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ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

蔵王ダム『ダム研見学会』後編

2023-12-26 17:11:43 | ダム見学会
2023年11月2日 蔵王ダム『ダム研見学会』後編
 
蔵王ダム『ダム研見学会』前編では、ダムの天端から堤体内部の上部監査廊の見学内容について紹介しました。
ここではその続編、管理事務所からダム下、そして堤体内下部監査廊の見学について紹介したいと思います。

前編同様まず山形県県土整備部ホームページ内の蔵王ダム平面図を添付します。
中空ダムといっても堤体内部がすべて空洞というわけではありません。
いわゆるダイヤモンドヘッドでブロックごとに中空空間が仕切られています。
これを踏まえたうえで・・・・


管理事務所内の見学。
右手は古いダムコンで近々更新予定とか。


コンジットゲートの模型
社会見学の子供向けの模型ですが、真鍮製でかなりの出来栄え。


管理事務所の窓から
ダムの全景はここからの眺めが一番。


見学はすでに2時間を経過。
今度はダム下に移動します。
蔵王ダムは堤頂長273.8メートルとコンクリートダムとしてはかなりの横長。
放流設備は右岸側に偏っています。


非常用クレストゲート2門、常用コンジットゲート1門
利水放流用ジェットフローゲート1門
コンジットゲート上部の穴は先ほど外を覗いた空気孔になります。


天端からは見えなかったクレストラジアルゲート。


堤体から突き出た水圧鉄管は利水用の管路です。
中段に分水工があり、左手のジェットフローゲートとダム下流にある管理用小水力の蔵王ダム発電所に分水されます。


水圧鉄管をズーム
前方彼方の高架橋は上水用の水路管。


振り返ると
奥の蔵王ダム発電所に続く水路管
右手は洪水吐減勢工。


水路管の接続部。


建設時のドリル跡。

ジェットフローゲートのバルブ。


ゲート操作室の裏手からクレストゲート導流部を見上げる


再び堤体内へ。
今度は下部から中空を見上げます。


監査廊ではおなじみ三角堰漏水計。


こちらは堤体内仮排水路のあるブロック
基礎岩盤である花崗閃緑岩が露出。
堤体内で岩盤が露出しているのも中空ダムならでは。


見上げるとまるでダイヤモンドのような光景
先ほど歩いた上部監査廊がはるか上に見えます。




今度はプラムラインと排水ピットのあるブロックに移動。
こちらはプラムライン。


プラミラインを見上げます。
頂上部にかかるのが上部監査廊。


こちらは前編でも紹介した上部監査廊から見たプラムライン。


中空内部に置かれた定礎石。


排水ピット。


こちらも上部監査廊からの写真。

最後に管理用小水力発電所である蔵王ダム発電所へ。
水利使用標識。


認可出力484キロワット
最近塗装が塗りなおされ青が鮮やか。

最後に集合写真。



事前に精鋭ぞろいとお伝えしたせいか?参加者9名に対し職員様4名体制で対応していただきました。
さらにあれも見たいこれも見たいという無茶ぶりにも快く応対して頂き、通常1時間程度のメニューのところなんと3時間にもわたる濃い内容の見学会となりました。
マイスターとして初の見学会で幹事役としては不慣れな部分もあったかと思いますが、参加者の皆様には十二分に満足していただける会になったのではと自画自賛しております。
それもこれも山形県村山総合支庁建設部山形統合ダム管理課の職員の皆様のおかげと感謝の気持ちに堪えません。
改めて厚く御礼申し上げます。

蔵王ダム『ダム研見学会』前編

2023-12-25 16:42:02 | ダム見学会
2023年11月2日 蔵王ダム『ダム研見学会』前編
 
今年5月に当面の目標であった2000ダム訪問を達成、これを契機にこれまでの自分の欲求のためだけのダム活動からもう少し幅を広げてみようと思い、日本ダム協会のダムマイスターに応募し8月に拝命しました。
これまでもただダムを見て回るだけじゃなく、このブログで訪問したダムを紹介するとともにダム便覧への写真の提供、フェイスブックでのダム勉強会グループである『ダム研』の主催などの活動を行ってきました。
マイスター就任後は、さらにダムの周知・広報の一助になるとともにダムへの理解を広く深めるために『ダム研』メンバーをベースにした見学会や勉強会を企画・実施してゆこうと考えました。
その第一弾として選んだのが山形県山形市にある蔵王ダムです。
蔵王ダムを選んだ理由としては、全国で13基しかない希少な中空重力式ダムであること、さらに普段は立ち入り規制が多く見学ポイントの少ないダムであることなどです。
山形県県土整備部が管理するダムでは参加者5名以上でのダムの内部見学が可能です。
今回は『ダム研』メンバーから参加者を募り無事見学会実現にこぎつけました。
ここではその詳細についてご紹介してゆきたいと思いますが、写真が70枚近くになるため前編・後編に分けてアップしたいと思います。
またダムの一般的な内容については『蔵王ダム』の項をご覧ください。

見学を紹介する前に山形県県土整備部ホームページ内の蔵王ダム平面図を添付します。
中空ダムといっても堤体内部がすべて空洞というわけではありません。

いわゆるダイヤモンドヘッドでブロックごとに中空空間が仕切られています。


まずは下流面
ここは普段唯一ダムの全容が望める見学ポイントです。
中空ダムらしく襟はなく堤頂部からスロープが始まります。

ダムサイトの説明版。

 
上流面
水面直上からダイヤモンドヘッド、通称『たこ足』が見えます。


少しズームアップして
手前は艇庫で船はクレーンで昇降させます。
最奥の赤いゲートはコンジット予備ゲート。
注目すべきは艇庫のすぐ先の取水設備、黒いレールのようなものが見えますが蔵王ダムの取水設備は珍しい『ヒンジ式』です。


右岸ダムサイトから天端を進みます。
近年の改修で高欄がかさ上げされ路面も再舗装されました。

ダムの銘板。


蔵王ダムには取水設備が2か所あります。
こちらは左岸側の山形市への上水用取水設備から延びる水路管。
専用管で浄水場まで送水されます。

上で紹介した艇庫内の巡視艇
乗船したまま船を昇降させるそうです。
怖いけど乗ってみたい。


このマンホールの下にはプラムラインが設置されています。
後ほど中の様子も紹介します。


水位計
正副2台あり右が正のフロート式、左が副の水晶式。


蔵王湖と命名されたダム湖は総貯水容量720万立米。
奥の山は北蔵王雁戸岳
紅葉は見ごろなのですが曇天に加えて靄っぽいあいにくのお天気。


こちらは10月半ばに職員さんが撮った写真
風がなく湖面が鏡面のようです。


水利使用標識。
水道・水力発電と書かれていますが、こちらは山形市向け上水道用水の水利権。


ヒンジ式取水設備
右手はワイヤーの案内滑車でワイヤーの巻き上げにより黒いガイドレースに沿ってヒンジが動きゲートを開閉します。 
同タイプの取水設備は新潟県佐渡市の大大野川ダムにも設置されています。

