で、瀬切れによる水環境悪化に反発した流域住民による『大井川水返せ運動』が盛んとなり、この運動は最終的に1997年(平成9年)の河川法改正による河川維持放流の義務化へとつながって行きます。
 
塩郷ダム天端は車道になっており、周辺に両岸を結ぶ橋がないことから狭い道にもかかわらずひっきりなしに車が行き交います。
 
右岸から
 
こちらが左岸ゲートによる河川維持放流。
維持放流が義務化される以前は塩郷ダムから下流は大半が水無川となっていました。
 
左岸の取水口  
笹間川ダム を経て川口発電所へと送水されます。
 
下流の塩郷大吊り橋から。
放流ゲート6門、左岸(向かって右手)の排砂ゲート2門で大井川を締め切ります。
 
ダムのそばを大井川鉄道が走っており、運よくSLが通りがかりました。

塩郷ダム
左岸 静岡県榛原郡川根本町下泉 
右岸        同町久野脇 
大井川水系大井川
3.2メートル
146メートル
㎥/㎥
中部電力(株)
1960年

境川ダム

2015-11-30 13:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 境川ダム
 
境川ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町下長尾、右岸が同町久野脇の一級河川大井川水系境川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
 
包蔵電力豊富な水大井川本支流では1931年(昭和6年)の大井川鉄道金谷~千頭間の開通を契機に複数の業者による電源開発が進められますが、電力管理法によりこれら発電施設はすべて日本発送電(株)が接収します。
同社は引き続き大井川流域での電源開発を進め、1943年(昭和18年)に建設されたのが久野脇発電所で、既設の大井川発電所の放流口直下に新たな取水堰を設け約12キロの導水路により最大3万2000キロワットのダム水路式発電を行います。
この導水路と境川の交差地点に建設さたのが境川ダムで、上部調整池として大井川から導水した水をいったんダム湖に貯留するとともに、当ダムで取水した水と併せて久野脇発電所に送水します。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により大井川水系の発電施設はすべて中部電力が継承し、同社は戦後の電力不足解消のため井川発電所や畑薙第一発電所などさらなる電源開発を推進することになります。
 
国道362号からダムへ向かう管理道路を下ると右手に境川ダムが見えてきます。
天端はゲート部分だけ高くなっています。
 
 
奥に久野脇発電所への取水口と中電レッドの取水ゲートが見えます。
 
以前はここから堤体下へ降りられたようですが、今は施錠され入ることができません。
 
追記
境川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1157 境川ダム(0074)
左岸 静岡県榛原郡川根本町下長尾 
右岸         同町久野脇 
大井川水系境川
34.2メートル
83.8メートル
1173㎥/343㎥
中部電力(株)
1943年
◎治水協定が締結されたダム

大井川ダム

2015-11-30 12:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 大井川ダム
 
大井川ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町梅地、右岸が同町奥泉の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な大井川本支流では1931年(昭和6年)の大井川鉄道金谷~千頭間の開通を契機に複数の業者による電源開発が本格化します。
大井川本流では大井川電力(株)による電源開発が進められ1936年(昭和11年)に完成したの大井川ダムです。
大井川ダムは大井川発電所の取水ダムで併せて建設された寸又川ダムを経由する総延長9キロの導水路を通じて最大6万8200キロワットのダム水路式発電を行います。
大井川流域の発電施設は電力管理法による日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した中部電力が事業を継承しました。
現在の大井川鉄道井川線の前身である大井川電力専用鉄道は大井川ダム建設の際の資材運搬用に作られたもので、戦後の奥泉ダム井川ダム  建設にも大きく貢献することになります。 
大井川ダムは全国でも珍しいローリングゲートを備えるとともに、大井川水系初の本格的ダムである点を評価してCランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
大井川ダムのそばを大井川鉄道井川線が走っています。
最寄りのアプトいちしろ駅横に車を止めて踏切を渡ります。
 
かつての井川線は大井川ダムの脇を走っており、ダムへの吊り橋は当時の鉄道用の橋梁でした。
 
上流から
かなり堆砂が進んでいます。
 
右岸から
 
大井川ダム最大の特徴であるローリングゲート。
 
主ゲートが2門、副ゲートが1門、それぞれローリングゲートです。
左岸(向かって右)の副ゲートは流木などを流す塵芥ゲート。
 
左岸から
正面が大井川発電所への取水口で奥の赤い屋根は奥泉発電所。
 
スクリーンの裏側。
手前に奥泉発電所があり、その放流水を合わせて寸又川ダム 経由で大井川発電所に送水します。 
 
追記
大井川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1153 大井川ダム(0074)
左岸 静岡県榛原郡川根本町梅地 
右岸         同町奥泉 
大井川水系大井川
33.5メートル
65.8メートル
788㎥/503㎥
中部電力(株) 
1936年
◎治水協定が締結されたダム

