ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

花の山池

2022-04-10 13:00:00 | 香川県
2017年12月22日 花の山池
2022年 3月29日
 
花の山池は香川県さぬき市寒川町石田西の鴨部川水系地蔵川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
旧寒川町の地蔵川流域は丘陵地帯のため畑作が中心でしたが、稲作農家に比べて収入が乏しく水田への転換が悲願となっていました。
そこで流域農家は溜池築造のために石田西耕地整理組合を結成し、1915年(大正4年)に地蔵川右支流を締め切り花の山池が完成しました。
しかしこの支流だけでは十分な集水ができないため、池築造に合わせて地蔵川からの水路トンネルも建設し地蔵川からから集水を行っています。
ダム便覧の竣工年度は1979年(昭和54年)になっていますが、これは県の事業による大規模改修の竣工年度かと思われます。
現在は花の山池水利組合が管理を行い、約26ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
2017年(平成29年)12月訪問時は県営の耐震補強工事が行われていたため満足な見学ができず、2022年(令和4年)3月に再訪しました。
日時の記載のない写真はすべて再訪時のものです。

堤体を道路が斜行して登ります。


右岸の石碑
摩耗が激しく判読不能。


耐震補強工事で刷新された斜樋。


天端から
底樋管の先に分水ゲートがあります。


底樋管。(2017年12月22日)
 
底樋管の先の分水ゲート
灌漑期のみゲートを下ろし、左手の用水路に水を送ります。
(2017年12月22日)
 
総貯水容量20万立米の貯水池
水の大半は地蔵川からの導水に依ります。


上流面はコンクリートで護岸。


下流面。


左岸の横越流式洪水吐。


逆アングルから。


こちらは改修工事中の写真
堤体には手を着けず、池底の強化や取水設備、底樋の改修が行われています。
(2017年12月22日)
 
手前が従来の斜樋。奥に新しい斜樋が設置されています。
(2017年12月22日)
 
2152 花の山池(1216)
ため池コード372060090 
香川県さぬき市寒川町石田西
鴨部川水系地蔵川右支流
21.5メートル(ため池データベース 19.2メートル)
75メートル
200千㎥/200千㎥
花の山池水利組合
1915年築造
1979年(ダム便覧)

椛川ダム

2022-04-10 00:00:00 | 香川県
2017年12月21日 椛川ダム
2022年 3月29日

椛川(かばかわ)ダムは香川県高松市塩江町安原上東の香東川水系椛川上流部にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
香東川水系では1952年(昭和27年)に内場ダムが建設されますが、その後も台風による二度の洪水が発生、一方香川用水の補給開始後も1994年(平成6年)の平成大渇水の際には高松市で一ヶ月にわたる給水制限が行われるなどさらなる治水・利水対策が迫られました。
1994年の渇水を受け香川県は内場ダム東方約3キロの香東川左支流糀川への多目的ダム建設事業を採択しますがバブル崩壊以降の経済・社会情勢も変化もあり国交省による検討対象ダムとなります。
その後県による全体計画変更が行われ2012年(平成24年)に事業継続が決定、2014年(平成26年)に本体工事が着手され2021年(令和3年)に椛川ダムは竣工しました。
少雨地帯のため試験湛水に時間を要し運用開始は2023年(令和5年)頃の予定ですが、運用開始のあかつきには内場ダムと連携した香東川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、渇水時の緊急補給、高松市への上水道用水の供給を目的とする予定です。
注目すべきは全国でも3例目となる渇水対策容量が確保された点でしょう。

椛川ダムには2017年(平成29年)のダム建設中に訪問、試験湛水中の2022年(令和4年)3月に再訪しました。
ダム下から
堤高88.5メートルは香川県のダム最高。
クレスト自由越流頂4門、自然調節式オリフィス1門のほか利水放流設備を備えています。
減勢工にはエンドシルが2基あり1基目の下流面はカスケードになっています。
最終的にはダム下に園地が整備される予定ですが今はまだ立入禁止。


右岸から俯瞰
天端道路は開放されています。

上流面
洪水吐は堤体の左岸に偏っています。


取水設備は直線多段式ゲートを採用
通常時と異常渇水時では取水量が異なるため上下で幅が異なる2列のゲート配置
また試験湛水中のためオリフィスには止水ゲートが嵌め込まれています。




