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ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

高滝ダム

2021-02-23 04:15:10 | 千葉県
2016年1月21日 高滝ダム
2021年2月19日
 
高滝ダムは千葉県市原市養老の養老川水系養老川中流部にある千葉県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで養老川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、千葉県営水道及び市原市営水道への上水道用水の供給を目的として1990年(平成2年)に竣工しました。
蛇行を繰り返す養老川地形を生かし、7万8000立米の堤体積で有効貯水容量1250万立米を支えており、貯水効率160倍と非常に効率の良いダムとなっています。
 
高滝ダムには2016年2月21日に初めて訪問し、2021年2月19日に再訪しました。
ダムを正面から見れるのは下流を高架橋で跨ぐ圏央道だけです。
ということで車の助手席からシャッターを切ってみました。
堤高に対して大きなローラゲートとピアがなんともアンバランスで、昭和20~30年代の発電用ダムのようです。(2021年2月19日)
 
非常用洪水吐として4門のクレストローラーゲートを備えてします。
写真左手前に常用洪水吐のコンジットローラーゲートと低水位放流バブルがあります。
 
右岸の土手に「たかたきダム」の植栽。(2021年2月19日)
 
頭でっかちなゲートピア。
よく見るとなかなか凝ったデザインです。
さすがバブル期のダム。
 
天端は車両通行可能
ピアには螺旋階段がつきます。(2021年2月19日)
 
減勢工
正面の高架橋が圏央道。
 
高滝湖
見えているのはダム湖の一端で、大きく蛇行を繰り返しながら上流に続きます。
 
天端高欄には地元の小中学生による壁画が描かれています。
これはダムそばを走る養老鉄道
天端を鉄道が走る唯一のダムです。笑
 
右岸から
ゲート手前の建屋が予備ゲート操作室兼選択取水設備。
 
一番右手のコンジットの予備ゲート左が選択取水設備です。
 
さらに引いて。
 
湖畔には市原湖畔美術館があり、湖面に巨大トンボが水上展示されています。
 
0681 高滝ダム(0210)
千葉県市原市養老
養老川水系養老
FNW
24.5メートル
379メートル
14300千㎥/12500千㎥
千葉県県土整備部
1990年

平沢ダム

2021-02-22 04:26:53 | 千葉県
2016年2月21日 平沢ダム
2021年2月19日

平沢ダムは千葉県夷隅郡大多喜町平沢の夷隅川水系平沢川源流部にある灌漑目的の傾斜コア遮水壁型アースフィルダムです。
夷隅川は千葉県最大の流域面積を持つ二級河川で、古くから流域の貴重な灌漑用水源となってきました。
しかし、房総半島南東部には地表近くに水溶性天然ガス層があり、夷隅川流域では渇水期に河床や水田からガス成分や塩分を多量に含んだ『かん水』が湧出し、農業に多大な悪影響を与えていました。
かん水対策として1978年(昭和45年)に夷隅町(現いすみ)に建設された荒木根ダムの実効性が高かったことを受け、農水省の補助を受けた県の鉱毒対策事業『大多喜地区』で1998年(平成10年)に平沢ダムが竣工しました。
運用開始後は大多喜町が受託管理を行っています。

平沢ダムには通常の灌漑用水容量とは異なり鉱毒希釈用水容量が設定してあり、灌漑期において流域の塩分濃度が上昇した際に希釈用水を放流し灌漑用水の中和を図っています。
農水省の補助を受けた鉱毒対策事業によって建設されたダムとしては千葉県いすみ市の荒木根ダム、宮城県の田ダム、山形県の生居川ダムがあります。
 
平沢ダムには2016年2月21日に初めて訪問し、2021年2月19日に再訪しました。
堤体は犬走りを挟んで2段構成、ダム下に放流設備があります。
(2016年2月21日)
 
余水吐から結構な勢いで越流しています。(2016年2月21日)
 
