ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

笠城ダム

2017-10-02 21:58:54 | 福岡県
2017年9月19日 笠城ダム
 
笠城(かさぎ)ダムは福岡県飯塚市庄司の遠賀川水系庄司川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1957年(昭和32年)に当時の幸袋町の事業で竣工と記されており、現在は飯塚氏が管理をしています。
 
県道30号線に『笠城ダム公園』の標識がありこれに従って進むとダム左岸の公園入口に到着します。
また県道478号線からダム下へと向かうこともできますが、こちらは標識もなく入口が分かりづらくなっています。
今回はダム公園入口に車を止めダム左岸の遊歩道でダムを見学しました。
ダム周辺は『笠城ダム公園』として整備され、ダム湖を周回する遊歩道や遊具が設置されています。また桜が多く植樹され春には多くの花見客が訪れる周辺住民の憩いの場となっています。
 
写真の並びは実際の見学ルートとは順番が異なります。
まずは下流から
ダム下は芝生広場になっています。
 
堤体直下にある底樋。
 
下流面
三段になっており、きれいに草が刈られています。
 
天端
ダムを周回する遊歩道の一部で歩行者は立ち入り自由。
 
上流面
コンクリートで護岸されています。
 
貯水池の総貯水容量は39万9000立米
灌漑期が終わったのか水抜きされています。
改修工事でもするのかな?
 
右岸の取水塔
水がないので根元まで見えます。
 
右岸の横越流式余水吐
緩やかに湾曲しています。
 
余水吐導流部。
 
上流から遠望。
 
水抜きされており、ちょっと殺伐とした風景です。
ダム公園としてよく整備されており平日の夕暮れ時にもかかわらず多くの方が散歩などを楽しんでいました。
 
2406 笠城ダム(1124)
ため池コード 402050047
福岡県飯塚市庄司
遠賀川水系庄司川左支流
17.9メートル
170メートル
399千㎥/359千㎥
飯塚市
1957年

力丸ダム

2017-10-02 16:09:59 | 福岡県
2017年9月19日 力丸ダム
 
力丸ダムは左岸が福岡県宮若市下、右岸が同市宮田の遠賀川水系犬鳴川右支流八木山川にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、八木山川の洪水調節、北九州市および直方市への上水道用水の供給、北九州市への工業用水の供給を目的とし1965年(昭和40年)に竣工しました。
 
宮若市下の県道471号線に力丸ダムを示す標識があります。
左岸から
洪水吐はクレストにラジアルゲートが2門、オリフィスやコンジットゲートはありません。
洪水吐がクレスト可動ゲートのみというのは南畑ダム油木ます渕ダムなど昭和30~40年代にかけての福岡県営ダムの共通点です。
 
1965年(昭和40年)竣工と福岡県営ダムの中では3番目に古いダムです。
堤体の苔が時代感を醸し出しています。
 
ダム概要の銅板プレート
これも古いダムならでは。
 
貯水位が極端に低下しています。
取水設備は戦前戦中のダムの特徴を残す半円形。
 
 
天端は歩行者のみ通行可能
古い福岡県営ダムではおなじみ天端両側のフェンス。
高欄が低いので事故と不法投棄防止目的だそうです。
 
取水設備操作室。
 
洪水吐導流部と減勢工
導流部の苔もいい感じ。
 
総貯水容量は1320万立米と福岡県営ダムの中ではかなり大きな貯水池です。
右手は管理事務所で力丸ダムと犬鳴ダムを統括管理しています。
 
右岸から上流面。
 
ダム下へも下流からアプローチできたようですが、道路状況が悪い上に徒歩も余儀なくされたので今回はあきらめました。
 
追記
力丸ダムには360万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに229万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2413 力丸ダム(1123)
左岸 福岡県宮若市下
右岸 福岡県宮若市宮田
遠賀川水系八木山川
FWI
 