言葉で説明してもわかりづらいので図面を添付。


こちらが取水設備の機械室。
右手のドラムでワイヤーを巻き上げます。

次にクレストラジアルゲート
ゲートは2門ありともに石川島播磨重工(現IHI)製。


天端からはクレストゲートのアームが見えるのみ。


クレストゲートの巻き上げ機。
ゲートは巨大ですが開度を変えるだけなので取水設備に比べたら機械は簡素。


こちらはコンジットゲートの空気孔。
ゲートの充水時の空気抜きと緊急遮断時の給気用を兼ねています。
通常は堤体の前面にあることが多く、この位置にあるのは珍しい。


今度はコンジット予備ゲートです。
直轄ダムではクレスト、オリフィス、コンジット、予備ゲートなどはメーカーを分けることが多いのですが、蔵王ダムはすべて石川島播磨重工(現IHI)製。


予備ゲート操作室
クレストゲートに比べて稼働距離が大きいのでかなり大がかり。
二つのワイヤードラムでゲートを昇降させます。 


当の予備ゲートは隙間から垣間見るだけ。


天端から減勢工を見下ろします。
副ダム下流は岩盤が露出。
左手の管路は利水放流用で、奥の建屋は管理用発電所である蔵王ダム発電所。


天端はゲート部分だけ上流側にクランク。


右岸から下流面。


利水放流用のジェットフローゲート。
利水放流は放流量によりこのゲートと管理用発電所を併用もしくは使い分けます。


ようやく堤頂長273.8メートルの右岸に到着。
見れるものはすべて見せていただいており見学開始からすでに1時間近く経過。
この階段の左下に上部監査廊入り口がありいよいよ中空ダム内部に向かいます。


と、右手の法面に何やら蓋されたものが?
実はここには蔵王権現を勧請した水神が祭られているのですが、冬に備え木板で覆われています。


いよいよ上部監査廊に突入。
最初に添付した平面図を見ればわかるように中空ダムは空洞空間はブロックごとに仕切られています。
そのため上部監査廊はコンクリート部と空洞部が交互に繰り返されます。


3つ目の空洞は広いホールになっています。
実はここがコンジットゲート操作室。
前方の丸い穴は中空ダムおなじみの空気孔になります。


空気孔から外を覗いてみると紅葉が見ごろ。
巣穴から外を覗くキツツキになった気分。


コンジットゲートのプレート。
先述のようにこちらも石川島播磨重工(現IHI)製。


こちらがコンジットゲートの油圧シリンダー。


ゲート操作は管理事務所で行われますが、万一に際し手動用の装置もあります。

 
コンジットゲート。


監査廊を先に進みます。
眼下の十字に見るのは排水溝で上の四角が排水ピット。


壁の管はプラムライン。
こうやってプラムラインを見下ろせるのも中空ダムならでは。


こちらが上部監査廊の一番左岸よりのブロック。


終点間際にはこんなものも
コンクリートが乾く前に踏み込んだ足跡だそうです。
しかし足跡がやたら多い。


最後の階段を上がると。


左岸の管理事務所に到着。


振り返ると
中空ダムのこんな位置から堤体を見れるのも見学会ならでは。


一度にすべてを紹介すると、ブログの文字制限3万字を超えてしまうので今回はここまで。
後編に続く。

平取ダム見学

2023-12-01 09:00:00 | ダム見学会
2023年10月19日 平取ダム見学
 
2023年(令和5年)10月19日から一週間かけて北海道のダム巡りをしてきました。
そのうち事前に説明付き見学を要請した3基の国土交通省直轄ダムで管理支所長さま直々のガイドによる見学が叶いました。
まずは北海道初日の10月19日の平取ダム見学について内容を詳しく紹介したいと思います。
ダムの詳細については『平取ダム』を参照ください。
 
今回は平取ダム管理支所長様直々のガイドによる見学です。
約束したのは13時。
昼過ぎに激しい雨が降り内心ひやひやしましたが、ダムに到着するころには雨も上がりホッと一息。
左岸ダムサイトで支所長様と待ち合わせし、ダムの概要について簡単に説明を頂きました。
こちらはダムサイトにある電源室。
実は管理支所は堤体から約800メートル東方のダム湖岸にあります。


ダム左岸段丘上は透水性の高い砂礫層となっています。
そのため、地中に連続地中壁を設け遮水を行います。
写真の砂利の下に連続地中壁が埋設されています。


このマンホールのある場所が堤体と連続地中壁の接続地点。


堤頂350メートルの過半を左岸段丘部が占めます。


上流側。


ダム周辺にはアイヌの聖地が多く所在し、ダムサイトにはその説明板が設置されています。


左岸は川によってもたらされた砂礫が堆積してできた段丘です。


天端
徒歩のみ開放。


天端高欄のダムのプレート。
竣工後まだ1年ちょっとということでピッカピカ。


天端からの眺め
河床部は左右両岸に堤趾導流壁とフーチングが設けられています。


過度の装飾が許されないご時世
天端高欄や建屋はシンプル。


クレスト越流頂と取水設備。


総貯水容量は4580万立米
ダムは額平川と宿主別川の合流地点直下に建設されており左は額平川、右手が宿主別川になります。


左から魚道、利水放流設備、非洪水期オリフィス、洪水期オリフィス、融雪期放流設備という並び。


利水放流設備と魚道をズームアップ。
河川維持放流は魚道優先で行われます。
また俎上する魚が利水放流ゲートに向かわないよう段差が設けられています。 


オリフィスをズームアップ
左が非洪水期、右のデフレクター付きが洪水期オリフィス。 


一番右岸にあるのが融雪期放流設備。
4~6月の融雪期は水量豊富で利水供給に余裕があるため、平取ダムの貯水池を空にし流水運用を行います。
豊富な流量の掃流により貯水池内の土砂を排出して堆砂を防ぐ仕組みです。


右岸から見た天端建屋群。
手前が融雪期放流ゲートの機械室。


融雪期放流ゲートを開閉するためのワイヤーが見えます。


右岸から下流面
堤趾導流壁とフーチングで仕切られた部分は堤体の半分でしかありません。


次にダム下に向かいます。
普段は立ち入り禁止ですが、今回は特別の配慮で見せていただきます。


多彩なゲートに目が釘付け。
しかも見えているのは350メートルの堤体全体の半分に過ぎないという…
洪水調節は自然調節で、非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂11門、非洪水期および洪水期用オリフィス各1門ずつを装備。
堤体下部には向って左手から土砂流下を目的とする融雪期放流設備、利水放流ゲート、魚道が並びます。