右岸から下流面
右岸フーチング階段は運用開始後に遊歩道として開放される予定。


天端から見下ろす減勢工
1枚目の写真は写真上部の橋から撮ったものです。
堤体導流壁が細い。


オリフィスに嵌め込まれた止水ゲート
試験湛水中のみ見られる眺め。

左岸から減勢工。


左岸から下流面
左岸側で堤体がわずかに屈曲しています。


左岸の山留にはずいぶん苦労したようで、アンカーがブロッコリー畑のように並んでいます。
対岸高台に管理事務所があります。


上流から
ここから見ても右岸側の山留の苦労のほどが推察できます。
総貯水容量1056万立米も香川県土木部所管ダムとしては最大。


ここから先は2017年訪問時のものです。
堤体のコンクリート打設3か月目。
 
堤体上流にあるコンクリート製造装置及び骨材貯蔵設備。

3238 椛川ダム(1204)
香川県高松市塩江町安原上東
香東川水系椛川
FNW
88.5メートル
265.5メートル
10560千㎥/10290千㎥
香川県土木部
2021年

御殿ダム(御殿貯水池)

2022-04-09 08:00:00 | 香川県
2022年3月29日 御殿ダム(御殿貯水池)
 
御殿ダム(御殿貯水池)は香川県高松市鶴市町にある香川県広域水道企業団が管理する上水道用水目的のアースフィルダムです。
高松市では1921年(大正10年)に全国で40番目の近代水道が創設され、その際浄水場として建設されたのが御殿浄水場で、当初は香東川および本津川から取水が行われていました。
戦後の水道需要拡大に対処し1954年(昭和29年)に上水用調整池として建設されたのが御殿池で、需給ギャップのバッファとして香東川および元津川で取水された水がここに貯留されます。
2017年(平成29年)に高松市の水道事業は新たに設立された一部事務組合である香川県広域水道企業団に移管され、御殿池の管理も同企業団に移っています。
御殿浄水場のうち、大正時代に建設された旧浄水場は旧御殿水源地(高松市水道資料館)として整備され、施設の多くが登録有形文化財に指定されるとともに近代水道百選に選ばれています。
 
御殿池は高松市鶴市町の石清尾山西山麓にあります。
堤高17メートル堤頂長497メートルの規模ですが、池の周囲は宅地化が進み堤体を一望できる場所はありません。

総貯水容量は52万4000立米
香東川と本津川から取水された水がいったんここに貯留されます。
貯水池一帯は開放され周辺住民の散策コースになっています。


直下の御殿浄水場。


堤体中央の階段
完成当時は浄水場と直結していました。


右岸の横越流式洪水吐。
堤体中央に切欠があります。

洪水吐導水路
市街地を抜け香東川に流下します。


桜越しに
ちょっと桜は早かった。


左岸の流れ込み口
貯留の大半は香東川および本津川からの揚水ですが、周辺の小河川の水も取り込んでいます。

 
上流から
対岸に斜樋と揚水設備が並びます。
湖面にあるのは水質改善装置。


残念ながら旧御殿水源地(高松市水道資料館)は改修工事のため見学中断中。
写真の喞筒場(そくとうじょう)は1986年(昭和61年)までポンプ場として使われていた建屋で、他の施設ともども登録有形文化財に指定されています。

2067 御殿ダム(御殿貯水池)(1788)
香川県高松市鶴市町
香東川水系香東川
17メートル
497メートル
524千㎥/524千㎥
香川県広域水道企業団
1954年

蛙子池

2022-04-03 08:00:00 | 香川県
2022年3月27日 蛙子池
 
蛙子池は香川県小豆郡土庄町肥土山の二級河川伝法川源流部にある農地防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
起源は江戸初期の1636年(貞享3年)まで遡り、その後幾多の改修が行われましたが1960年(昭和35年)の県営防災ダム事業で農地防災容量が配分され、ダム便覧はこれを竣工年度としています。
管理は蛙子池土地改良区が行い約120ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するとともに洪水期には洪水調節により伝法川流域の農地防災を行います。
溜池築造に至る苦難は『肥土山農村歌舞伎』として今に伝えられており、2010年(平成22年)には農水省により『ため池百選』に選ばれています。

寒霞渓スカイライン銚子渓駐車場から蛙子池の標識に従い東進すると池に到着します。
下流面は草刈りのあと野焼きが行われ縞模様に。
実は堤頂長は420メートルに及び、これはその一端にすぎません。


基部は石積みで、現在はコンクリートの擁壁で守られています。


底樋管は木板で仕切られ2方向に分水されます。


天端に建つため池百選の案内板。


歴史の古い溜池らしく記念碑も3基並びます。


総貯水容量63万4000立米は小豆島の溜池最大。
ここから見れば堤頂長420メートルが実感できるでしょう。


斜樋。


上流面は花崗岩の谷積みで護岸。


通常溜池は川を塞き止めて築造されますが、蛙子池は池の右岸側を伝法川がかすめます。
そこで池の右岸前方に水路のように池を延ばしここから集水を行っています。
つまり蛙子池は池の下流方向から集水するという珍しい構造となっています。

