ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

皆瀬ダム

2018-07-30 13:28:49 | 秋田県
2018年7月14日 皆瀬ダム
 
皆瀬ダムは秋田県湯沢市皆瀬の雄物川水系皆瀬川上流部にある秋田県建設部が管理する多目的ロックフィルダムです。
特定多目的ダム法の適用を受けた最初のダムとして建設省(現国交省)の事業で1963年(昭和38年)に竣工し、完成後に秋田県に移譲されました。
宮城県の大倉ダムととも特定多目的ダムでありながら都道府県が管理する数少ないダムです。
また建設に際しては、ダム建設地が軟岩地盤であったことから小渕防災溜池、石淵ダム、野反ダムに次いで我が国4番目の『コンクリート表面遮水壁型ロックフィル』として建設されました。
皆瀬ダムは皆瀬川及び雄物川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、皆瀬川下流1万1000ヘクタールへの新規灌漑用水の供給、秋田県皆瀬発電所による最大出力5300キロワットのダム水路式発電を目的としています。
 
左岸高台にある管理事務所から俯瞰
下流面はロックフィル、上流面はコンクリート表面遮水壁ですがコンクリートの漏水を防ぐためにアスファルトが上塗りされています。
 
古いデザインが目立つ中、ゲートピアの半透明の円形螺旋階段がモダンな印象を与えます。
 
クレストゲートは2段式ローラーゲートが2門
ローラーゲートの間にオリフィスゲートがあります。
 
右岸の発電用取水塔はまるでロケット発射台。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
2段式のローラーゲート。
 
総貯水容量3160万立米のダム湖は上流にある小安峡から『小安峡湖』と命名されています。
小安峡子さん!アニメのヒロインみたい。
 
下流面は犬走りを挟んで3段構成、
残念ながら下流からダムを見るポイントはありません。
 
上流面
コンクリート表面遮水壁型ですが、コンクリートの漏水防止のためアスファルトが上塗りされています。
手前のぐにゃぐにゃが堪りません。
 
発電所への取水塔
昭和30年代のダムと言うことで取水塔もかなり大がかり。
 
県管理なのに特定多目的ダム、コンクリート表面遮水壁型なのに見た目はアスファルトフェイシング、なにやかやとレアな皆瀬ダムです。 
 
追記
皆瀬ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量を確保することになりました。
 
0378 皆瀬ダム(1337
秋田県湯沢市皆瀬
DamMaps
雄物川水系皆瀬川
FNAP
66.5メートル
215メートル
31600千㎥/26300千㎥
秋田県建設部
1963年
◎治水協定が締結されたダム

板戸ダム

2018-07-30 13:22:04 | 秋田県
2018年7月14日 板戸ダム
 
板戸ダムは秋田県湯沢市皆瀬の雄物川水系皆瀬川上流部にある秋田県建設部が管理する重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助受けて建設された補助多目的ダムで、皆瀬川の河川流量の安定及び既得取水権への補給、秋田県公営企業板戸発電所での最大2000キロワットのダム式水力発電を目的として1983年(昭和58年)に竣工しました。
皆瀬川では1963年(昭和38年)に多目的ダムである皆瀬ダムが完成しましたが、不特定利水容量が設定されなかったことで渇水への対応ができず、また皆瀬発電所の運用開始による急激な水位変動が問題化し、これら諸課題に対処するため板戸ダムが建設されました。
板戸ダムは堤体積3万1000立米と秋田県営ダムとしてはもっとも規模の小さいダムとなっています。
 
ダムへの管理道路は立ち入り禁止で道路から見下ろすだけ。
 
洪水吐は全面越流式が1門のみ、手前の海老茶色の建物が板戸発電所です。
堰堤(手前側)の建屋の下に発電用の取水口があるようです。
 
減勢工にはエンドシルあり、その下流には洗掘を防ぐブロック工が並んでいます。
 
追記
板戸ダムは洪水調節容量の設定のない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量を確保することになりました。
 
0397 板戸ダム(1336)
秋田県湯沢市皆瀬
DamMaps
雄物川水系皆瀬川
NP
28.7メートル
120メートル
1598千㎥/1371千㎥
秋田県建設部
1983年
◎治水協定が締結されたダム

