ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

木曽川大堰

2024-01-04 17:00:28 | 愛知県
2023年11月24日 木曽川大堰

木曽川大堰は左岸が愛知県稲沢市祖父江町馬飼、右岸が岐阜県羽島市桑原町前野の一級河川木曽川本流にある水資源機構が管理する灌漑・上水・工水目的の可動堰です。
木曽三川下流域の濃尾平野は古くから国内有数の穀倉地帯となってきましたが、感潮区域が河口から26キロにも及ぶため木曽川や長良川に設けられた85か所の取水口での取水は困難を極めました。
当初は農林省(現農水省)により85か所の取水口の合口と灌漑用水路の整備を軸とした木曽川用水事業が着手されますが、1965年(昭和40年)に木曽川が『水資源開発基本計画(フルプラン)』の指定を受けたことで水資源開発公団(現水資源機構)による河川総合開発が進められることになり、1969年(昭和44年)に同公団による木曽川総合用水事業が着手されました。
同事業は1976年(昭和51年)に木曽川水系馬瀬川に竣工した岩屋ダムを水源とし、岐阜県南部の木曽川右岸地帯を受益地とした上流部事業と濃尾平野南部や愛知県・三重県を受益地とした下流部事業に大別され、木曽川大堰は下流部事業の取水堰として1974年(昭和49年)に竣工しました。
木曽川大堰は木曽川下流域約7900ヘクタールの農地への灌漑用水の供給、三重県北部3市3町への上水道用水の供給、愛知県及び三重県への工業用水の供給を目的としています。
また隣接する木曽川用水総合管理所では木曽川大堰の管理のみならず、上流部事業・下流部事業・長良川河口堰を取水堰とする長良導水事業を統合管理するほか、発電や愛知用水等他の利水事業者と綿密に情報交換を行い適正な配水管理を行っています。

木曽川用水下流部事業概要図


なお、木曽川大堰の堤高は4.2メートルでダムの要件を満たしていませんが、水資源開発公団法(現水資源機構法)によって建設されたため堤高如何に関わらず河川法上のダムとなります。
また、当初農林省により事業着手されたこともあり現地では『馬飼頭首工』の名で呼ばれることもあります。

今回は水資源機構の職員様による解説・案内で木曽川用水総合管理事務所や大堰を見学することができました。
見学の詳細は
『木曽川大堰ダム研見学会』をご覧ください。

木曽川大堰を管理する水資源機構木曽川用水総合管理所の玄関。
通常ここから先は関係者以外立ち入り禁止となります。


敷地にある木曽川用水通水20周年記念碑。


同じく敷地内のモニュメント。
水資源開発公団時代のシンボル。


まずは職員様による木曽川用水のレクチャーから。
木曽川用水総合管理所では木曽川大堰の管理のみならず、上流部事業・下流部事業・長良川河口堰を取水堰とする長良導水事業を統合管理するほか、発電や愛知用水等他の利水事業者と綿密に情報交換を行い適正な配水管理を行っています。


管理所屋上から木曽川大堰を望みます。
堰長587メートル、堤防間距離735メートルで木曽川を締め切ります。
堰には土砂吐ゲート2門、調節ゲート3門、洪水吐ゲート9門、舟通し2か所、魚道3か所を備えてます。
また管理橋は県道134号線馬飼大橋となっています。


同じく屋上から
右手の白い建屋が木曽川左岸取水ゲート
中央は静水池。


静水池の先には除塵設備、流量計が並びその先に主要水路である海部幹線水路が伸びます。

木曽川大堰左岸袂に移動します。
下流から
右手から土砂吐ゲート、舟通し、調節ゲート、洪水吐ゲートという並び。


越流しているのは調節ゲート。


舟通し
他所では閘門と呼ばれることが多いですが、木曽川大堰では舟通しと呼びます。
右手は土砂吐ゲートでゲート下部から放流しています。


左岸の魚道
ほかにも2か所、計3か所に魚道があります。


取水ゲート
最大毎秒41.83立米を取水します。


水利使用標識。


こちらは流量計。


こちらは管理所裏手にある利水神社。
もともと当地にはかつての主要灌漑用水路である佐屋用水取水口があり、海部幹線水路の大半は佐屋用水を辿って設置されました。

本来なら木曽川大堰の管理橋であるま馬飼大橋も歩いて見学すべきところですが、ゲート補修工事が行われ交通量も多かったことから今回は自重しました。
工事の終了後に改めて訪問したいと思います。

