ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

殿山ダム(合川ダム)

2021-09-24 17:34:42 | 和歌山県
2021年9月20日 殿山ダム(合川ダム)
 
殿山ダムは和歌山県田辺市合川の二級河川日置川本流上流部にある関西電力(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した関西電力は戦後の電力不足に対処するため各所で積極的な電源開発を進めます。
1957年(昭和32年)に完成した殿山ダムもその一つで、ここで取水された水は殿山発電所に導水され最大1万5000キロワットのダム水路式発電を行っています。
地元ではダム建設地点の地名から合川(ごうかわ)ダムと呼ばれています。
日本初のドーム型アーチダムとされていますが、ダムは立ち入り禁止のため下流に設けられた展望台から遠望するのみです。
 
合川ダム展望台より
ダムは日置川と支流の将軍川の合流点直下の深い谷にあります。
 
ズームアップ。
 
さらにズームアップ
クレスト、オリフィスともにゲートは6門ずつ。
クレストはドロップゲートで、一般的なゲートと異なり水門を下げることで開放されます。
オリフィスはローラーゲートですが中2門だけ形状が異なります。
 
合川ダム展望台
1990年(平成2年)に作られたウッドデッキの展望台です。
ここでお昼をいただいたのでちょっと散らかっています。
 
地元では合川ダムの呼び名が一般的で、国土地理院地形図や道路マップも合川ダムと記載されています。
 
殿山ダム概要図。
 
展望台から東に1キロほど進むとダムへの降り口に関電の管理施設があるのですが、この日は時間制限の通行規制があったため断念しました。
 
追記
殿山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1644 殿山ダム(合川ダム)(1694)
和歌山県田辺市合川
日置川水系日置川
64.5メートル
128.7メートル
25446千㎥/13795千㎥
関西電力(株)
1957年
◎治水協定が締結されたダム

島ノ瀬ダム

2021-09-24 17:01:25 | 和歌山県
2021年9月20日 島ノ瀬ダム
 
島ノ瀬ダムは和歌山県日高郡みなべ町東神野川の二級河川南部川本流にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農水省による国営南紀用水農業水利事業の灌漑用水源として1991年(平成3年)に竣工し、運用開始後は南紀用水土地改良区が管理を受託しています。
みなべ町・田辺市の樹園地及び水田合わせて約1800ヘクタールの農地に灌漑用水及び防除用水を供給しており、南高梅で知られ生産高日本一を誇る梅栽培を支えています。
また2012年(平成24年)には利水放流を活用した島ノ瀬ダム小水力発電所(最大140キロワット)が稼働しました。
ダムおよびダム湖周辺には800本の桜が植えられ周辺随一の桜の名所となっており、春の開花シーズンにはダム湖にこいのぼりが渡され多くの花見客の目を楽しませています。
 
ダム下から
放流設備は農業用コンクリートダムらしくクレスト自由越流頂3門と利水放流設備の組み合わせ。
訪問時は直前に通過した台風の影響で水位が上がり、転波越流中。
 
右手の設備はは2012年(平成24年)に完成した島ノ瀬ダム小水力発電所。
利水放流を利用して最大140キロワットの発電を行っています。
 
右岸から。
 
右岸中段の監査廊入り口
ここには東屋が設けられ絶好の展望ポイントとなっているほか、堤頂へのフーチング階段も開放されています。
 
天端は車両通行可能
対岸に管理事務所があります。
 
天端からの眺め
導流壁は美しい曲線を描いています。
また減勢工沿いには桜が植えられ春は花見客でにぎわいます。
 
左岸から
愛媛県の佐古ダムを連想させる導流壁の曲線。
 
上流面。
 
管理事務所と凝ったデザインの公衆トイレ。
建設時期がバブル真っ盛りですので、さもありなん。
 
ダム湖上流から。
総貯水容量307万立米と本州の農業用ダムとしてはかなりのスケール。
紀州の梅を支えています。
 
管理事務所と斜樋。
 
追記
島ノ瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1650 島ノ瀬ダム(1693)
和歌山県日高郡みなべ町東神野川
南部川水系南部川
44.5メートル
131.5メートル
3070千㎥/2480千㎥
南紀用水土地改良区
1991年
◎治水協定が締結されたダム