灌漑期に下流の夷隅川で塩分濃度が上昇すると、ここから希釈用水が放流されます。
 
下流面。
時節柄きれいに刈られています。
 
貯水池は総貯水容量116万立米。
満水です。
 
左岸の余水吐。
 
天端は車両通行可能
奥に管理事務所と斜樋があります。
 
上流面はコンクリートブロックで護岸されていますが、ずいぶん草が生えています。 
 
管理事務所と斜樋、巡視艇。
 
左岸の横越流式余水吐
満水のため薄く越流しています。
 
立派な竣工記念碑。
 
ダムの目的としてはAの灌漑に分類されますが、実際には灌漑用水ではなく鉱毒対策としての希釈用水の供給を目的とする非常に珍しい農業用ダムです。 
 
2976 平沢ダム(0238)
千葉県夷隅郡大多喜町平沢
夷隅川水系平沢川
25.6メートル
159メートル
1160千㎥/1088千㎥
大多喜町
1998年

勝浦ダム

2021-02-22 03:38:51 | 千葉県
2016年1月21日 勝浦ダム
2021年2月19日
 
勝浦ダムは千葉県勝浦市上植野の夷隅川水系古新田川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた県のかんがい排水事業により1975年(昭和50年)に竣工し、完成後は勝浦市土地改良区が管理を受託し勝浦市ほぼ全域の水田に灌漑用水を供給しています。
勝浦ダムは古新田川源流部にあり自己流域だけで湛水が不可能なため、非灌漑期に下流から揚水して貯留を行っています。
 
勝浦ダムには2016年(平成18年)1月に訪問しましたが日没間近で十分な見学ができず、2021年(令和3年)2月19日に再訪しました。
日付の記載がない写真はすべて再訪時のものです。
 
県道178号に勝浦ダムを示す標識があり、標識の先に放流設備があります。
揚水時にはここからポンプアップするようです。
 
標識に従って西に折れると勝浦ダムが姿を現します。
秋にきれいに刈り込まれ、冬枯れの芝が黄金色に輝いています。
 
堤体は犬走りを挟んで3段構成。
 
上流面はロック材で護岸。
 
総貯水容量196万6000立米と関東の農業用ダムとしてはかなり大規模
非灌漑期に揚水するためほぼ満水です。
 
左岸の取水・揚水設備とインクライン
取水・揚水設備を間近で見たかったのですが、立ち入り禁止エリア。
(2016年1月21日撮影)
 
天端から。
 
天端は車両通行可能です
奥は管理事務所。
 
右岸から。(2016年1月21日撮影)
 
右岸の円形越流式洪水吐。(2016年1月21日撮影)
 
洪水吐導流部。(2016年1月21日撮影)
 
非灌漑期に揚水し、灌漑期に放流する非常に珍しいタイプの農業用ダムです。
 
(追記)
勝浦ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました
 
0668 勝浦ダム (0209)
千葉県勝浦市上植野
夷隅川水系古新田川
29メートル
231.2メートル
1966千㎥/1850千㎥
勝浦市土地改良区
1975年
◎治水協定が締結されたダム

