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ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

松ヶ房ダム

2023-12-28 16:35:33 | 福島県
2017年 5月28日 松ヶ房ダム
2023年11月 3日
 
松ヶ房(まつがぼう)ダムは左岸が福島県相馬市山上、右岸が宮城県伊具郡丸森町筆甫の宇多川水系宇多川本流にある灌漑目的のロックフィルダムです。
浜通り北部に位置する相馬市や新地町は地味は豊かながら水利に乏しく干ばつが常習化し、安定した水源確保は地域農家の悲願となっていました。
これを受け1978年(昭和53年)に福島県営かんがい排水事業相馬地区が着手され、その灌漑用水源として1997年(平成9年)に竣工したのが松ヶ房ダムです。
運用開始後は相馬市が管理を受託し約2800ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
ダムの完成や灌漑設備の整備により当地域での慢性的水不足は大いに改善されました。
松ヶ房ダムは福島・宮城県境にありますが、左岸が福島県ということでダム便覧には福島県のダムとして掲載されています。
また宇多川の流域の大半を福島県で占めており受益地も福島県となりますが、福島県の施設でありながら管理事務所は右岸の宮城県側にあります。

松ヶ房ダムには2017年(平成29年)5月に初訪、2023年(令和5年)11月に再訪しました。
掲載する写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
 
東北中央自動車道相馬山上インターから北西に約9キロ、車で15分ほどで松ヶ房ダムに到着します。
初回訪問時はダム下に立ち入ることができました。
堤高46メートル、堤頂長242.7メートルのロックフィルダムで右岸に洪水吐があります。
この時はダム下には除染物質が積まれここが福島であることを思い知らされました。
(2017年5月28日)

 
右岸から
ダムサイトには駐車スペースが設けられ植栽が並びます。
(2023年11月3日)


事業説明版と竣工記念碑
(2023年11月3日)

 
洪水吐斜水路と減勢工。
減勢工はシュートブロック、バッフルピア、エンドシルの減勢工3点セット装備。
(2023年11月3日)

 
横越流式洪水吐。
(2023年11月3日)

 
上流面と取水設備。
(2023年11月3日)

 
管理事務所
福島県の施設ですが建っているのは宮城県。
玄関横に定礎石が置かれています。
(2023年11月3日)

 
農業用ダムとしては珍しく管理事務所内は資料室になっています。
(2023年11月3日)

 
(2023年11月3日)

 
天端からダム下を望む
手前が洪水吐減勢工
右奥が放流設備
灌漑用水は宇多川に放流されたのち、下流の頭首工で取水され受益農地に供給されます。
(2023年11月3日)

 
建設着手がバブル期だったこともあり、花崗岩の高欄やガス灯風の照明など意匠も手が込んでいます。
(2017年5月28日)

 
ダムは福島・宮城県境を跨ぎます。
斜めの白い線が境界線。
(2023年11月3日)


左岸から下流面
やや草が目立つものの農業用ロックフィルダムとしてはきれいに管理されている方でしょう。
(2017年5月28日)

 
天端は舗装されていますが車両は進入禁止
徒歩のみ開放。
(2023年11月3日)

 
総貯水容量は971万立米と本州の農業用ダムとしては屈指のスケール。
宇多川湖と命名されています。
(2023年11月3日)

 
取水設備をズームアップ
スクリーン一体型の斜樋。
(2023年11月3日)

上流から遠望
再訪時は灌漑期が終わり水位は低め。
(2023年11月3日)
 
(追記)
松ヶ房ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0529 松ヶ房ダム(1009)
左岸 福島県相馬市山上
右岸 宮城県伊具郡丸森町筆甫
宇多川水系宇多川
46メートル
242.5メートル
9710千㎥/9200千㎥
相馬市
1997年
◎治水協定が締結されたダム

金沢調整池副堤

2023-04-03 18:00:00 | 福島県
2015年12月20日 金沢調整池副堤
2023年 3月19日
 
金沢(かねざわ)調整池副堤は福島県郡山市田村町金沢の阿武隈川水系上石川左支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
金沢調整池三春ダムを水源とした農業用水の調整池で、郡山市東部土地改良区が管理をしています。
調整池がサーチャージ水位まで貯留した際に貯水池南側から水が溢れてしまうため、主ダムのほかに高さ22メートル、全長152.2メートルの副ダムが設けられています。
金沢調整池副堤には2015年(平成27年)12月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。
写真は日時記載以外はすべて再訪時のものです。
 
堤体は犬走を挟んで2段構成
手前の建屋は浸透水観測所。


副ダムのため洪水吐はありません。


天端はアスファルト舗装されていますが、ゲートがあり徒歩のみ開放。


天端から
副堤周辺は郡山市東部森林公園として整備されましたが、現在除染物資の仮置き場となっており公園は立ち入り禁止。
ダム直下には駐車場もありますが閉鎖中。


貯水池越しに主堤と管理棟を遠望
管理棟は郡山市東部土地改良区の事務所になっています。


ズームアップ。


上流面はロック材で護岸。(2015年12月20日)
 