切目川ダム

2021-09-24 15:07:08 | 和歌山県
2021年9月20日 切目川ダム
 
切目川ダムは和歌山県日高郡印南町高串の二級河川切目川本流にある和歌山県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、切目川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、印南町への上水道用水の供給を目的として2014年(平成26年)に竣工しました。
 
ダム下から
クレスト自由越流頂7門、自然調節式オリフィス2門を備えたゲートレスダム。
 
高い位置から見たダム全景。
 
左岸から
いかつい堤趾導流壁が目を引きます。
 
天端は車両通行可能。
 
天端から
オリフィスゲートの上には三角のデフレクター
減勢工には副ダムが2基並びます。
 
左岸の利水放流設備から河川維持放流が行われています。
 
ダム湖は総貯水容量は396万立米。
 
右岸から。
 
上流面
対岸には管理事務所がありますが、職員は巡回のみで常駐はありません。
 
上流から遠望。
 
追記
切目川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3131 切目川ダム(1692)
和歌山県日高郡印南町高串
切目川水系切目川
FNW
44.5メートル
127メートル
3960千㎥/3410千㎥
和歌山県県土整備部
2014年
◎治水協定が締結されたダム

椿山ダム

2021-09-24 12:18:34 | 和歌山県
2021年9月20日 椿山ダム
 
椿山ダムは和歌山県日高郡日高川町初湯川の二級河川日高川本流にある和歌山県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1953年(昭和28年)の7・18水害(紀州大水害)により和歌山県各河川では甚大な洪水被害が発生し、県は各河川の治水対策に乗り出します。
日高川では1966年(昭和41年)から多目的ダム建設事業が着手され、1988年(平成元年)に竣工したのが椿山ダムです。
椿山ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、日高川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、関西電力美山発電所《2005年(平成17年)に県企業局から関西電力に移管》での最大出力1万1400キロワットのダム式水力発電を目的としています。
総貯水容量4900万立米は和歌山県最大のダム湖を擁し、湖面は美山漕艇場としてカヌー競技に利用されるほか、湖畔には温泉施設や各種レクリエーション施設が整備されダム湖百選に選ばれています。
またクレストゲート6門、コンジットゲート5門という特異なゲート配置になっており下流からの奇抜な眺めも相まって日本100ダムにも選定されています。
 
下流から
クレストラジアルゲート6門、コンジット高圧ラジアルゲート5門という特徴的なゲート配置
デフレクターを兼ねる5本の扶壁はモアイ像の鼻のようにも見えます。
向って右手は関西電力美山発電所。
 
左岸から。
 
上流面
多彩なゲートを映して上流面も賑やか。ラジアルゲートの間にコンジット予備ゲートが並びます。
選択取水設備のスクリーンは目の細かいメッシュ。
対岸高台にはクレーン台座が残ります。
 
左岸ダム下の関西電力美山発電所。
当所は和歌山県企業局による公営発電所として稼働いましたが、2005年(平成17年)に関西電力に移管されました。
 
ダム湖は『椿山ダム湖』
見た目は大きくありませんが上流まで細長く続き総貯水容量4900万立米は県下のダム湖最大。
上流には美山漕艇場があるほか、湖畔には美山温泉や日本一長い藤棚、やまびこスポットなどがありダム湖百選に選ばれています。
 
ダムサイトのダム湖百選の銘版。
 
右岸にある艇庫
艇庫はありますがインクラインが見当たりません。
右手の青いクレーンで昇降させるようです。
 
天端は車両通行可能
多彩なゲートを映して下流側6棟、上流側5棟のゲートハウスが並びます。
 
右岸から下流面。
 
右岸から上流面
予備ゲートに木が生えています。
 
堤体右岸上流側にあるドア、監査廊入り口です。
 
上流もクレストラジアルゲート6門とコンジット予備ゲート5が並び華やか。
 
追記
椿山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1649 椿山ダム(1691)
和歌山県日高郡日高川町初湯川
日高川水系日高川
FNP
56.5メートル
236メートル
49000千㎥/39500千㎥
和歌山県県土整備部
1988年
◎治水協定が締結されたダム 