長島ダム

2015-11-30 11:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 長島ダム

長島ダムは左岸が静岡県榛原郡川根本町梅地、右岸が同町犬間の一級河川大井川本流上流部にある多目的重力式コンクリートダムです。
大井川は中部地方屈指の大河川で、電源開発や灌漑用水については戦前から高度な整備が進められてきました。
一方治水については河川整備にとどまるうえに、既得取水権の壁が厚く新規水利権の獲得が困難で、多目的ダムを軸とした河川総合開発が強く求められました。
そこで建設省(現国交省)は1972年(昭和47年)に『大井川総合開発事業』を採択し、その中核施設として2001年(平成13年)に竣工したのが長島ダムです。
長島ダムは国交省中部地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムで、大井川の洪水調節(最大1600立米/秒の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、大井川用水を通じた5000ヘクタールの農地への特定灌漑用水の供給、静岡県大井川広域水道企業団を通じた7市への上水道用水の供給、東遠工業用水水道企業団を通じた4市への工業用水の供給を目的としています。
また利水放流を利用して長島ダム発電所で最大1200キロワットの小水力発電も行われています。
このほか、大井川上流域は糸静線と重なるため崩落が多く濁水が恒常化していましたが、長島ダムは下流の中部電力大井川ダムと連携し濁水対策として表層の清水の放流を行っています。
 
国交省直轄ダムらしく、ダム周辺は広く開放されじっくり見学することができます。
ダム減勢工に架かる『しぶき橋』から
クレストラジアルゲート2門、コンジット高圧ラジアルゲート6門を装備
常用洪水吐であるコンジットゲートは毎秒6000立米という日本屈指の放流量を誇ります。
このほか河川維持放流ゲート1条、低水量放流ゲート1条を備えています。
ダム中央の二つの空気孔がダムをロボットのように見せています。
 
左岸放流設備の右手の小さな建屋が利水放流を利用した長島ダム発電所。
 
さすが国交省直轄ダム、
ダムを中心に、一帯が広く整備されています。
 
ゲートをズームアップ
やっぱり顔はロボット。
 
下流面
 
広い天端は徒歩のみ開放
上流下流両側が展望台になっています。
 
減勢工
副ダムの上に『しぶき橋』が架かっています
1枚目の写真はあそこから撮りました。
左岸奥の放流は河川維持放流、手前は長島ダム発電所の放流。
低水放流バルブが右岸から放流するため、対局の副ダム左岸側が高くなっています。
 
ダム湖の接岨湖は総貯水容量7800万立米。
漕艇競技場としても使用されます。
 
ダム右岸を大井川鉄道井川線のアプト区間が走ります。
最寄り駅は『長島ダム駅』。
 
(追記)
長島ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1178 長島ダム(0073)
左岸 静岡県榛原郡川根本町梅地 
右岸         同町犬間 
大井川水系大井川
FNAWI
109メートル
308メートル
78000㎥/68000㎥
2001年
国交省中部地方整備局
◎治水協定が締結されたダム

奥泉ダム

2015-11-30 10:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 奥泉ダム
 
奥泉ダムは静岡県静岡市葵区井川の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令で新たに誕生した中部電力は、戦後の電力不足に対処するため包蔵電力の豊富な大井川流域での新規電源開発に着手し、同社初のダムとして1955年(昭和30年)に完成したのが奥泉ダムです。
奥泉ダムは併せて建設された奥泉発電所の取水ダムで最大8万7000キロワット(2012年の改修で9万2000キロワットに増強)のダム水路式発電が行われます。
 
奥泉ダムへと通じる管理道路は関係者以外立ち入り禁止のためダムの姿を間近で見ることはできません。
ダムのはるか上を通る車道から樹間に見えるダムを撮影するのが精一杯。
 
