2017年9月19日 長谷ダム
長谷(ながたに)ダムは福岡市東区香椎の多々良川水系猪野川右支流長谷川にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
九州最大の大都市である福岡市は高度成長期終焉後も人口増加ペースは衰えず、バブル以降でも政令指定都市中トップの人口増加率を誇り、1970年代からの40年間で人口が5割増加しました。
一方で大河川がない上に中小河川の集水域が小さいという地理的条件もあり、福岡市の水道事情は慢性的な水不足が続き、安定した水源確保を求めるための拡張事業は19回にも及んでいます。
長谷ダムは1973年(昭和58年)に事業着手された第17回拡張事業(多々良川取水)の中核施設として1993年(平成5年)に竣工ししました。流域面積94.8平方キロのうち長谷川はわずか1.8平方キロにすぎず、その大半は多々良川取水場からの揚水によって賄われており、実質的には河道外貯留方式のダムとなっています。
長谷ダムで貯留された水は多々良浄水場を経て市内へと給水されています。
ダム建設に合わせてダム下公園として整備されたようですが、今は利用する人も少なく荒れ気味
ダム直下手前にフェンスがあるため引いた位置からの撮影となります。
堤高53.8メートル、堤頂長159メートルと上水専用ダムとしてはかなり大規模ですが、実質的に河道外貯留方式のため洪水吐は自由越流式クレストゲート3門のみです。
福岡市水道局の事業で建設されましたが、実際のダム建設に際してはノウハウ豊富な福岡県県土整備部に委託したそうです。
下流面。
H形鋼と石でできた天端親柱。
天端は市道が通っておりそこそこ交通量があります。
高覧にも等間隔でH形鋼が建てられており、親柱と言いH形鋼が目立ちます。
減勢工と利水放流施設兼ポンプ室。
二つの水槽は多々良浄水場への送水設備のようです。
ダム湖は『三日月湖(みかづきのうみ)』
有効貯水量485万立米のうち98%は多々良川から揚水しています。
上流面と管理事務所。
ダム湖の碑
『三日月湖』はダムの北に位置する三日月山にちなんで命名されました。
左岸にある河童のモニュメント
多々良川から揚水された水の水圧を利用して回転します。
多々良取水場からの導水路。
上流面。
ダム湖左岸の管理道路はハイキングコースとなっているほか、ダムは三日月山の登山口にもなっています。
休日にはダムサイト駐車場は登山者やハイカーの車でいっぱいになるようです。
追記
長谷ダムには洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
2446 長谷ダム(1120)
福岡市東区香椎
多々良川水系長谷川
W
G
53.8メートル
159メートル
4920千㎥/4850千㎥
福岡市水道局
1993年
◎治水協定が締結されたダム