ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

西郷ダム

2016-05-31 13:00:00 | 福島県
2015年12月15日 西郷ダム
2016年 5月29日 
 
西郷ダムは西白河郡西郷村鶴生にある灌漑用アースダムで、農林省の事業で1955年(昭和30年)に建設され阿武隈川上流土地改良区が管理を行っています。
 
白河から国道289号を甲子トンネル方面に向かい、雪割橋へ右折し白河高原牧場を抜けると西郷ダム右岸ダムサイトに到着します。
ダムサイトの駐車場からダム湖に沿って遊歩道になっています。
 
まるでペンションのようなかわいい建物。
管理事務所兼取水設備操作室です。
 
天端は立入禁止
ダムの向こう側は自衛隊の演習場。
 
上流面
雪が積もっているのでわかりにくいですがロックフィル。
 
水位が低いため斜樋が下まで現れています。
 
ダム湖(西郷貯水池)。
 
2016年5月29日 西郷ダム②
 
大内ダムから甲子トンネルを抜けて白河へ向かう途中、西郷ダムに立ち寄ってみました。
昨年12月以来二度目の訪問です。
 
西郷ダムの石碑
 
天端へ向かう遊歩道、
前回は雪でしたが今回は初夏、季節が違うと雰囲気も全く違います。
 
かわいい牛とミルクのペイント。
ダムの手前は白河高原牧場です。
 
取水設備の操作室。
 
上流面はロックフィル。
 
前回はダム湖がカラカラでしたが、今回はたっぷり。
 
堤体への立ち入りができず、見学ポイントは少ないのですがそれでも雰囲気のよさは抜群です。
桜か紅葉の時期にまた訪問したいダムです。
 
追記
西郷ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに9万1000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0489 西郷ダム(0126)
福島県西白河郡西郷村鶴生黒土
阿武隈川水系鳥首川
32.5メートル
220メートル
3299㎥/3064㎥
阿武隈川上流土地改良区
1955年
◎治水協定が締結されたダム

大内ダム

2016-05-31 12:00:00 | 福島県
2016年5月29日 大内ダム
 
大内ダムは福島県南会津郡下郷町大内の阿賀野川水系小野川にある電源開発(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
電源開発は建設省が阿賀野川上流に建設を決めた大川ダム建設事業に発電事業者として参加、1988年(平成元年)に同社3番目の純揚水発電所である下郷発電所が完成しました。
大内ダムは同発電所の上部調整池として発電所の稼働3年後の1991年(平成3年)に竣工し、下部調整池である大川ダムとの有効落差387メートルを利用して最大10万キロワットの純揚水式発電を行っています。
 
 
県道131号を大内宿に向かって南下し、氷玉峠を越えると大内ダムのダム湖が見えてきます。
天端は県道330号となっており車両が通行できます。
 
ダム下流面。
堤高100メートルを超える巨大ロックダムですが、堤体中央に建設残土が盛られ高さは感じません。
おまけに堤体には草が生えまるでアースダムの様相です。
 
下流に人気観光スポットの大内宿が見えます。
 
ダム湖
標高800メートルのダム湖はまるで高原リゾートの趣です。
 
右岸に洪水吐があります。
 
下流面です。
スキー場のゲレンデのみたい。
 
上流面
揚水発電の上部池ということで昼夜で水位が変わります。
 
洪水吐
奥に表面取水設備が見えます。
 
左岸に揚水発電の取水口がありますが、取水設備は水中にあり見ることはできません。
 
日本有数の揚水発電の取水口は水の中、洪水吐導流部や減勢工も立ち入ることはできませんが、標高800メートルのダムを吹き抜ける風はさわやかでまるで避暑地の装いでした。
平日しか開館していないためまだ入館したことのない下郷展示館ですが、機会があれば入館して下郷発電所や大内ダムにしてもっと学んでみたいと思います。 
 
追記
大内ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
 0522 大内ダム(0428)
福島県南会津郡下郷町大内
阿賀野川水系小野川
102メートル
340メートル
18500千㎥/16000千㎥
電源開発(株)
1991年
◎治水協定が締結されたダム