豊英ダム

2021-02-21 04:40:49 | 千葉県
2016年1月21日 豊英ダム
2021年2月18日
 
豊英(とよふさ)ダムは千葉県君津市豊英の小糸川水系小糸川上流部にある千葉県企業局が管理する工業用水目的の重力式コンクリートダムです。
戦後の復興を受け千葉県企業庁は東京湾臨海部での埋め立てによる工業用地造成の整備を進め、いわゆる京葉臨海工業地帯が形成されます。
昭和30年代に入ると開発の手は木更津や君津まで伸び、1960年(昭和35年)には八幡製鉄(現日本製鉄)が君津への高炉製鉄所建設を決定しました。
県企業庁は新たに木更津南部地区工業用水道を創設、その主水源として1968年(昭和43年)に二級河川小糸川上流部に建設されたのが豊英ダムです。
小糸川には灌漑目的の三島ダムがあり、受益者である小糸川沿岸土地改良区との水利権交渉が難航しましたが、1966年(昭和41年)に君津製鉄所の拡充が決まったことで用水確保が急務となり、交渉妥結後に工期1年4カ月という驚くべき短期間で豊英ダムは建設されました。
運用開始以降千葉県企業庁が管理運営を行ってきましたが、2015年(平成27年)の組織改編により現在は千葉県企業局が管理を引き継いでいます。
豊英ダムから放流された水は小糸川下流の人見取水堰で取水され、人見浄水場を経て木更津市南部、君津市、富津市臨海部の工業地谷に給水されています。
また三島ダムから豊英ダム周辺は清和県民の森として整備が進められ、キャンプ場やロッジ、ハイキングコースなどを備えた房総有数のレクリエーションエリアとなっています。
 
豊英ダムには2016年(平成28年)1月21日に訪問、2021年(令和3年)2月18日に再訪しました。
掲載写真はすべて再訪時のものです。

ダムの下流は深い渓谷になっており、これが精いっぱい。
洪水吐は自由越流式クレストゲート3門だけ。
 
ダム入り口にある銅製銘板。
 
ダムの概要説明版。
 
ダム入り口から車両通行禁止。
 
機械室。
 
導流部と減勢工
ちょっと見づらいですが導流部の下に排砂ゲートらしき穴があります。
 
豊英湖と命名されたダム湖は総貯水容量482万7000立米。
地質的な要因があるのか房総のダムやため池の水はみな濁っています。
 
下流面。
 
左岸左上に管理事務所があります。
 
上流から。
 
巡視艇昇降用クレーン。
 
0664 豊英ダム(0205)
千葉県君津市豊英
小糸川水系小糸川
38メートル
115メートル
4827千㎥/4200千㎥
千葉県企業局
1968年

佐久間ダム

2021-02-21 03:57:03 | 千葉県
2016年1月21日 佐久間ダム
2016年2月21日 
2017年2月04日 
2021年2月18日
 
佐久間ダムは千葉県安房郡鋸南町上佐久間の佐久間川水系大崩川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1977年(昭和52年)に農林省の補助を受けた県営かんがい排水事業『佐久間地区』が着手され、その灌漑用水源として1986年(昭和61年)に竣工しました。
運用開始後は鋸南町鋸南土地改良区が受託管理を行い、255ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
ダム湖畔は佐久間ダム親水公園として整備され、スイセン、頼朝桜と呼ばれる河津桜、梅、花桃、ソメイヨシノなどが植えられ房総有数の花の名所として知られています。
これまで花の時期に合わせて4回訪問しました。
ダム下のソメイヨシノはまだ冬枯れのままです。
 
4度とも冬場の訪問ということで、下流面はきれいに刈られています。
 
右岸の余水吐導流部。
 
横越流式余水吐。
 
左岸ダム下に放流設備がありますが、立ち入り禁止のためそばで見ることはできません。
 
 
天端は車両通行可能ですが、花のシーズンは時計回り一方通行となります。
 
総貯水容量は127万立米、本州の農業用アースダムとしては大きなほうです。
地質的な問題なのか、房総のダムやため池は総じて濁りがひどくなっています。
 
左岸の斜樋。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
貯水池上流から。
 
ダム湖畔のスイセン。
 
 
こちらは頼朝桜と呼ばれる河津桜
貯水池右岸に植えられています。 
 
 
 
 
こちらは左岸の梅。
 
 
 
 ダムの知名度としては静岡の同姓同名ダムに遠く及びませんが、ダムを訪れる観光客の数ではこちらが圧勝です。 
 
0680 佐久間ダム(0199)
千葉県安房郡鋸南町上佐久間
佐久間川水系大崩川
25.5メートル
186メートル
1270千㎥/1216千㎥
鋸南町鋸南土地改良区
1986年