主堤から遠望。
 
3346 金沢調整池副堤(0131)
福島県郡山市田村町金沢
阿武隈水系上石川
22メートル
152.2メートル
1371㎥/1331㎥
郡山市東部土地改良区
2001年

金沢調整池

2023-04-02 18:00:00 | 福島県
2015年12月20日 金沢調整池
2023年 3月19日
 
金沢(かねざわ)調整池は福島県郡山市田村町金沢の阿武隈川水系上石川左支流にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
郡山市東部の阿武隈川右岸丘陵地は年間降水量1200ミリの少雨に加え複雑な地形が災いし、農家の大半は零細な営農を余儀なくされていました。
1979年(昭和54年)に農水省による国営農地開発事業郡山東部地区が着手され、同省は建設省の三春ダム建設事業に参加し特定灌漑容量を確保するとともに、新規農地開発・圃場整備・灌漑施設の整備が進められその調整池として2001年(平成13年)に竣工したのが金沢調整池です。
農業水利事業全体も2004年(平成16年)に竣工し、郡山東部地区約1500ヘクタールへの用水補給が開始されました。
管理は併せて建設された高柴調整池 などとともに郡山市東部土地改良区が受託しています。
金沢調整池は郡山市東部地区約1500ヘクタールの農地のうち南部の約1000ヘクタールを受け持ち、余剰期に揚水して貯留し、水量不足時及び三春ダムでの取水が中断される4月に用水補給します。
また金沢調整池は重力式コンクリートの本ダムとアースフィルので構成されていますがここでは本堤のみ取り上げ、については別項で記載することにします。
金沢調整池には2015年(平成27年)12月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。
写真はすべて再訪時のものです。

ダム下から
洪水吐はクレスト自由越流頂2門だけで手前は放流設備。
集水の大半は三春ダムからの導水により事実上の河道外貯水ダムのため、簡易な洪水吐で十分なようです。 


ダム下の金沢揚水機場
三春ダムから導水された水を金沢調整池および末端の幹線水路に揚水します。


右岸ダムサイトには管理棟を兼ねた福島市東部地区土地改良区の事務所があり、門前に説明板や記念碑が建てられています。


天端は徒歩のみ通行可能で、周回道路で貯水池を一周できます。


右手の建屋は取水及び導水操作室
湖面に浮かぶのがヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備。


ヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備をズームアップ。
水中に『く』の字型の昇降機があり水位に合わせて表層取水を行います。


天端から
右手は放流設備、奥は金沢揚水機場。

総貯水容量137万1000立米の調整池
4月は三春ダムでの取水が一時的に中断されるため、それに備えてほぼ満水。


貯水池の対岸にある


左岸から
堤頂長247.8メートルの横長ダム。


上流面
堤体にビルトインされているのが取水及び導水操作室
右手に浮かぶのがヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備。

から遠望
右手の建物が郡山市東部土地改良区事務所で、ここで灌漑設備全般の管制を行います。

貯水池周辺は郡山市東部森林公園として整備されており、本来なら市民の憩いの場となるはずです。
しかし、公園が除染物資の仮置き場となっているため今は使用禁止となっています。

0532 金沢調整池(0130)
福島県郡山市田村町金沢 
阿武隈水系上石川 
 
 
30.8メートル 
247.8メートル 
1371㎥/1331㎥ 
郡山市東部土地改良区 
2001年 

高柴調整池

2023-04-01 18:00:00 | 福島県
2016年4月10日 高柴調整池
2023年3月19日
 
高柴調整池は福島県郡山市西田町高柴にある灌漑目的のアースフィルダムです。
郡山市東部の阿武隈川右岸丘陵地は年間降水量1200ミリの少雨に加え複雑な地形が災いし、農家の大半は零細な営農を余儀なくされていました。
1979年(昭和54年)に農水省による国営農地開発事業郡山東部地区が着手され、同省は建設省の三春ダム建設事業に参加し特定灌漑容量を確保するとともに、新規農地開発・圃場整備・灌漑施設の整備が進められその調整池として2001年(平成13年)に竣工したのが高柴調整池です。
農業水利事業全体も2004年(平成16年)に竣工し、郡山東部地区約1500ヘクタールへの用水補給が開始されました。
管理は併せて建設された
金沢調整池 などとともに郡山市東部土地改良区が受託しています。
高柴調整池は郡山市東部地区約1500ヘクタールの農地のうち北部の約500ヘクタールを受け持ち、余剰期に揚水して貯留し、水量不足時及び三春ダムでの取水が中断される4月に用水補給します
高柴調整池には2016年(平成28年)4月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。
写真はすべて再訪時のものです。
 
ダム下から
堤高24.3メートルと言うことですが、見た目の高さは15メートルほど
基礎岩盤からの高さが24.3メートルと言うことなんでしょう。


右岸ダムサイトの説明板


右岸の洪水吐
非常に珍しいシャフト式(竪坑落下式)洪水吐で、竪坑から隧道で南側を流れる大平川に流下します。
同じタイプの洪水吐を持つダムとしては香川の逆瀬池があります。


アングルを変えて
竪坑の先は隧道になっており越流した水は池の南側を流れる大平川に流下します。


下流面は犬走を挟んで2段構成
秋冬に草が刈られたようですが背の高い枯れ草が残っています。
堤体への立ち入りを阻止するために敢えて背丈を残して刈っているのか?