無量溜池

2016-05-31 10:00:00 | 福島県
2016年5月29日 無量溜池
 
無量溜池は福島県大沼郡会津美里町旭無量阿賀野川水系館川右支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1906年(明治39年)に無量水利組合に事業で竣工と記されています。
福島県ため池データベースには『無量溜池2号』という名称で記載されていますが、こちらでは堤高は6.8メートルとなっておりダムの要件である15メートルには遠く及びません。
 
県道330号から右に道を取り、町道で無量旭地区に至ると左手に溜池の堤が見えてきます。
 
溜池まで道路が通じていますがダートなので歩くことにしました。といっても、たかだか100メートルほどです。
ダム便覧では堤高16メートルとありますが、どう見てもそんなにありません。
ため池データベースの6.8メートルが妥当でしょう。
 
天端は草ぼうぼう。
 
上流面。
 
洪水吐も草ぼうぼう。
イワベンケイの花が満開です。
 
田植えが一巡、梅雨を控えて貯水池の水位は低くなっています。
 
軽トラならここまで入れます。
地元の写真家が野鳥の写真を撮影されていました。
カワセミが見れるそうです。
 
右岸の階段式斜樋。
 
0460 無量溜池(0424)
ため池コード 074470023 
福島県大沼郡会津美里町旭無量
阿賀野川水系館川右支流
16メートル(ため池データベース 6.8メートル
60メートル
32千㎥(ため池データベース 55千㎥)/25千㎥
旭無量水利組合
1906年

入山ダム

2016-05-30 14:00:00 | 福島県
2016年5月29日 入山ダム
 
入山ダムは福島県河沼郡柳津町郷戸の阿賀野川水系滑沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には柳津町の事業で1957年(昭和32年)に竣工と記されており、管理は柳津町土地改良区が行っています。
福島県のため池データベースでは『入山堤』として記載されていますが、諸元はダム便覧とは大きく異なり堤高11.7メートルとダムの要件を満たしていません。
またダム便覧では河川は滝谷川となっていますが、これは滑沢川の間違いです。
 
大規模農道の会津パールラインから片道約1.3キロのダートの林道通じており、徒歩でダムへと向かいます。
林道入り口から約20分ほどでダムに到着。 
ここから見上げると堤高は便覧の18メートルが妥当な気がします。
 
洪水吐に沿って堤体に上ります。
 
下流面
 
右岸の横越流式洪水吐。
最近改修が行われたようです。
 
総貯水容量23万7000立米の貯水池。
 
上流面です。
ぱっと見アスファルトフェイシングフィルかと思いましたが、実はラバーシートで遮水されています。
 
こっちから見るとアスファルトにしか見えませんね?
 
天端に中央に階段式斜樋があります。
 
ダム脇の記念碑には災害による破損を受けて大規模な改修が行われたようです。
ダム便覧とため池データベースん諸元の違いは改修前後の数字の差異によるものかと推察します。
 
0491 入山ダム(0422)
ため池コード 074230001
福島県河沼郡柳津町郷戸
阿賀野川水系滝谷川
18メートル(ため池データベース 11.7メートル
107メートル(ため池データベース 107メートル)
237千㎥(ため池データベース 114千㎥)/237千㎥
柳津町土地改良区
1957年

沢入堤(畑子沢下溜池)

2016-05-30 13:30:00 | 福島県
2016年5月29日 沢入堤(畑子沢下溜池)
 
沢入堤は福島県喜多方市慶徳町松舞家の阿賀野川水系濁川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では『位置未確認』となる一方経緯度が表示されていますが、福島県ため池データベースには『沢入堤』という溜池は記載がなく、該当地にあるのは『畑子沢下ため池』となっています。
該当地の小字名が『沢入』であることから沢入堤=畑子沢下池で間違いないと思われますが、ため池データベースでは同池の堤高は11メートルとダムの要件を満たしていません。
管理は受益地である豊岡行政区が行っています。
 
溜池へ通じる林道はダートのため、入口となる松野地区から往復4キロを歩くことにします。
磐越西線に沿って進み踏切を越えます。
 
右手に古いトンネルが見えます。
磐越西線の旧松野隧道で、廃線マニアには有名なスポットのようです。
 
溜池の手前500メートルほどにロープが架かっています。
軽やSUVならここまで入れそうです。
 
歩き始めて30分ほどで右手に堤体が見えてきました。
ぱっと見堤高は15メートルあるようには見えません。
ため池データベースの11メートルが妥当か?
 