木曽川大堰は木曽川最下流の河川構造物であるにもかかわらず、ダムカードがないこともありダム愛好家の中では軽視されがちな存在であることは否めません。
しかし、今回の見学において、利水のみならず木曽川全体の管理においても非常に重要な役割を果たしていることを認識できました。
対応していただきました水資源機構木曽川用水総合管理所の職員様には厚く御礼申し上げます。

1228 木曽川大堰(2028)
左岸 愛知県稲沢市祖父江町馬飼
右岸 岐阜県羽島市桑原町前野
MB
4.2メートル
586.2
---㎥/---㎥
水資源機構
1974年


入鹿池(再)

2018-02-15 17:27:49 | 愛知県
2018年2月10日 入鹿池(再)
 
入鹿池(再)は愛知県犬山市堤下の木曾川水系五条川上流部にある灌漑・防災目的のアースフィルダムです。
徳川幕府成立以降木曽川流域の治水とともに新田開発が進められ、その水源として尾張藩初代藩主徳川義直の命により1633年(寛永10年)に築造されたのが入鹿池です。
しかし、幕末の1868年(慶応4年、明治元年)に『入鹿切れ』と呼ばれる大規模な決壊事故が発生し、犠牲者700人を超える大惨事となり、この復旧には1879年(明治12年)まで時間を要しました。
1991年(平成2年)に竣工した入鹿池再開発防災ダム事業により従来の灌漑に加えて農地防災機能が付加されダムの目的はFAとなりました。
2005年(平成17年)には愛知用水からの補給が開始され、灌漑機能は格段に向上しました。
入鹿池(再)は総貯水容量、湛水面積ともに香川県の満濃池を凌ぐ日本最大の農業用ため池で、池の管理は入鹿用水土地改良区が行い、犬山市・小牧市・大口町・扶桑町の628ヘクタールの農耕地に灌漑用水を供給しています。
また日本を代表する溜池として2010年(平成22年)に『ため池100選』に、2015年(平成27年)にはICID(国際かんがい排水委員会)により『世界かんがい施設遺産』に選定されました。
 
入鹿池南側を通る県道16号線から
堤体に『いるか池』の文字が見えます。
堤頂長は724メートルに及び、ここから見える堤体はほんの一部です。
ダム下には放流設備や愛知用水からの揚水設備などが並びますが、訪問時は工事中のため立ち入りできませんでした。
 
延々と続く堤体。
 
池を管理する入鹿用水土地改良区事務所
隣接する明治村に合わせて明治風の建物になっています。
 
右岸の横越流式洪水吐
鋼製起伏ゲートがあり貯水位を1メートル調整できます。
 
溜池としては日本最大規模を誇る入鹿池
ワカサギ釣りのメッカでシーズンの休日ということで多くの釣り船が湖面に出ています。
 
取水塔も明治風の建物。
 
上流面
堤頂長は740メートルを超えます。
 
天端は車道になっており、釣り客向けの貸船屋や食堂が並びます。
天端に店舗が並ぶアースフィルダムは全国でもここだけでしょう。
 
まるで墓石のように各種記念碑が並んでいます。
 
世界かんがい施設遺産の記念碑。
 
古い取水塔のバルブが展示されています。
 
日本を代表する灌漑用ダムとしてじっくり見学したいところですが、ちょうどワカサギ釣りシーズン真っただ中、駐車場の確保にも困りあわただしい見学となりました。

入鹿池(元)
ため池コード
愛知県犬山市
木曽川水系五條川
28.9メートル
692メートル
15200千㎥/15200千㎥
入鹿用水土地改良区
1633年
----------------
1242 入鹿池(再)(1239)
ため池コード
木曽川水系五條川
FA
25.7メートル
724メートル
18479千㎥/18479千㎥
入鹿用水土地改良区
1991年 

五ヶ村池

2018-02-15 16:22:31 | 愛知県
2018年2月10日 五ヶ村池
 
五ヶ村池は愛知県春日井市西尾町の庄内川水系西尾川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には愛知県の事業で1974年(昭和49年)に竣工と記されていますが、竣工記念碑等はなく詳細は不明です。
ただ、五ヶ村池という名称から、もともとは受益者となる下流五ヶ村の共同で建設された溜池と考えられ、竣工年度の1974年は従来あった溜池が整備された時期と推察されます。
池の管理は春日井市河川排水課が行っています。
なおダム便覧の堤高17.7メートルに対しため池データベースでは14.7メートルに留まっています。
 