天端
わずかに轍が残っていますが、今は車両進入禁止。


総貯水容量11万5000立米と小ぶりな溜池サイズ。
貯留のほぼすべては三春ダムからの導水によります。
4月の三春ダムでの取水の一時中断に備えてほぼ満水。


ダム下の調圧水槽。

上流面はロック材で護岸
奥に斜樋が見えます。
左手は一般の民家。


左岸上流側から洪水吐と斜樋
斜樋の右手に細い水路は流入口。
三春ダムからの導水はここから流入します。


ダムの南約600メートルにある高柴揚水機場
余剰期にはここから調整池に揚水し、不足期には調整池から水を逆行させ補給します。

0534 高柴調整池(0307)
福島県郡山市西田町高柴
阿武隈川水系大平川
24.3メートル
128メートル
115千㎥/111千㎥
郡山市東部土地改良区
2001年

岩部ダム

2023-03-31 18:00:33 | 福島県
2023年3月19日 岩部ダム
 
岩部(がんべ)ダムは福島県相馬郡飯館村飯樋の新田川水系飯樋川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
飯館村から南相馬市原町区を横断する新田川は古くから流域の灌漑用水源となっていましたが、水量が不安定で渇水による干ばつ被害が多く灌漑設備の整備が強く求められていました。
これを受け農林省(現農水省)の補助を受けた福島県のかんがい排水事業により1962年(昭和37年)に竣工したのが岩部ダムです。
管理は南相馬土地改良区が受託し飯樋川および新田川流域の水田に灌漑用水を供給しています。
東日本大震災によるダムへの直接的被害はありませんでしたが、ダムのある岩部地区が一時居住制限地域だったこともありダムの劣化や機能低下が顕著となり2022年(令和4年)にかけて農山村地域復興基盤総合整備事業(水利施設整備事業)岩部地区による大規模復旧工事が実施されました。
なおダム便覧では竣工年度が1965年(昭和40年)となっていますが、ここでは竣工記念碑に刻された1962年(昭和32年)を竣工年度とします。
 
今回は3月にもかかわらず降雪があり雪景色の中での見学となりました。
ダム下から。
右手は放流設備、右岸(向かって左手)に洪水吐斜水路が見えます。


洪水吐をズームアップ。


駐車場のある右岸に向かいます。
竣工記念碑が建っていますが、摩耗が激しく解読が難しい。
天端は車道ですが、バリケードが張られ通行禁止。


洪水吐導流部
このあと2枚目写真の斜水路へと流下します。


横越流式洪水吐
満水で越流しています。
直近の復旧工事で漏水対策などが施されました。


洪水吐越しのダム湖
総貯水容量88万立米で4月半ばからの通水に備えて満水。
令和4年までの復旧工事中は水を抜いて低水運用が続いていたため、久しぶりの満水となります。


左岸の取水塔。


洪水吐越しの上流面。


次に左岸に回ります。
堤高は23.1メートル
浜通りの相双葉地区としては珍しく3月の降雪で雪化粧となりました。


上流面はコンクリートで護岸。
こちらも直近の復旧工事で刷新されました。


湖岸から取水塔を見下ろします。
四角形だと思ったら六角形でした。


0502 岩部ダム(1965)
福島県相馬郡飯館村飯樋
新田川水系飯樋川
23.1メートル
119メートル
880千㎥/880千㎥
南相馬土地改良区
1962年

万右ェ門溜池

2023-03-30 18:00:17 | 福島県
2023年3月19日 万右ェ門溜池
 
万右ェ門溜池は福島県双葉郡大熊町野上の熊川水系万右ェ門川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1935年(昭和10年)に大野土地改良区の事業で竣工と記されており、土地改良区の前身である耕地整理組合の事業で建設されたものと思われます。
戦後の土地改良区の統合で大熊町土地改良区が管理していましたが、2011年(平成23年)3月の原発事故により大熊町の大半で避難指示が出されたことで灌漑用貯水池としての運用を停止、低水管理を実施するとともに管理は大熊町に移されています。
その後大熊町の避難指示は逐次解除されていますが、2023年3月の訪問時点で受益農地の過半が帰還困難地域となっていることから低水管理が継続されています。