右岸に洪水吐があります。
 
洪水吐導流部。
 
上流面はコンクリートブロックで補強されています。
 
天端にボートが置かれています。
 
取水設備はは階段式斜樋です。
 
総貯水容量3万立米の小さな溜池。
上流に上池があるようです。
 
天端。
 
0464 沢入堤(畑子沢下溜池)(0421)
ため池コード 072080001 
福島県喜多方市慶徳町松舞家
阿賀野川水系濁川
15メートル(ため池データベース 11メートル
38メートル(ため池データベース 74メートル)
30千㎥(ため池データベース 34千㎥)/30千㎥
豊岡行政区
1933年

大深沢ダム

2016-05-30 13:15:00 | 福島県
2016年5月29日 大深沢ダム
 
大深沢ダムは福島県喜多方市塩川町中屋沢の阿賀野川水系大深沢川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
会津盆地北東部、雄国山南麓1000ヘクタールの農地開発を目的に1970年(昭和45年)に農水省の国営雄国山麓土地改良事業が着手され、その灌漑用水源として1988年(平成元年)に竣工したのが大深沢ダムです。
土地改良事業は1992年(平成4年)に竣工し、大深沢ダムからは約500ヘクタールの農地に灌漑用水が供給されています。
また、もともと当地には東京電力(現東京電力リニューアブルパワー)猪苗代第四発電所の取水堰があり、ダム建設に合わせて取水口も整備されました。
ダムの管理は雄国山麓土地改良区が受託しています。
 
県道337号線を南下して塩川町中屋沢で西に曲がると大深沢ダムに到着します。
ダム左岸から
上流面もロックフィルとなっています。
 
 
左岸に2つの取水設備が見えます。
奥は東京電力リニューアブルパワー猪苗代第四発電所の取水口。
手前が灌漑用水の斜樋。
 
天端は車道になっており、車両の通行ができます。
 
右岸の減勢工です。
立ち入り禁止にもかかわらず釣りをしている人がいます。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
右岸下流から。
草が生え、ぱっと見にはアースダムのように見えますがロックフィルです。
 
平面図です。
取水量を見ると東京電力猪苗代第四発電所への取水量が土地改良区の灌漑用取水量の3倍近くあります。
 
追記
大深沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0530 大深沢ダム(0420)
福島県喜多方市塩川町中屋沢
阿賀野川水系大深沢沢ダム
36.5メートル
157.7メートル
720千㎥/250千㎥
雄国山麓土地改良区
1988年
◎治水協定が締結されたダム

関柴ダム

2016-05-30 13:00:00 | 福島県
2016年5月28日 関柴ダム
 
関柴ダムは福島県喜多方市関柴町下司馬の阿武隈川水系姥堂川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1958年(昭和33年)に福島県の事業で建設され、のちに農水省による国営会津北部農業開発事業による大規模な改修を経て現在に至ります。
管理は会津北部土地改良区が受託しています。
 
喜多方から裏磐梯へと向かう国道459号から姥堂川に沿って北上すると関柴ダムへと到着するはずですが…
ダムへの管理道路はゲートアウト。
 
道路を上流に向かいダムが見える場所を探しますが、樹間から垣間見えるのみ。
 
先ほどの道路の一つ下にも分岐があったので進んでみると、ダムの堤体が見えてきました。
 
そのまま進むと右下に隧道が見えます。
どうやら洪水吐からの導流部のようです。
 
逆方向に踏跡があるので下りてみると・・・
左手は洪水吐の減勢工です。
右手は取水設備からラインで調圧水槽に余水ゲートがついています。 
 
灌漑期ということで水はトンネル導水路に流れてゆきます。
非灌漑期は余水ゲートから姥堂川に戻されると思われます。
 
国土地理院地形図を見てみると、関柴ダムから西に用水路が伸びています。
たぶん上の沈砂池のような施設はこの用水路の呑口だと思われます。
 
大平沼ダム同様、会津北部土地改良区のダムはガードが厳しく、詳細を見ることはできません。
会津北部土地改良区のホームページから関柴ダムの写真を拝借してきました。
手前にインクラインと取水設備、奥には非常に珍しい形の洪水吐が見えます。
この洪水吐!!見てみたい…
 
