ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

上田池ダム

2017-11-30 14:51:55 | 兵庫県
2017年11月24日 上田池ダム
 
上田池(こうだいけ)ダムは兵庫県南あわじ市神代社家の三原川水系上田川上流部にある灌漑目的の表面石張重力式粗石モルタル工ダムです。粗石モルタル工というのは粗石とセメントを水で練り混ぜたもので、堤体表面には間知石が布積みされています。
三原川中下流域の三原平野は淡路島最大の平坦地ですが、水源としていた三原川の水量は乏しく古来から灌漑用水の確保が困難で『月夜にも焼ける』といわれるほど干ばつ被害に悩まされてきました。
1915年(大正4年)に新貯水池建設計画が持ち上がりますが、第一次世界大戦による物価高騰やダムの型式の検討に時間を要し、1925年(大正14年)にようやく事業内容の合意に至りました。
貯水池建設に際し、36メートルの堤高を賄う土堰堤の材料の入手が困難だったことや、下流住民の決壊への懸念を払しょくするため神戸の水道事業で実績のあった重力式粗石モルタル工型式が採用されました。
そして翌1926年(大正15年)に建設工事が着手されますが、工事途中で貯水量を増やす為に堤高を41.5メートルにかさ上げするなど7年の工期を要し、1932年(昭和7年)に上田池は竣工しました。
上田池は農業用コンクリートダムとしては香川県の豊稔池ダムにつぎ、兵庫県神戸市の山田池と並び日本で2番目に古いダムとなります。
また堤高41.5メートルは粗石モルタル工としては神戸の立ヶ畑ダムや布引五本松堰堤を凌ぎ千苅ダムに迫る高さとなっており、これらの土木技術上の価値を評価して土木学会選奨土木遺産及びAランクの近代土木遺産に選定されています。
池の管理は耕地整理組合を引き継いだ上田池土地改良区が行い旧三原町内538ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
南淡路広域農道(オニオンロード)に上田池を示す標識があり、これに従って南下し社家集落を抜けると上田池に到着します。
浄水場手前に車を止めて浄水場の裏手を抜けると堰堤の左岸直下に出ます。
堤高は41.5メートルで石積堰堤としては神戸の立ヶ畑ダムや布引五本松堰堤を凌ぎ、千苅ダムに迫る高さです。
 
導流面、扶壁もきれいな石積みで溢流部は連続扁平アーチになっています。
 
堤頂部はほぼ垂直になっており実際の堤高よりも高さを感じ、城壁の如き堤体です。
 
上流面も装飾的なデザインで見た目にも美しいの一言です。
扶壁の上部は波切りのためか円形の台座のようになっており、ここで連続扁平アーチの支えています。
洪水吐上部だけコンクリートが新しく近年改修があったようです。
 
天端は車両通行可能
高欄は市松風の三つの小窓が上下反転しながら続いています。
 
左岸上流側の張り出し
どういう機能かは不明です。
 
古い石積堰堤ではおなじみの円形の取水設備。
 
取水設備の諸元プレートと選奨土木遺産遺産のプレート。
 
天端から見た導流面
右岸側は地山が張り出し天然の導流壁のようになっています。
この日は風が強く越流した水は水紋を描くというよりは水飛沫を跳ねあげていました。
 
天端からは播磨灘が見えます。
 
上流からの眺め。
 
神戸の石積堰堤に勝るとも劣らぬ素晴らしい堰堤です。
難を言えば直下に浄水場があるため、堤体直下から見上げることができない点でしょうか?
実は上田池を水源とした灌漑用水は下流で複数の円筒形分水工が設置されている事を帰宅後知りました。
中には貴重な親子分水工もあるようです。
いずれ再訪の機会があればぜひ見てみたいものです。
 
1470 上田池ダム(1184)
近代土木遺産Aランク
兵庫県南あわじ市神代社家
41.5メートル
131メートル
1700千㎥/1500千㎥
上田池土地改良区
1932年