国道288号からダムに通じる林道入口に『万右ェ門ため池』の標識があります。


林道を進むと溜池右岸に到着。
天端は車道で車の通行もできます。


右岸の横越流式洪水吐。


総貯水容量25万7000立米の貯水池
原発事故以降10年以上にわたり低水管理が続き、貯水池には樹木が侵入しています。


左岸の斜樋操作建屋
建屋の下には竣工当時のものと思われる石積の擁壁が残っています。


原発事故以来灌漑用貯水池としては機能していませんが、下流面は草が刈られ堤頂部は養生が施されています。
将来受益地域への帰還が叶うときに備え、管理が行われているようです。


上流面も定期的に草刈りが行われているようです。


左岸の斜樋
10年以上使用されておらず、錆付きご覧のありさま。




堤高20メートルの堤体。


左岸の底樋門
低水管理のため流入量はそのまま放流されています。


洪水吐導流部。


受益地域の大半がいまだに帰還困難地域のため、灌漑用貯水池としては機能していません。
しかし、大熊町の避難指示も漸次ではありますが解除が進んでいます。
来るべき運用再開に備え、きちんと管理されているのが伺えます。

0471 万右ェ門溜池(1964)
ため池コード 075450001
福島県双葉郡大熊町野上
熊川水系万右ェ門川
20メートル
69メートル
257千㎥/257千㎥
大熊町
1935年

舘山溜池

2023-03-29 17:56:41 | 福島県
2023年3月19日 舘山溜池
 
舘山溜池は左岸が福島県双葉郡富岡町大菅、右岸が同町上手岡の熊川水系熊川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1940年(昭和15年)に耕地整理組合の事業で竣工と記されており、管理は耕地整理組合を引き継いだ富岡町土地改良区が行っています。
2011年(平成23年)3月の原発事故により、富岡町全域が避難地域となり受益農家が一時的に消滅、訪問した2023年(令和5年)3月19日時点でも受益地の大半が帰還困難区域となっており貯水池の水は抜かれ低水管理が続いていました。
しかし、訪問直後の同年3月22日に同年4月1日をもって受益地となる富岡町大菅、夜の森、桜地区等の避難指示解除が発表されたことで、今後受益農家の帰還に合わせて舘山溜池の運用再開が期待されます。

天端には道路が通っていましたが、今は陥没して通行は不能。
左右両側にバリケードが置かれています。
写真は左岸のバリケード。


左岸の越流式洪水吐。


洪水吐導流部
溜池直下の杉林を抜けてゆきます。


総貯水容量123万3000立米(ため池データベース)の貯水池。
本州の灌漑用溜池としてはかなり大規模。
原発事故以来受益農地が避難地域となっていたため、水が抜かれ低水管理が続いています。


右岸の斜樋。


手前に土砂吐があり、流入量はそのまま放流されています。
奥の設備や左手の小さな池はよくわかりません。


下流面
秋冬に草が刈られたようで、溜池としてはきちんと管理されています。


右岸からの天端。
道路は陥没していますが、道路わきの草もきれいに刈られています。


上流面はコンクリートで護岸。


丸太小屋風の斜樋操作室。


草が刈られた下流面
ダム下に下りましたが底樋管は見つかりませんでした。
たぶん杉林のさらに下流にあると思われます。


復旧事業により既に灌漑用貯水池としての機能は確保されています。
訪問直後に受益地となる大菅、夜の森、桜地区等の規制が解除されました。
今後受益農家の帰還に伴って灌漑用貯水池としての運用再開が期待されます。

0467 舘山溜池(1963) 
ため池コード 075430017 
左岸 福島県双葉郡富岡町大菅
右岸        同町上手岡
熊川水系熊川右支流
20メートル(ため池データベース15メートル)
155メートル(ため池データベース160メートル)
1286千㎥(ため池データベース1233千㎥)/1286千㎥
富岡町土地改良区
1940年 

千軒平溜池

2023-03-28 17:53:53 | 福島県
2023年3月19日 千軒平溜池
 
千軒平溜池は福島県いわき市四倉町八茎の仁井田川水系仁井田川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
いわき市四倉町の仁井田川流域は水源となる仁井田川の水量が不安定で、渇水による干ばつ被害が多発しており戦前より灌漑設備の整備が強く求められていました。
戦後の食糧難を受け、1948年(昭和23年)に県営かんがい排水事業が採択され1959年(昭和34年)に竣工したのが千軒平溜池ダムです。
運用開始後は千軒平溜池土地改良区が管理を受託し約500ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
名称は千軒平溜池ですが、福島県のため池データベースへの記載はなく『農業ダム』に分類されるようです。
ダムへの入り口には立ち入り禁止を示す標識がありチェーンが張られていますが、今回は事前に千軒平土地改良区の許可を得て立ち入りました。