ガードが厳しいダムですが、ぜひともこの洪水吐は生眼で見たみたい。そんな機会がほしい関柴ダムです。
 
追記
関柴ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0492 関柴ダム(0419)
福島県喜多方市関柴町下柴
阿賀野川水系姥堂川
20メートル
159メートル
934千㎥/934千㎥
会津北部土地改良区
1958年
◎治水協定が締結されたダム

大平沼ダム

2016-05-30 12:15:00 | 福島県
2016年5月28日 大平沼ダム
 
大平沼(おおだいらぬま)ダムは福島県喜多方市熱塩加納町加納の阿武隈川水系濁川にある灌漑目的のアスファルトフェイシングフィルダムです。
もともと天然の沼だったった大平沼が羽越豪雨によって決壊したのを機に、県の災害復興事業によりダム化され1970年(昭和45年)に大平沼ダムとして生まれ変わりました。
ダム便覧ではこの年を竣工年度としており管理は会津北部土地改良区が受託しています。
その後、国営会津北部農業水利事業により大規模な改修が行われ貯水容量は3倍に増大し現在の規模となりました。
また1991年(平成3年)には農業用施設としては初めて小水力発電所(最大出力570キロワット)が設置されました。
ダム便覧ではダムの目的はAPとなっていますが、利水放流や河川維持放流を利用した小水力発電のためダムの目的はAが妥当かと思われます。
 
喜多方から濁川に沿って県道335号線を北上すると大平沼ダムに到着します。
ただしダムの敷地への入り口は門扉で閉ざされています。
 
左岸の洪水吐の上に橋がかかっています。
これは導流部。
 
減勢工はなく、そのまま濁川として下流へ続きます。
 
限られたスペースで放流量を確保するためか洪水吐は大きく湾曲しています。
 
翡翠色の水が非常にきれいです。
 
対岸にインクラインと取水塔があります。
 
周囲は広葉樹で囲まれ、もともと天然沼だった雰囲気を残しています。
 
珍しいアスファルトフェイシングフィルダムということですが、ガードが厳しく全く見ることができません。
湾曲した洪水吐と美しいエメラルドグリーンの水だけが印象に残ったダムでした。
 
追記
大平沼ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3408 大平沼ダム(0417)
福島県喜多方市熱塩加納町加納
阿賀野川水系濁川
A(ダム便覧ではAP)
AF
32メートル
120メートル
2115千㎥/1848千㎥
会津北部土地改良区
1970年
◎治水協定が締結されたダム

田子倉ダム

2016-05-30 11:15:00 | 福島県
2016年5月28日 田子倉ダム
 
田子倉ダムは福島県只見郡只見町田子倉の阿賀野川水系只見川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流河川の只見川では戦時中から日本発送電(株)により電源開発が進められてきましたが、一方で各種利権の対立もあり尾瀬分水や只見川分流など様々な開発案が検討され混迷を極めていました。
1953年(昭和28年)に只見川上流域は電源開発、中下流から阿賀野川については東北電力というすみ分けが決まったことを受け両社は積極的な電源開発に邁進します。
電源開発は最上流部に奥只見、上流部に田子倉という日本屈指のダム・発電所建設を同時に進め、まず1960年(昭和35年)に奥只見ダム・発電所が、翌1961年(昭和36年)に田子倉ダム・発電所が完成しました。
田子倉ダムは総貯水容量4億9400万立米(全ダム中第3位)、堤高145メートル(重力式コンクリート第6位)、堤体積195万立米(重力式コンクリートダム第2位)と日本屈指のスケールを誇っています。
またダム直下の田子倉発電所は1959年(昭和34年)の最大出力15万キロワットでの部分運用開始から随時増強され、現在は最大40万キロワットの発電能力を持ち、これは一般水力発電としては奥只見発電所に次いで日本第2位の出力です。
田子倉ダムは日本ダム協会により日本100ダムに選ばれているほか、豪雪地帯の水資源と地形を巧みに利用したダム・電源開発等の河川史や地域資産として高く評価され2023年(令和5年)に『只見川ダム施設群』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。
またダム湖の田子倉湖もダム湖百選に選ばれています。
 
只見ダムから国道252号線を新潟方面に走るとダム湖の先に田子倉ダムが姿を見せます。
 
同じ場所からズームアップします。
手前の鉄橋からの眺めもよさそうですが、残念ながら工事で通行できません。
 
国道252号を新潟方面に走ると田子倉発電所に突き当たります。
ダムへはヘアピンを駆け上がりますが、途中でダムの姿を見ることができます。
4門のラジアルゲートからまっすぐ下に伸びる直線的な導流壁が田子倉ダムの特徴です。
これは同じ時期に建設された奥只見ダムにも共通します。
 