最奥が伝法川からの取水ゲート
目の前の水路も実は貯水池の一部です。


水路途中に洪水吐があります。
自由越流頂のほかに鋼製起伏ゲートを備えており、このゲートの開閉で農地防災目的の洪水調節を行います。


同じ洪水吐を下流側から。


伝法川上流から見た取水ゲート
左手が蛙子池の取水ゲートで右手の鋼製起伏ゲートが伝法川の締め切りゲート。
取水ゲートが閉じられるのは改修や水抜き、豪雨の際など非常時のみです。


江戸初期に遡る由緒ある溜池というだけではなく、その集水システムの珍しさからもダム愛好家なら一度は目にしておきたいため池だと思います。

2172 蛙子池(1782) 
ため池コード 373220001 
香川県小豆郡土庄町肥土山 
伝法川水系伝法川
FA
15.3メートル
420メートル
634千㎥/634千㎥ 
蛙子池土地改良区
1960年

新中山池

2022-04-02 20:00:00 | 香川県
2022年3月27日 新中山池
 
中山池は左岸が香川県小豆郡小豆島町池田、右岸が同町中山の伝法川水系殿川源流部にある農地防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
香川県のホームページによれば農林省(現農水省)の補助を受けた香川県営防災ダム事業により1959年(昭和34年)に既存の中山池直下に建設されました。
中山池ともども蛙子池土地改良区が管理を行い、300ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するとともに洪水期には農地防災を行いを行います。
なおダム便覧ではダムの目的はAとなっていますが、農地防災容量の配分があるので正しくはFAとなります。

殿川ダムから川沿いを東に遡上すると新中山池に到着します。
直上の中山池同様下流面は冬場に草が刈られ、虫除けの野焼きが行われています。


天端からの眺め
受益地は遥か下流の伝法川流域となります。
当池の完成で特産の除虫菊など園芸農業への転向が促進されたとのこと。


左岸の横越流式洪水吐と斜樋。

 
下流面。


総貯水容量60万立米は蛙子池に次ぎ小豆島の溜池2番目の規模。


上流面は花崗岩の谷積みで護岸。


洪水吐導流部。


横越流式洪水吐には鋼製起伏ゲートがついています。
このフラップの高さ分が農地防災容量となります。


洪水吐越しの上流面。


直上、中山池からの眺め。

3368 新中山池 (1781)
ため池コード 373240001
左岸 香川県小豆郡小豆島町池田
右岸         同町中山
伝法川水系殿川
FA
26メートル
182メートル(ため池データベース 181メートル)
600千㎥/591千㎥ 
蛙子池土地改良区
1959年

中山池

2022-04-02 08:00:00 | 香川県
2022年3月27日 中山池
 
中山池は左岸が香川県小豆郡小豆島町池田、右岸が同町中山の伝法川水系殿川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1979年(昭和54年)に土地改良区の事業で竣工と記されています。しかし当然あとから建設されたであろう新中山池の竣工が1959年(昭和34年)ですので、これはあくまでもダム化された年もしくは確認できる最古の改修年度で、中山池の起源はもっと古いはずです。

殿川ダムから川沿いを東に遡上し新中山池をやり過ごすと中山池に到着します。
下流面は冬場に草が刈られ、虫除けの野焼きも行われています。


天端は車両通行可能
奥に林道が続いているので通行する車も多いのでしょう。しっかり固められています。


眼下に新中山池が見えます。


池の直上には護国寺というお寺があります。
真言宗の別格本山でもある由緒正しきお寺ですが、なぜか小豆島八十八箇所霊場に含まれていないため訪れる人は多くないようです。
どうでもいいことですが、宗教は信仰の世界にもあれやこれや大人の事情があるようです。
池の右岸は小豆島らしく火山角礫岩の断崖が続きます。


右岸の斜樋。


上流面はコンクリートで護岸。
堤体は緩やかに弧を描いています。


左岸の越流式洪水吐。薄く越流しています。


洪水吐導流部
越流した水は直下の新中山池に流入します。


下流面
基部は石積み。


斜樋からのパイプ
このパイプは新中山池をバイパスしており、中山池と新中山池の水利権は厳格に区別されているようです。


2170 中山池 (1780)
ため池コード 373240045
左岸 香川県小豆郡小豆島町池田
右岸         同町中山
伝法川水系殿川
17メートル
144メートル
72千㎥/72千㎥ 
蛙子池土地改良区
1979年