仁井田川沿いの県道343号八茎四倉線を北上、八茎鉱山跡を過ぎると三叉路になっている林道入口に到着します。
ゲートはありませんがここから先は一般車両進入禁止のため徒歩となります。


三叉路に建つ千軒平ダムの説明板。


三叉路から150メートルほど進むと溜池への入口が現れます。
写真のように関係者以外立ち入り禁止が表記されチェーンが張られています。
今回は事前に土地改良区の許可を得ております。


右岸ダムサイトに建つ記念碑
竣工10周年を記念して建立され、溜池建設に至る経緯が刻されています。


堤頂長127メートルの天端。


右岸の横越流式洪水吐。


総貯水容量86万5000立米の貯水池
冬場に水が抜かれるますが、灌漑期を控えてほぼ満水まで貯水されています。


左岸から天端と下流面
きれいに刈り込まれており、貴重な水源であると伺えます。
下流側にはイノシシ除けの電柵が張られています。


斜樋。


斜樋のシャフト。


上流面はコンクリートで護岸。


堤体中央の階段でダム下へ。


ダム下の底樋樋門。
非灌漑期のため河川維持放流だけ流されています。

0496 千軒平溜池(1962)
福島県いわき市四倉町八茎
仁井田川水系仁井田川
25.5メートル
127メートル
865千㎥/865千㎥
千軒平溜池土地改良区
1959年

藤沼副ダム(再)

2023-03-25 18:00:41 | 福島県
2023年3月17日 藤沼副ダム(再)

藤沼副ダム(再)は福島県須賀川市江花にある藤沼ダム(再)の副ダムです。
2011年3月11日の東日本大震災により藤沼ダム主堤体が決壊、150万トンの水が一気に流下し8人の死者を出す大惨事となりました。
2013年(平成25年)より県営災害復旧事業等によるダム再開発事業が着手され、2019年(令和元年)に主ダムの藤沼ダム(再)と副ダムの藤沼副ダム(再)が竣工しました。
復旧以前の副ダムは堤高が10.5メートルと河川法上のダムの要件を満たしておらずダム便覧には未掲載でした。
しかし、復旧事業においてはより安全度の高い基礎岩盤までの掘削が行われた結果、天端標高は旧ダムと変わらないものの、堤高が18メートルに嵩上げされ、新たにダム便覧に掲載されました。

主ダムの藤沼ダム(再と副ダムの藤沼副ダム(再)の位置関係
赤が主ダム、緑が副ダムになります。

ダム下から。


主ダムの藤沼ダム(再)と同様にダム下地中に『浸透水観測室』が設置され、これはその入り口です。


堤体は中段の広い踊り場を挟んで2段構成。
決壊の反省から厚めに盛土されています。


左岸ダムサイトの竣工40周年記念碑。


天端から
中央のコンクリートが『浸透水観測室』入り口。


天端はダム周回道路が通り車両通行もできます。


主ダム藤沼ダム(再)同様、上流面には砂利石が敷かれています。


副ダム右岸上流から
右手が藤沼副ダム(再)、左奥が主ダムの藤沼ダム(再)

藤沼ダムには3か所の取水工があります。
これは藤沼副ダム(再)左岸上流側にある2号取水工。


藤沼副ダム(再)右岸上流側にある3号取水工。

3684 藤沼副ダム(再)(1961)
福島県須賀川市江花
阿武隈川水系簀ノ子川右支流
18メートル
86.8メートル
1500千㎥/1480千㎥
江花川沿岸土地改良区
2019年

藤沼ダム(再)

2023-03-24 18:00:00 | 福島県
2016年4月24日 藤沼ダム(再)
2023年3月17日

藤沼ダム(再)は福島県須賀川市江花の阿武隈川水系簀ノ子川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
須賀川市の江花川および簀ノ子川流域は地味は豊かながら河川の流域面積が小さいため渇水が多く灌漑施設の整備が強く求められてきました。
これを受け1937年(昭和12年)に県営事業として藤沼貯水池建設事業が着手されますが、戦況悪化に伴う人員物資不足等によりに事業は一時中断、着工から12年目の1949年(昭和24年)に藤沼ダム(元)が竣工しました。
管理は江花川沿岸土地改良区が受託し、江花川および簀ノ子川流域約830ヘクタールの水田に灌漑用水供給しています。
その後、ダム湖周辺は日帰り温泉やキャンプ場、欧州風コテージなどを備えた藤沼湖自然公園として整備され、年間10万人が利用する人気スポットとなり、藤沼湖はため池百選にも選ばれました。
しかし、2011年3月11日の東日本大震災により堤体が決壊、150万トンの水が一気に流下し8人の死者を出す大惨事となりました。
地震による貯水池・農業用ダムが決壊して死傷者が出たのは、世界的に見ても1930年以来例がなく非常にまれな災害となりました。
2013年(平成25年)に県営災害復旧事業等によるダム再開発事業が着手され、2019年(令和元年)に主ダムの藤沼ダム(再)と副ダムの藤沼副ダム(再)が竣工しました。
藤沼ダム(再)には建設工事中の2016年(平成28年)4月に初訪、震災から12年、13回忌に当たる2023年3月に再訪しました。

