ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

二風谷ダム

2021-08-20 17:00:21 | 北海道
2021年7月20日 二風谷ダム 
 
二風谷ダムは北海道沙流郡平取町二風谷の一級河川沙流川本流にある国土交通省が管理する多目的ダムで型式は重力式コンクリートダムです。
沙流川は日高地方有数の大河川ですが、過去より洪水被害が絶えませんでした。
一方苫小牧市、安平町、厚真町にまたがる湧払平野では1972年(昭和47年)に国家的大規模開発プロジェクトである『苫小牧東部開発計画』が着手され、同地域への工業用水源確保が求められていました。
これを受け建設省(現国土交通省)は沙流川の治水及び苫東工業地帯への利水供給等を主目的とした『沙流川総合開発事業』を採択、沙流川本流および支流の額平川への2基のダム建設事業が着手されます。
このうち二風谷ダムについてはダム建設地点がアイヌ民族の聖地とされる場所だったこともあり事業差し止めをめぐる行政裁判等反対運動が長引きましたが、1997年(平成9年)に竣工、翌1998年(平成10年)より運用が開始されました。
さらに2022年(令和4年)に平取ダムの運用が始まったことで両ダム連携した柔軟な運用が可能となりました。
二風谷ダムは国土交通省北海道開発局が直轄管理する特定多目的ダムで、平取ダムとの相互作用による沙流川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定利水への補給、沙流川流域2350ヘクタールの農地への灌漑用水の供給、平取ダムとの相互運用による平取町・門別町への上水道用水の供給、苫小牧東部工業地帯への工業用水の供給、ほくでんエコエナジー(株)二風谷発電所での最大3000キロワットのダム式発電を目的としています。
 
苫小牧東部工業地帯への利水供給を主目的として建設された二風谷ダムですが、バブル崩壊後の景気低迷などにより利水需要は計画を大きく下回り水余り状態となりました。
一方2003年(平成15年)台風10号(日高豪雨)などの集中豪雨による山体崩壊や洪水に影響で当初想定を超える土砂堆積が進み、運用開始当初550万立米だった堆砂容量を利水容量の振り替えにより1430万立米に拡大させる異例の事態となりました。
他方、堆砂進行後のダム運用や魚道を通じた魚類の遡上については相応の効果が認められ、これらは平取ダム建設の際にフィードバックされています。
 
二風谷ダムは西欧のダムを彷彿とさせる独特のデザインが採用されマニアには人気のダムです。
またアイヌ民族の聖地をめぐる反対運動もあったことなどから、アイヌの歴史を紹介する沙流川歴史館やアイヌの城郭跡を保存した『チャシ公園』などが整備され、こうした点を評価され日本ダム協会による『日本100ダム』に選定されています。
 
右岸高台から
デザインのみならずゲート配置も独特。
向こう側(左岸)から
左岸クレストゲート5門、オリフィスゲート7門、右岸クレストゲート1門、魚道ゲート1門、利水ゲート1門の順に並んでいます。

 
天端は徒歩のみ開放されています。
こちらは左岸クレストゲート。

 
これはクレストゲートの減勢工、右手はオリフィスの減勢工になります。 

 
オリフィスゲート
カラフルなアパートのようです。

 
ダム湖の二風谷湖
総貯水容量3150万立米ですが、写真で見てもわかるように堆砂が進み2016年(平成28年)現在で堆砂量は1239万立米にも及びます。
苫小牧東部工業地帯向け利水需要が計画を大きく下回っていることもあり、利水容量からの振り替えにより堆砂容量は当初の550万立米から1430万立米に変更されました。

 
魚道ゲート
ダム湖の水位変動にあわせて自動で上下に動くスイングシュート式で、ダム湖側の入り口が魚が通りやすい適当な高さになるようになっています。


 
手前の赤いゲートが右岸クレストゲート。

ほくでんエコエナジー(株)二風谷発電所
利水放流を利用して最大3000キロワットのダム式発電を行います。

 
竣工記念碑。

 
上流面
左から左岸クレストゲート、オリフィスゲート、右岸クレストゲート、魚道ゲート、利水ゲート。 
 
赤いゲートが右岸クレストゲート、右隣が魚道ゲート、さらに右手が利水ゲートで発電所の取水ゲートを兼ねています。

0149 平取ダム
北海道沙流郡平取町二風谷
沙流川水系沙流川
FNAWIP
32メートル
550メートル
31500千㎥/26000千㎥
国土交通省北海道開発局
2021年