 
土砂排出を目的とする融雪期放流設備は摩耗を防ぐためステンレス等でライニングされています。
これは宇奈月ダムでの実績を生かした技術だそうです。


下流のポールは水位計。


河床の左岸に魚道が設置されています。
サクラマスの遡上に配慮したもので、河川維持放流は魚道を優先して行われます。


魚道はそのまま堤体を潜ります。


熟成のためにお酒が貯蔵されていました。


以上がダムの見学。
最後にダム管理所に併設されている「ノカピライウォ・ビジターセンター」に案内していただきました。
ここではアイヌの文化保全の取り組みについてパネルや展示物で紹介され、アイヌの文化や風習を詳しく知ることができます。
プロジェクトマッピングを使った斬新な展示となっています。


アニメが人気化し実写映画化も決まった「ゴールデンカムイ」で注目を浴びるアイヌ料理についても詳しく説明されています。


北海道で一番新しいダム、そして全国でもここだけという融雪期放流設備など見どころの多い平取ダム。
今回は特別のご配慮でダムを詳しく見学させていただきました。
一般の方が同じような見学を求めるのは無理ですが、今後もりみず旬間などで見学会が開催される機会もあるでしょう。
ただダムを見てカードをもらうだけじゃなく、珍しい運用方法にも興味を持っていただければ、併せてアイヌの文化や風習にも触れていただければと思います。

最後に繰り返しになりますがご多忙の中貴重なお時間をとっていただいた平取ダム管理支所及び支所長様には厚く御礼申し上げます。

2023年7月30日 豊丘ダムまつり・ダム探検

2023-10-17 17:00:23 | ダム見学会
2023年7月30日 豊丘ダムまつり・ダム探検
 
前日の内村ダム見学会菅平ダム・菅平発電所見学会に続いて7月30日は豊丘ダムまつりの一環として開催されるダム探検イベントに参加させていただきました。
豊丘ダムでは例年ダムを管理する長野県須坂建設事務所と地元豊丘地区が共同でダムまつりを開催し、ダム見学会であるダム探検のほか地元農産物の販売、建設機械の展示、工作教室など親子で楽しめるイベント多々用意されています。

午前9時30分ごろにダムに到着し、ダム探検イベントの予約をしたあと右岸ダムサイトをうろうろ。
まずは下流面の写真を何枚かパチリ。
前回訪問時よりも手前の木が伸び、見通しが悪くなっています。



ついで上流面
硫黄成分の影響でダム湖は美しいエメラルドグリーン。


定礎石。


10時前に建設事務所長さんや地元自治会会長によるダムまつり開会の挨拶。


ダム探検イベントは第1組
まずは職員さんによるダムの基本的な説明。
参加者の多くはダムマニアではない一般市民の皆さんなので、内容も初歩的なものとなります。


ダムの目的や運用方法のほか、監査廊内の設備の説明も行われます。


次に艇庫に移動
艇庫は『蔵の街須坂』をモチーフにしたデザイン。


インクラインの巻き上げ機。


艇庫に置かれたダムの立体模型
透明なプラスチック製なのでうまく写真が撮れません。


ついで天端からの説明。


天端から艇庫とインクライン
ダムまつりに合わせてインクラインのシャッターが開けられています。


乗っているのは流木や塵芥を除去する作業船。


ダムからは長野市街を挟んで戸隠や北アルプス後立山連峰まで遠望できますが…。


この日はやや靄っており戸隠と飯綱山がかすかに見えるだけ。


ダム下を見下ろします。


低水放流設備には管理用小水力発電所が併設されていますが、今は休止中。
発電所は県企業局に移管され刷新される予定。


ダム湖(昇竜湖)は総貯水容量258万立米
百々川ほどではありませんが、灰野川も硫黄成分を含むため湖面は独特のエメラルドグリーン。


オリフィスゲートを真上から
戸当たりの溝は試験湛水の際のゲート用。


上流面。


いよいよ監査廊内へ。
エレベーターでEL818まで下りて横坑を進みます。


続いて斜度45度の階段を下ります。
『ここでダメな方はエレベーターで引き返してください』という職員さんの言葉がありますが全員GO!


湿度ほぼ100%で案内板は結露。




右手はドレーン。


ようやくEL788の最下層へ
30メートルを下りきりました。


こちらもドレーン。


職員さんが説明しているのは?


監査廊ではおなじみのプラムライン
堤頂部からぶら下げたワイヤーでダムの微細な歪みを計ります。


三角堰漏水計。


排水ピット
漏水をここに集め排水します。




こちらは最新式の漏水量計。


再び30メートルを登り返し。


これにてダム探検終了
正直、ダム見学としては物足りなく取水設備やダム下の放流設備・発電所なども見れたらなあという内容。
せっかくなので農産物販売所へ。


ジャガイモ、タマネギ、ピーマン、プラムを購入。
東京から見ればかなりお安いお値段。


須坂はトウモロコシが特産
焼トウモロコシも頂きます。


上でも書いたようにダムの見学会としては監査廊の中を見るだけでちょっと物足りない内容。
ただ、多くのダムが単独イベントとして見学会を実施するのに対し、ここでは地元との共催によるダムまつりという点が味噌。
お昼過ぎにダムを後にしましたが、駐車場の空きを待つ車も多くお祭りとしてはなかなかの盛況。
ダムツーリズムという視点ではお手本とも言うべき豊丘ダムまつりでした。


2023年7月29日 菅平ダム・発電所ダムもりみず見学会

2023-10-15 17:00:22 | ダム見学会
2023年7月29日 菅平ダム・発電所ダムもりみず見学会
 
昼前の内村ダム見学会のあとに向かったのが長野県企業局が管理する菅平ダムです。
ここは普段ダム下流からの展望ポイントがなく、見学会の際にダムを下から拝めるだろうという期待もあり参加したのですが…
事前予約はなく希望者は適時、見学ができるスタイル。
 
見学会の前に国道から上流面
灌漑主体のため取水設備は表面取水となります。


取水設備の扉も開いていますが、中は立ち入り禁止。


取水設備概略図。


取水設備のプレート
メーカーは丸島水門(現丸島アクアシステム)。


天端から洪水吐を見下ろすと
取水設備から導水路までの落差を利用した小水力発電所の建設工事中。
こりゃあ、ダム下には行けないかも??