郡ダム

2021-02-20 04:42:34 | 千葉県
2016年2月21日 郡ダム
2021年2月18日
 
郡ダムは千葉県君津市郡の小糸川水系郡川にある千葉県企業局が管理する工業用水目的のアースフィルダムです。
戦後の復興を受け千葉県企業庁は東京湾臨海部での工業用地開発を進め、いわゆる京葉臨海工業地帯が形成されます。昭和30年代に入ると開発の手は千葉市以南まで広がり、開発に合わせて工業用水道の整備も進められ工水専用ダムとして1964年(昭和39年)に山倉ダムが、1969年(昭和44年)に豊英ダムが建設されました。
郡ダムは木更津南部から君津、富津地域に工業用水を供給する木更津南部工業用水道事業の調整池として1972年(昭和47年)に竣工しました。
同水道事業は小糸川上流の豊英ダムを水源としいますが、渇水期には十分な用水需要を賄えない懸念がありました。そこで富津市の湊川取水場で取水した水を流域変更して郡ダムで貯留し、渇水期に小糸川に放流することで用水供給の安定化を図っています。
郡ダムは郡川での集水はほとんどなく、いわゆる河道外貯留ダムとなります。
運用開始以降長らく千葉県の外庁である千葉県企業庁が管理運用を行ってきましたが、2015年(平成27年)の組織変更により千葉県企業局が管理を引き継いでいます。
 
郡ダムには2016年(平成28年)2月21日に初めて訪問し、2021年(令和3年)2月18日に再訪しました。 
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載してあります。

君津市郡で国道127号線から県道298号に入ると正面に郡ダムが見えてきます。
こちらは初回訪問時の写真。
朝霧がかかり幻想的な眺めとなっていました。
さすが、県管理のダムということで堤体やダム下はきれいに刈りこまれています。
外見からはわかりませんがダムの遮水は傾斜コア方式が採用されています。
(2016年2月21日)
 
左岸の余水吐導流部。(2016年2月21日) 
 
こちらが余水吐。(2021年2月18日)
 
ダムサイトの駐車場わきのダムの説明版。(2021年2月18日)
 
千葉県企業局のダム管理事務所。(2021年2月18日)
 
上流面インクラインの巡視艇。(2021年2月18日)
 
この下に取水設備があるようです。(2021年2月18日)
 
天端から下流面
ダム湖を周回する遊歩道が整備され、2車線幅の天端もその一端となっています。
(2021年2月18日)
 
ダム下の様子(2021年2月18日)
 
右岸から下流面
堤体は地山を挟んだ先まで続き、堤頂長は720.5メートルにも及びます。
(2016年2月21日)
 
ダム湖は総貯水容量400万4000立米。
関東の大学から氷上スキ―競技会場に使わせてほしいという申し出があるようですが、現在のところ、釣りやボートなど湖面利用は一切認められていません。
(2021年2月18日)
 
上流面の護岸にははスラグ(鉱滓)が使われています。
千葉には硬岩がなく、コンクリート骨材などは茨城から搬入していました。
郡ダムのリップラップ材は大きさと重さが求められ施工量も多いため茨城からの搬入はコストがかかります。
そこで、新日本製鉄(現日本製鉄)から産業廃棄物として埋め立て処理されていた高炉スラグの移譲を受けリップラップ材として活用しました。
(2021年2月18日)
 
0666 郡ダム(0231)
千葉県君津市郡
小糸川水系郡川
 I
38.2メートル
720.5メートル
4004千㎥/3880千㎥
千葉県企業局
1972年

山居堰(山谷堰)

2017-02-08 13:20:08 | 千葉県
2017年2月4日 山居堰(山谷堰)
 
山居堰(さんきょせき)は千葉県鴨川市天面にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には西山耕地整理組合の事業で1939年(昭和14年)に竣工とあり、受益農家の持ち出しで建設されたと推察されます。
ため池データベースでは現在も管理・所有は西山耕地整理組合になっています。
また山谷堰の名で呼ばれることもあるようです。
池には最寄りの車道から徒歩で10分ほどで着きますが、一部やぶっぽいところがあるうえに民家の犬がやたら吠えるので注意したいところです。
 