49.5メートル
160.5メートル
13200千㎥/12500千㎥
福岡県県土整備部
1965年
◎治水協定が締結されたダム

犬鳴ダム

2017-10-02 14:50:27 | 福岡県
2017年9月19日 犬鳴ダム
 
犬鳴ダムは福岡県宮若市犬鳴の遠賀川水系犬鳴川源流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、犬鳴川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、宮若市及び直方市への上水道用水の供給、宮田工業団地への工業用水の供給を目的に1994年(平成6年)に竣工しました。
ダムの管理運用は力丸ダム管理事務所で統合遠隔管理されています。
 
福岡から県道21号の犬鳴トンネルを抜けると左手に犬鳴ダムの堤体が見えてきます。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを8門、常用洪水吐として自然調節式のオリフィスゲート1門を装備しています。
両岸には堤趾導流壁を備え、V字で谷を締める堤体はなかなかの雄姿です。
 
上流面
堤体中央に取水設備、その右手にオリフィスゲート、左岸にインクラインがあります。
 
天端入口では犬鳴という名前に合わせたかわいい犬のモニュメントが出迎えてくれます。
 
総貯水容量500万立米のダム湖
名前は『司書湖』で、幕末の福岡藩家老加藤司書の名前をとって命名されました。
水位がかなり低下しています。
 
天端は歩行者のみ通行可能
せっかくベンチがあるのに両側ににフェンスが張られ物々しい雰囲気。
事故や不法投棄防止目的のようです。
 
天端にはダム湖名の『司書湖』の文字や銀杏の絵が描かれています。
 
 
高覧の装飾。
 
減勢工と利水放流設備。
 
左岸から下流面。
 
上流面。
 
竣工記念碑
ダム竣工を祝う短歌が詠まれています。
 
2019年(令和2年)公開のホラー映画『犬鳴村』はこのダムに沈んだ犬鳴谷村がモチーフとなっていますが、映画のロケは埼玉県の浦山ダムで行われたようです。
 
追記
犬鳴ダムには165万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに134万7000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2439 犬鳴ダム(1122)
福岡県宮若市犬鳴
遠賀川水系犬鳴川
FNWI
 
76.5メートル
230メートル
5000千㎥/4850千㎥
福岡県県土整備部
1994年
◎治水協定が締結されたダム

猪野ダム

2017-10-02 11:28:34 | 福岡県
2017年9月19日 猪野ダム
 
猪野ダムは福岡県糠屋郡久山町猪野の多々良川水系猪野川上流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、県のダム建設事業に福岡市水道局が事業参加して2000年(平成12年)に竣工、猪野川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、福岡市水道局への日量約14万立米の上水道用水の供給を目的としています。
 
久山町の懸社天照皇太大神宮から猪野川に沿って町道を遡上、だしでおなじみの『茅乃舎』を過ぎると猪野ダムの標識が現れます。
左岸ダムサイトの竣工記念碑。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを2門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート1門を装備。
堤体は左右両岸が屈曲しており、これをつなぐ橋をモチーフに堤頂部にはアーチ状の装飾が入っています。
ちょっと、いやかなり埼玉県の浦山ダムに似てるかも?
 
ダム上下流は『ホタルの里』として知られ、豊かな自然が残ります。
ダム各所にそれら豊かな自然を描写した装飾が施されています。
 
 
 
天端は歩行者のみ通行可。
高欄にもアーチの装飾。
 
天端から
ダム下も綺麗に整備され普段は車で行けるのですが、訪問時は九州北部豪雨による土砂崩れで通行止め。
 
左岸のインクラインと艇庫。
 
天端中央にはベンチや休憩舎が設置されています。
 
堤体は両岸ともに湾曲。
 
右岸ダムサイト
こちらもよく整備されています。
 
右岸から下流面
このアングルだと手前が湾曲しているのがよくわかります。
 
さすがバブル真っ盛りのころに計画、着工されただけあって至れり尽くせりのダムです。
 
追記
猪野ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2445 猪野ダム(1121)
福岡県糠屋郡久山町猪野
多々良川水系猪野川
FNW
 
79.9メートル
260メートル
5110千㎥/4910千㎥
福岡県県土整備部
2000年
◎治水協定が締結されたダム