管理事務所入り口で見学手続きを終えたら、まずはダム操作室で運用についての説明。
旧式のダムコンだそうです。


取水ゲートの操作説明。
質疑応答に集中して写真はこの2枚だけ…。


次に監査廊見学。


ダムは堤高41.8メートル。


建設中の小水力発電所をズームアップ。


少し階段を下ります。


ここが監査廊入り口。


いきなり階段を下ります。
漏水計や電気ケーブルが通っています。


こちらはダム最下層。


ちょっと登り返すと。


ダム下の監査廊出入り口。


ダムの下流面はこれが精いっぱい。
普段ならさらに下流まで行けるのですが、今工事中のためここまで。


剥がれたコンクリートが建設以来50年以上の時間経過を感じさせます。


来た道を戻って見学終了。

意外にあっさり終わった見学会。
天端の愛車と記念撮影。


つぎに4キロ下流の菅平発電所へと向かいます。
見学終了時間ギリギリの到着でしたが、ご厚意により見学OK。


発電所越しに水圧鉄管を見上げます。


こちらは発電所からの放水路
舟形の余水吐が特徴的。


アングルを変えて
実はこの下流には戦前完成の中部電力(株)横沢第一および第二発電所があり、平時は菅平発電所の放流水がそのまま使われます。
一方、菅平発電所が停止中は、写真左手の神川取水堰から導水されます。


右手は発電所の放流口
見学時は絶賛発電中で勢いよく放流されています。
左手は上部水槽の余剰水放流口で、発電所をバイパスして放流されます。


有効落差276メートルの水圧鉄管
右手は発電用の鉄管、左手は余水管で余剰水の流下に使われ上の写真の余剰水放流口から放流されます。


ちょっと見づらいですが、鉄管の左手にモノレールのレールがあります。
かつては点検の際には右手の階段で標高差276メートルを昇り降りしていたそうですが、いまはモノレールで移動。
でも上部水槽まで約15分、急傾斜かつ乗り心地も悪いためお尻は痛くなるし首への負担も大きいようです。
昇りは良いけど、下りは怖そう…。


水圧鉄管のプレート
佐世保重工製。


いよいよ発電所内へ
認可最大出力5400キロワットの発電機。




明電舎製です。


職員さんによる説明を受けますが、発電機の音がすごくよく聞き取れません。


階下へ下ります。
これは上階の発電機と地下の水車を結ぶ縦軸。
発電中なので毎分900回転で回っています。


水車と縦軸は荏原製。


正直、ダムの見学は今一つでしたが、発電所では稼働中の発電機をすぐそばで見れたほか、珍しい形状の放流口余水吐など内容の濃い見学となりました。
特に発電所では見学終了間際の訪問にもかかわらず、時間超過で丁寧な説明、質疑応答をしていただき感謝の念に堪えません。
菅平ダムの小水力発電所完成の暁には改めて来訪したいと思います。

2023年7月29日 内村ダムもりみず見学会

2023-10-13 17:00:28 | ダム見学会
2023年7月29日 内村ダムもりみず見学会
 
全国各地のダムが一斉に見学会等のイベントを実施する『森と湖に親しむ旬間』、通称『もりみず』。
ダム愛好家にとっては一年で最も楽しみな旬間です。
しかし。ここ3年はコロナ禍のため大半のイベントは休止、昨年ようやく一部のダムで再開の動きが出はじめ今年、4年ぶりに本来の『もりみず』が戻ってきました。
もともとマニアックな性格ですので人気殺到のメジャーなダムは避け、あまり人が来そうにないダムをあれこれ検討した結果、今回チョイスしたのは長野県の内村ダム菅平ダム豊丘ダムの3基。
7月29日から30日の一泊二日で3つのダムの見学会をはしごすることにしました。
29日早朝に自宅を発ち、山梨県の後沢溜池に立ち寄った後午前11時に内村ダムに到着。
予約した時間まで30分ほどあるのでまずはダム下をうろうろ。
減勢工直下のフロック工から。
草をかき分けここまで下りましたがあまりよく見えません。

 
定番スポットから
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂2門、洪水期および非洪水期用自然調節式オリフィス各1門ずつを装備
今回は洪水期用オリフィスから越流中。

オリフィスゲートをズームアップ
向って右手が非洪水期(10/11~5/31)
左手が洪水期(6/1~10/10)用オリフィス
非洪水期用はスライドゲート、洪水期用はローラーゲートで開閉します。


開始10分ほど前に右岸ダムサイトの管理事務所へ
本当は事前に職員さんによるレクチャーがあるのですが、前の組が押しているので先に艇庫や監査廊の見学をすることに。
前の組は大人数でしたが、私の組は嫁とシニアの男性一人の計3名。
ほぼ貸切見学会。


ダムサイトの説明板。


竣工当時の知事さん揮毫による記念碑。
中国の管子の言葉で
『自然は不動ではなく危険をもたらす一方で、易をもたらすことも多い』なんて意味だそうです。


左岸の艇庫。


こちらは作業船
ダム湖の流木やゴミの除去に使われます。


こちらは巡視艇。


インクラインの巻き上げ機。


艇庫とインクライン。


天端から管理事務所を見上げます。
斜めに伸びる階段が監査廊への入り口。


堤頂長は265メートルで右岸側が屈曲しています。


中段から
これは見学会じゃないと撮れないショット。


階段を下ります。


地震計
三角屋根の箱の中に感震機が入っています。


漏水量の説明板。


漏水量計。


一旦水平に進みます。


間隙水圧計、温度計間、継目計測

こちらはプライムライン
堤頂部からピアノ線が張られダムのたわみによる変形を計測します。


三角堰漏水量の説明板。


こちらが三角堰漏水量計。
漏水は奥の青いバルブで排水します。


さらに階段を下り最下層へ。


ここには低水放流設備があります。
そのプレート。

 
低水量の洪水調節、維持放流や利水放流はこちらで行います。
一般には低水放流設備は堤体から独立しては位置されることが多いのですが、こちらでは堤体に内包されているのがポイント。


手前のパイプはダムの下流300メートルにある内村浄水場への送水管。


監査廊の出口を出るとダムの直下へ。
導流壁そばの穴が低水放流管となるジェットフローゲート。
今回はオリフィスから越流しているため、ゲートは閉じられたたまま。


堤体に直に触れることができます。


上水道用水の水利使用標識。


続いて管理事務所で職員さんによるダムの概要説明
本来は見学前に行うのですが、順番が逆になりました。


続いてダム操作室での説明。
職員の常駐はなく平時は週1度の巡回のみ、長野県上田建設事務所での遠隔操作となります。


担当職員さんによるダム操作や運用の説明。




一番聞きたかった治水協定による事前放流の説明板。
内村ダムでは基準降雨量190ミリで、利水容量から最大29万5000立米の事前放流を実施します。
協定は結ばれていますが、万一事前放流を実施したにもかかわらず想定した雨量がなかった場合、つまり空振りの場合については現在国交省による利水容量の補償はないそうです。


見学終了後、天端を見て回り最後に国道254号線から遠望。


ゲートをズームアップ。


公式な見学会としては1年ぶり、なんだかんだで約1時間半の充実した内容でした。
のんびりしたいところですがこのあとは菅平ダム・発電所の見学が控えており、ダッシュで菅平へ!