岩知志ダム

2021-08-17 12:38:55 | 北海道
2021年7月20日 岩知志ダム
 
岩知志ダムは北海道沙流郡日高町三岩の一級河川沙流川本流にある北海道電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した北海道電力(株)は戦後の電力不足に対処するため各所で電源開発を進めます。
1958年(昭和33年)に完成した岩知志ダムもその一つで、ここで取水された水は岩知志発電所に導水され最大1万3500キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
ダム直下に国道237号景勝橋が架かりダムと正対できます。
ラジアルゲート3門を装備したいかにも発電ダムと言った体。
 
ゲートは紫に近い朱色。
 
ゲート部分をズームアップ
左岸(向かって右)1門だけゲート形状や色が異なります。
一方右岸2門はゲート上部に切れ込みがあります。
 
右岸ダムサイトからも見学できます。
左岸の取水口。
 
上流面
かつてはピアは被覆されていたようですが、今は巻き上げ機がむき出し。
 
 
ダム直下の左岸が大きく崩落しています。
2019年(平成31年)の胆振東部地震によるものと思われますが、大丈夫なんでしょうか?
 
水利使用標識。
 
(追記)
岩知志ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0051 岩知志ダム(1687)
北海道沙流郡日高町三岩
沙流川水系沙流川
33メートル
92.2メートル
5040千㎥/560千㎥
北海道電力(株)
1958年
◎治水協定が締結されたダム

美生ダム

2021-08-17 12:30:30 | 北海道
2021年7月20日 美生ダム
 
美生(びせい)ダムは北海道河西郡芽室町伏見の十勝川水系美生川にある灌漑目的の重力式コンクリート・フィル複合(フィルコンバインド)ダムです。
十勝平野中央部に位置する芽室地区は大規模な畑作・酪農が展開されていますが、灌漑期の降水量が少ない上にかんがい施設も未整備で、用水不足が恒常化していました。
1981年(昭和56年)に北海道開発局農水部による国営かんがい排水事業芽室地区が着手されその灌漑用水源として1999年(平成11年)に竣工したのが美生ダムです。
運用開始後は芽室町が管理を受託、かんがい排水事業全体も2007年(平成19年)に竣工し、約1万2000ヘクタールの畑地に灌漑用水を供給しています。
ダムは地質上の理由によりフィルコンバインド型式が採用され、右岸がセンターコアロックフィルダム、左岸が重力式コンクリートダムとなっています。
 
芽室町上美生から美生川沿いの林道を約10キロ西進すると美生ダムに到着します。
ダム下への管理道路は進入禁止、ダムも右岸入り口にゲートがあり立ち入りできません。
 
ただし、右岸高台からダムや管理事務所、ダム湖などを見ることができます。
堤体は右岸側がロックフィル、左岸が重力式コンクリートのフィルコンバインドダムで堤頂長は350メートル。
 
堤体をズームアップ。
万一の堤体越流に備え、フィル部分の決壊防止のため重力式コンクリート部分の堤高が低くなっています。
 
洒落たデザインの管理事務所。
 
コンクリート部はクレスト自由越流頂6門を備え堤高は47.2メートル
ゲート右岸側に取水設備があります。
 
 
左手の建屋は艇庫でダム湖側にインクラインがあるようです。
 
美生ダムの説明板
文字が剥げて全く読めません。
 
山中深くにありますが総貯水容量は940万立米とかなりのスケールで1万ヘクタールを超える広大な畑地の水源となっています。

0137 美生ダム(1686)
北海道河西郡芽室町伏見
十勝川水系美生川
GF
47.2メートル
350メートル
9400千㎥/6000千㎥
芽室町
1999年

幕別ダム

2021-08-17 12:01:51 | 北海道
2021年7月20日 幕別ダム
 
幕別ダムは北海道中川郡幕別町日進の十勝川水系稲士別川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
十勝川右岸の低平地に位置する幕別地区では広く畑作が展開されていますが、灌漑期の降水量が少ない上に灌漑施設の老朽化が進み用水不足が恒常化していました。 
1983年(昭和58年)に北海道開発局農水部による国営かんがい排水事業幕別地区が着手され、その灌漑用水源として2004年(平成16年)に竣工したのが幕別ダムです。
運用開始後は幕別町が管理を受託、かんがい排水事業全体も2009年(平成21年)に竣工し、現在は約1000ヘクタールの畑地へ灌漑用水が供給されています。
 