旧成相池堰堤

2017-11-30 13:10:26 | 兵庫県
2017年11月24日 旧成相池堰堤
 
旧成相池堰堤は兵庫県南あわじ市八木馬回の三原川水系成相川の成相ダムの上流500メートルのダム湖に保存されている重力式粗石モルタル工の石積堰堤です。
灌漑を目的として1937年(昭和13年)に着工され、戦時中の中断をはさんで1950年(昭和25年)に竣工しました。
戦後に竣工した石積堰堤は珍しく、確認はできませんが最後に建設された石積ダムと言えるかもしれません。
しかし1999年(平成11年)に下流500メートルに成相ダムが竣工したことで上部5メートルを残してダム湖常時満水位以下に水没し、現在は安定上問題ない形状で保存されています。
2021年(令和3年)に土木学会選奨土木遺産に選ばれました。
 
成相ダムから湖岸を上流に進むと旧成相池堰堤が見えてきます。
 
左岸下流から。
 
右岸下流から
切石が奇麗に布積みされています。
 
写真は神戸市の山田池です。
ゲートの数は異なりますが、ゲート、半円形の取水設備、天端高覧の造りなどは山田池に非常によく似ています。
 
 
 
右岸上流から。
 
上流から新旧競演。
 
 神戸の石積堰堤に比べれば小ぶりな堰堤ですが、緩やかに円弧を描く堤体は柔和で上品な印象を受けました。
 
S511 旧成相池堰堤(参考掲載)(1183)
兵庫県南あわじ市八木馬回
三原川水系成相川
G(粗石モルタル)
33メートル
113.3メートル
1950年竣工
1999年廃止

成相ダム

2017-11-30 01:29:57 | 兵庫県
2017年11月24日 成相ダム 
 
成相ダムは兵庫県南あわじ市八木馬回の三原川水系成相川上流部にある兵庫県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
三原川水系では1974年(昭和49年)に三原川本流上流部の諭鶴羽川に諭鶴羽ダムが建設されましたが、1979年(昭和54年)の台風16号で三原川本支流各河川で甚大な洪水被害が発生し一段の治水対策が求められることになります。
兵庫県は、翌1980年(昭和55年)に三原川総合開発事業を採択し支流各河川に新たに2事業4基の多目的ダム建設を決定します。
三原川右支流の成相川では本流と支流の北富士川に2ダム1事業でダム建設が進められ、1999年(平成11年)に成相ダムと北富士ダムが竣工しました。
成相ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、北富士ダムと連絡水路で結ばれ一体運用され、成相川及び北富士川の洪水調節を行うほか、成相川の安定した河川流量を維持するとともに慣行水利権としての流域農地への灌漑用水の補給、淡路広域水道事業団への上水道用水の供給を目的としています。
 
南あわじ市の国道28号線鳥井交差点を南に折れ、市道を南西に進むと正面に北富士ダムと成相ダムが見えてきます。
二股を右手にとると成相ダムに到着します。
まずはダム下から
北富士ダム同様ダム下は親水公園になっています。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートが2門、常用洪水吐としての自然調節式のオリフィスゲート1門、訪問時はオリフィスから越流していました。
天端高欄や洪水吐上部のアーチ、導流壁のカーブなどR(円)が多用されたデザインは非常に柔和な印象を与えてくれます。
 
右岸ダムサイトに管理棟と竣工記念碑があります。
 
堤頂部はいわゆる『襟』がなく堤頂からバケットカーブが続きます。
 
天端高覧は山をイメージしたデザイン。
 
天端はシンプルな北富士ダムと異なり石製のベンチや展望スペースが設けられています。
 
天端からは播磨灘が見えます。
 
導流面と減勢工
右手は利水放流設備です。
導流壁は断面が三角になった独特のデザイン、これは北富士ダムと共通です。
 
ダム湖は総貯水容量405万立米
上流500メートルあたりに成相池堰堤があります。
 
上流面
ゲート右手に取水設備、左手はエレベーター棟
管理事務所裏手にインクラインと艇庫があります。
 
1525 成相ダム(1182
兵庫県南あわじ市八木馬回
三原川水系成相川
FNW
61メートル
223.5メートル
4050千㎥/3950千㎥
兵庫県土木部 
1999年