片田貯水池見学

2023-06-02 18:09:55 | ダム見学会
2023年4月24日 片田貯水池見学

4月は4泊5日で岐阜から紀伊半島のダムを回りましたが、お目当ての一つが津市の上水用水源である片田貯水池でした。
戦前の貴重な水道施設として『近代水道百選』や近代土木遺産に選ばれており、ダム下は園地で水道資料館が開設される一方、貯水池構内への立ち入りは禁止になっています。
今回、管理する津市上下水道事業局のご厚意により片田浄水場長さまの案内で見学が叶いましたので、ここでその詳細を紹介したいと思います。
なお、ダム便覧では『片田ダム』となっていますが、津市上下水道事業局では『片田貯水池』の名称を使っており、ここでもそれに従うことにします。

ダム便覧にも掲載されている定番スポットから
堤体にはもこもこのツツジが植えられ、片田貯水池の売りとなっています。
できればツツジが満開の折に訪問したかったのですが・・・。


門柱は竣工当時のもので表札には『津市水道水源地』の文字。
奥は水道資料館ですが、月曜日が休館日ということでこの日は見学できず。

職員さん到着前に左岸の田んぼ沿いを散策
ツツジが満開になると鮮やかだろうなあ!


職員さんが到着し園地内へ
この木造建屋は旧管理事務所で竣工当時のもの
Cランクの近代土木遺産です。


かつては取水設備や洪水吐操作のため、職員さんが24時間常駐していたそうです。

園地内のモニュメント。


園地は月曜以外の昼間開放されていますが、貯水池構内は立ち入り禁止。


職員さんに開錠していただきます。


堤体直下の水路
ドレーン水路で石積みの擁壁は竣工当時のまま。


堤体中央に階段が設けられています。
堤体自身はBランクの近代土木遺産。


振り返ると。


園地には桜が植えられ、桜の時期はそこそこ賑わうそうです。
園地左手を岩田川が流れます。


階段最上部。


堤頂部の階段。
等間隔に5基並んでおり装飾として設けられたようです。


貯水池側がさらに高くなっており、コンクリートの擁壁が設けられています。


貯水池は有効貯水容量129万立米で、集水はすべて雲津川水系長野川からの導水によります。


右岸から
対岸に取水塔があります。


このコンクリートの壁は竣工当時のものではなく、後付けされたとのこと。


取水塔とトラスの管理橋。


今度は左岸に移動。
手前の鉄パイプは流木引き揚げのために組まれています。


上流面はコンクリートブロックで護岸。
河道外貯留ですが、流木がすごい。




取水塔と鋼トラスの管理橋
こちらもCランクの近代土木遺産。
設計は片田貯水池建設を指揮した上水道の父中島鋭治


管理橋入口の親柱は六角形
こういう細かい意匠も手が込んでいます。


円筒部はRC造
右手の縦管は空気抜き
この当時の取水塔だと屋根が円蓋になっていることが多いのですが、ここは平面。






取水塔からさらに上流に進むと洪水吐が現れます。
手前は木製のゲートリーフが嵌め込まれ、奥は自由越流。
ゲート部分にはかつては巻き上げ式の起伏ゲートが設置されていました。
近年は雲津川水系から導水した水が別水系の岩田川に溢れるのは宜しくないという国交省の指導もあり、洪水吐からの溢流は極力避けるよう運用されています。


扶壁に円形の起伏ゲートのガイドがあります。


上の滑車でゲートの開閉を行っていました。


導流部はトンネル
トンネルの先で岩田川に流下します。
擁壁は石積み、流路は石敷きでいずれも竣工当時のもの。


トンネル入り口は立派なポータル。

今回はダムを管理する津市上下水道事業局のご厚意によりダムの見学が叶いました。
これまで学校単位の社会見学等はあったそうですが、いわゆるダム愛好家個人での見学依頼は例がなかったとのこと。
上下水道事業は限られた人員で運用されており、今後同様の要望をする際はできるだけ人数をまとめてお願いしたいとのことでした。
いずれにしても多忙の中対応厚く御礼申し上げます。
今回は資料館があいにくの休館日、折角なのでツツジが見ごろに時期にぜひ再訪したいと思います。

緑川ダム施設見学

2023-01-29 17:52:40 | ダム見学会
2022年11月21日 緑川ダム施設見学
 
熊本県美里町の国交省が直轄管理する緑川ダムでは事前予約をすれば堤体内も含めた施設見学が可能です。
しかし、今回は予約なしで見学に伺ったところ、ちょうど小学生の社会学習としてダム見学が実施されていました。
ダメもとで『自分たちもお願いできませんか?』と伺ったところ、小学生の見学終了後なら大丈夫と言う嬉しいご返答。
ということでここではその詳細をアップしたいと思います。
 
見学の前にダムの下流から
クレストラジアルゲート2門、その間にオリフィス高圧ラジアルゲート3門と言うちょっと変わったゲート配置。
洪水時には最大800立米/秒の洪水調節を行います。
右手は熊本県企業局緑川第1発電所(最大出力3万1700キロワット) 。

 
左岸ダムサイトに上がったところで、小学生の見学会
このあと職員さんにお願いしたら快諾していただきました。


さて、アテンドのお姉さんに着いて堤体内へ入ります。
本堤右岸側の監査廊入り口。


監査廊。


なぜかサワガニの死骸
職員さんもどこから入ってくるのか?思案顔。


階段で一階下へ。


こちらはダム右岸に置かれたリバースプライムライン。
ダムの水平方向の変位を検知します。


右岸フーチング上部
緩やかに湾曲し、巨大な猛禽が羽を広げたよう。


ゲート操作室にやってきました。


常用洪水吐となるオリフィス高圧ラジアルゲート。
3門あわせて最大2000立米/秒の放流能力があります。


オリフィスゲートは三菱重工製。


最下層までやってきました。
気温は14度。


ここに定礎があります。


こちらはノーマルプライムライン
堤頂部からピアノ線が張られダムのたわみによる変形を計測します。


堤体直下へ。。
堤高76.5メートルを見上げます。
目の前には堤体から突き出た水圧鉄管、そして真上が『カド』になります。


水圧鉄管と堤体の接続部
こんな間近で見るのはもちろん初めて。


これはちょっと他所ではお目にかかれない眺め。


水圧鉄管の直径は5メートルで、最大55立米/秒を発電所に送ります。
確か国内最大の鉄管が直径6メートルだったはずで、それに迫る大きさ。


『ここは広角で撮ったら迫力ある写真が撮れます』というガイドのお姉さんイチ押しポイント。
超広角で撮ったら本当に迫力ある1枚に。
壁紙にしよう。


ダム下には交換された取水設備のスクリーン
持って帰れるものなら欲しい。


エレベーターで天端に戻ります。


天端から超広角で撮ってみました。
右手はクレストラジアルゲートの操作室、ここも見たかったな。


細い管は?と尋ねると
灌漑用水路管だそうです。
既得灌漑用水になるのかな?