左岸から
 
天端は中央まで立ち入りできます。
電源開発のダムの特徴ダム名の銘版プレートが埋め込まれています。
 
天端中央にあるガントリークレーン
 
天端左岸にレストハウスとインクラインがあります。
インクラインの隣はダム湖(田子倉湖)遊覧船乗り場となっています。
時間があれば遊覧船からダムを眺めてみたかったのですが、先のスケジュールも詰まっていたので・・・・
奥に浅草岳の稜線が見えます。
 
ダムの直下の田子倉発電所があります。
一般水力発電では日本第2位の最大出力を誇っています。
 
左岸ダム湖から
やっぱり遊覧船に乗ればよかったかなあ~
 
日本有数の規模を誇る田子倉ダムですが、下流から見ることができないなど見学できるポイントが限定され、なかなかその大きさを体感できません。
直下の発電所からダムを見上げるような機会があればいいのですが。
 
(追記)
田子倉ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0494 田子倉ダム(0413)
福島県南会津郡只見町田子倉
阿賀野川水系只見川
145メートル
462メートル
494000千㎥/370000千㎥
電源開発(株)
1959年
◎治水協定が締結されたダム

只見ダム

2016-05-30 11:00:00 | 福島県
2016年5月28日 只見ダム
 
只見ダムは左岸が福島県南会津郡只見町只見、右岸が同町石伏の阿賀野川水系只見川にある電源開発が管理する発電目的のロックフィルダムです。
戦後只見川上流部の水利権を獲得した電源開発(株)は積極的な電源開発を進め田子倉、奥只見といった巨大ダム・発電所を次々と建設しました。
このうち田子倉発電所では1961年(昭和36年)の本格稼働以降最大38万キロワットという一般水力としては日本最大出力の発電が開始され出力調整による大きな水位変動を緩和するために逆調整池として滝ダムが建設されました。
しかし、田子倉発電所と滝ダムの間の只見町内では只見川の水位変動が看過できない状況となり、1989年(平成元年)に田子倉ダム下流3キロ地点に建設されたのが只見ダムです。
只見ダムは、田子倉発電所の出力調整による水位変動を緩和するとともに、ダムに併設された只見発電所で最大6万5000キロワットのダム式発電を行っています。
また、豪雪地帯の水資源と地形を巧みに利用したダム・電源開発等の河川史や地域資産として高く評価され2023年(令和5年)に『只見川ダム施設群』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。
 
ロックフィルダムにもかかわらず堤体の中央に洪水吐があるのが特徴です。 
右岸下流側から
向かって右手に洪水吐のローラーゲート、左に只見発電所の放流口が見えます。
 
右岸から
堤体はアースダムのようですがロックフィルです。
ダムの右手が発電所となります。
奥に雪がかぶっている山が日本200名山の浅草岳です。
 
左岸から
2011年の福島豪雨によりダム湖にたまった土砂が積み上げられています。
 
天端からの眺めです。
堤高が低いので開放感にあふれています。
 
減勢工
 
右岸上流から
洪水吐のゲートが3門
発電所の取水ゲートが2門
 
今度は反対の左岸ダム湖から
風がなく水面は鏡になっていましたが、惜しむらくは空が曇天・・・・
 
田子倉ダムから見下ろしてみます。
下流の三角錐は会津の名峰蒲生岳、右奥は御神楽岳です。
 
(追記)
只見ダムはは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0541 只見ダム(0412)
左岸 福島県南会津郡只見町只見
右岸         同町石伏
阿賀野川水系只見川
30メートル
582.5メートル
4500千㎥/2000千㎥
電源開発(株)
1989年
◎治水協定が締結されたダム