国道19号線春日井バイパスの内津パーキング西側の立体の分岐を北に折れ、ゴルフ場に沿って進むと五ヶ村池に到着します。
 
堤体下流面は車道が通りどこが堤体かわかりずらい状況。 
 
一応これが天端。
 
左岸に越流式洪水吐があります。
 
堤体上流面の斜樋。
 
貯水池側から見た斜樋。
 
総貯水容量は10万5000立米。
 
上流面はコンクリートで護岸されていますが、ゴミが散乱。。
 
ちょっとわかりづらいですが越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部
大きく湾曲し堤体とは別方向に流下してゆきます。
 
 
底樋は確認できませんでした。

3442 五ヶ村池(1238)
ため池コード
愛知県春日井市西尾町
庄内川水系西尾川
17.7メートル(ため池データベース14.7メートル
40メートル
105千㎥/105千㎥
春日井市河川排水課
1974年

宝地池

2018-02-15 14:04:49 | 愛知県
2018年2月10日 宝地池
 
宝地(ほうぢ)池は愛知県豊川市上長山の豊川水系宝川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムで、ダム便覧には愛知県の事業で1955年(昭和30年)に建設と記されています。
その後2017年(平成29年)にかけて大規模な改修工事が行われ、堤体は一新されました。
池の管理は宝地溜池組合が行っています。
 
実は宝地池には2016年(平成28年)1月に訪問するも改修工事中で立ち入りできず、改修工事工期が終わった翌年2月に再訪するも工事の延長で再び見学叶わず、今回3度目の正直でようやく池と対面することができました。
 
左岸から上流面
昨年3月に改修工事が終わったばかり、上流面は美しい石積みになっています。 
 
左岸の斜樋。
 
天端から。
 
総貯水容量は29万立米
池のすぐ北側を新東名が走っています。
 
右岸から上流面
奥には本宮山が見えます。
 
右岸の横越流式洪水吐。
洪水吐も改修で新調されました。
 
下流面
昨年3月に改修されたばかりで張られたばかりの生が黄金色に輝いています。
 
池の下流からアプローチする道もありますが、そちらは関係者以外立ち入り禁止。
ということで立ち入り制限がなかった堤体の階段を下りました。
洪水吐導流部と取水設備からの底樋とゲート。手前に円筒分水工があります。
 
底樋樋門をズームアップ。
 
円筒分水工
草が生え引退?と思いきやバリバリの現役
需要期のみですが、灌漑用水の溢流が見れるそうです。
 
見学中に見回りに来た関係者の方に話を伺うことができました。
高齢化などによる離農が進み、受益農家はこの20年ほどで半減、池は豊川市の所有で水利組合が管理をしているそうです。
また周辺の山林は山火事が多く、火事の際はヘリによる消火用の水源にもなるそうです。

1218 宝地池(1237)
ため池コード
愛知県豊川市上長山町
豊川水系宝川
19.6メートル
239メートル
290千㎥/290千㎥
宝池溜池組合
1955年

設楽ダム

2018-02-15 04:55:23 | 愛知県
2018年2月10日 設楽ダム
 
設楽ダムは愛知県北設楽郡設楽町の豊川本流上流部に国交省中部地方整備局の直轄事業として建設中の多目的重力式コンクリートダムです。
もともとは1963年(昭和38年)に電源開発が発電用ダムとして計画したものの地質上の問題から白紙化、その後当時の通産省(現経産省)により揚水発電用ダムとして再び事業計画され、1078年(昭和53年)に建設省(現国交省)による多目的ダム事業として事業着手されました。
2010年(平成22年)に国交省による検証対象ダムとなりましたが、2014年(平成26年)に事業継続が決定、2016年(平成28年)に2026年(平成38年)の完成予定が明示され、2017年(平成29年)より建設事業が開始されています。。
現在は資材搬入道路の整備および転流工の設置工事が始まったばかりです。
完成の暁には総貯水容量9800万立米の巨大な貯水池が出現し、豊川本流上流流部の洪水調節、不特定利水、東三河地域向けの上水道用水及び農業用水の供給を目的とする予定です。
 
完成予定図(国交省 設楽ダム工事事務所より)
 