北富士ダム

2017-11-29 22:43:48 | 兵庫県
2017年11月24日 北富士ダム  
 
北富士ダムは兵庫県南あわじ市八木馬回の三原川水系北富士川上流部にある兵庫県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
三原川水系では1974年(昭和49年)に三原川本流上流部の諭鶴羽川に諭鶴羽ダムが建設されましたが、1979年(昭和54年)の台風16号で三原川本支流各河川で甚大な洪水被害が発生し一段の治水対策が求められることになります。
兵庫県は、翌1980年(昭和55年)に三原川総合開発事業を採択し支流各河川に新たに2事業4基の多目的ダム建設を決定します。
三原川右支流の成相川では本流と支流の北富士川に2ダム1事業でダム建設が進められ、1999年(平成11年)に成相ダムと北富士ダムが竣工しました。
北富士ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、成相ダムと連絡水路で結ばれ一体運用され、成相川及び北富士川の洪水調節を行うほか、北富士川の安定した河川流量を維持するとともに慣行水利権としての流域農地への灌漑用水の補給、淡路広域水道事業団への上水道用水の供給を目的としています。
 
南あわじ市の国道28号線鳥井交差点を南に折れ、市道を南西に進むと正面に北富士ダムと成相ダムが見えてきます。
二股を左手にとると北富士ダム下に到着します。
ダム下は小さな公園になっています。 
 
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートが1門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲートが1門
訪問時はオリフィスゲートから越流していました。
余計なものはとことん排除したシンプルなデザインとなっています。
 
左岸から
堤頂部の『襟』が堤頂からバケットカーブが始まっています。
堤頂部のデザインは同じ兵庫県営の栗柄ダムによく似ています。
 
ダムサイトの竣工記念碑。
 
天端は車両通行可能。
 
天端から導流面と減勢工
左手は利水放流設備
導流壁は断面が三角になる独特のデザイン。
 
天端からは海が見え、播磨灘を挟んで小豆島が遠望できます。
 
ダム湖は総貯水容量130万立米。
 
右岸から下流面。
 
上流面。
 
1526 北富士ダム(1181)
兵庫県南あわじ市八木馬回
三原川水系北富士川
FNW
52.5メートル
162.5メートル
1300千㎥/1250千㎥
兵庫県土木部
1999年

初尾川ダム

2017-11-29 17:23:51 | 兵庫県
2017年11月24日 初尾川ダム
 
初尾川ダムは兵庫県南あわじ市中条中筋の洲本川水系初尾川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
1965年(昭和40年)9月の台風23号、24号により淡路島では年間降雨量の約半分の雨が降るという記録的な集中豪雨となり、初尾川上流部では3つの溜池が決壊し流域に甚大な被害が発生しました。
破損した3基の貯水量を補てんするため、農林省(現農水省)の補助を受けた兵庫県の災害復旧事業により1968年(昭和43年)に完成したのが初尾川ダムです。
管理は受益農家で組織される中筋水利組合が行っています。
 
国道28号線久次米交差点を南に折れ南淡路広域農道(オニオンロード)を交差して直進すると浄水場の先に初尾川ダムが見えてきます。
車を置き浄水場の裏手の山道を進むとダムの下流に出ます。
洪水吐は自由越流式クレストゲート2門という農業用コンクリートダムらしいデザインです。
訪問時はクレストゲートから越流していました。
 