最後に管理所も見せていただきました。


高い位置から『Z』型堤体を俯瞰できます。
このダムは高い位置から見てこそ!


もう一枚
かっけー!!


さらに!!!


しつこい!!!!


副堤の緑川補助ダムも真上から。


1時間弱でしたが、まさか中を見せていただけるとは思っておらず、今回のダム旅一番のラッキー。
次回はダムサイトのバンガローに泊まるのもいいな。

手取川ダム・手取川第一発電所見学会

2022-09-04 12:00:00 | ダム見学会
2022年7月30日 手取川ダム・手取川第一発電所見学会
 
全国各地のダムが一斉に見学会等のイベントを実施する『森と湖に親しむ旬間』、しかしながらコロナ禍のためこの2年はほぼ休止状態となっていました。
ようやく世の中が正常化に向かい始めた今年、多くのダムでイベント再開の動きが出てきました。
たまたまこの時期に北陸のダム巡りをすることになり、手取川ダム真名川ダムどちらの見学会に参加するか?迷ったのですが、最終的に普段敷地に立ち入りできない手取川ダムの見学会を選択しました。
日時は7月30日、午前と午後の部それぞれ定員20名ということでちょっと早めの9時過ぎに手取川ダム左岸ダムサイトのダムPR広場に到着。
 
その前に、普段手取川ダムの下流面を唯一見ることができる国道157号線から。

 
午前10時に見学会がスタート
参加者はそれぞれマイカーで右岸のダム管理事務所に向かいます。
正式名称は『国土交通省金沢河川国道事務所手取川ダム支所』。


国交省の職員さんよりダムについての基本的な説明。


事務所内にあるダムの模型。
もともと天端や管理事務所は一般に公開させる前提でしたが、天端に通じる管理道路で落石の恐れがあるため、立ち入り制限を設けています。


次に天端の見学
こちらは主ゲートのローラーゲート。


予備ゲートはなく、改修や補修、塗装などは水位が低下した時期に行います。


落差150メートル以上の洪水吐斜水路。


ダム下では毎秒1立米で河川維持放流が行われています。
もともとこの放流設備はありませんでしたが、維持放流の義務化を受けて2004年(平成16年)に増設されました。


洪水吐の上流側
維持放流用の取水設備は左手の管理事務所上流の水中にあります。


堤頂長420メートルの下流面。


天端幅は12メートル
トラッククレーンが走れる幅が確保されています。


上流面
奥に発電用取水塔が見えます。


ダム湖の手取湖
総貯水容量2億3100万立米は全国のロックフィルダム中第4位
北陸では九頭竜ダムに次ぎ第2位。


左岸天端脇のモニュメント
ダム完成20周年を記念して2000年(平成12年)に設置されました。
銘板は地元選出の当時の森首相の筆です。


モニュメントの説明版。


こちらは左岸ダムサイトの竣工記念碑。


再びマイカーでダム下に移動し、監査廊と放流設備の見学に移ります。
実際にダムを施工したのは電源開発(株)であり、堤体の管理も同社が行っています。
見学会のアテンドも同社の職員さんに交替。
左岸ダム下の監査廊入り口。


監査廊に入るとすぐに螺旋階段
これは天端へと続く竪坑になります。




気温は11度、
外気の34度からのギャップが激しい。


岩盤変位計。


ドレーンホール。


地酒が貯蔵中
ほぼ気温と湿度が一定のため、熟成にはぴったりだとか?

さらに洪水吐の下をくぐるため階段が下りてゆきますが、見学はここまで。


つづいてダム下の見学
真下から見上げると超広角でもフレームに収まらない。
昭和50年代前半のダムですが、同時期のロックフィルダムに比べるとかなりきれいに成型されています。


洪水吐斜水路
超広角でデフォルメされていますが、実際はかなりの高度差を実感できます。
斜水路手前側に小水力発電所が増設される予定。


すでに小水力発電所向けの分水バルブが設置されています。


奥のトンネルは仮排水路。


アングルを変えてもう一度斜水路。


最後は電源開発(株)手取川第一発電所へ
もりみずのイベントでこの発電所が公開されるのは初めてだそうです。


玄関先のプレート。


いよいよ発電所内に。


天井には住友重機製クレーン
最大240トンまで釣り上げ可能。


電源開発職員さんによる説明。


富士電機製発電機が2基並びます。
それぞれ最大12万9000キロワットの発電能力をち、認可出力は合わせて25万キロワット。




発電機の銘板。


発電所の認可最大出力25万キロワットは石川県及び手取川水系の水力発電所最大を誇ります。
常時発電は3万キロワットで、主に電力需要ひっ迫時を中心にピーク発電に近い運用が行われ、ちょうど昼前の見学時は運転休止中でソーラーの出力が落ちる夕刻から運転に備えていました。
また当発電所には逆調整池として手取川第2第3ダムおよび第二、第三発電所がありますが、こちらは北陸電力(株)が管理運用を行っています。
発電所と逆調整池の発電事業者が異なるのは非常に珍しいケースです。

約2時間の見学会でしたがあっという間に終了、疑問点などはできるだけ質問したつもりでしたが、振り返ると聞き洩らしたことも多々あり後悔しきり。
でも見学会はやっぱり楽しい。

裾花ダム見学会

2017-08-04 22:37:02 | ダム見学会
2017年7月30日 裾花ダム見学会
 
朝一の奥裾花ダムの見学会に続いて裾花ダムへ。
移動途中の国道406号線裾花大橋からパチリ!
 
駐車場には数台の車で懸念したような滅茶混みという感じではなさそう
奥裾花ダム同様見学者の到着に合わせて職員さんが手分けして案内してくれます。
取水塔と上流面。取水塔内にゲートが見えます。
 
ラジアルゲートの手前はコンジットの予備ゲート。
 
取水塔をアングルを変えて。
 
右岸のインクラインと艇庫。
 
アーチの堤体。
今回は天端からの説明のみでキャットウォークの歩行などはありません。
 
農業用水補給のための放流。いわゆる河川維持放流です。
 
減勢工
副ダム手前に上記農業用水の取水口があるようです。
 
左岸から
奥が管理事務所。
 
制御室の見学
ダムマイスターのピンクのうさぎさんとご一緒できました。
 
ダムコン。
 
試験湛水時の放流
裾花ダムでは洪水調節のためのクレスト放流はまだ一度もないそうです。
 
次に企業局が主催する発電所の見学のためダム下へ移動
ダム直下の左岸には高さ100メートル近い大岸壁が!!
安山岩と角礫凝灰岩が織りなす地層と斜行する断層は地質マニアもよだれをたらしそう!
 