ダムのそばを走る大井川鉄道井川線の車窓からはもっと間近でダムが見れるようですが、訪問時は災害のため運休中でした。
 
追記
奥泉ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1161 奥泉ダム(0072)
静岡県静岡市葵区井川 
大井川水系大井川
44.5メートル
75.6メートル
3150㎥/600㎥
中部電力(株)
1955年
◎治水協定が締結されたダム

井川ダム

2015-11-30 09:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 井川ダム
 
井川ダムは静岡県静岡市葵区井川の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵電力が豊富な大井川での電源開発に邁進します。
その一環として1967年(昭和32年)に完成したのが井川ダムで、併せて建設された井川発電所で最大6万2000キロワットのダム式発電を行います。
井川ダムはわが国初の中空重力式コンクリートダムであるとともに、中部電力自身最初の100メートル級ダムとなっています。
建設当時はコンクリートは高価で建設コストを抑制できる中空式重力ダムが多用され、特に中部電力は中空ダム建設に積極的でした。
井川ダムに次いで建設された畑薙第一ダム 畑薙第二ダム  も中空ダムとなっており、同じ流域で3基の中空ダムが連続するのは世界でも例がありません。 
井川湖の総貯水容量1億5000万立米は県内最大で、井川ダムの完成により大井川上中域の流量の季節変動が平準化され下流各発電所の発電効率が大幅に向上しました。
また井川ダムは畑薙第一ダム   とともに日本100ダムに選ばれています。 
 
ダム右岸に駐車場、ダム管理所、PR館である井川展示館があります。
右岸から下流面を撮りましたが、逆光になってしまいました。
堤頂部から始まるスロープ、そして導流部中段の膨らみがいかにも中空ダムと言った体。
 
クレストはラジアルゲート3門を装備。
手前はエレベータ棟で、奥は取水設備。
 
井川展示館の階段から俯瞰。
天端は県道60号。
 
同じ場所から管理事務所とダム湖(井川湖)。
 
天端から見下ろすと
左下が井川発電所。
 
天端を取水設備が跨いでいます。
 
上流から
満水のためタコ足スリットは確認できません。
 
堤体上流側にこれだけ大掛かりな取水設備があるダムは珍しい。
スクリーンには除塵機が併設されています。
 
追記
井川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

 
1162 井川ダム(0071) 
静岡県静岡市葵区井川 
大井川水系大井川
HG
103.6メートル
243メートル
150000㎥/125000㎥
中部電力(株)
1957年
◎治水協定が締結されたダム

畑薙第一ダム

2015-11-30 08:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 畑薙第一ダム
 
畑薙第一ダムは左岸が静岡県静岡市葵区小河内、右岸が同区田代の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵電力の豊富な大井川上流部での新規電源開発や既設発電施設の再開発に邁進します。
畑薙第一ダムもその一環として1962年(昭和37年)に完成し、当ダムを上部池、畑薙第二ダムを下部池とした畑薙発電所(最大出力13万キロワット)で中部電力初となる混合揚水式発電が開始されました。
中空ダム同士での揚水式発電は国内唯一、また下流の井川ダム も含めて3基の中空重力式ダムが並ぶのも世界でも例がありません。 
さらに畑薙第一ダムの堤高125メートルは世界最高となっており、日本ダム協会による『日本100ダム』に選ばれています。

井川ダムから県道60号を北上し、畑薙第二ダムを過ぎるとすぐに目の前に畑薙第一ダムが現れます。 
ダムから上流はマイカーの進入は禁止のため、南アルプス南部一番のt山玄関口にもなっています。 
左岸から
中空ダムらしい膨らみを持つ洪水吐導流部。
 
洪水吐導流部は下部で角度が変わり妊婦さんのお腹のよう。
ダム下に畑薙第一発電所が見えます。
 
天端から
錆の混じった縞模様が堤体を彩る美しい装飾に見えます。
 
畑薙第一発電所は最大13万キロワットの混合揚水発電を行います。
 
総貯水容量1億740万立米の畑薙湖。
背後には冠雪した南アルプスが望めます。
 
ゲートをズームアップ
下流の畑薙第二ダム ともども鮮やかなブルーのゲート。 
 
10年に一度の排砂のための浚渫作業が行われています。
除去した砂は袋詰めにしてダム湖沿いの山中に積み上げられます。
 
右岸下流から
奥の真っ白の山は上河内岳。
 
追記
畑薙第一ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。 

1168 畑薙第一ダム(0070)
左岸 静岡県静岡市葵区小河内
右岸       同区田代
大井川水系大井川
HG
125メートル
292メートル
107400㎥/80000㎥
中部電力(株)
1962年
◎治水協定が締結されたダム