設楽町中心部から県道33号線を西に向かい豊川本流に着くとダム関係の案内板や立ち並んでいます。
ダム予定地の案内板。
 
実際のダム建設予定地。
 
現在は資材搬入道路の整備と転流工の建設が始まったばかりです。
 
各種案内板。
 
 

1240 設楽ダム(1236)
愛知県北設楽郡設楽町清崎
豊川水系豊川
FNAW
129メートル
380メートル
98000千㎥/92000千㎥
国交省中部地方整備局
2026年予定

木瀬ダム

2017-03-03 10:21:01 | 愛知県
2017年2月26日 木瀬ダム
 
木瀬ダムは愛知県豊田市の矢作川水系木瀬川に1999年(平成11年)に建設された愛知県営の多目的重力式コンクリートダムで、木瀬川の洪水調節、既得取水権への補強及び河川流量の維持、豊田市北西部への上水道の供給を目的としています。
『しらさぎ湖』と名付けられた貯水池は貯水容量64万4000立米の規模で、いわゆる生活貯水池です。
 
国道419号から県道13号に左折して北上すると木瀬ダム直下を通過します。
堤高33メートルの小規模なゲートレスダムです。
オリフィスから放流をしていました。
 
堤体直下は小公園になっており駐車スペースもあります。
 
堤体直下まで接近できます。
 
県道から管理道路に入るとダムサイトに到着します
左岸から。
 
天端高欄には地元の伝統行事や自然を紹介する陶板が嵌め込まれています。
 
ダム湖(しらさぎ湖)。
 
減勢工
手前は利水放流設備です。
 
天端は歩行者のみ通行可。
 
右岸から
手前は取水設備、奥は管理事務所。
 
上流から。
 
よくある自治体ダムですが、最近アースダムや溜池ばかり見学していたので非常に新鮮な木瀬ダムでした。


(追記)
木瀬ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3126 木瀬ダム(0847)
愛知県豊田市三箇町
北緯35度13分30秒,東経137度13分36秒
DamMaps
矢作川水系木瀬川
FNW
33メートル
192メートル
644千㎥/579千㎥
愛知県建設局
1999年
◎治水協定が締結されたダム


柳沢池

2017-03-02 15:31:28 | 愛知県
2017年2月26日 柳沢池
 
柳沢池は愛知県豊田市北西部の旧藤岡町にある灌漑用アースダムです。ダム便覧の竣工年度は1991年(平成3年)となっていますが、これは県の老朽ため池整備事業による整備が完了した時期と思われます。
 
柳沢池へのアプローチはちょっと複雑で、池のある北一色町の市道を何度か行ったり来たりしましたがなんとか池への入口に到着、池への道はダートのため車をデポして300メートルほど歩くと無事柳沢池に到着しました。
 
貯水量3万立米の小ぶりな溜池です。
 
上流面はコンクリートで護岸、堤体中央に斜樋があります。
 
左岸洪水吐。
ポンプとホースがありますが??
 
天端。
 
下流面
きれいに刈り払われています。
 
洪水吐
やはりこのポンプとホースが気になります。
 
洪水吐導流部。
 
下流から見上げると。
 
溜池としてはとくに特徴的なものはありませんが、ポンプとホースが気になる柳沢池でした。
 
1205 柳沢池(0846)
ため池コード
愛知県豊田市北一色町
北緯35度12分12秒,東経137度11分20秒
DamMaps
矢作川水系飯野川
16.4メートル
57メートル
30千㎥/30千㎥
管理者未確認
1991年


恩賜池

2017-03-02 14:21:56 | 愛知県
2017年2月26日 恩賜池
 
恩賜池は愛知県岡崎市の岡崎中央総合公園内にある灌漑用アースダムです。ダム便覧では1990年(平成2年)の竣工となっていますが、これは岡崎中央公園の竣工時期と一致しており公園の建設に合わせて改修工事が終了した時期と思われます。
恩賜池の名前の由来は昭和初期に周辺で大規模な水害があった際に天皇陛下からお見舞いの御下賜があったことを記念して名付けられたとのことです。
現在は岡崎市と受益者団体である丸山生産組合が共同で管理を行っています。
 
恩賜池は岡崎中央総合公園の中にあり、公園の恩賜苑の駐車場が恩賜池の堤体直下となります。
都市公園内のアースダムということで堤体はツツジなどが植栽されています。
見た目にはダム便覧の堤高19.1メートルにはとても見えませんが、公園建設の際に駐車場整備のため堤体下部に盛土を行った影響かと思われます。
 
下流面
とてもダムの堤体とは思えません。
 
天端は公園の遊歩道になっています。
 
貯水池右岸には岡崎美術博物館のモダンな建物。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐には木の枠がかけられています。
落下防止のため?それとも植物でも這わせるため?
 