ガードが厳しい裾花ダムをダム下から見れるのは本当に貴重な体験です。
 
 
長野県企業局が運営する裾花発電所は地下発電所となっています。
 
発電機
最大出力1万4600キロワットの発電を行います。
 
水車ライナー。
 
クレーン。
 
無理なお願いと知りつつ湯の瀬ダムの見学をお願いすると快諾していただきました。
ピーク発電を行う裾花発電所の逆調整池として建設されました。
一昨年に塗装されたばかりの青いラジアルゲートが鮮やかです。
 
これが利水放流ゲート。
 
利水放流ゲートの減勢工にある小さなゲート
長野市上下水道局の取水ゲートです。
 
天端も開放していただきました。
 
天端から減勢工
左手は水道局の施設。
 
キャットウォークの開放というような派手なイベントはありませんでしたが、普段ガードの固い裾花ダムをじっくり見ることができ満足の見学会となりました。
さらにさらに、こちらのわがままなお願いにもかかわらず湯の瀬ダムまで見学させていただき、長野県企業局様には厚く厚く御礼申し上げます。

奥裾花ダム見学会

2017-08-04 12:58:45 | ダム見学会
2017年7月30日 奥裾花ダム見学会
 
前日の浅川ダム見学会に続いて7月30日は奥裾花ダム(元)裾花ダム(元の見学会に参加させていただきました。
浅川ダムの出足が早かったので、見学会開始予定の10時よりもかなり早く9時前に奥裾花ダムに到着したのですが・・・
 
駐車場にはすでに数台の車が駐車、そしてありがたいことに職員さんたちは予定の10時を待たず来場者を順次ダムに案内してくれていました。
受付を済ませて参加賞の缶バッジを~
5種類もあるので迷っちゃう!
 
管理事務所一階が監査廊入口になっています。
 
気温は10度、水が溜まっている分昨日の浅川ダムよりも温度が低くなります。
 
オリフィスゲートの操作室。
 
オリフィスゲートを真上から。
 
アングルを変えて
オリフィスは融雪放流などかなり頻繁に放流が行われているようです。
 
オリフィスゲート直上から
左手に第1第2発電所があります。
 
オリフィスの予備ゲートの巻き上げ機。
 
予備ゲートのプレート
田原製作所です。
 
階段を上ると。
 
クレストのラジアルゲートの上に出ました。
運用開始以来洪水調節のためクレストゲートを開けたのは1995年(平成7年)7月豪雨の時一回だけだそうです。
 
 
 
オリフィスの予備ゲート。
 
ダムの見学の後は制御室に移ります。
ダムコンへの移行はまだで昔ながらの制御盤が使われています。
 
 
制御室の見学で奥裾花ダムの見学会は終了
今度はダム下に向かい県企業局の発電所の見学へ。
 
こちらは今年増設されたばかりの第2発電所
最大出力980キロワットでFIT電力として新電力に売電されています。
 
発電機。
 
うれしいことに普段立ち入れないダム下からダムを見ることができます。
 
 
ゲートをズームアップ
見学会参加者が見えます。上から8番目の写真はあの位置から撮ったものです。
 
奥裾花ダムは、普段は天端も立ち入り禁止で見れる場所が限られているダムですが、今回は見せられるところはほぼすべて見せていただくことができ、非常に有意義な見学会となりました。
このあとは下流の裾花ダム(元へと向かいました。

浅川ダム見学会

2017-08-04 02:24:41 | ダム見学会
2017年7月29日 浅川ダム見学会
 
全国各地のダムが一斉に見学会等のイベントを実施する『森と湖に親しむ旬間』、国交省から各ダムのスケジュールが発表されると『どこに行こうか?』例年頭を悩ませるのですが、今年は『7月29日 浅川ダム』を見てここしかない!と即決。
田中元知事の『脱ダム宣言』に翻弄され、一時は事業中止の憂き目にあいながら今年ようやく運用開始に漕ぎ着けた浅川ダム初の公式な見学会ですからこれを見逃す手はありません。
ということで7月29日は浅川ダムの見学会に参加してきました。
 
朝の8時からスタートする『浅川ダム祭り』の一環として、10時から見学会がスタートするんですがちょっと早めの8時半に到着したら、あいにくの雨にもかかわらずすでに結構な人出、見学会の受付をすると11時の組となりました。
時間があるのでひと通りダムを見学して時間をつぶしたんですが、その間も続々と来場者が到来、なんと10時過ぎには午後の最終組まで定員がいっぱいになってしまう盛況ぶりで、遠方から見学会を目当てに来たダム愛好家の多くががっくり首をうなだれる姿もあちこちで見られました。
 
さて、見学会は1組16名で約1時間の予定、まずは天端に向かってダムの概要説明からスタートです。
浅川ダムは日本で3例目となる流水型治水専用ダムです。
 
上流面に常用洪水吐と流木除けのゲージ(鳥籠)が見えます。
 
堤体は左岸側が屈曲しています。
 
天端
中央の建物はエレベーター棟
職員さんの話では長野市内の絶好の夜景展望スポットだそうです。
 
治水専用のため普段はダム湖には水がありません
洪水の際はここに110万立米の水を貯め込んで下流の洪水被害を抑えます。
 
湖岸を保護するため階段状の流路が作られています
向かって左にはジグザグの魚道。
 
中央のゲートは建設工事の際の転流のためのゲートで、運用開始後は大きな流木や岩石を止める役割をするそうです。
 
真下のゲージの下に常用洪水吐があり、平時は浅川の水はここから堤体を潜ってそのまま下流に流下します。
 
減勢工
洪水の際クレストを越流した水は堤趾導流壁の内側の減勢工へ流れます
左手は常用洪水吐からの流路。
 
エレベーターで地下6階の監査廊へ。
 
監査廊の気温は17度。
 
監査廊内の水を揚水する施設。
 
揚圧力計
新しいダムなのでコンクリートの壁も計器も新品です。
 
水位低下設備のプレート。
 
水位低下設備。
 
右岸から堤体直下に出ます。
 
こんなアングルで堤趾導流壁を見れます。
 
下流から。
 
ゲートを開けて立ち入り禁止ゾーンへ。
 
複雑な構造の減勢工
中央が常用洪水吐からの水路、つまり流水路です。
 
流水型ダムの肝はもちろん流水路。
いよいよそこに進入します。
 
この奥が常用洪水吐になります
平時は浅川の水はダムという巨大な壁の下を潜り、自然な形で流下してゆきます
右手は魚道。
 
流路を抜けた水はそのまま浅川を流下します。
 
たまたま同じ組になった地元にお住まいの高齢のご夫婦と懇意になり、1949年(昭和24年)の裾花川の大洪水の話や脱ダム宣言以降のごたごた話などいろいろお話を伺うことができました。
もちろん地元でも賛否両論はあったでしょうが、少なくとも浅川流域の皆さんにとっては長年の悲願がかなった浅川ダムの完成だということは確信できました。