天端の右岸側は竹藪化しており突入は自重。
 
天端にある塩ビパイプ
たぶんこれが取水管。
 
左岸の小さな洪水吐
水がちょろちょろあふれています。
 
洪水吐の少し上流にある池栓。
すでに機能していないようです。
 
さらに上流の斜樋
こちらも壊れています。
 
貯水池のサイズは1万4000立米
房総らしく水は濁っています。
 
堤体の下に下りると2本の導水路が合流しています。
手前は上の写真の洪水吐からの導水路、左手はわかりません。
 
斜樋も池栓も壊れており、塩ビパイプで取水を行っているようです。
帰りも犬に吠えられながら車まで戻りました。
 
3607 山居堰(山谷堰)(0833)
ため池データベース 122230030
千葉県鴨川市天面
房川水系房川
15.4メートル
40メートル
14千㎥/14千㎥
西山耕地組合
1939年

保台ダム

2017-02-08 12:00:00 | 千葉県
2016年1月21日 保台ダム
2017年2月04日
 
保台(ぼだい)ダムは千葉県鴨川市和泉の待崎川水系待崎川上流部にあるに灌漑及び上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
1985年(昭和60年)に農水省の補助を受けた千葉県のかんがい排水事業が着手されますが、これに上水道水源を求めていた鴨川市が水道事業者として参加し、1998年(平成10年)に保台ダムが竣工しました。
保台ダムは東条土地改良区への灌漑用水の供給、鴨川市水道課への上水道用水の供給を目的としており、ダムの管理は鴨川市水道課が受託しています。
 
県道191号に保台ダムへの標識があり、これに従って北に進むと鴨川カントリークラブとの分岐にかわいい保台ダムのモニュメントがあります。
(2017年2月4日)
 
左岸ダムサイトに駐車場があります。
ここは元清澄山への登山コースの起点になっており、冬場の休日は登山者でにぎわうようです。
天端は歩行者のみ通行可能。
(2017年2月4日)
 
左岸の管理事務所と艇庫。
なかなか立派な建物です。(2017年2月4日)
 
ダム湖は総貯水容量274万立米
房総らしく常緑広葉樹の原生林に囲まれています。(2017年2月4日)
 
天端路面には石張風の化粧型枠が施され、取水設備建屋も西洋の城郭風。
(2017年2月4日)
 
天端から
利水放流設備から河川維持放流が行われています。
左岸高台に保台浄水場があり奥の建屋は浄水場への揚水機場です。(2017年2月4日)
 
洪水吐は自由越流式クレストゲート3門のみ。(2017年2月4日)
 
上流面(2017年2月4日)。
 
左岸展望台から俯瞰。(2017年2月4日)
 
隣接する保台浄水場と配水場
配水タンクは房総の海をイメージした青と白の塗装。(2017年2月4日)
 
バブル期に設計、着工されたダムということもあり各種建屋や天端の装飾など非常に贅沢で凝った作りとなっています。
 
(追記)
保台ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0688 保台ダム(0207)
千葉県鴨川市和泉
待崎川水系待崎川
AW
41メートル
198メートル
2740千㎥/2540千㎥
鴨川市水道課
1998年
◎治水協定が締結されたダム

第1袋倉ダム

2017-02-08 11:09:28 | 千葉県
2017年2月4日 第1袋倉ダム
 
第1袋倉ダムは千葉県鴨川市東町の二タ間川水系袋倉川にある灌漑・上水目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には鴨川市と東条土地改良区の事業で1923年(大正12年)に竣工と記され、土地改良区の前身であった耕地整理組合と鴨川市の共同事業で建設されたと思われます。
1971年(昭和46年)に当ダムの上流約1キロ地点に上水目的の第2袋倉ダムが建設され能力が増強されました。
現在も第1袋倉ダムは灌漑用水は東条土地改良区へ、上水道用水は第2袋倉ダムと合わせて鴨川市東町浄水場へと送水されます。
 