滝ダム

2016-05-30 10:30:00 | 福島県
2016年5月28日 滝ダム
 
滝ダムは左岸が福島県大沼郡金山町滝沢、右岸が同町田沢の阿賀野川水系只見川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦後只見川上流部の水利権を獲得した電源開発(株)は積極的な電源開発を進め田子倉、奥只見といった巨大ダム・発電所を次々と建設しました。
このうち田子倉発電所では1961年(昭和36年)の本格稼働以降最大38万キロワットという一般水力としては日本最大出力の発電が開始され出力調整による大きな水位変動を緩和するための逆調整池として建設されたのが滝ダムです。
滝ダムは逆調整池としての機能のほか、直下の滝発電所で最大9万2000キロワットのダム式水力発電を行っています。
しかし田子倉発電所と滝ダムの間にある只見町内では只見川の水位変動が大きいままで、1989年に田子倉発電所下流3キロ地点以に新たな逆調整池として只見ダムが建設されました。

滝ダムは、豪雪地帯の水資源と地形を巧みに利用したダム・電源開発等の河川史や地域資産として高く評価され2023年(令和5年)に『只見川ダム施設群』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。

国道252号を只見方面に走ると滝トンネルの手前で滝ダムが見えてきます。
 
スノーシェッドから滝トンネルにかかる直前で旧道が左に分かれており、ここを進むと左手に滝ダムが見えます。
ダム下流にダートの道が続きますが立ち入りできません。
 
クレストにはローラーゲート4門
ピアは鉄骨トラスで管理橋は被覆されています。
 
ダム直下右岸に発電所があります。
 
以前はこの旧道を進みダム左岸から見下ろすことができたようですが、現在は通行止め。
ダムは下流から遠望するしかありませんでした。
 
追記
滝ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0499 滝ダム(0411)
左岸 福島県大沼郡金山町滝沢
右岸        同町田沢
阿賀野川水系只見川
46メートル
264メートル
27000千㎥/10300千㎥
電源開発(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム

大岐ダム

2016-05-30 10:10:00 | 福島県
2016年5月28日 大岐ダム
 
大岐ダムは福島県大沼郡金山町山入の阿賀野川水系只見川右支流大岐川にある重力式コンクリート堰堤です。
1938年(昭和13年)に当時の新潟水力株により伊南川発電所の調整池として建設され、日本発送電の接収ののち戦後東北電力(株)が管理を継承しました。
1972年(昭和47年)の改修により調整池が導水路と切り離された際に金山町に譲渡されました。
金山町にしてみれば上水や灌漑用水源として活用する目論見があったのかもしれませんが、結局は活用されないまま時間が過ぎ現在に至っています。
ダム便覧には目的がP(発電)と記されていますが、現実には『かつてダムだった構造物が存在している』状態です。
堤体は老朽化が著しく各所から漏水しており、万一破堤でもすれば下流に大惨事が起きる懸念が高くなっており、今後抜本的な対策が取られるものと考えられます。
 
会津横田で国道252号から県道352号に入り5キロほど走ると右手に東北電力の導水鉄管と大岐ダムが見えてきます。
 
ダム直下には2011年の福島豪雨の復旧工事で出た土砂を盛土してあります。
役場によるとダムに万一の際に備えたものだそうです。
 
 
かつて管理事務所であったであろう建物はすでに廃墟化しています。
 
堤体の各所から漏水しています。
なんせ堤体から木が生えているのだから・・・
 
当然のことながら天端は立ち入り禁止です。
 
手すりはゴジラに襲われたかのようにぐにゃぐにゃ
対岸に洪水吐があるようですが・・・
 
コンクリートも劣化してボロボロ
 
直下には東北電力の伊南川発電所への導水鉄管が通っています。
もともとはこの導水路の調整池として建設されたダムでした。
 
現実にはすでに役割を終えたダムですが、2011年の福島豪雨の復旧が精一杯の金山町にとっては、このダムの手当てまで手が回らないというのが実情のようです。
東北電力から移譲されたときは活用についていろいろ算段があったんでしょうが、今となっては思わぬお荷物のようです。
堤体直下に盛土を行うなど一応の対処は進めていますが、万一決壊ともなれば直下の東北電力の導水管はもとより下流にも大きな被害が出かねません。
抜本的な対応が急がれます。
 
0476 大岐ダム(0410)
福島県大沼郡金山町山入
阿賀野川水系大岐川
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18.5メートル
72.3メートル
214千㎥/168千㎥
金山町
1939年