車に戻り車道を進むとダム左岸に到着します。
 
天端に埋め込まれた竣工プレート。
 
上流面
四角い取水設備。
 
左岸上流から
湖面にダムが写し込まれています。
また昭和40年代の農業用ダムらしく天端ゲート部が高くなっています。
 
天端は車両通行可能
右手は取水設備操作室。
 
天端から
越流した水がきれいな鱗紋を描いています。
 
ダム下流の浄水場
北富士ダムから受水しており初尾川ダムとは関係がありません。
 
ダム湖は総貯水容量30万2000立米。
 
右岸から下流面。
 
1489 初尾川ダム(1180)
兵庫県南あわじ市中条中筋
洲本川水系初尾川
31.2メートル
101メートル
302千㎥/230千㎥
中筋水利組合
1968年

鮎屋川ダム

2017-11-29 15:30:44 | 兵庫県
2017年11月24日 鮎屋川ダム
 
鮎屋川(あいやがわ)ダムは兵庫県洲本市鮎屋の洲本川水系鮎屋川上流部にある防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
洲本川右支流の鮎屋川および初尾川中下流部が流れる洲本平野は淡路島では三原平野と並ぶ平坦地ですが、水源としていた鮎屋川や初尾川の水量は乏しく古来から幾度にもわたり干ばつ被害に悩まされてきました。
一方、鮎屋川はひとたび豪雨に見舞われると流域に大きな洪水被害をもたらし、抜本的な治水対策や安定した水源確保は流域農家の長年の悲願となっていました。
そこで兵庫県は1964年(昭和39年)より農林省(現農水省)の補助を受けた鮎屋川農業水利改良事業に着手、その中核施設として1970年(昭和45年)に竣工したのが鮎屋川ダムです。
鮎屋川ダムは鮎屋川流域143ヘクタールの農地防災、鮎屋川・初尾川流域農地771.5ヘクタールへの灌漑用水の供給を目的としており、運用開始後は鮎屋川土地改良区が受託管理を行っています。
また2016年(平成28年)には河川維持放流を利用した小水力発電所が新設され、最大16キロワットの発電を行っています。
 
ダム直下を南淡路広域農道(オニオンロード)が横断しており、農道からダムを遠望することができます。
 
堤体直下からダムを見上げます
農業用ダムですが、防災機能を持つためクレスト、オリフィス両ゲートを装備しています。
非常用洪水吐としてクレストにローラーゲートが1門、常用洪水吐として導流壁両側にオリフィスゲートが2門あり、訪問時は右岸側(向かって左手)のオリフィスゲートから放流されていました。
手前は河川維持放流です。
 
下流面。
 
河川維持放流を利用した小水力発電がおこなわれ、リアルタイムの発電量が表示されています。
 
天端
手前は取水設備の操作機器です。
 
クレストのローラーゲート
非洪水期ということでゲートは上がったままです。
 
ダム下の利水放流設備
奥の青いパイプは灌漑用送水管。
小水力発電所はパイプ手前の地下にあります。
 
減勢工。
 
ダム湖は総貯水容量180万立米。
上流1キロに同じ鮎屋川土地改良区が管理する大城池があります。
 
上流から遠望。
 
 
1490 鮎屋川ダム(1179)
兵庫県洲本市鮎屋
洲本川水系鮎屋川
FA
46.2メートル
198.3メートル
1800千㎥/1604千㎥
兵庫県鮎屋川土地改良区
1970年

大城池

2017-11-29 13:20:14 | 兵庫県
2017年11月24日 大城池
 
大城(だいじょう)池は兵庫県洲本市鮎屋の洲本川水系鮎屋川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
旧大野村(現洲本市大野)は台地上に位置し、淡路島でも最も水利に乏しい地域で農地の過半は井戸水を水源としその汲み上げには多大な労役が必要でした。
深刻な水不足を解消するために大野村では耕地整理組合が設立され鮎屋川上流部に水源を求めることになり1923年(大正12年)より溜池築造に着手しました。
大城池築造にあたっては鮎屋川の既得取水権と区別するために用水を迂回する隧道と井堰の建設に2年の歳月をかけるなどし、1928年(昭和3年)にようやく大城池が竣工しました。
大城池という名称の由来について現地の竣工記念碑では『蓋シ壮大城郭ノ如ク又堅緻ニシテ大丈夫ノ意ヲ寓ス』とあり、池を待望した人々の期待の大きさが窺い知れます。
その後1933年(昭和8年)に増築工事が行われ現在の規模となりました。
現在は下流の鮎屋川ダムともども兵庫県鮎屋川土地改良区が管理を行っています。
 