倉狩沢ダム

2018-07-30 01:27:07 | 秋田県
2018年7月14日 倉狩沢ダム
 
倉狩沢ダムは秋田県横手市増田町亀田の雄物川水系成瀬川右支流倉狩沢川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1945年(昭和20年)に亀田堰水利組合によって建設され、現在は秋田県雄物川筋土地改良区が管理を行っています。
 
横手市十文字町から国道342号線を東進すると真人公園を示す案内板が現れます。ここを左折し真人公園駐車場の手前の細い道を右手に折れると倉狩沢ダムに到着します。
時節柄、下流面は草ぼうぼうで撮影ポイントは限られます。
 
洪水吐導流部。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
草を掻き分け何とか接近。
 
上流面も草が伸びて状況がよくわかりません。
 
天端は舗装された車道
奥に林道が伸びています。
 
総貯水容量12万2000立米。
 
 
右岸上流から
 
右岸の取水設備のハンドル。
 
草が繁茂しているためダム下には行けず、底樋も確認できませんでした。
 
0365 倉狩沢ダム(1335)
ため池コード
秋田県横手市増田町亀田
DamMaps
雄物川水系成瀬川右支流倉狩沢川
18メートル
80メートル
122千㎥/122千㎥
秋田県雄物川筋土地改良区
1945年

湯の沢溜池

2018-07-26 02:55:28 | 秋田県
2018年7月14日 湯の沢溜池
 
湯の沢溜池は秋田県横手市増田町湯野沢の雄物川水系成瀬川右支流湯野沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1930年(昭和5年)に秋田県の事業により建設と記されていますが、竣工記念碑等がないためその後の詳細は不明です。
現在は秋田県雄物川筋土地改良区が管理を行っています。
 
秋田県のため池は梅雨明け以降に草刈りが行われるところが多いのですが、ここはすでに草が刈られていました。
 
堤体下右岸に取水設備からの底樋樋門。
 
左岸から下流面。
 
天端は未舗装ですが車両は通れます。
 
右岸の斜樋、奥は洪水吐
溜池の洪水吐としては珍しく練石積みがあり、これは竣工当時のものでしょう。
 
天端から下流の眺め
秋田らしく杉林が続きその先に湯野沢地区の集落があります。
 
総貯水容量39万9000立米。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
貯水池右岸の円形越流式の洪水吐。
 
洪水吐導流部はトンネル式。
 
0351 湯の沢溜池(1334)
ため池コード
秋田県横手市増田町湯野沢
DamMaps
雄物川水系成瀬川支流
21.2メートル
113メートル
399千㎥/399千㎥
秋田県雄物川筋土地改良区
1930年

成瀬ダム

2018-07-26 02:06:50 | 秋田県
2018年7月14日 成瀬ダム(建設工事中)
 
成瀬ダムは秋田県雄勝郡東成瀬村椿川の雄物川水系成瀬川上流部に国交省が建設中の多目的台形CSGダムです。
成瀬川では1973年(昭和48年)に秋田県によりダム建設が計画され1991年(平成3年)に国の直轄事業に移管されました。
民主党政権下で一時事業中止となりますが、2013年(平成25年)に事業継続が決定し本州初の台形CSGダムとして2024年(平成36年)の完成をめどに建設工事中です。
成瀬ダムは国交省直轄の特定多目的ダムで、完成の暁には成瀬川・皆瀬川及び雄物川の洪水調節、不特定利水、約1万ヘクタールの新規灌漑用水の供給、湯沢市・横手市・大仙市への上水道用水の供給、成瀬発電所での最大5800キロワットのダム式水力発電を目的として運用される予定です。 
 
ダム建設現場近くの国道342号沿いに工事展望所があります。
成瀬ダム建設工事の説明板。
 
右手がダム堤体建設予定地、左手は原石採取場。
 
ズームアップ。
 
アングルを替えて。
 
こちらは右岸側の堤体工事箇所。
 
完成すれば堤高114.5メートル、堤頂長755メートルの本州初の台形CSGダムが誕生します。
ダム本体工事はまだ緒についたばかりですが、珍しい台形CSGダムと言うことでこれからも機会があれ建設現場を訪問してみたいと思います。
 
0400 成瀬ダム(1333)
秋田県雄勝郡東成瀬村椿川
雄物川水系成瀬川
FNWP
CSG 
114.5メートル
755メートル
78500千㎥/75000千㎥
国交省東北地方整備局
2027年竣工予定