深山ダム

2016-05-26 08:00:00 | 栃木県
2015年12月18日 深山ダム
2016年  5月25日
 
深山ダムは、左岸が栃木県那須塩原市板室、右岸が同市百村の一級河川那珂川本流最上流部にある栃木県農政部が管理するアスファルトフェイシングフィルダムです。
農林省(現農水省)による国営那須野ヶ原農業水利事業の中核施設として1976年(昭和51年)に竣工し、完成後、栃木県に移管されました。
那須野ヶ原土地改良区への灌漑用水の供給、大田原市・那須塩原市への上水道用水の供給、栃木県企業局板室発電所での最大1万6100キロワットのダム水路式発電、当ダムを下部調整池、沼原ダムを上部池として電源開発(株)沼原発電所での最大67万5000キロワットの純揚水式発電を目的としています。
 
板室温泉から深山ダムの標識に従って県道を北上すると深山ダムのダムサイトに到着します。 
例年12月中旬はダム周辺は雪化粧していてもおかしくないのですが、今年は暖冬のせいか雪が少なくノーマルタイヤでも無事到達することができました。
下流から見ると普通のロックフィルダムに見えます。
 
洪水吐。
 
ダムのサイズの割にブロックを並べただけの簡単な減勢工。
 
ダム上流側は遮水のためにアスファルトでコーティングされています。
 
ダム湖(深山湖)
雪が少ないとはいえ冬型の気圧配置で気温は2度、猛烈な風が吹き荒れていました。
 
 
昨年12月以来2度目の訪問です。
あいにくの曇天ですが緑が濃く冬景色とはかなり印象が違います。
冬は枯れ葉色だった下流面もすっかり緑色です。
 
 
アスファルトフェイシングフィルの上流面。
 
梅雨を控え水位が低くなっています。
 
板室発電所への取水設備。
 
追記
深山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0568 深山ダム(0117)
左岸 栃木県那須塩原市板室
右岸       同市百村
那珂川水系那珂川
AWP
FA
75.5メートル
333.8メートル
25800千㎥/20900千㎥
栃木県農政部
1973年
◎治水協定が締結されたダム

大河津洗堰(旧)

2016-05-25 14:00:00 | 新潟県
2016年5月22日 大河津洗堰(旧)
 
大河津洗堰は大河津分水との分岐点直下の信濃川本流に建設された堰堤で、分水路につくられた大河津可動堰と連動して信濃川の洪水を防いでいます。
1922年(大正11年)に竣工した旧洗堰は2000年(平成12年)の新洗堰の通水によりお役御免となりましたが、現在も現役当時のままで保存されその文化的価値から国の登録有形文化財に指定されています。
 
下流から
逆光でちと残念
 
ゲートのうち1門は遊歩道として潜ることができます。
 
ワイヤーロープウインチ式ゲートがずらっと27門並びます。
 
 

 

天端。管理橋も開放され自由に通行できます。
 
河床も現役当時のまま保存されています。
下流は公園です。
 
左岸には信濃川から分岐する西川が流れている
旧洗堰のゲートは常時開けたままで機能していません。
 
登録有形文化財ながら開放部分が多くいろいろ見学できるのはすばらしい。

大河津分水洗堰(旧)
新潟県燕市大川津
信濃川水系信濃川
145.5メートル
国交省北陸地方整備局
1922年竣工
2000年廃止

大河津洗堰

2016-05-25 11:00:00 | 新潟県
2016年5月22日 大河津洗堰
 
信濃川本流にかかる大河津洗堰は、大河津分水にかかる大河津可動堰と連動して信濃川の洪水調節の役割を担っています。
洗堰自体は目的は治水のみですが、国交省北陸地方整備局により大河津可動堰と一体管理されており国交省直轄ダムとなります。
老朽化した旧洗堰に代わり、2000年(平成12年)に竣工、油圧式ゲートや白御影石貼りにするなど非常にスマートなデザインとなっています。
 
左岸下流から
油圧シリンダー自走式ゲート×5門を装備
 
西洋風城砦やトーチカにも見えますが、表面に張られた御影石が柔和な雰囲気を醸し出しています。
 
天端は歩行者、自転車は通行できます。 
 
 
油圧式ゲート
 
上流側から
右岸に閘門があります。
 
 
 
魚道
魚道にもゲートが付いています。
 
魚道観察室
アユの遡上が見れました。
 
大河津洗堰
新潟県燕市大川津
信濃川水系信濃川
MB
167.52メートル
国交省北陸地方整備局
2000年