奥只見発電所見学会

2016-08-09 10:21:09 | ダム見学会
2016年8月6日 奥只見発電所見学会
 
魚沼スタンプラリーの一環で奥只見ダムの電力館を訪問したら発電所の見学会があるということで参加してきました。
事前に見学会があることなど露知らず、『重力式コンクリートダムの堤高日本一のダムを下流から見上げてみたいなあ』と思っていた矢先の僥倖です。
 
奥只見ダム左岸高台にある電力館。
 
奥只見ダムを俯瞰できます。
 
堤体高欄に埋め込まれた鹿島建設の銘板。
 
それでは見学会スタート。
まずはダムの概要説明から。
 
立入禁止エリアへ。
 
堤高157メートルを見下ろします。
川を挟んで左が新潟県、右が福島県
発電所は右手の山中地下にあります。
 
エレベーター棟の窓から。
 
エレベーターへ。
天端が1階、下に向かうにつれ数字が増えてゆく変わったエレベーター。
 
ダム最下層11階へ。
 
監査廊へ
30度の外界に比べて寒い!!
 
気温は10度。
 
さらにエレベーターで下に下り発電所へ。
これは発電所への物資を下すための立坑。
 
いよいよ一般水力発電日本最大出力を誇る奥只見発電所です。
 
発電所のクレーン。
 
建設当初からの1号機から3号機はそれぞれ13万7000キロワットの出力。
 
 
2003年(平成15年)に増設された4号基。
出力20万キロワット。
この増設により田子倉発電所を抜き、一般水力発電日本一となりました。
 
水力発電機の模型。
 
水車と発電機のシャフト。
この下に水車が、上に発電機があります。
 
3号機と4号基の間にある斜坑。
この斜坑の先で映画ホワイトアウトで織田裕二演じる富樫が放流管で流されるシーンを撮影したそうです。
 
このバイクは大鳥ダムとの往来に使うそうです。
 
エレベーターで上に上がり搬入路へ。
 
発電所は大成建設施工。
 
搬入路を出ると・・・
重力式コンクリートダム堤高日本一の奥只見ダムを直下から見上げます。
ちなみにこちらは福島県。
 
ゲートをズームアップ。
 
ジャンプ台式減勢工。
 
これにて約1時間ちょっとの奥只見発電所見学会は終了です。
予想していなかった見学会だけに参加できて本当にラッキー。
一般水力発電日本最大出力の奥只見ダムと、Gダム堤高日本一の奥只見ダムを十二分に見学できて満足このうえなし。

比奈知ダム見学会

2016-08-03 19:46:12 | ダム見学会
2016年7月31日 比奈知ダム見学会
 
7月31日は三重県名張市の水資源機構が管理する比奈知ダムの見学会に参加してきました。
比奈知ダムといえば全国に4基しかない天端側水路が特徴で、例年見学会では天端側水路を歩けるということで、奈良への帰省に合わせてこの見学会にはぜひ参加したいと考えていました。
近鉄橿原神宮前駅で8月半ばからアメリカへ留学する姪っ子と落ち合い見学会開始時間の9時にダムへ到着。
受付時点でダム湖の巡視船乗船イベントはすでに満員、ということで10時からのダム見学会に参加しました。
 
控室で職員の方から比奈知ダムの説明を受けます。
 
10時から見学会がスタート、ここで今年は改修のため天端側水路の見学はないと知らされかなりがっかり!!
気を取り直してフーチングから堤体直下へと下ります。
 
洪水吐導流部を間近で見上げます。
 
クレストをズームアップ。
 
次は発電所の見学。
 
発電所へと向かいます。
 
中電の職員さんからの説明。
 
発電所の中も見学できましたが写真掲載は自粛。
 
利水放流設備バルブ室。
 
監査廊へ。
 
堤頂へ続く240段の階段、今回は見上げるだけ。
 
B2監査廊は気温16度、湿度95%。
 
コンジットゲート操作室。
 
最後の階段。
 
これにて見学会は終了。
天端を歩きます。
 
日本で4基しかない天端側水路。
歩きたかったなあ・・・。
 
左から比奈知発電所、発電所バルブ室、利水放流設備バルブ室。
 
11時30分スタートの見学者がフーチングを下りてゆきます。
 
天端も車でいっぱい。
 
減勢工。
 
ダム湖(ひなち湖)。
 
体験乗船の巡視船が取水設備に接近しています。
乗りたかったなあ・・・。
 
船に乗れず、楽しみにしていた天端側水路の見学もなく、ちょっと消化不良な見学会となってしまいました。
ただ初めてダムの見学会に参加した姪っ子は大喜び、ダムマニアに引き込めるかな?
来年も同じ時期に見学会があるので来年こそ天端側水路を歩きたいと思います。

小渋ダム見学会

2016-08-03 15:22:43 | ダム見学会
2016年7月30日 小渋ダム見学会
 
夏休み、奈良への帰省の道すがら長野県の小渋ダム見学会に参加してきました。
事前予約が不要なうえアーチダムの見学会は初めてということもあり、見学会の実施を知ったところで参加を即決しました。
見学会は9時30分からですが、早く着き過ぎたので右岸展望台からダムを俯瞰。
 
右岸の駐車場に向かいますが、我が家が一番乗り。
早く着いたおかげで管理所長さんの説明を受けながら天端を歩くことができました。
こちらは減勢工。
 
ダム湖(小渋湖)、洪水期ということで水位は低くなっています。
 
天竜川ダム統合管理事務所。
 
天端を戻ります。
 
エレベーターでB2へ。
 
キャットウォーク初体験。
 
コンジットゲート直下。
 
アーチダムでは珍しいエレベーター棟。
 
エレベーターでB3に下り監査廊へ。
 
歪み計。
 
漏水計。
小渋ダムは非常に漏水が少ないダムだそうです。
 
階段を登り返します。
 
堤体を見上げます。
 
 
 
 
減勢工。
 
副ダム。
 
 
小渋川第三発電所。
河川維持放流を利用した発電を行っています。
 
発電所内。
 
排砂のためのバイパストンネル吐口。
 
 
一通り見学が終わり、最後にもう一度右岸展望台へ。
 
初めてのアーチダムの見学会でしたが、早く到着したおかげで所長さん自らの説明を受けることができました。
さほどの混雑もなくマイペースで見学ができアーチダムを十分に堪能することができました。