殿川ダム

2022-04-01 22:00:00 | 香川県
2022年3月27日 殿川ダム 
 
殿川ダムは香川県小豆郡小豆島町中山の伝法川水系殿川にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
年間降水量1200ミリ弱という少雨に加え大河のない小豆島では慢性的な水不足に悩まされる一方、各河川は急流のため洪水が多く抜本的な利水・治水対策が急がれていました。
小豆島の玄関口で島の経済の中心でもある土庄を貫流する伝法川も例に漏れず、1961年(昭和36年)の水害1967年(昭和42年)の渇水を契機にダム建設が採択され1974年(昭和49年)に竣工したのが殿川ダムです。
殿川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、伝法川の洪水調節と土庄町への上水道用水に供給を目的としています。

殿川ダムは小豆島で唯一ゲートを持つダムで、クレストにローラーゲート1門を備えています。


大きなゲートピアとゲート部分が前面に張り出した形状は同時期に建設された大川ダム前山ダム大内ダムなど香川県営ダムの特徴的デザイン。

フーチングが開放されここから天端に登ります。
堤高は35.6メートルですがこれは基礎地盤からの高さと思われ、実際には25メートルほどしかなさそう。
フーチング中段に監査廊入り口があります。


天端は車両通行可能
香川県営ダムではピアの階段はらせんが多いのですがここはジグザグ。


ダム下は広場に、下流左岸は桜が植えられ小さな公園になっていますが桜はまだ蕾。
放流設備には調圧水槽が併設され、ここから下流約100メートルにある浄水場に直接送水されます。


天端からの眺め
正面には観光名所でもある中山千枚田が広がります。


総貯水容量62万立米のダム湖
奥には安山岩の板状節理で形成された銚子渓谷が遠望できます。


ゲートはローラーゲート1門で、こちらは予備ゲート。


左岸には艇庫とインクラインを併設した管理事務所。


下流面。

上流面
ゲートが2枚で上段が予備ゲート
円形の取水設備がレトロな雰囲気を醸し出しています。


2183 殿川ダム(1779)
香川県小豆郡小豆島町中山 
伝法川水系殿川
FW
35.6メートル
192メートル
620千㎥/620千㎥
香川県土木部
1974年

吉田ダム

2022-04-01 12:00:00 | 香川県
2022年3月27日 吉田ダム 
 
吉田ダムは香川県小豆郡小豆島町吉田の二級河川吉田川にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
年間降水量1200ミリ弱という少雨に加え大河のない小豆島では慢性的な水不足に悩まされる一方、各河川は急流のため洪水が多く抜本的な利水・治水対策が急がれていました。
島北東部の吉田地区を流れる吉田川や福田地区を流れる森庄川も例に漏れず、吉田ダムは吉田川および森庄川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、小豆島全域へ上水道用水の供給を目的として1996年(平成8年)に竣工しました。
吉田ダムの堤高74.5メートルは竣工当時は香川県内最高で、現在も椛川ダムに次いで第2位の高さとなっています。
森庄川については上流部に分水堰を設け、洪水時にはカットした水をトンネル導水路で吉田ダムに送る形で洪水調節を行います。

小豆島町北東部の吉田地区から吉田川沿いを西進すると吉田ダムに到着します。
吉田ダムの売りはダム左岸の花崗岩の大断崖です。
全国で見てもダム至近にこのような花崗岩のトアが林立すところはまずないんじゃないでしょうか?
さしずめ岩の殿堂ダムと言った風。


いったんダム下に戻り、堤高74.6メートルの堤体を直下から見上げます。
クレスト自由越流頂4門、自然調節式オリフィス1門を備えたゲートレス。
このほか利水放流用バルブを2条装備しています。
ゲート左手にエレベーター棟がありますが、香川県でエレベーターを備えたダムは現在吉田ダムのみ。


サルが描かれたユニークな看板。


吉田ダムのフーチング階段は遍路道として開放されています。
今回はここを登って天端にアプローチ。


登ること12~3分で天端左岸に到着。
ここには巨大なモニュメントが建っています。
本体着工が1988年(昭和63年)とバブルの真っ盛り、余計なものを作る資金が潤沢だった時代です。


右岸の艇庫とインクライン。


左岸高台の展望台から
こういうアングルでダムが見れるのはうれしい限り。
ダム湖は総貯水容量236万立米と小豆島最大。
このダムからは島内全域に上水道用水が供給されます。