国道128号天津バイパスの東町交差点から袋倉川沿いを約3キロ北上すると舗装が終わり、車両通行禁止のチェーンが現れます。
ここから徒歩で600メートルほどで第1袋倉ダムに到着します。
右手の袋倉川に洪水吐減勢工が見えます。
 
下流面
きれいに刈り払われています。
 
天端。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
右岸の取水設備。
 
溜池新設記念碑。
 
ダム湖
総貯水容量15万7000立米
この上流に第2袋倉ダムがあります。
 
左岸の洪水吐。
 
ダムの半分が日影になり明暗差が大きく見づらい写真ばかりになっていましました。
形状は溜池ですがため池データベースへの記載はなく利水多目的ダムという扱いのようです。
上記のように当ダム上流には上水目的の第2袋倉ダムがありますが、度重なる災害でダム手前の通路が崩壊しており第2袋倉ダムへの到達は非常に困難な状況です。
 
3608 第1袋倉ダム(0832)
千葉県鴨川市東町
二タ間川水系袋倉川
AW
22メートル
60メートル
157千㎥/150千㎥
鴨川市・東条土地改良区
1923年

松部ダム

2017-02-07 17:57:20 | 千葉県
2017年2月4日 松部ダム
 
松部ダムは千葉県勝浦市松部の夷隅川水系夷隅川左支流にある上水目的のアースフィルダムです。
勝浦市水道事業の第3次拡張事業により1976年(昭和51年)に竣工しました。
しかし当ダムから送水していた松部浄水場は施設の老朽化と南房総広域水道企業団からの受水開始に伴い現在休止となっています。
2025年(令和7年)には 夷隅地域2市2町の水道事業統合が予定されており、松部浄水場及び松部ダムはこのまま運用停止となる公算が大きくなっています。

松部ダムは勝浦市中心部から北西に約4キロ地点、勝浦東急ゴルフコース北側にあります。
ダム北側から遠望
堤高21.2メートル、堤頂長85メートルのアース堤体。 
温暖な房総らしくダム周辺はスダジイなどの常緑広葉樹林に囲まれています。
 
ダムの下流面
右岸(向かって左手)に洪水吐があります。
 
上水道水源のため規制が厳しく堤体への道はゲートが設置され立ち入りできません。
 
2990 松部ダム(0831)
千葉県勝浦市松部
夷隅川水系夷隅川
21.2メートル
85メートル
175千㎥/112千㎥
勝浦市水道課
1976年

御宿ダム

2017-02-07 17:31:50 | 千葉県
2017年2月4日 御宿ダム
 
御宿ダムは千葉県夷隅郡御宿町実谷の夷隅川水系上落合川にある上水目的のアースフィルダムです。
御宿町水道事業の第1次拡張事業により1977年(昭和52年)に竣工しました。
ここで取水した水は御宿町浄水場を経由して町内に送水されます。
英水道道用水も悔い敵のにあるアースダムで、町営水道の水源として1977年(昭和52年)に御宿町によって建設されました。
ここで貯水された水は導水管で下流の御宿浄水場に送られます。
2025年(令和7年)4月に 夷隅地域2市2町の水道事業統合が予定されており、当ダムや浄水場の運営は新たに設立される水道企業団が引き継ぐ予定です。
 
県道273号線から町道を西に進むと御宿ダムに到着しますが、ダムの手前にゲートがあり立入できません。
 
ゲート越しに下流面を遠望。
堤高23.5メートル、堤頂長151メートル
総貯水容量61万立米で御宿町水道事業の中核を担う重要な貯水池です。
 
洪水吐からの導水路に架かる橋。
 
0675 御宿ダム
千葉県夷隅郡御宿町実谷
夷隅川水系上落合川
23.5メートル
151メートル
610千㎥/579千㎥
御宿町
1977年

名熊ダム

2017-02-07 17:00:00 | 千葉県
2017年2月4日 名熊ダム
 
名熊ダムは千葉県いすみ市下布施の夷隅川水系名熊川にあるに灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1979年(昭和54年)に千葉県の事業で竣工と記されており管理はいすみ市布施土地改良区が受託しています。
ダム便覧の堤高18.8メートルに対し、ため池データベースでは堤高13メートルとなっており、これを採ればダムの要件未達となります。