南淡路広域農道(オニオンロード)から県道534号線を南下、鮎屋川ダムから川沿いをさらに遡上すると大城池に到着します。
左岸にある大城池の説明板。
 
下流面は奇麗に刈り払われています。
 
上流面と洪水吐を遠望。
 
左岸の取水設備は独特のデザイン。
建屋は六角形でモンゴルの遊牧民の帽子のような屋根になっています。
また周辺左岸は花崗岩の石積みで護岸されています。
 
貯水池は総貯水容量94万6000立米と山中の溜池としてはかなり大規模。
 
右岸には竣工記念碑と不動明王像が設置されています。
 
天端。
 
堤体上流面は花崗岩の谷積みで護岸されています。
 
右岸の洪水吐
2007年(平成19年)に改修されました。
 
洪水吐導流部はこの先滝の様に流下しているようですが今回はダム下に向かう道が通行止めで見ることができませんでした。
 
左岸の取水設備周辺の湖岸や、堤体上流面など各所に丁寧な石積みが見られます。
時を重ねて建設された上田池や猪ノ鼻ダムなどの石積堰堤の技術を採用したのかもしれません。 
 
1469 大城池(1178)
ため池コード
兵庫県洲本市鮎屋
洲本川水系鮎屋川
35.5メートル
170メートル
946千㎥/946千㎥
兵庫県鮎屋川土地改良区
1928年

柿ノ木谷池ダム

2017-11-29 12:21:43 | 兵庫県
2017年11月24日 柿ノ木谷池ダム
 
柿ノ木谷池ダムは兵庫県南あわじ市湊里の三原川水系柿ノ木谷川上流部にある防災・灌漑用水目的の重力式コンクリートダムです。
もともと当地には柿ノ木谷池という灌漑用溜池がありましたが老朽化が激しく警戒溜池に指定されていました。一方柿ノ木谷川流域では洪水による農業被害が多く、被害の除去は下流農家の悲願となっていました。
これを受け兵庫県は1994年(平成6年)に農水省の補助を受けた兵庫県の防災ダム事業に着手、2006年(平成18年)に竣工したのが柿ノ木谷池ダムです。
柿ノ木谷池ダムは柿ノ木谷川の農地防災および湊里地区65ヘクタールの農地への灌漑用水の供給を目的としており、運用開始後は湊水利組合が受託管理を行っています。
 
南あわじ市湊地区から柿ノ木谷川沿いに市道を南下すると柿ノ木谷池ダムに到着します。
ダム下流から
洪水吐は自由越流式クレストゲートが1門だけ、越流部が2段になっておりこれで非常用と常用洪水吐を使い分けています。 
 
左岸ダムサイトの竣工記念碑。
なんだか不安定、地震で倒れないかちょっと心配。
 
左岸高台の果樹園に続く道から俯瞰。
 
ダム軸も俯瞰。
 
上流面。
 
減勢工と放流設備。
 
ダム湖の奥にも農地があるようで天端は車両が通れます。
 
総貯水容量38万6000立米と小さなダム湖。 
 
右岸から下流面。
 
上流面
ゲートの左に取水設備があります。 
 
3308 柿ノ木谷池ダム(1177)
兵庫県南あわじ市湊里
三原川水系柿ノ木谷川
FA
25.1メートル
117メートル
386千㎥/358千㎥
湊水利組合
2006年

猪鼻第2ダム

2017-11-28 17:10:24 | 兵庫県
2017年11月23日 猪鼻第2ダム
 
猪鼻第2ダムは兵庫県洲本市千草丙の洲本川水系猪鼻川源流部にある淡路広域水道企業団が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
洲本市では1934年(昭和9年)に淡路島最初の近代水道として洲本市水道事業が開始されました。
戦後に入り高度成長による人口増加や生活様式の変化から水需要は急増、洲本市では新たに4基の上水道ダムが建設されますが、猪鼻第2ダムは1978年(昭和53年)に洲本市4番目のダムとして猪鼻第1ダムの上流約1キロ地点に建設されました。
その後2010年(平成22年)に島内各自治体の水道事業が統合され淡路広域水道企業団が発足、猪鼻ダム、猪鼻第2ダムともども同企業団が管理を行い、両ダム合わせて日量約1万3000立米の上水道用水を供給しています。
 
