ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

脊振ダム

2017-10-10 14:56:23 | 福岡県
2017年9月21日 脊振ダム
 
脊振ダムは福岡市早良区五ケ山の二級河川那珂川源流部にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的のロックフィルダムです。
大河川がないうえに中小河川の集水域が小さいという地理的条件もあり、福岡市では慢性的な水不足が続き、安定した水源確保を求めるための拡張事業は19回にも及びました。
脊振ダムは1970年(昭和45年)に事業着手された第12回拡張事業(脊振取水)の中核施設として既設の県営南畑ダムの上流6キロ地点に1976(昭和51年)に建設されました。
脊振ダムで貯留された水は南畑ダムで取水されたのち、高宮浄水場および夫婦石浄水場を経て福岡市内に給水されています。
また、脊振ダムは南畑ダムの集水地域内に建設されておりダムの運用は南畑ダムから遠隔操作で行われています。
 
国道385号から県道136号に入り背振少年自然の池入口前を右折すると脊振ダムに到着します。
普段は天端まで立ち入りができますが、訪問時は作業のため立ち入り禁止となっていました。
 
ダム入り口前にあるダムの説明板。
 
水使用標識と取水設備と思われる建物
取水設備はたぶん斜樋。
 
貯水池右岸沿いの道路を上流に向かうとダムの上流面が見えます。
 
手前の遺構は?
 
左岸の洪水吐。
 
追記
背振ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2429 脊振ダム(1142)
福岡市早良区五ケ山
那珂川水系那珂川
43メートル
240メートル
4500千㎥/4390千㎥
福岡市水道局
1976年
◎治水協定が締結されたダム

筑後大堰

2017-10-10 12:02:31 | 福岡県
2017年9月21日 筑後大堰
 
筑後大堰は筑後川河口から約23キロ上流地点の左岸が福岡県久留米市安武町武島、右岸が佐賀県三養基郡みやき町江口にある水資源機構が管理運用する多目的可動堰です。
筑後川は流路延長143キロ、流域面積2860平方キロを誇る九州最大の大河で、古くから流域の水源となってきた一方、筑紫次郎と呼ばれ利根川、吉野川とともに日本の三大暴れ川の一つとされ流域に壊滅的な洪水被害をもたらしてきました。
戦後の復興から高度成長期に入り福岡をはじめとした中核都市での人口急増による上水道用水需要ひっ迫や大牟田・鳥栖での工業用水の需要拡大をうけ建設省は筑後川からの導水を模索する一方、農林省(現農水省)も筑後川を水源とする国営筑後川土地改良事業を企図していました。
1964年(昭和39年)に筑後川水系水資源開発基本計画(フルプラン)が採択され、筑後川では水資源開発公団(現水資源機構)による総合的な河川開発が進められることになります。
筑後大堰は、筑後川の洪水調節および水位の安定と塩害防止、農水省による筑後川下流用水事業への灌漑用水の供給、福岡地区水道企業団及び福岡県南広域水道・佐賀県基山町・鳥栖市上水道・佐賀東部水道企業団への上水道用水の供給を目的として1984年(昭和59年)に竣工しました。
筑後大堰の堤高は6.4メートルで河川法上のダムの要件である15メートルを満たしていませんが、水資源公団法(現水資源機構法)に基づく多目的ダムとして建設されたため、法律上もダムとして分類されダム便覧にも正式掲載されています。 
 
福岡導水事業の概要(水資源機構HPより)
 
筑後川下流用水事業の概要(水資源機構HPより)
 
左岸久留米側上流から・・・
ゲート操作室に『筑後大せき』と書かれています。
 
左岸支流金丸川水門
筑後川の水位上昇による金丸川への逆流を防ぎます。
 
左岸河川敷には九州北部豪雨(平成29年7月豪雨)で流下した大量の流木が積み上げられています
ここで乾燥させたのち処理を行うようです。
 
右手の水路は金丸川
左奥でゴミの引き揚げ作業が行われています。
 
船でごみを引き寄せたのち重機で引き揚げます。
 
左岸の魚道。
 
魚道の隣に閘門があります。
 
上流の眺め
奥は久留米市中心部
いまだに大量に残るごみと流木、7月豪雨のごみに新たに台風18号のごみが加わりました。
 
天端は国道264号と県道144号を結ぶ車道です。
 
ゲートは制水ゲート3門、調節ゲート2門で構成。
これは制水ゲート。
 
右岸はリバーサイドパークとして整備され運動場やゴルフ場になっています。
 
暴れ川筑紫次郎の下流を支える筑後大堰です。
訪問時は九州北部豪雨の大量のごみが残る中、新たに台風18号のごみが加わり、終わりのないゴミ処理が続いていました。
筑後大堰がこれら流木やごみを捕捉することで、有明海の環境は維持される効果は絶大です。
職員及び関係者の皆様ご苦労様です。
 
2434 筑後大堰(1141)
左岸 福岡県久留米市安武町武島
右岸 佐賀県三養基郡みやき町江口
筑後川水系筑後川
FNAW
MB
6.4メートル
501.6メートル
5500千㎥/930千㎥
水資源機構
1984年

河内防災ダム

2017-10-10 02:51:32 | 佐賀県
2017年9月21日 河内防災ダム
 
河内防災ダムは佐賀県鳥栖市河内町の筑後川水系宝満川右支流大木川源流部にある農地防災及び灌漑目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば農林省(現農水省)の補助を受けた佐賀県の農地防災ダム事業により1971年(昭和46年)に竣工しました。
河内川流域の農地防災と流域農地への灌漑用水の供給を目的としており、運用開始後は鳥栖市が受託管理を行っています。
ダム湖右岸には鳥栖市が運営する温泉施設『とりごえ荘』があるほか、鳥栖市民の森や河川プールやキャンプ場などが整備され市民の憩いの場となっています。
 
鳥栖プレミアムアウトレットから県道329号線を西進すると左手に河内防災ダムが見えてきます。
堤高35メートルの立派な堤体。
 
天端は車止めがあり徒歩のみ通行可
ダム湖を周回する遊歩道の一部ですが、右岸の遊歩道はかなり荒れています。
 
右岸にある不思議な施設
たぶん放流施設の空気抜きだと思います。
 
ダム湖は総貯水容量119万5000立米
農地防災ダムですが灌漑用水容量があるため空っぽではありません。
上流の吊橋は『風の見える橋』。
 
左岸管理事務所。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
上流面は石張りで護岸。
 
白い設備が取水ゲート
普段は灌漑用水容量を確保した上で流入量をそのまま流下させています。
 
階段でダム下に降りました。
 
放流設備
上の取水口からの水がここで放流されます。
 
洪水吐と下流面。
堤体に一本だけ残る栗の木が印象的。
 
追記
河内防災ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により併せて110万4000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2528 河内防災ダム(1140)
佐賀県鳥栖市河内町
筑後川水系大木川
FA
35メートル
153メートル
1195千㎥/1102千㎥
鳥栖市 
1971年
◎治水協定が締結されたダム