主ダムの藤沼ダム(再)と副ダムの藤沼副ダム(再)の位置関係
赤が主ダム、緑が副ダムになります。


先ずは主ダムのダム下へ
ダム直下は立ち入り禁止のため下流から遠望するのみ。

 
ダム決壊の際はこの杉林を薙ぎ倒し150万トンの水が流出、下流で死者8名を出す大惨事となりました。
沿岸に津波到達以前に発災しており、震災での最初の犠牲者とも言われています。


右岸から
堤高31.4メートル、堤頂長149.2メートルの堤体
天端標高は旧ダムと変わりませんが、より安全度の高い基礎岩盤まで掘削したため堤高は18.5メートルから大きく増加しました。
ダム下のコンクリートは『浸透水観測室』入り口。


天端はダム周回道路が通り車両通行もできます。
上流面は砂利石が敷かれています。

 
総貯水容量150万立米の藤沼湖。
集水の大半は簀ノ子川からの導水によります。
正面はダム管理事務所で平日は土地改良区職員が常駐しています。


左岸の洪水吐導流部。


左岸の横越流式洪水吐
4月半ばからの通水に備えほぼ満水。


藤沼ダムの受益農地は広範にわたるため3か所の取水設備が設置されています。
これは1号取水工。


主堤の藤沼ダム(再)と藤沼副ダム(再)の位置関係
副ダムは主ダムの南側にあり、左奥が藤沼ダム(再)、右手が藤沼副ダム(再)となります。


湖畔には各種記念碑が並びます。
こちらは1949年(昭和24年)の竣工記念碑。


2011年(平成23年)3月の改修事業竣工記念碑。
皮肉なことにこの直後に震災に余より被災、決壊事故が発生しました。


2017年(平成29年)の復興事業竣工記念碑。


湖畔は藤沼湖自然公園として整備され、ため池百選に選ばれています。
左岸にはコテージやキャンプ場が並びます。

 
こちらは2016年4月訪問時の写真。
写真は副ダム(再)で提体の盛り立てはすでに完了していました。

1枚目写真の下流から撮影
決壊の際の流路となった杉林です。

地震によってアースフィル堤体が決壊し死者が出るという世界的にも稀有な事故があったダムです。
藤沼ダム決壊を契機に全国的に溜池ハザードマップの製作が進められ、また農水省によるため池データベース編纂の端緒にもなりました。
不幸な事故ではありましたが、その反省を生かし今後の防災に生かしてゆかねばならないと痛感します。

参考資料

3679 藤沼ダム(再)(0324)
福島県須賀川市江花
阿武隈川水系簀ノ子川
31.4メートル
149.2メートル
1500千㎥/1480千㎥
江花川沿岸土地改良区
1949年 藤沼ダム(元)竣工
2011年 東日本大震災で被災
2019年 藤沼ダム(再)竣工

赤坂ダム

2023-03-23 18:00:00 | 福島県
2015年12月19日 赤坂ダム
2023年 3月17日
 
赤坂ダムは福島県西白河郡西郷村真船の阿武隈川水系堀川左支流谷津田川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧、現地記念碑ともに1965年(昭和40年)に福島県営事業で竣工と記されており、県営のかんがい排水事業等で建設されたものと思われます。
管理は西郷村土地改良区が受託しています。
ダムへの入り口には立ち入り禁止を示す標識があり、天端へ通じる道路にはゲートが設置されていたため、2015年(平成27年)の訪問時はダム下からの見学に留まりました。
今回西郷村産業振興課の立ち入り許可を得て再訪しました。

ダム入り口の立ち入り禁止標識およびハザードマップ。

ダム下から
堤高18.3メートル、堤頂長147メートルの均一フィルアース
基部は石積みの擁壁で提体は犬走を挟んで2段構成
堤体は芝生のように奇麗に刈りこまれています。
手前はドレーンからの水路。


こちらは底樋管からの水路
ダム下で2系統に分水されます。
灌漑期は4月半ばからのため今は通水されていません。


左岸の洪水吐導流部
大きな越流はないのか?導流部は細い水路になっています。


ダムサイトに上がります。
高い位置に作業用倉庫と記念碑が建っておりダムを俯瞰できます。
天端はダートですが車の行き来が多いのかしっかり踏み固められています。
また貯水池は熊田水産(株)の養鯉池になっており、湖面に養鯉設備が設置されています。