貯水池左岸は健康の森として遊歩道が設置され、右岸には岡崎美術博物館があります。
貯水池をまたぐおしゃれな橋。
 
上流から
ここから見るとダムの上流面らしい眺め。
奥は岡崎市民球場の照明塔。貯水池に首だけ出す燈篭がいいアクセント。
 
上流面と洪水吐。
 
美術博物館からのカスケード。
 
恩賜池周辺は健康の森として遊歩道が整備され多くの市民の皆さんがウォーキングを楽しんでいました。
市街地に近接する溜池の理想的な姿がここにあるかと思います。
 
3655 恩賜池(0845)
ため池コード
愛知県岡崎市丸山町
北緯34度56分47秒,東経137度12分59秒
DamMaps
矢作川水系丸山川
19.17メートル
115.5メートル
111千㎥/111千㎥
岡崎市・丸山生産組合
1990年


新池

2017-03-02 13:33:13 | 愛知県
2017年2月26日 新池
 
岡崎市街北東部、東名高速道路岡崎インターそばにはダム便覧に掲載されたアースダムが2基あり、このうち東公園のすぐ東にあるのが新池です。
ダム便覧では1989年竣工となっていますが、これはたぶん改修時期と思われます。
現在は受益者の団体である洞生産組合が管理を行っています。
 
インター西交差点から県道26号を北上しすぐに東公園へ右折します。公園の駐車場を過ぎると隘路になりますがそのまま進み、高速をまたぐと新池へ道が分かれます。
路肩に駐車して分かれた道を下って行くと新池の上流側に到着します。
 
インレットからみた新池。
 
右岸の洪水吐。
 
上流面
コンクリートで護岸されています。
 
天端と貯水池
貯水量2万2000立米の小さな池です。
 
堤体中央の斜樋。
 
下流面
堤体直下で工事が行われ下には下りられませんでした。
 
 
洪水吐。
 
市街地に隣接した溜池なのでもっと開けた感じがするのかと思っていたら、東公園は自然が残り意外にもひっそりとした佇まいの溜池でした。 
 
3656 新池(0844)
ため池コード
愛知県岡崎市洞町
北緯34度57分11秒,東経137度12分01秒
DamMaps
矢作川水系広見川
15.2メートル
48.5メートル
22千㎥/22千㎥
洞生産組合
1989年


八幡調整池

2017-03-02 12:19:32 | 愛知県
2017年2月26日 八幡調整池
 
八幡調整池は愛知県西尾市にある灌漑用ロックフィルダムで、農水省の矢作川総合事業の一環として1986年(昭和61年)に建設され矢作南部土地改良区連合が管理を行っています。
矢作川から西三河南部地域に伸びる吉良幹線水路の最終調整池となっています。
 
県道320号線から広域農道幡岡線に入ると八幡調整池が見えてきます。
見た目はアースですがロックフィルダムです。
下流面はきれいに刈り払われてよく整備されています。
 
右岸の洪水吐。
 
アングルを変えて。
 
上流面。
 
左岸の斜樋。
 
洪水吐導流部に沿って階段があります
立入禁止等の規制がなかったので歩いて下りてみます。
 
洪水吐導流部。
 
下流面にはスイセンが植えられていますが、花はすでに終わったようです。
 
堤体下には機場や分水工が並びます。
 
天端は車両通行可能。
 
同じ吉良幹線水路の琴沢調整池に比べて開放的でダム全般を自由に見学することができます。
 
1232 八幡調整池(0843)
愛知県西尾市西幡豆町
北緯34度48分45秒,東経137度06分49秒
DamMaps
八幡川水系八幡川
22.7メートル
158メートル
66千㎥/55千㎥
矢作南部土地改良区連合
1986年