ダムから海まではわずか1.2キロ
家島諸島右手には遠く六甲の山並みも望めます。


天端から
減勢工左手には放流設備や揚水機場が並びます
右手には「吉田ダム」の植栽。


天端は徒歩のみ開放。


右岸から超広角で
右岸のフーチングも開放されています。


右岸にも『うるおい』と命名されたモニュメント
本来なら1.4トンの石の円球が水圧でクルクル回るはずなんですが残念ながら故障中。


上流面
こちらからも海が見えます。


右岸のフーチングを下ります。
放流バルブが2条、スルースバルブから河川維持放流中。


小豆島一番のお目当てはこの吉田ダムでしたが、お天気にも恵まれ岩と海のサイコーの眺めを堪能することができました。

2955 吉田ダム(1778)
香川県小豆郡小豆島町吉田 
吉田川水系吉田川
FNW
74.5メートル
218メートル
2360千㎥/2100千㎥
香川県土木部
1996年

内海ダム(再)

2022-03-31 22:00:00 | 香川県
2022年3月27日 内海ダム(再) 
 
内海(うちのみ)ダム(再)は香川県小豆郡小豆島町神懸通の二級河川別当川にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
もともと当地には旧内海町営の上水用堰堤がありましたが、1959年(昭和34年)に香川県の事業で嵩上げ再開発され洪水調節機能を持つ内海ダム(元)として生まれ変わりました。
しかし利水需要の増加に加え急流河川である別当川の洪水被害が頻発したことから、1997年(平成9年)に内海ダム再開発事業が着手され2013年(平成25年)に内海ダム(再)が竣工しました。
新ダムは旧ダムを取り込む形で建設され有効貯水容量は7倍超に拡大、旧堤体は新ダムの最低水位以下になるよう切除されダム湖に沈みました。
内海ダム(再)は国交省の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、別当川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、小豆島町への上水道用水の供給を目的としています。
 
小豆島町中心部から寒霞渓へ通じる県道29号を北上し、内海ダムの標識に従って左折すると内海ダム(再)に到着します。
再開発に合わせてダム周辺の環境整備が行われダム下やダム湖周辺各所が公園となっています。
ダム下のほたる広場から
クレスト自由越流頂2門、オリフィス1門のゲートレスダム。


ダム下広場から
実はこれでも堤体の半分程度。


左岸から
堤高43メートルに対し堤頂長は423メートル
再開発に合わせて隣の溜池も取り込んだためこのような横長堤体となりました。


上流面
ダム湖中央に切断した地山が残る珍しい構造。
地山の向こうに内海ダム(元)が、手前側には溜池がありました。


天端から 
海まではわずか2キロ 
ダム下は公園として整備され市民の憩いの場となっています。 


望遠で遠望 
内海湾越しに四国本島の阿讃山脈まで遠望できます。 


寒霞渓湖と名付けられたダム湖は総貯水容量106万立米 
文字通り背後には寒霞渓の断崖が望めます。 
条件が良ければダム湖に沈んだ旧堤体が見えるそうですが、この日は水が濁っており視認できず。 


上流から 
洪水吐が右に寄っているのがわよくわかります。 
旧堤体は地山の右手に沈んでいます。 


取水設備と洪水吐。 


実は内海ダム(再)一番の展望スポットは寒霞渓の第一展望台
ダムはもとより内海湾や四国本島まで一望できます。


内海ダム(再)をズームアップ
地山がダム湖に残る珍しい構造
右手の内海ダム(元)と左手の溜池を取り込んで建設された様がよくわかります。

2171 内海ダム(元) 
香川県小豆郡小豆島町神懸通 
別当川水系別当川 
FW 
GF 
21メートル 
143メートル 
140千㎥/125千㎥ 
1958年 
------------------- 
3289 内海ダム(再)(1777) 
香川県小豆郡小豆島町神懸通 
別当川水系別当川 
FNW 
 
43メートル 
423メートル 
1060千㎥/915千㎥ 
香川県土木部 
2013年 

粟地ダム

2022-03-31 12:00:00 | 香川県
2022年3月27日 粟地ダム 
 
粟地(あわじ)ダムは香川県小豆郡小豆島町安田の二級河川安田大川にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
年間降水量1200ミリ弱の少雨地帯に加え大河のない小豆島では慢性的な水不足に悩まされる一方、各河川は急流のため洪水が多く抜本的な利水・治水対策が急がれていました。
粟地ダムは島内3番目の補助多目的ダムとして1980年(昭和55年)に竣工し、安田大川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、旧内海町向けの上水道用水の供給を目的としています。
 