畑薙第二ダム

2015-11-30 07:00:00 | 静岡県
2015年11月28日 畑薙第二ダム
 
畑薙第二ダムは左岸が静岡県静岡市葵区小河内、右岸が同区田代の一級河川大井川本流上流部にある中部電力(株)が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵電力の豊富な大井川上流部での新規電源開発や既設発電施設の再開発に邁進します。
その一環として 1961年(昭和36年)に完成したのが畑薙第二ダムで、当ダムを取水ダムとして畑薙第二発電所(最大出力8万2000キロワット)でダム水路式発電が開始されました。
さらに翌1962年(昭和37年)には第二ダム上流約2キロ地点に畑薙第一ダム
が完成し、畑薙第一ダムを上部池、当ダムを下部池とした混合揚水式発電を行う畑薙発電所(最大出力13万キロワット)も稼働しました。
同発電所は中部電力初の揚水式発電所であるとともに、揚水式発電の上下のダムがともに中空重力式というのは国内唯一、さらに下流の井川ダムも含めて中空重力式ダムが3基並ぶのも世界的に例がありません。
さらに2001年(平成13年)には河川維持放流を利用して小水力発電を行う東河内発電所(最大出力170キロワット)が完成しました。
 
ダム右岸下流から
中空ダムらしい導流部の膨らみが見られます。
エプロン末端はジャンプ台。
 
ダム右岸下流から
 
堤頂部には襟がありますが、中空ダムらしく下流面の傾斜はほぼトップから始まっています。
右手は河川維持放流を利用した小水力発電所の東河内発電所。
 
ゲートをズームアップ
右岸(向かって一番左)ゲートにはフラッシュボードがついています。
 
県道のトンネルを抜けるとダムサイトに到着します。
ダムは立ち入り禁止でフェンス越しの撮影となりますが、ゲートが影。
上流側に傾斜した独特の扶壁は畑薙第一ダム との共通点。 
 
ほぼ満水のため中空式ではおなじみタコ足スリットは見えません。
 
追記
畑薙第二ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1167 畑薙第二ダム(0069)
左岸 静岡県静岡市葵区小河内 
右岸       同区田代 
大井川水系大井川
HG
69メートル
171メートル
11400㎥/3600㎥
中部電力(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム

山口ダム

2015-11-25 06:00:00 | 長野県
2015年11月22日 山口ダム
 
山口ダムは左岸が長野県木曽郡南木曽町吾妻、右岸が同町田立の一級河川木曽川本流にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した関西電力は戦後の電力不足に対処するため各所で活発な電源開発を進めます。
特に木曽川はでは新規電源開発や既存の発電施設の再開発が積極的に進められ、その一環として1957年(昭和32年)に完成したのが山口ダムです。
当ダムを取水ダムとして同時に建設された山口発電(最大出力4万2000キロワット)が稼働したほか、従来水路式発電を行っていた賎母発電所(最大出力1万6300キロワット)も当ダムを取水ダムとすることで安定した発電が可能となりました。
 
中津川から国道19号を北上し県境の賎母大橋を超えると右手に山口ダムが現れます。
下流の河原に下りダムと正対できます。
 
関西電力ではおなじみブラックのラジアルゲート6門を装備
河川維持放流として1門が開放されています。
左岸(向かって右手)1門だけゲート幅が細く越流高も低くなっています。これが排砂ゲートの役割を担っているようです。
 
右岸上流から。
 
左岸の取水口。
右手が賎母発電所、左手が山口発電所への取水ゲートで、それぞれスクリーンの上に除塵機が並びます。
 
追記
山口ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1009 山口ダム(0058) 
左岸 長野県木曽郡南木曽町吾妻
右岸         同町田立
木曽川水系木曽川
38.6メートル
181.4メートル
3484㎥/1264㎥
関西電力(株)
1957年
◎治水協定が締結されたダム