琴沢調整池

2017-03-02 11:16:16 | 愛知県
2017年2月26日 琴沢調整池
 
琴沢調整池は愛知県額田郡幸田町にある灌漑用ロックフィルダムで、農水省の矢作川総合事業の一環として1981年(昭和56年)に建設され矢作南部土地改良区連合が管理を行っています。
矢作川から西三河南部地域に伸びる吉良幹線水路の調整池で灌漑用水の非需要期に貯水し需要期に備える役割を担っています。
 
琴沢調整池は県道325号と国道23号幸田桐山インターを結ぶ農免道路沿いにありアプローチは簡単です。
まずは下流から
右岸に洪水吐があります。
 
洪水吐に接近します
右上に利水放流設備、手前に分水工があります。
 
下流面
ぱっと見アースフィルのように見えますが、実はロックフィルダムです。
 
貯水池は地域消費量の1日分に相当する7万立米を貯水できます。
 
上流面
右岸に洪水吐が見えます。
 
天端は立入禁止。
 
1233 琴沢調整池(0842)
愛知県額田郡幸田町桐山
北緯34度51分06秒,東経137度08分46秒
DamMaps
矢作川水系琴沢川
20.5メートル
128メートル
74千㎥/70千㎥
矢作南部土地改良区連合
1981年


大井池

2017-03-01 15:06:43 | 愛知県
2017年2月25日 大井池
 
大井ダムは愛知県額田郡幸田町にある灌漑用アースダムで、1943年(昭和18年)に建設されました。2003年(平成15年)~2010年(平成22年)にかけて愛知県の防災ダム事業によって改修され幸田土地改良区が管理を行っています。
 
大井池の天端を県道324号線が通っており大井池へのアプローチは比較的簡単です。
まずは下流から
下流面に『大井池』の銘が書かれています。
左岸に洪水吐導流部、右岸に利水放流設備があります。
 
 
上流面はロック材で補強されています。
 
左岸のゴルフ練習場
広島県の溜池ではおなじみの溜池のゴルフ練習場ですが、ここはいまは営業していないようです。
 
天端から
右手は利水放流設備と分水工。
 
溜池は総貯水容量90万1000立米。
 
左岸の洪水吐。
 
天端は県道324号線が通っています。
1車線の道路ですが意外に交通量があります。
 
右岸の斜樋。
 
左岸の浮御堂
周辺は桜の名所で春には花見客で賑わうようです。
 
1209 大井池(0841)
ため池コード
愛知県額田郡幸田町大草
北緯34度52分43秒,東経137度11分56秒
DamMaps
矢作川水系広田川
25.2メートル
145メートル
901千㎥/901千㎥
幸田土地改良区
1943年竣工
2010年改修

蒲郡調整池(再)

2017-03-01 14:05:51 | 愛知県
2017年2月25日 蒲郡調整池(再)
 
蒲郡調整池は愛知県蒲郡市にあるロックフィルダムで、灌漑用溜池の豊岡池を東海農政局の事業で再開発し、1996年(平成8年)に蒲郡調整池(再)として生まれ変わりました。
豊川用水の西部幹線水路の調整池となっており現在は水資源機構豊川用水総合事業部が管理を行っています。
豊川用水西部幹線水路から取水した水を貯留し、蒲郡市周辺に灌漑用水と上水道用水を供給しています。
 
豊川用水の概要(水資源機構豊川用水総合事業部ホームページより)
 
ダム湖は旧溜池の名前を継承し『とよおか湖』と命名されています。
堤体直下は『とよおか湖公園』として整備され地域の住民や子供たちの憩いの場となっています。
 
堤体下流から
水資源機構のダムらしく堤体には『とよおか湖』の銘板が設置されています
右岸(向かって左)に洪水吐導流部があります。
 
堤体直下には遊具が設置され、晴天の休日ということで多くの親子連れが遊んでいました。
 
左岸から下流面
階段で天端まで上がることができます。
 
天端は歩行者通行可能。
 
天端から
堤体直下は芝生の運動場、すぐ先に三河湾が望めます。
 
天端は渥美半島、知多半島から遠く伊勢まで遠望できる展望台です。
 
右岸洪水吐と管理事務所。
 
 
管理事務所の屋上に上ることができ、ここからも三河湾を望むことができます。
 
斜樋。
 
地域の住民や子供たちの憩いの場になっており、『住民に愛されているダム』です。
さらに海が見えるダムは数々ありますが、ここからの三河湾の眺めは全国屈指の眺望です。

1211 豊岡池(元)
愛知県蒲郡市豊岡町
西田川水系山林川
18メートル
110メートル
100千㎥/100千㎥
1950年
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3000 蒲郡調整池(再)(0840)
愛知県蒲郡市豊岡町
西田川水系山林川
AW
43.2メートル
178メートル
612千㎥/500千㎥
水資源機構
1996年再開発竣工