洲本中心部から481号線を南下し、猪鼻川沿いの隘路を遡上するとまず猪鼻ダムに到着します。さらに1キロ上流に進むと右手に猪鼻第2ダムが見えてきます。
自治体管理の上水用ダムらしく洪水吐は自由越流式クレストゲート2門だけのシンプルな構造。
導流壁はV字の斬縮型です。
 
右岸管理事務所わきの竣工記念碑。
ダムの諸元が記されています。
 
下流面。
 
上流面
ゲート右手に取水設備があります。
 
天端
高覧は至ってシンプル。
 
右岸から
左手が管理事務所。
 
天端から導流面
転波越流しています。
 
ダムの下流は花崗岩を侵食した険しい渓谷
この下流1キロに猪鼻ダムがあります。
 
総貯水容量50万6000立米。
猪鼻ダムと併せて日量1万3000立米の水を供給し島内最大の上水道水源となっています。
 
1506 猪鼻第2ダム(1176)
兵庫県洲本市千草戌
洲本川水系竹原川
41.5メートル
121.5メートル
506千㎥/409千㎥
淡路広域水道企業団
1978年

猪鼻第1ダム(猪ノ鼻ダム)

2017-11-28 14:35:32 | 兵庫県
2017年11月23日 猪鼻第1ダム
 
猪鼻第1ダムは兵庫県洲本市千草丙の洲本川水系猪鼻川上流部にある、淡路広域水道企業団が管理する上水道用水目的の表面石張曲線重力式粗石コンクリートダムです。
明治以降全国各地で近代水道の整備が進みますが、少雨に加え大河のない淡路島では依然として生活用水の多くを井戸水に依存していました。
昭和に入り淡路島の中心都市である洲本市でようやく近代水道整備計画が持ち上がり、その水源として1930年(昭和5年)に建設着手され1933年(昭和8年)に竣工したのが猪鼻第1ダムです。
翌1934年(昭和9年)4月、ダム湛水と同時に洲本市水道事業が開始されました。
戦後の高度成長や人口増加を受けて洲本市内にはさらに4基の上水道ダムが建設され、2010年(平成22年)には淡路島各自治体の水道事業が統合され淡路広域水道企業団が発足しました。
猪鼻第1ダムは1978年(昭和53年)に上流に建設された猪鼻第2ダムと併せて日量約1万3000立米の上水道用水を供給しています。
また猪鼻第1ダムは戦前の貴重な土木建築物ということでCランクの近代土木遺産に選定されています。
なおダム便覧には『猪ノ鼻ダム』で登録されていますが、管理者の淡路広域水道企業団では『猪鼻第1ダム』の名称を使っておりここでは『猪鼻第1ダム(猪ノ鼻ダム)』と記することにします。 
 
洲本中心部から481号線を南下し、猪鼻川沿いの隘路をひたすら進むとダム右岸に到着します。 
右岸から
切石積の粗石コンクリートダムで緩やかに弧を描いています。
 
上流面
取水設備は昭和初期ではおなじみ半円形。
 
残念ながら天端は立ち入り禁止
程よく色づいたモミジが美しい石積堰堤に彩りを添えます。
 
ダム下から。
 
 
堤体直下に樅の大木が茂っています。
竣工直後に植樹されたものでしょうか?
堤体の穴は排砂ゲート。
 
減勢工に架かる管理橋
高覧が凝った意匠になっています。
対岸にもいろいろ施設があるようですが、管理橋は立ち入り禁止のためここまで。
 
 
上流から遠望。
貯水池は総貯水容量30万6000立米。
 
神戸の石積堰堤に比べれば小ぶりな堰堤ですが、緩やかに円弧を描く堤体は柔和で上品な印象を受けました。
 
1472 猪鼻第1ダム(猪ノ鼻ダム)(1175)
兵庫県洲本市千草丙
洲本川水系猪鼻川
27.9メートル
89.2メートル
306千㎥/304千㎥
淡路広域水道企業団
1933年