小豆島町中心部から安田大川沿いを北上するとすぐに粟地ダムに到着します。
クレスト自由越流頂2門、オリフィス1門を備えたゲートレスダムですが、1980年竣工とゲートレスダムとしては初期のダムで、ゲート部分が前面に張り出したデザインは大川ダム前山ダム大内ダムなど香川県営のゲート装備ダム特有の形状を踏襲しています。
またオリフィスゲートが扶壁にあるのもポイントです。


堤高46メートルに対し堤頂長290メートルの横長ダム。


右岸上流側にあるプラントの遺構。

 
天端から 
ダムのすぐ下流に市街が広がり、海まではわずか1.8キロ。 
減勢工の下流は花崗岩の擁壁で守られ、両岸は公園になっています。 
桜の名所なんですがまだつぼみで満開は1週間後とか… 

 
望遠で 
右手は内海湾 
半島越しに四国の阿讃山脈や剣山まで遠望できます。 

 
天端が前面にオフセットされクレスト越流部が上流側にせり出しています。


総貯水容量は78万立米
背後には観光地の寒霞渓が聳えます。

 
天端は車両通行可。 
行楽シーズンの日曜ですがここに来る観光客は皆無 
一方、近隣のシニアが何人かウォーキングをしており住民の憩いの場と言った風情。 

 
上流面
ゲートの右手が取水設備。

 
右岸の管理事務所
艇庫とインクラインが併設されています。

2185 粟地ダム(1776)
香川県小豆郡小豆島町安田
安田大川水系安田大川
FNW
46メートル
290メートル
780千㎥/700千㎥
香川県土木部
1980年

三五郎池

2022-03-30 22:48:21 | 香川県
2022年3月27日 三五郎池
 
三五郎池は香川県小豆郡小豆島町安田の安田大川にある灌漑・上水道用水目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば1924年(大正13年)に受益者で組織された耕地整理組合の事業により建設され、1942年(昭和17年)の嵩上げ工事により灌漑に加え上水容量が付加されました。
管理は内海町三五郎池土地改良区が行い、約12ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するとともに安田地区の上水道水源となっています。
1980年(昭和55年)に池直下に香川県営の粟地ダムが完成し、周辺の環境整備が行われました。

粟地ダム天端より
三五郎池堤頂部が見えます。


基部は石積みの擁壁で堤体は緩やかに畝っています。
きれいに草が刈られ、今も貴重な水源であることが伺えます。


道路下の底樋管。


右岸の越流式洪水吐。


右岸に建つ立派な記念碑。


改修によって撤去された古い石樋が残されています。


上流面には取水設備が三基あります。
右岸にあるのは山向こうの本庄地区向けの灌漑用水取水設備。


これがメインの安田縄手地区向け灌漑用水取水設備
訪問直前の工事で新しい斜樋に置き換えられました。
手前の階段は古い斜樋の遺構。


こちらは上水用取水設備。


堤頂長150メートル
上流面は花崗岩で護岸されています。


天端からの眺め
粟地ダム越しに瀬戸内海、さらには四国の阿讃山脈まで遠望できます。


総貯水容量は8万5000立米
池の背後には景勝地の寒霞渓が聳えます。


年間降水量わずか1200ミリの瀬戸内海の離島、きれいに整備された堤体から現在も貴重な水源として重用されているのがわかります。
 
3581 三五郎池 (1775)
ため池コード 373240038
香川県小豆郡小豆島町安田
安田大川水系安田大川
AW
18メートル
150メートル
85千㎥(ため池データベース93千㎥)/85千㎥ 
内海町安田三五郎池土地改良区
1924年

逆瀬池

2018-04-02 00:41:24 | 香川県
2018年3月21日 逆瀬池
 
逆瀬池は香川県三豊市山本町河内の財田川水系河内川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
三豊平野の旧辻村(現在の三豊市山本町辻地区)は古来より水利に乏しく中小の溜池が多数つくられたものの集水能力が低く、『田回り畑回り』と稲作と畑作を一年おきに繰り返すありさまでした。
この窮状を打開すべく1942年(昭和17年)に県営事業として河内川上流部で逆瀬池建設事業が着手されましたが戦争で中断、事業開始から14年目の1955年(昭和30年)にようやく竣工しました。
池の管理は三豊郡中部用水土地改良区連合が行い、360ヘクタールの農地に灌漑用水の供給を行っています。
逆瀬池湖畔は『四国の道』に指定されており、春秋には多くのハイカーが訪れるほか、桜の名所としても知られています。
また逆瀬池の洪水吐は全国でも珍しいシャフト式(竪穴落下式)となっており、いわゆる『ダム穴』式洪水吐となっています。
 