記念碑。
ダムの諸元が詳しく刻されています。


天端から
中央はドレーンからの水路
右手は管理事務所ですが、職員の常駐はないようです。


総貯水容量90万6000立米の貯水池
左手(右岸)に斜樋があります。
手前は養鯉用の設備。

上流面はコンクリートで護岸。
正面の建屋は養鯉用の資材置き場、右手に斜樋があります。


斜樋をズームアップ
外装工事中。
取水された水は3枚目写真の分水工に送られます。


左岸から下流面。


左岸の洪水吐
養殖の鯉が流されないようにネットが張られています。


横越流式ではなく、導流部の最上部に越流堤があります。
越流した水は4枚目写真の導水路を流下します。

灌漑用貯水池であるとともに、養鯉池にもなっています。
実は福島県は養鯉出荷額全国第2位を誇り郡山を中心に多くの溜池で鯉の養殖が行われています。

0506 赤坂ダム(0125)
ため池コード 1074610001
福島県西白河郡西郷村真船赤坂
阿武隈水系谷津田川
18.3メートル
147メートル
906㎥/855㎥
西郷村土地改良区
1965年

黒森ダム

2023-03-22 19:00:00 | 福島県
2015年12月19日 黒森ダム
2023年 3月17日 

黒森ダムは福島県西白河郡西郷村小田倉の阿武隈川水系黒川左支流大沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1932年(昭和7年)に福島県の事業で竣工と記されており、県の用水改良事業等で建設されたものと思われます。
管理は小田倉水利組合が行っています。
ダムへの入り口には立ち入り禁止を示す標識があり、管理道路にはチェーンが張ってあります。
2015年(平成27年)の初回訪問時は洪水吐導流部を下流から見るのみでしたが、西郷村産業振興課の立ち入り許可を得て2023年3月17日に再訪しました。
 
栃木県那須町に隣接する小田倉地区はバブル期に大規模なリゾート開発がすすめられましたがバブル崩壊でとん挫、不似合いな4車線の道が残されています。
現在はリゾート予定跡地各所で大規模なソーラー発電所の建設が進められ、雑然とした雰囲気です。
クリーンエネルギーと言う名目で美しい自然が黒いソーラーパネルの生まれ変わるのははっきり言って違和感しかありません。
立派な道路の突き当たりから黒森川沿いのダート道を進むと黒森ダム入口に到着します。
ダム入り口にある立ち入り禁止を示す標識。
前回はここで引き返しました。


堤体直下まで進むと取水設備からの底樋管が現れます。
灌漑期は4月半ばからなので、今は利水放流はありません。


右岸から見上げる下流面
基部には石積みの擁壁がありますが、石はかなり崩れています。


左岸管理道路から
犬走を挟んで2段構成の堤体は芝生のようにきれいに刈りこまれています。
堤高20.2メートル、堤頂長170メートルの横長堤体。


天端入り口にある厳重な門扉
今回は立ち入り許可を得ての見学です。


車道一車線幅ほどの天端


天端からは那須連峰が望めます。
中央は三本槍ヶ岳、左は朝日岳。


右岸の斜樋。


天端から下流を見下ろします。
受益地となる農地は遥か下流、右手の山は栃木県と県境になります。


総貯水容量53万立米の貯水池。
4月半ばからの通水を控えてすでに満水。


上流面はコンクリートで護岸。


右岸の横越流式洪水吐。
薄く越流しています。


ダムの入り口から少し上流に進むと洪水吐減勢工の前に出ます。


ダム下流の灌漑用水路
黒川沿いの水田に灌漑用水を供給します。
左奥に堤体が垣間見えます。

3336 黒森ダム(0127)
ため池データベース 074610003 
福島県西白河郡西郷村小田倉 
那珂川水系大沢川 
 
 
20.2メートル 
170メートル 
530㎥/500㎥ 
小田倉水利組合 
1932年

鉄山ダム

2017-10-22 15:27:11 | 福島県
2017年10月8日 鉄山ダム
 
鉄山ダムは福島県南相馬市原町区馬場の太田川水系太田川源流部にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には太田川沿岸土地改良区の事業で1938年(昭和13年)に竣工とあり、土地改良区の前身となる耕地整理組合の事業で建設されたと思われます。
ダムサイトに竣工記念碑がありますが、立ち入り禁止エリアのため碑文を読むことが出ず建設に至る由来やその後の経緯などは不明です。
現在は土地改良区の統合により南相馬市土地改良区が管理を行っていますが、受益地の大半が福島第一原発事故による旧避難指示区域のため貯水は行われていません。
 
南相馬市街から県道49号を南下し、横川ダムの先を4キロほど進むと左手に鉄山ダムの堤体が見えてきます。
下流面は犬走りを挟んで2段構成、草が刈られきれいに管理されています。
水を流す農地はいまだありませんが、来るべき日に備えてきちんと管理されている様は心を打たれます。
 
天端はフェンスに囲まれ立ち入り禁止。
目の前に竣工記念碑がありますが、碑文は反対側のため読むことができません。
 
天端。
 
総貯水容量107万6000立米と灌漑用溜池としてはかなりの規模ですが、水はほとんど溜まっていません。
受益地の大半が旧避難指示区域のため震災以降は低水位での運用が続いています。。
 