ダムの入り口には厳重なゲートがあり関係者以外立入禁止となっており、詳細は不明です。
 
機会があれば管理する土地改良区に見学許可を要請したいと思います。

0673 名熊ダム
ため池コード 122380152
千葉県いすみ市下布施
夷隅川水系名熊川
18.5メートル(ため池データベース13メートル
119メートル(ため池データベース125メートル)
245千㎥(ため池データベース201千㎥)/201千㎥
いすみ市布施土地改良区
1979年

荒木根ダム

2017-02-07 14:35:00 | 千葉県
2016年2月21日 荒木根ダム
2017年2月 4日 
 
荒木根ダムは左岸が千葉県夷隅郡大多喜町石神、右岸がいすみ市大野の夷隅川水系大野川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
夷隅川は千葉県最大の流域面積を持つ二級河川で、古くから流域の貴重な灌漑用水源となってきましたが、夷隅川流域では地表近くに水溶性天然ガス層があり渇水期に河床や水田からガス成分や塩分を多量に含んだ『かん水』が湧出し、農業に多大な悪影響を与えていました。
そこで千葉県は1970年(昭和45年)に農林省(現農水省)の補助を受けた鉱毒対策事業『夷隅地区』に着手、その中核施設として1978年(昭和53年)に竣工したのが荒木根ダムです。
運用開始後は夷隅町が管理を受託、その後の合併で現在はいすみ市が管理業務を引き継いでいます。
荒木根ダムには通常の灌漑用水容量とは異なり鉱毒希釈用水容量が配分され、灌漑期に流域のガス成分や塩分濃度が上昇した際に希釈用水を放流し灌漑用水の中和を図っています。
農水省の補助を受けた鉱毒対策事業によって建設されたダムとしては千葉県の平沢ダム、宮城県の田ダム、山形県の生居川ダムがあります。
 
荒木根ダムには2016年(平成28年)2月に初訪、2017年(平成29年)2月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。

荒木根ダムには県道82号を南下すると荒木根ダムの標識があり、これに従って右折すると荒木根ダムが見えてきます。
堤高33.5メートル、堤頂長302メートルとアースフィルとしてはかなり大きな堤体です。
(2016年2月21日)
 
ダム下流から。
景観的に一本杉がなかなかいいアクセントになっています。(2017年2月4日)
 
天端は車両通行可。(2017年2月4日)
 
上流面はコンクリートで護岸。
(2016年2月21日)
 
右岸に管理事務所と取水設備があります。
(2016年2月21日)
 
総貯水容量205万2000立米と農業用アースフィルダムとしてはかなり大きな貯水池。
(2016年2月21日)
 
ダム周辺は房総らしい凝灰岩の特異な地形。
(2016年2月21日)
 
ダム下には防風目的の杉が並びます。
(2017年2月4日)
 
下流面。
(2017年2月4日)
 
左岸の横越流式洪水吐。
(2016年2月21日)
 
(2017年2月4日)
 
荒木根ダムはあくまでもかん水対策の農業用ダムですが、下流の大野川は旧夷隅町の上水道水源となっており、当ダムの運用開始により同水道事業も水質改善および取水の安定化という恩恵を受けています。
 
(追記)
荒木根ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。 
 
0671 荒木根ダム(0239)
左岸 千葉県夷隅郡大多喜町石神
右岸    いすみ市大野
夷隅川水系大野川
33.5メートル
302メートル
2052千㎥/1947千㎥
いすみ市
1978年
◎治水協定が締結されたダム