七倉ダム

2015-11-24 11:00:00 | 長野県
2015年11月21日 七倉ダム

高瀬ダムは長野県大町市平の一級河川信濃川水系高瀬川上流部にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
高瀬川は北アルプスに源を発する急流河川で、戦前から東信電気による電源開発が進められてきました。戦後高瀬川の発電事業を継承した東京電力は黒部ダムに匹敵する巨大ダム建設を軸とした高瀬川発電事業再開発を計画します。
しかし発電の中心が火力や原子力に移る一方、エアコンなど電化製品の普及に伴う電力消費の日中格差が拡大し、火力や原子力との親和性が高く巨大蓄電池として余剰電力を有効利用できる揚水発電に注目が集まります。
東京電力は高瀬川の発電事業を一般水力発電から揚水発電に変更し、1978年(昭和53年)にまず下部調整池の七倉ダム が、翌1979年(昭和54年)に上部調整池の高瀬ダム  と新高瀬川発電所が完成しました。 
新高瀬川発電所では有効落差229メートルを利用し最大出力128万キロワットの純揚水式発電が行われます。
さらに1980年(昭和55年)には中ノ沢発電所が完成し、七倉ダムを取水ダムとして最大4万2000キロワットのダム水路式発電も開始されました。
また各地で頻発する豪雨災害に対応するため、国交省は高瀬川水系の治水能力強化を目的として2015年(平成27年)に『大町ダム等再編事業』を採択、発電容量から洪水調節容量への振り替えにより高瀬ダム・七倉ダム合わせて1200万立米の洪水調節容量の確保が検討されています。 
 
葛温泉の先で県道326号から左の枝道に入るとダム下の駐車場に到着します。
高瀬ダムを見た後だけにどうしても見劣りしますが、堤高125メートルは十分巨大なロックフィルダムです。
洪水吐は高瀬ダム同様のジャンプ台式。 
 
左岸の洪水吐導流部を見上げます。
ローラーゲートが2門。
 
ゲートをズームアップ。
 
堤頂部へは洪水吐に沿ったこの階段を上ります。
標高差120メートルの直登。
 
階段の途中で振り返ると・・・。
 
ゲート脇の管理事務所
こうやってみると山小屋っぽくて格好いい
現在は遠隔操作で職員の常駐はありません。
 
登り始めて約15分でようやく堤頂へ。
サルの管理人がお出迎え。
 
堤頂から導流部を見下ろすと。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面
堤体は緩やかに湾曲しています。
写真ではよくわかりませんが、対岸に常用洪水吐があります。
 
ローラーゲートを上流から
 
総貯水容量は3250万立米のダム湖に名前はありません。
左奥入江の先に新高瀬川発電所の放流口があるようです。
 
追記
七倉ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1026 七倉ダム(0055)
長野県大町市平 
信濃川水系高瀬川 

125メートル
340メートル
32500㎥/16200㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1979年
◎治水協定が締結されたダム

高瀬ダム

2015-11-24 10:00:00 | 長野県
2015年11月21日 高瀬ダム
 
高瀬ダムは長野県大町市平の一級河川信濃川水系高瀬川上流部にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
高瀬川は北アルプスに源を発する急流河川で、戦前から東信電気による電源開発が進められてきました。戦後高瀬川の発電事業を継承した東京電力は、黒部ダムに匹敵する巨大ダム建設を軸とした高瀬川発電事業再開発を計画します。
しかし発電の中心が火力や原子力に移る一方、エアコンなど電化製品の普及に伴う電力消費の日中格差が拡大し、火力や原子力との親和性が高く巨大蓄電池として余剰電力を有効利用できる揚水発電に注目が集まります。
東京電力は高瀬川の発電事業を一般水力発電から揚水発電に変更し、1978年(昭和53年)にまず下部調整池の七倉ダムが、翌1979年(昭和54年)に上部調整池の高瀬ダムと新高瀬川発電所が完成しました。
新高瀬川発電所では有効落差229メートルを利用し最大出力128万キロワットの純揚水式発電が行われます。
 
高瀬ダムは堤高176メートルと黒部ダムに次ぐ堤高を誇り、日本ダム協会が選定した日本100ダムに、ダム湖の高瀬ダム調整湖はダム湖百選に選ばれています。
一方でダム湖一帯は日本有数の崩落地帯のため予想を超えるペースで堆砂が進み総貯水容量7620万立米に対し有効貯水容量はわずか1620万立米まで縮小し、新高瀬川発電所の発電能力を十二分に発揮できない事態となっています。
現在はオフシーズンにダンプを利用した排砂作業が行われていますが、国交省が2015年(平成27年)に事業着手した『大町ダム等再編事業』により、トンネル及びベルトコンベアを利用した常設的排砂施設の建設が計画されています。
また同事業では高瀬川の治水能力向上のために発電容量から洪水調節容量への振り替えにより高瀬ダム・七倉ダム合わせて1200万立米の洪水調節容量の確保も検討されています。
 