右岸の洪水吐と取水設備。
 
ダム下も立ち入りできませんので底樋の確認もできませんでした。
 
追記
鉄山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には水位低下運用により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0474 鉄山ダム(1164)
福島県南相馬市原町区馬場
太田川水系太田川
25.2メートル
200メートル
1076千㎥/1076千㎥
南相馬市土地改良区
1938年
◎治水協定が締結されたダム

横川ダム

2017-10-22 14:01:47 | 福島県
2017年10月8日 横川ダム
 
横川ダムは福島県南相馬市原町区馬場の太田川水系太田川上流部にある南相馬市が管理する灌漑・工業用水目的の重力式コンクリートダムです。
昭和30年代半ばより当時の原町市南部地域では灌漑用水及び工業用水向けの地下水の過剰摂取による地盤沈下が顕著となり、沈下は年最大2メートルにも及び深刻な問題となってきました。
そこで福島県は地盤沈下対策事業を採択し1984年(昭和59年)に灌漑用水及び工業用水源として横川ダムが建設されました。
横川ダムは原町区988.68ヘクタールの農地への灌漑用水の供給および原町区内の工場および原町火力発電所向けの工業用水の供給を目的として運用され、現在は南相馬市が受託管理を行っています。
横川ダム運用開始に合わせて原町市は市街中心部を地下水採取規制区域に指定、その後同区域での地盤沈下は大きく改善しています。
 
原町中心部から県道49号を南西に進み県道34号を分けると横川ダム管理事務所を示す標識があります。これに従って管理道路を右折すると横川ダム左岸ダムサイトに到着します。
左岸下流側から
クレストは赤いラジアルゲートが2門、オリフィスやコンジットゲートはありません。 
 
下流面。
 
上流面には円形の取水設備。
 
天端は立ち入り禁止でしたが嘱託の管理人さんにお願いしたら写真撮影の許可を頂きました。
 
利水放流設備や減勢工は初めて見る構造です。
左下の建屋は利水放流設備で左手の水路は工業用水向け、右手は灌漑用水向け水路です。
 
導流部下にはシュートブロック、減勢工にはバッフルピアとエンドシルが設置されています。
灌漑用水のうち雲雀ヶ原幹線水路へは奥の青い鉄管で揚水され、南野幹線水路へは減勢工手前の取水口から供給されます。
 
ダム湖は総貯水容量1365万立米。 
 
県道49号線から上流面を見ることができます。
特徴的な半円形の取水設備。
 
 
ダム左岸に管理事務所があります。 
 
 
利水放流設備と減勢工の構造に特徴がありますが、推察のみで実際の仕組みについてはよくわかりません。
次回は市の職員が駐在する平日に再訪してこの施設の仕組みを詳しく教えていただきたいと思います。
 
追記
横川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には水位低下運用もしくは事前放流により新たに204万~521万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0519 横川ダム(1163)
福島県南相馬市原町区馬場
太田川水系太田川
AI
78.5メートル
200メートル
13650千㎥/12750千㎥
南相馬市
1984年
◎治水協定が締結されたダム

高の倉ダム

2017-10-22 12:20:49 | 福島県
2017年10月8日 高の倉ダム
 
高の倉ダムは福島県南相馬市原町区高倉の新田川支流水無川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
新田川および右支流の水無川流域は、扇状地形のため中流域は伏流水となり渇水のたびに干ばつ被害が頻発し安定した灌漑用水源の確保は流域農家の悲願となっていました。
1969年(昭和44年)に福島県は農林省の補助を受けた県営かんがい排水事業を採択し、その中核施設として1976年(昭和51年)に完成したのが高の倉ダムです。
現在は南相馬市が管理を受託し、原町区831.5ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
南相馬市街から県道62号を西進すると高の倉ダム湖に到着します。
総貯水容量は600万立米と本州の農業用ダムとしてはかなり大きな貯水池です。 
 
管理道路を進むと堤体が見えてきます。
クレストには2門の赤いラジアルゲートがあります。
 
ゲート右手に楕円形の取水設備、奥は艇庫です。
 
インクラインと艇庫。
 
天端は立ち入り禁止。
 
下流面
対岸に管理事務所があります。
残念ながら下流側からゲートを拝める場所はありません。
 
農業用ダムとしては珍しくクレストにラジアルゲートを装備したダムですが、ガードは固く見学ポイントは限られています。
 
追記
高の倉ダムは洪水調節容量のない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には水位低下運用もしくは事前放流により新たに90~250万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。 
 
0516 高の倉ダム(1162)
福島県南相馬市原町区高倉
新田川水系水無川
54.2メートル
124.4メートル
6000千㎥/5700千㎥
南相馬市
1975年
◎治水協定を締結したダム