池は県道6号ぞいにあります。
下流面は犬走りを挟んで2段構成、基部は谷積石の擁壁。
 
堤体の右岸側(向かって左側)に隧道吐口があります。
これは底樋?それとも洪水吐?
斜樋は左岸から右岸に移築されたので、底樋ならもっと新しいはず。
たぶん、既存の洪水吐導流トンネルに斜樋からの水路も合体させたのでは?と想像。
 
堤体下からの『四国の道』のハイキングコースを歩いて登ると天端左岸に到着します。
 
直近の改修で新設された斜樋。
 
天端は道路が通り車両も通行できます。
 
総貯水容量は53万6000立米。
 
もともと左岸に取水設備がありましたが、湖畔の土砂崩れにより使用不可となり4枚目の写真の斜樋が新設されました。
 
土砂崩れに伴う取水設備刷新工事の竣工記念碑。
 
右岸の横越流式洪水吐
手前の穴がシャフトでいわゆるダム穴式です。
 
アングルを変えて。

2168 逆瀬池(1263)
ため池コード
香川県三豊市山本町河内
財田川水系河内川左支流
22.2メートル
78メートル
536千㎥/536千㎥
三豊郡中部用水土地改良区連合
1955年

岩瀬池

2018-04-01 17:28:43 | 香川県
2018年3月21日 岩瀬池
 
岩瀬池は香川県三豊市高瀬町上麻の高瀬川水系左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
岩瀬池の起源は安土桃山時代まで遡り1592年(文禄元年)に地元の郷士武田五兵衛の尽力により築造されました。1630年(寛永7年)には嵩上げと高瀬川本流の導水によりほぼ現在の岩瀬池の規模となりました。
昭和以降では1933年(昭和8年)に樋管工事、1942年(昭和17年)に1メートルの嵩上げ工事、さらに戦後に入り1981年(昭和56年)に香川用水の補給が開始され、2005年(平成17年)には国営農地防災事業により老朽化した堤体の改修が行われました。
ダム便覧では1942年の嵩上げ工事を竣工年度としています。
三豊市岩瀬池土地改良区が行い、249ヘクタールの農地に灌漑用水の供給を行っています。
 
堤体を斜行して管理道路が天端へ続いていますが、入口にチェーンがあり車はここまで。
 
下流面は草が刈られすっきり。
 
天端
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
天端に建つ2基の石碑。
 
斜樋の隣にはボートが・・・。
 
斜樋。
 
洪水吐はラビリンス。
 
総貯水容量100万立米を超える大規模な溜池
でも香川ではこのクラスはゴロゴロ。
 
洪水吐導流部はほぼ垂直に落ちます。
 
底樋は確認できませんでした。
 
2141 岩瀬池(1261)
ため池コード
香川県三豊市高瀬町上麻
DamMaps
高瀬川水系高瀬川左支流
17.6メートル
152メートル
1016千㎥/1016千㎥
三豊市岩瀬池土地改良区
1592年築造
1942年嵩上げ工事竣工

香川用水調整池(宝山湖)

2018-04-01 15:36:15 | 香川県
2018年3月21日 香川用水調整池(宝山湖)
 
香川用水調整池は香川県三豊市山本町神田にある水資源機構が管理する灌漑および上水道目的のアースフィルダムです。
讃岐平野に吉野川から流域変更による導水を行う『香川用水事業』の一環として2008年(平成20年)に建設された上水用調整池です。
水資源機構が管理し、吉野川から導水する香川用水の補給を受け、吉野川の急激な水量低下や施設の点検、災害等により通水できない場合などに備えた予備水源となっています。
香川調整池建設以前、当地には神田大池とという灌漑用溜池があり神田大池を取り込む形で香川用水調整池は建設されました。
そのため香川用水調整池は上水道用水供給に加えて、かつて神田大池が有していた調整池下流域への灌漑用水の供給も目的としています。
 
香川用水概要図(水資源機構香川用水管理所HPより)
 
 
 
調整池周辺は公園として整備され、ダム湖である『宝山湖』を周回する遊歩道が整備され周辺住民の憩いの場となっています。
国道377号線や県道218号線に『宝山湖』を示す案内板があり、これに従えば香川用水調整池に到着します。
ダム下から
手前は揚水施設。
 
左岸の洪水吐導流部は直前の大雨による水位上昇を受けて越流しています。
 
ダム下は芝生の公園。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐の先には駐車場と管理事務所があります。
 