雨竜湖

2017-02-07 13:06:42 | 千葉県
2017年2月4日 雨竜湖
 
雨竜湖は千葉県長生郡一宮町東浪見(とらみ)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1951年(昭和26年)に一宮町東部土地改良期の事業により竣工と記されており、前身となる耕地整理組合の事業で建設されたと推察されます。
九十九里浜最南端に位置する一宮町は海岸沿いに平坦地が広がりますがもとは砂丘で透水性が高いうえに水利に乏しく、営農は貧弱な畑作にとどまっていました。
昭和に入り西側山間部に多数の溜池を築造し砂丘地帯の農地開発がすすめられますが、雨竜湖もこうした溜池の一つと考えられます。
管理は周辺の溜池ともども一宮町東部土地改良区がを行っています。
 
雨竜湖は県道274号線に隣接しており堤体右岸下に駐車スペースがあります。
県道が下流面を横切り、右岸に天端に登る階段があります。
 
県道沿いにある機械室。
 
ダムの下流の眺め
県道はヘアピンを描いて下って行き国道128号線にぶつかります。
 
右岸洪水吐と斜樋。
 
洪水吐
溢れた水は奥のトンネル式導流路を流下します。
 
斜樋。
 
ダム湖と上流面
てっきり奥の建物が管理事務所と思い玄関まで行くと普通の民家でした。
 
天端からは海が見えます。
 
天端
刈り払いされていません。
軍茶利ダムもそうですが、一宮町東部土地改良区は冬場の草刈はしないようです。
 
0657 雨竜湖
ため池コード 124210013
千葉県長生郡一宮町東浪見
河川名不明
15メートル
110メートル
264千㎥/204千㎥
長生郡一宮町東部土地改良区
1951年

軍茶利大堰(軍荼利ダム)

2017-02-07 11:48:02 | 千葉県
2017年2月4日 軍茶利大堰(軍荼利ダム)
 
軍荼利大堰は千葉県長生郡一宮町東浪見(とらみ)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には2006年(平成18年)に一宮町東部土地改良期の事業により竣工と記されていますが、これは改修事業の竣工年度で池の竣工は1935年(昭和10年)まで遡ります。
九十九里浜最南端に位置する一宮町は海岸沿いに平坦地が広がりますがもとは砂丘で透水性が高いうえに水利に乏しく、営農は貧弱な畑作にとどまっていました。
昭和に入り西側山間部に多数の溜池を築造し砂丘地帯の農地開発がすすめられますが、軍荼利大堰もこうした溜池の一つです。
大堰の管理は周辺の溜池ともども長生郡一宮町東部土地改良区がを行っています。
なおダム便覧では軍茶利ダムとなっていますが、ため池データベースや一宮町のため池ハザードマップでは軍荼利大堰となっているため、当ブログでも大堰と記します。
 
国道128号線を北上し東波見駅の先の関東ふれあいの道の小さな標識のある狭い道を左折、線路を渡り東波見寺の参道を分けて杉林を進むと左手に軍茶利大堰が現れます。
 
天端
轍の痕跡があります。
 
ダム湖
貯水容量は30万6000立米。
ダム湖はゴルフ場に隣接していますが、杉林に囲まれているのでそんな気配はなくひっそりとした雰囲気です。
 
右岸洪水吐
洪水吐のコンクリートは白く、最近改修されたようです。
 
 
洪水吐導流部。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
左岸は軍茶利山でスダジイを中心にした常緑広葉樹の原生林が広がり千葉県の天然記念物に指定されています。
 
洪水吐の奥の斜樋。
 
0651 軍茶利大堰(軍荼利ダム)(0826)
ため池コード 124210009
千葉県長生郡一宮町東波見
一宮川水系北川尻川
15.1メートル
106.2メートル
306千㎥/275千㎥
長生郡一宮町東部土地改良区
竣工1935年
改修2006年