天理ダム

2021-09-24 00:24:50 | 奈良県
2015年12月30日 天理ダム
2021年 9月19日
 
天理ダムは奈良県天理市長滝町の大和川水系布留川にある奈良県県土マネジメント部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、布留川の洪水調節(最大毎秒160立米のカット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、天理市への上水道用水の供給を目的として1978年(昭和53年)に竣工しました。
天理ダムは奈良県内では最初に完成した補助多目的ダムです。
2016年(平成28年)~18年(平成29年)にかけての改修でコンジットゲートが増設され、より柔軟な洪水調節が可能となりました。
 
天理ダムにはコンジットゲート増設前の2015年(平成27年)12月に訪問し、増設後の2021年(令和3年)9月に再訪しました。
ダム下から
こちらは再訪時の写真。
洪水吐左岸側(向かって右手)に常用洪水吐としてコンジットゲートが増設されています。
 
こちらは2015年12月訪問時の写真
天理ダムは非常用洪水吐としてクレストローラーゲート2門および常用洪水吐としてコンジットバルブ1条を備えていました。
しかしコンジットバルブの放流量が小さいため柔軟な洪水調節が困難でした。
 
こちらはコンジットバルブ
手前からの放流は河川維持放流。
 
増設されたコンジットゲート
堤体に穴をあけ、新たに放流管が設置されました。
手前建屋内に引っ張りラジアルゲートが格納されています。
 
左岸から下流面。
 
天端は国道25号線が走っています。
一級国道ですが、大半の車両は並行する名阪国道を使うため通行量はさほどでもありません。
 
天端から減勢工を見下ろします。
左手がコンジットゲート。
ダム下には天理ダム名物の国道25号線ヘアピンカーブ。
 
こちらは河川維持放流。
 
右岸ダムサイトに管理事務所があり艇庫とインクラインが隣接しています。
 
らせん階段のついたゲートピア。
 
上流から
『青垣湖』と命名されたダム湖は総貯水容量250万立米と県ダムとしてはかなり小ぶり。
 
ゲートをズームアップ
多段式取水ゲートの左手にクレストローラーゲート。
ちょっと見えづらいですが、ローラーゲートの左手に増設されたコンジットゲート取水口があります。
 
追記
天理ダムにはには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1569 天理ダム(0159) 
奈良県天理市長滝町
大和川水系布留川
FNW
60.5メートル
210メートル
2500㎥/2250㎥
奈良県土マネジメント部
1978年
◎治水協定が締結されたダム

瑞穂ダム

2021-09-02 04:53:53 | 北海道
2021年7月20日 瑞穂ダム
 
瑞穂ダムは北海道湧別郡安平町早来瑞穂の湧別川水系安平川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
北海道開発局農水部による国営早来かんがい排水事業の灌漑用水源として1998年(平成10年)に竣工し、運用開始後は安平町が受託管理しています。
2018年(平成30年)9月の北海道胆振東部地震により堤体に亀裂が入ったほか大量土砂が貯水池内に流入するなどの被害が発生し、2021年4月にかけて災害復旧工事が行われました。
瑞穂ダムへは2019年10月、2020年10月の二度にわたり訪問しましたが、いずれも災害復旧工事中のため立ち入りできず今回3度目の正直で見学が叶いました。
 
ダム下流から
立ち入り制限があるため洪水吐を下流から見ることはできません。
右手は管理事務所。
 
堤高25.9メートル、堤頂長427.1メートルの横長の堤体に瑞穂ダムの文字。
胆振東部地震により堤体に亀裂が入り3年の歳月をかけ復旧工事が行われました。
 
瑞穂ダム下流は『瑞穂ダム公園』として整備され、瑞穂ダムと同緯度の『北緯42度46分』に位置する日本と国交のある17カ国の花や木が植えられています。
写真は植樹記念碑。
 