竹原ダム

2017-11-28 12:56:53 | 兵庫県
2017年11月23日 竹原ダム
 
竹原ダムは兵庫県洲本市千草戌の洲本川水系竹原上流部にある淡路広域水道企業団が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
洲本市では1934年(昭和9年)に淡路島最初の近代水道として洲本市水道事業が開始されました。
戦後に入り高度成長による人口増加や生活様式の変化から水需要は急増、洲本市では新たに4基の上水道ダムが建設されますが、竹原ダムは1962年(昭和37年)に洲本市3番目のダムとして建設されました。
その後2010年(平成22年)に島内各自治体の水道事業が統合され淡路広域水道企業団が発足、竹原ダムも同企業団が管理を行い、日量約5500立米の上水道用水を供給しています。
 
洲本中心部から481号線を南下し、千草甲からそのまま竹原川に沿って南下すると右手に竹原ダムが見えてきます。
昭和30年代設計ということで上水目的ダムですがクレストにローラーゲート3門を装備しています。
 
堤体右岸ダムサイトの竣工記念碑。
 
上流から
ゲート左側に半円形の取水設備があります。
 
親柱の銘板。
 
天端。
 
青いローラーゲートが3門。
訪問時は開放されていました。
 
天端から
ダム下に水が溜まっているのですぐ下に副ダムがあるようです。
 
総貯水容量80万4000立米と洲本市にある上水ダムの中では最大規模のダム湖。
 
右岸から。
 
 
1484 竹原ダム(1174)
兵庫県洲本市千草戌
洲本川水系竹原川
34メートル
96メートル
804千㎥/618千㎥
淡路広域水道企業団
1962年

天川第1ダム

2017-11-28 12:01:24 | 兵庫県
2017年11月23日 天川第1ダム
 
天川第1ダムは兵庫県洲本市由良町の天川水系天川上流部にある淡路広域水道企業団が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
洲本市では1934年(昭和9年)に淡路島最初の近代水道として洲本市水道事業が開始されました。
戦後に入り高度成長による人口増加や生活様式の変化から水需要は急増、洲本市では新たに4基の上水道ダムが建設されますが、天川第1ダムは1959年(昭和34年)に洲本市2番目のダムとして建設されました。
さらに1982年(昭和57年)には上流に天川第2ダムが完成します。
2010年(平成22年)に島内各自治体の水道事業が統合され淡路広域水道企業団が発足、天川第1、第2両ダムともに同企業団が管理を行い、日量約3400立米の上水道用水を洲本市由良地区に供給しています。
なお第2ダムはダム便覧に掲載されていますが、第1ダムは未掲載です。第1ダムの諸元は不明ですが、堤高が15メートルに満たないことが理由かと思います。 
 
洲本中心部から県道76号線を南下、由良交差点を右折して集落を抜け天川沿いの隘路を遡上すると天川第1ダムに到着します。
堤体左岸に身替不動が祀られています。
 
天端は立ち入り禁止。
高覧は少し凝った意匠になっています。
 
下流面
ゲートの数は分かりませんが自由越流式のようです。
 
上流から
半円形の取水設備。
 
 
ダム下へも行けますが、減勢工はかなりの水嵩のため下からダムを見上げることはできませんでした。
ダムの諸元や貯水池の規模なども不明です。 
 
天川第1ダム
兵庫県洲本市由良町由良
天川水系天川
---メートル
---メートル
---千㎥/---千㎥
淡路広域水道企業団
1959年

天川第2ダム

2017-11-28 10:28:31 | 兵庫県
2017年11月23日 天川第2ダム
 
天川第2ダムは兵庫県洲本市由良町の天川水系天川源流部にある淡路広域水道企業団が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
洲本市では1934年(昭和9年)に淡路島最初の近代水道として洲本市水道事業が開始されました。
戦後に入り高度成長による人口増加や生活様式の変化から水需要は急増、洲本市では新たに4基の上水道ダムが建設されますが、天川第2ダムは1982年(昭和57年)に天川第1ダム上流に洲本市4番目のダムとして建設されました。
2010年(平成22年)に島内各自治体の水道事業が統合され淡路広域水道企業団が発足、現在は天川第1、第2両ダムともに同企業団が管理を行い、日量約3400立米の上水道用水を洲本市由良地区に供給しています。
 