ダム湖の宝山湖は総貯水容量307万立米
香川用水が賄う上水道用水約2週間分が貯留されています。
 
右岸にある旧神田大池の碑
貴重な灌漑用水源であった神田大池をつぶして香川用水調整池が建設される過程の地元関係者の苦悩や葛藤が切々と記されています。
 
上流面はロック材で護岸。
 
下流面
さすが水資源機構が管理する施設だけあり、奇麗に刈り払われています。
 
左岸の取水設備。
 
3374 香川用水調整池(1261)
香川県三豊市山本町神田
財田川水系大地川
AW
 
25メートル
240メートル
3070千㎥/3050千㎥
水資源機構
2008年

満濃池(再)

2018-04-01 12:51:43 | 香川県
2018年3月21日 満濃池(再)
 
満濃池(再)は香川県仲多度郡まんのう町の金倉川上流部にある灌漑目的のアースダムフィルダムです。
歴史は古く8世紀初期の飛鳥時代大宝年間まで遡り、その後の決壊では弘法大師(空海)がわずか3カ月で改修を完了させたという逸話も残っています。
平安期にも決壊、復旧を繰り返すも1184年(元歴元年)の決壊以降長く放置され、徳川幕府成立後、高松藩主生駒高俊の命により1631年(寛永3年)に約450年ぶりに復旧され、大河のない讃岐平野を潤す貴重な巨大貯水池は感謝の念を持って満濃太郎と称されました。
明治維新以降、数度の嵩上げ改修工事が行われ、1959年(昭和34年)の第3次嵩上げ工事の竣工により現在の規模となりました。
満濃池(再)は農業用溜池としては総貯水容量1540万立米、湛水面積139ヘクタールと愛知県の入鹿池に次ぐ規模を誇り、香川県内のダムとしては数あるコンクリートダムを凌ぎ貯水容量は最大です。
1870年(明治3年)の改修で設置された樋門は登録有形文化財に指定されているほか、2005年(平成17年)にダム湖百選、2010年(平成22年)に『ため池100選』、2016年(平成28年)にはICID(国際かんがい排水委員会)による世界かんがい施設遺産、2019年(平成31年)に国の名勝に選ばれています。
さらにアースフィルダムとしては数少ない日本100ダムにも選ばれています。
池の管理は満濃池土地改良区が行い3239ヘクタールにおよぶ広大な農地に灌漑用水を供給しています。
 
満濃池右岸は『国営讃岐まんのう公園』として整備されているほか、左岸は満濃池森林公園、堤体直下は親水公園である『ほたる見公園』となっており、中讃地域有数のレクリエーションエリアとなっています。
今回は下流のほたる見公園の駐車場に車を止めて歩いて池へと向かいました。
堤体下の『ほたる見公園』
遊歩道が整備され親水公園となっています。
 
池直下にある取水堰
鋼製フラップゲートで水量を調節し三つの灌漑用水路に分水されます。
 
余水吐はトンネル式導流部となっており、トンネル出口からは自然の岩盤を流下します。
前日までの雨で水位が上昇し、越流した水が自然の滝のように流下しています。
 
底樋樋門と石積み溢流堤
明治期の貴重なコンクリート作りの底樋樋管は国の登録有形文化財及び、Cランクの近代土木遺産に指定されています。
こちらも水位上昇を受けて普段よりも多量の放流をしており、余水路から溢れた水はミニ長篠堰堤のような状況。
 
遊歩道が整備されたほたる見公園。
 
アースフィルの堤体はアーチ状に湾曲しています。
 
右岸の余水吐
越流した水は上から3枚目の写真のトンネル出口へと流下します。
 
総貯水容量1540万立米はアースフィルの農業用溜池としては入鹿池に次いで全国第2位の規模です。
 
左岸の取水塔
取水された水は4枚目の写真の樋門へと送られます。
 
上流面は谷積みの石で護岸されています。
堤体がアーチ状に湾曲しているのがよく分かります。
 
世界かんがい施設遺産の記念碑。
 
日本を代表する灌漑用溜池ですが、巨大な貯水池を支える堰堤は堤高32メートル、堤頂長155.8メートル、堤体堰21万8000立米と意外に小ぶり。
貯水効率はアースフィルダムとしては驚異の70倍強となっており、広大な谷間に対してその隘狭な出口に堰堤を築き効率的な貯水を果たした先人の見る目の確かさには脱帽するばかりです。
 
満濃池
香川県仲多度郡まんのう町神野
金倉川水系金倉川
22メートル
----メートル
5000千㎥/5000千㎥
821年
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3337 満濃池(再)(1260)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町神野
金倉川水系金倉川
32メートル
155.8
15400千㎥/15400千㎥
満濃池土地改良区
1959年