ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

山口調整池

2017-10-06 18:33:06 | 福岡県
2017年9月17日 山口調整池
 
山口調整池は福岡県筑紫野市山口の筑後川水系山口川左支流兎ヶ原川にある水資源機構が管理する上水道用水目的のロックフィルダムです。
高度成長期に入り福岡市の人口は急増するとともに周辺自治体も衛星都市として都市圏が拡大、さらに生活様式の変化などもあり福岡都市圏の水道需要は拡大の一途を辿りました。しかし福岡市周辺には大河がないという地理的条件もありなくあり慢性的な水不足状態が続き、安定した水源確保は福岡都市圏にとっては悲願とも言える重要課題となっていました。
1974年(昭和49年)の閣議決定により筑後川水系水資源開発基本計画(フルプラン)が採択され、その一環として筑後川から福岡都市圏及び佐賀県基山町への上水道用水供給事業、いわゆる福岡導水事業が着手され1983年(昭和58年)に福岡地区への通水が開始されました。
山口調整池は筑後川の水量低下や施設の点検等により通水できない場合などに備えた福岡導水の予備水源・上水調整池として1998年(平成10年)に竣工しました。
 
福岡導水概要図(水資源機構福岡導水管理室HPより)
 
九州自動車道筑紫野インターから県道137号線を南西向かうと『筑紫野市総合公園』の標識が現れます。
これに従って右折すると山口調整池の堤体が見えてきます。
山口調整池建設に合わせて周辺は一帯が筑紫野市総合公園として整備され、ダム湖である『天拝湖』を周回する遊歩道や運動公園、アスレチック広場などが設置された広大なレクリエーションエリアとなっています。
ダム下にも芝生広場やグラウンドが整備されています。
 
堤体左岸から地山を挟んで流下する洪水吐。
 
ちょっと草が目立ち始めたリップラップ。
 
水資源機構のダムではおなじみ、
水資源機構の記章とダム湖である『天拝湖』の文字看板。
 
右岸天端から
左岸に管理事務所と取水設備あります。
天端は徒歩のみ通行可能で、ダム湖を周回する遊歩道の一部となっています。
 
天端から。
ダム下は野球グラウンド。
 
ダム湖の天拝湖
貯水容量390万立米、訪問直前に台風通過があったためほぼ常時満水状態です。
ダム湖上流には運動公園やアスレチック設備があります。
 
左岸の越流式洪水吐。
 
 
この下が上から2番目の写真の場所になります。
 
追記
山口調整池は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに71万7000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
  
3028 山口調整池(1139)
福岡県筑紫野市山口
筑後川水系兎ヶ原川
 
60メートル
326メートル
4000千㎥/3900千㎥
水資源機構
1998年
◎治水協定が締結されたダム

東谷口池(坂本新池)

2017-10-06 15:50:59 | 福岡県
2017年9月21日 東谷口池(坂本新池)
 
東谷口池は福岡県太宰府市坂本の御笠川水系東谷口川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧によれば1937年(昭和12年)に当時の太宰府町の事業で建設とあり、現在は坂本水利組合が管理をしています。
ダム便覧では長く『位置未確認』となっていましたが、2015年(平成27年)12月の拾泉舎様の報告により大宰府政庁跡北の坂本地区にある坂本新池が東谷口池であることが判明しました。
ダム便覧では堤高20メートルとなっている一方、福岡県ため池データベースでは8メートルとなっており河川法上のダム基準を満たしていません。
 
大宰府政庁跡から住宅街の中を北に進み、集落の先の北九州自然歩道入口が目印となります。
 
標識に従って九州自然歩道を進むと右手に砂防指定地の標識があります。
 
標識のすぐ先の樹間から東谷口池の下流面が見えます。
草がかなり伸びていますが視界が遮られて便覧の堤高20メートルを確認することはできません。
むしろデータベースの8メートルが妥当ではないかと思われます。
 
天端への入口は施錠され立ち入り禁止。
保安上の問題というよりは人気のハイキングコース沿いにあるため事故防止目的だと思われます。
 
手前側の洪水吐。
 
 
上流から
貯水量は1万1000立米のほんとに小さな溜池です。
堤頂50メートルということですがそれほどあるようには見えません。
 
取水設備や竣工記念碑等も確認できませんでした。
 
2383 東谷口池(1138)
ため池コード402210044
福岡県太宰府市坂本
御笠川水系東谷口川
8メートル(ダム基準未達)
50メートル
11千㎥/11千㎥
坂本水利組合
1937年