洲本中心部から県道76号線を南下、由良交差点を右折して集落を抜け天川沿いの隘路を遡上すると天川第1ダムに到着します。
今回は落石が多いため第1ダムに車を止め徒歩で第2ダムへと向かいました。
ガードレールからダム下に降りましたがこれが限界、上水目的のコンクリートダムらしく自由越流式クレストゲート1門のシンプルな構造。
 
天端はゲート部分だけ高くなっています。
 
減勢工
直下に副ダムがあります。
 
天端から見下ろすと。
 
堤体は右岸側が屈曲、一応『カド』。
 
 
貯水池は総貯水容量11万2000立米
ちょうど紅葉の見ごろ。
 
右岸にある天川第2ダムの石板。
 
上流から。
 
1528 天川第2ダム(1173)
兵庫県洲本市由良町由良
天川水系天川
21メートル
82.9メートル
112千㎥/53千㎥
淡路広域水道企業団
1982年

河内ダム

2017-11-27 23:01:41 | 兵庫県
2017年11月23日 河内ダム
 
河内(こうち)ダムは兵庫県淡路市河内の浦川水系浦川上流部にある灌漑および上水道用水目的のアースフィルダムです。
1978年(昭和53年)に採択された兵庫県の農村基盤整備パイロット事業に当時の東浦町が水道事業者として参加し、1986年(昭和61年)に竣工しました。
運用開始後はダム及び水道事業ともに当時の東浦町が管理を行っていましたが、ダムの管理は2005年(平成17年)の4町合併により新たに誕生した淡路市が引き継ぎ66ヘクタールの農地に灌漑用水及び飲雑用水を供給しています。
一方水道事業については2010年(平成22年)に発足した淡路広域水道企業団が引き継ぎ、日量約1100立米の上水道用水を淡路市旧東浦町に供給しています。
 
淡路市北部を東西に横断する県道71号線を西進し『吹き戻しの里』を過ぎると左手に河内ダムが遠望できます。
右岸(向かって左手)に洪水吐導流部が微かに見えます。
 
下流面
ちょうど草刈り作業中。
 
天端は市道で車両通行可能。
 
天端から
山の彼方に大阪湾を挟んで神戸方面が見えます。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
左岸の斜樋。
 
竣工記念碑
ダムの目的として飲雑用水と営農用水と書かれています。
 
総貯水容量は25万立米
ダム湖右岸に浄水場と取水設備があります。
それにしてもダム湖の水がずいぶん濁っています。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
横越流式の洪水吐。
 
当初ダム便覧ではダムの目的はA(灌漑)のみでしたが、不詳ワタクシの投稿で2019年にAW(灌漑・上水)に変更されました。
 
1527 河内ダム(1172)
兵庫県淡路市河内
浦川水系浦川
AW
24メートル
152.8メートル
250千㎥/193千㎥
淡路市
1986年

常盤ダム

2017-11-27 17:10:07 | 兵庫県
2017年11月23日 常盤ダム
 
常盤ダムは兵庫県淡路市野島常盤の野島川水系野島川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1970年(昭和45年)に事業着手された農林省(現農水省)の北淡路農地開発事業の中核施設として1978年(昭和49年)に竣工しました。
運用開始後は同時期に竣工した谷山ダムともども北淡路土地改良区が受託管理を行い両ダム合わせて約422ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
神戸淡路鳴門自動車道東浦インターから県道460号を西進、野島常盤地区に入ると左手に常盤ダムが見えてきます。
貯水池越しの上流面と管理事務所。
 
管理事務所裏手に斜樋があります。
奥は北淡自然休養村センターです。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
下流面
ダム下に揚水機場が見えます。
 
天端からは播磨灘が見えます。
 
斜樋のほかに取水塔があります。
谷山ダム同様取水は2系統になっているようです。
 
天端は車道。
 
T字型の横越流式洪水吐
奥の建物は北淡自然休養村センター。
公営の宿泊学習施設です。
 
総貯水容量は66万9000立米と淡路島の農業用貯水としてはかなり大規模。
 
洪水吐導流部
地山を挟んで堤体とは離れています。
 
1497 常盤ダム(1171)
兵庫県淡路市常盤
野島川水系野島川
33.5メートル
94.6メートル
669千㎥/633千㎥
北淡路土地改良区
1974年