下部調整池の七倉ダムの先の七倉山荘から先は国立公園内の東京電力の管理道路のため一般車両は通行止めです。
かつては東京電力の広報施設である高瀬テプコ館で新高瀬川発電所及び高瀬ダムの見学が行われていましたが、福島第一原発事故によ業績悪化を受けて廃止され、高瀬ダムまではタクシー利用もしくは徒歩での往復を余儀なくされています。
今回は七倉山荘からのダムまでの約5キロを徒歩で往復することにしました。

高瀬ダムは北アルプス表銀座コースの登山口で登山シーズンならば多くの登山者で溢れかえりますが、すでにシーズンオフのためこの日は2つのパーティーが準備をしているだけ。
排砂のダンプが往来する中約1時間の徒歩となります。
 
七倉山荘から約5キロ、目の前に巨大な石の壁が現れます。
 
堤高176メートルをまたぐ巨大なジャンプ台式洪水吐。
 
減勢工。
 
堤体を管理道路が九十九折に登ってゆきます。
 
九十九折を隊列を組んで登る排砂ダンプ軍団。
私の世代はついつい西部警察を思い出します。
 
洪水吐はローラーゲート2門。
 
 
ここからジャンプ台へと下ってゆきます。
 
21台のダンプが一日7往復排砂作業を行っています。
 
右岸から
奥に不動岳が見えます、ここから烏帽子岳に至る尾根が北アルプス三大急登の一つ『ブナ立尾根』。
 
左岸にあるこの施設は常用洪水吐になります。
 
不動沢に堆積した土砂。
 
ダム湖(高瀬ダム調整湖)
ダム湖百選に選ばれ条件が良ければ槍ヶ岳まで遠望できるのですが・・・。
 
堤頂長362メートルの天端。
 
あいにくの天気でダムから北アルプスの絶景を眺めることはできませんでしたが、巨大な洪水吐も含めて日本最大規模のロックフィルの迫力を十二分に満喫することができました。
 
追記
高瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1027 高瀬ダム(0054)
長野県大町市平 
信濃川水系高瀬川
176メートル
362メートル
76200㎥/16200㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1979年
◎治水協定が締結されたダム

小河内ダム&有間ダム見学会

2015-11-16 06:00:00 | ダム見学会
2015年11月14日 小河内ダム&有間ダム見学会

11月14日は福島から宮城方面のダム巡りを計画していましたが、雨のため中止。
かわりに今月から提供され始めた小河内ダムのダムカレーを食べたあと、見学会のある有間ダムへ向かうことにしました。
ダムカレーの提供は10時から、ということで8時過ぎに自宅を出て中央道経由で奥多摩湖に向かいます。
紅葉の見ごろで普段なら交通渋滞も予想されるところですがだが、あいにくのお天気のせいかスムーズに到着しました。
 
レストラン開店前にダムを一通り見て回ります。
登山ではもう何回も来ている小河内ダムですが、ダムを目的に来るのは初めて。
まずは左岸上流面。
堤体と洪水吐は山を隔てて別れており、堤体にはエレベーターと展望棟があるだけ。
 
右岸から
ダム下に発電所がります。
 
ダムカレーとダムカード。
ニンジンとコーンで奥多摩湖の特徴であるドラム缶橋を再現しています。
    

 
洪水吐
堤体とは山を隔てています。
 
小河内ダムから埼玉県の有間ダムへ移動し見学会に参加します。
有間ダムも棒ノ折山登山でなじみのあるダムですが、ダムとしてみるのは初めて。
まずは基本的な説明から。
 
監査廊への階段
雨天のため、本来予定されていた洪水吐出口の見学や堤体を歩くことはできず、堆砂高の少し下まで階段を往復しただけ。
 
ダムカードとお土産
このほかローズマリーの鉢植えも頂きました。
写真のバッジはレアものらしい。
     
 
最後に有間ダムの洪水吐へ
導流部はトンネルになっています。
 
同じく見学会を実施している合角ダムにも行くつもりでしたが土砂降りになってきたのでこのまま帰宅。
ダムカレーは濃厚で食べ応えあり。
初めてのダム見学会は雨天でちょっと消化不良になったけど、これはこれでいい経験です。
これからも見学会などのイベントには積極的に参加しようと思います。