下流面。
 
天端は立ち入り禁止。
 
右岸に並ぶインクライン・艇庫と取水設備。
特徴的なデザインです。
 
右岸から洪水吐導流部
ダム下左手の建屋は放流設備。
 
横越流式洪水吐
左手は管理事務所ですが洪水吐の先は立ち入り禁止。
 
右岸に建つ竣工記念碑。
 
右岸からダムの上流面、貯水池を望みます。
左手は艇庫と取水設備。
貯水池は総貯水容量430万立米。
 
上流面には4本の縞ができています。
灌漑期による利水放流に加え少雨によりかなり水位が下がっています。
 
3度目の正直でようやく見学が叶いました。
ダム下、堤体は美しく天端も含めてもっと開放してくれればなあ。

0164 瑞穂ダム(1690)
北海道勇払郡安平町早来瑞穂
勇払川水系安平川
25.9メートル
427.1メートル
4300千㎥/3900千㎥
安平町
1998年

厚幌ダム

2021-09-01 12:59:05 | 北海道
2021年7月20日 厚幌ダム
 
厚幌(あっぽろ)ダムは北海道湧別郡厚真町幌内の二級河川厚真川本流にある北海道建設部が管理する多目的台形CSGダムです。
1986年(昭和61年)に厚真川総合開発事業が着手されますが、厚真川上流にはすでに灌漑目的の厚真ダムがありました。
そこでダム建設地点の厚真町幌内地区からそれぞれ1文字ずつ採り『厚幌ダム』と命名され2018年(平成30年)に北海道の当別ダム、沖縄の金城ダムに次いで国内3例目の台形CSGダムとして竣工しました。
しかし試験湛水終了後の2018年(令和元年)9月の北海道胆振東部地震により、厚真町では甚大な被害が発生します。
幸いダム本体には損傷はなく翌2019年(平成31年)3月に運用が開始されました。
厚幌ダムは(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、厚真川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、湧別東部地区やく3000ヘクタールの農地への灌漑用水の供給、厚真町への上水道用水の供給を目的としています。
 
ダムの運用は無事開始されたものの、貯水池周辺の土砂崩壊により大量の土砂がダム湖に流入しているほか、厚真川沿いの道道235号線や上流の厚真ダムは地震により大きな損害を受けておりいまだに各所で災害復旧工事が行われています。
ダムへのアクセスとなる道道235号線も通行できるのは左岸ダムサイトまで、ダムも天端が開放されているのみです。
 
左岸の道道235号線から
堤高47.2メートル、堤頂長516メートルの横長ダム
日本では3例目、北海道では当別ダムに次ぐ台形CSGダムです。
 
洪水吐は右岸側に非常用洪水吐の自由越流頂7門、左岸側に常用洪水吐の自由越流頂6門が並び、常用洪水吐導流部は台形CSGダムらしくカスケードになっています。
また右岸は堤趾導流壁、左岸は直線の堤体導流壁となっています。
 
左岸ダムサイトの管理事務所。
 
ダム案内板。
道道235号線はダムから上流は災害復旧工事のため通行止め。
 
竣工記念碑も台形。
 
CSGダムは比重が軽く、水圧を利用してバランスをとるため上流面にも傾斜がついています。
取水設備も傾斜式ゲートになります。
左奥は胆振東部地震による地滑りあと。
 
減勢工と放流設備
ダム下も災害復旧工事施設となっているため立ち入りできません。
 
放流設備。
 
ダム湖は総貯水容量4740万立米。
写真で見てもわかるように地震による斜面崩壊により大量の土砂が流入しています。
 
天端は徒歩のみ開放
写真は取水設備建屋。
 
ダム本体は地震による被災を免れましたが、ダム周辺の至る所で被害が残りダムへの道中も工事車両が行き交い騒然として雰囲気です。
上流の厚真ダムの復旧が無事に終了し、落ち着いたときに改めて訪問してみたいと思います。

2974 厚幌ダム(1689)
北海道勇払郡厚真町幌内
厚真川水系厚真川
FNAW
CSG
47.2メートル
516メートル
47400千㎥/43100千㎥
北海道建設部
2018年