ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

滝川ダム

2017-10-18 17:48:50 | 福島県
2017年10月8日 滝川ダム
 
滝川ダムは福島県双葉郡富岡町上手岡の二級河川富岡川水系富岡川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農水省の補助を受けた福島県のかんがい排水事業により2002年(平成14年)に着工、2011年(平成22年)に竣工し、試験湛水を経て富岡町土地改良区が受託管理して運用が開始される予定でした。
しかし、試験湛水が満水位に到達する直前の2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災及び福島第一原発事故により状況は一変、富岡町は避難指示区域となり住民の大半は避難、滝川ダムの受益地となる予定だった農耕地からは人が消えてしまいました。
その後の除染事業により富岡町は北東部の帰還困難区域を除いて避難指示区域から解除されましたが、農業の完全復興はいまだ道半ばです。
 
常磐富岡インターから県道36号を西進、富岡川に架かる龍海大橋から滝川ダムと正対できます。
堤高74.3メートル、クレストには10門の自由越流式洪水吐が並び農業用コンクリートダムとしては非常に立派なダムです。 
 
 
左岸展望台から。
左右両岸に堤趾導流壁があります。
 
運用直前に震災が発生し、原発事故により受益者が消えてしまったまさに不運のダムと言えます。
総貯水容量594万立米、当初の計画通り受益予定面積743ヘクタールに給水が可能になる日が来るのを心から願うばかりです。
 
2913 滝川ダム(1160)
福島県双葉郡富岡町上手岡
富岡川水系富岡川
74.3メートル
213メートル
5945千㎥/5165千㎥
福島県農林水産部
2011年

坂下ダム

2017-10-18 16:20:13 | 福島県
2017年10月8日 坂下ダム
 
坂下ダムは左岸が福島県双葉郡大熊町大川原、右岸が富岡町上手岡の熊川水系大川原川上流部にある灌漑・発電目的の重力式コンクリートダムです。
当初は農林省の補助を受けた福島県の事業によるがんがい目的のアースフィルダムとして計画されますが、福島第一原発の建設を決定し原発向け冷却用水源を模索していた東京電力がこのダム事業に事業参加し、ダムの型式もアースフィルから重力式コンクリートに変更されました。
坂下ダムは1973年(昭和48年)に竣工し、大熊町への灌漑用水の供給および東京電力福島第一発電所への冷却用水の供給を目的としており、福島第一原発への導水路は東京電力が自社費用で建設しました。
運用開始後は大熊町が受託管理を行っています。
 
2011年(平成23年)の東日本大震災による福島第一原発事故以降は同原発廃炉作業向けに用水供給を行っています。
坂下ダム用水供給概要図(現地案内板より) 
 
常磐道城番富岡インターから県道岩城波江線を北上して大熊町に入ると、上平バス停の先に坂下ダムを示す標識が現れます。
これに従って町道を西進すると坂下ダム左岸に到着します。
堤高43メートルに対して堤頂長243メートルの横長ダムです。
原発事故のため、大熊町内では農業がおこなわれておらずクレストゲートは常時開放されています。
 
左岸から。
 
上流面
ゲートの奥に取水設備があります。
 
普段は天端は立ち入り禁止ですが、NPO向けの見学会が行われており同伴させていただくことができました。
ゲート部分だけ上流側に張り出しています。
 
左岸のインクラインと艇庫
奥に管理事務所があります。
 
減勢工と利水放流設備。
ここで河川維持用水、灌漑用水、東電向け用水が分水されます。
右奥に伸びる水路は灌漑用水路です。
 
天端から福島第一原発が遠望できます。
 
ダム湖は総貯水容量284万立米。
原発事故以前は日蔭山の登山口として、また浜通りでは有名な釣りスポットとして多くの来訪者がありましたが、訪問時はダム湖周回路は立ち入り禁止でした。
 
取水設備。
 
アングルを変えて。
 
0514 坂下ダム(1159)
左岸 福島県双葉郡大熊町大川原
右岸 福島県双葉郡富岡町上手岡
熊川水系大川原川
AP
43メートル
231メートル
2840千㎥/2532千㎥
大熊町
1973年