駒場池

2017-02-28 23:04:02 | 愛知県
2017年2月25日 駒場池
 
駒場で『こまんば』と読みます。
駒場池は愛知県豊川市にあるアースダムで、豊川用水の西部幹線水路の調整池として愛知用水公団(現水資源機構)により1968年(昭和43年)に建設され、現在は水資源機構豊川用水総合事業部が管理を行っています。
豊川用水西部幹線水路から取水した水を貯留し、豊川市・蒲郡市に灌漑用水・上水道用水・工業用水の供給を行っています。
 
豊川用水の概要(水資源機構豊川用水総合事業部ホームページより)
 
 
駒場池は県道377号線沿いにありますが、豊川浄水場が隣接しているためか規制が厳しくダムの堤体への立ち入りはできません。
ダム管理道路入口も施錠されここから下流面を遠望するのみです。
 
ズームアップ
水資源機構のアースダムでよくみられるダム名の植栽はないようです。
 
上流面
堤体の奥に浄水場のタンクが見えます。
 
取水塔。
 
斜樋のようにも見えますがインクラインかも?
 
インレット
豊川用水西幹線水路からの流入部
現在工事中です。
 
インレットを上流から。
 
同じ豊川用水の調整池である万場調整池や大原調整池に比べてガードが厳しく敷地外から撮影するのみでした。
 
1226 駒場池(0839)
愛知県豊川市平尾町
北緯34度51分29秒,東経137度20分11秒
DamMaps
豊川水系豊川
AWI
24.6メートル
187.5メートル
900千㎥/800千㎥
水資源機構
1968年


長篠堰堤

2017-02-28 18:23:58 | 愛知県
2017年2月25日 長篠堰堤
 
長篠堰堤は愛知県新城市の豊川本流にある中部電力の発電用取水堰堤で、1912年(明治45年)に福沢桃介率いる豊橋電気によって長篠発電所の取水堰として建設されました。
その後は名古屋電灯⇒東邦電力⇒中部電力(現在の中部電力とは別会社)⇒東邦電力⇒中部配電を経て戦後の電力分割民営化により中部電力が事業を継承しています。
現在も長篠発電所で最大760キロワットの発電を行い発電した電力は主としてJR飯田線へ送電されています。
長篠堰堤は堤高8メートルと河川法上のダムの要件を満たしていませんが、秋田県の藤倉堰堤、大分県の白水堰堤とともに日本三大美堰堤とされダム便覧に参考掲載されています。
またその歴史的、技術的価値から近代土木遺産にも指定されています。
 
長篠発電所は発電機を水車から離れた上部に設置し長いシャフトで連結するナイアガラ方式をとっています。一方で取水堰の長篠堰堤も『愛知のナイアガラ』と呼ばれていますが、それは発電方式によるものではなく堰堤から取水口に至る長い導水路を越流する水の様があたかもナイアガラの谷のように見えることに由来しています。
 
国道151号線の有海交差点を左折して国道257号に入り県道21号分岐から豊川右岸側(西側)の旧道を北上するとすぐに花の木公園釣堀センターに到着します。
右手の釣堀の先が長篠堰堤ですが地元では花の木ダムとも呼ばれているようです。
 
取水堰堤から取水口に至る導水路から越流する水
この越流が愛知のナイアガラと呼ばれる所以です。
 
同じ導水路をスローシャッターで。
 
堰堤部分。
 
堰堤中央の赤いトラスで鉄板を支え止水しており、両岸は余水が自由越流しています。
訪問時は水量が多いせいか迫力ある越流が見れました。
 
 
堤頂部は立入禁止。
 
 
下流からみた導水路の越流。
 
スローシャッターで。
 
取水口部分
写真は雨水用のゲートで、この奥に取水ゲートがあります。
ここから720メートルのトンネルで長篠発電所に送水されます。
 
素晴らしい晴天、おまけに水量も豊富で堰堤、導水路ともに迫力ある越流を見ることができました。

S505 長篠堰堤(0838)
愛知県新城市横川
豊川水系豊川
8メートル
25.4メートル
中部電力(株)
1912年