ダム下は立ち入り禁止
堤高26.9メートル、堤頂長335メートルと北海道らしい横長ダムです。
 
貯水池左岸に斜樋があり、そこからの水路が伸びています。
 
堤体左岸中段のこの建物は放流設備と思われます。
 
天端も立ち入り禁止。
ダムはここから遠望するのみ。
 
左岸に艇庫と取水設備を兼ねた建屋がありインクラインと斜樋が並んでいます。
 
こちらは右岸の管理事務所
隣に国営幕別かんがい排水事業の説明板がありますが、さすがに文字は読み取れません。
 
グーグルの空撮写真を見るとなかなかきれいなアースダムですが、これだけガードが堅いと手も足も出ません。

0150 幕別ダム(1685)
北海道中川郡幕別町日進
十勝川水系稲士別川
26.9メートル
335メートル
2300千㎥/2000千㎥
幕別町
2004年

西札内ダム

2021-08-17 11:51:28 | 北海道
2021年7月19日 西札内ダム
 
西札内ダムは北海道河西郡中札内村新札内南の十勝川水系札内川左支流ヌプカクショナイ川にある農地防災目的のアースフィルダムです。
ヌプカクシュナイ川と札内川合流地点下流域では融雪期や豪雨時に洪水被害が多発し流域の農地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで北海道は1979年(昭和54年)に農水省の補助を受けた防災ダム事業に着手、1994年(平成6年)に竣工したのが西札内ダムです。
 
ダム建設に合わせて周辺の環境整備が進められ、ダム下は桜公園として開放されています。
堤高21メートル、堤頂長184メートルの横長ダムで、クレスト自由越流頂3門、自然調節式オリフィス1門を擁しています。
 
芝が刈られたばかりのダム下は開放感たっぷり。
時間に余裕があればお弁当でも広げてのんびりくつろぎたいところです。
 
ダム下に建つアイヌ人サツナイ族の祖の銅像。
 
ダム周辺の案内板。
 
下流面。
 
かなり木が邪魔する上流面の眺め
赤いゲージはオリフィスゲート。
 
天端からの眺め
減勢工には副ダムが設置されています。
小さな公園ですがきれいに整備され気持ちのいいスペース。
 
総貯水容量94万6000立米の貯水池。
ダムの目的は農地防災のFだけなのでこれでダム最低水位。溜まっている水は堆砂容量分となります。
 
オリフィスの操作バルブ。
 
下流面。
 
天端と管理事務所
管理事務所の屋上は展望台になっていますが、木が茂り眺めはよくありません。
 
ダム北側の山頂には一本木展望タワーがありますが、ここからも木が茂りダムを見ることはできません。

0160 西札内ダム (1684)
北海道河西郡中札内村新札内南
十勝川水系ヌプカクショナイ川
21メートル
184メートル
946千㎥/773千㎥
中札内村
1994年

札内川ダム

2021-08-17 11:40:31 | 北海道
2021年7月19日 札内川ダム 
 
札内川ダムは北海道河西郡中札内村南札内の十勝川水系札内川にある多目的重力式コンクリートダムです。
札内川は十勝川の主要支流で十勝平野を南北に縦断し農業王国十勝を支える重要河川ですが、渇水や洪水被害が多く抜本的洪水対策や利水対策が望まれていました。
1981年に当地への多目的ダム建設が決定し、1988年(平成元)より本体工事が着手され1998年(平成10年)に札内川ダムが竣工しました。
ダム建設地点が日高山脈襟裳国定公園内に位置することから、建設工事は自然改変を抑制し自然環境の保全に配慮した形で行われました。
また積雪により当期の工事が抑制されることから、工期の短縮が可能なRCD工法が採用されました。
札内川ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、札内川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、札内川沿岸農地約2万ヘクタールへの灌漑用水の供給、十勝中部広域水道企業団を通じ1市4町2村の人口約33万人への上水道用水の供給、電源開発(株)札内川ダム発電所での最大8000キロワットのダム式水力発電を目的としています。
 
中札内中心部から札内川沿いに道道111号線を西進すると札内川ダムに到着します。
国交省直轄ダムらしく、ダム下は『ダム下流公園』として整備されています。
下流から正対
クレスト自由越流頂6門、自然調節式オリフィスは非洪水期ゲート2門、洪水期ゲート1門
ゲートレスダムですがオリフィス部分が凝ったデザインになっており大量生産ダムとは一線を隔しています。
 
オリフィスをズームアップ
上段2門は非洪水期ゲート、下段1門は洪水期ゲートですが、穴が三つでシュミラクラ現象により顔にも見えちゃいます。
一方操作室は円形の前面に窓が配置されこちらはロボットの頭にも見えます。
 
 
右岸から
堤高114メートル、堤頂長300メートルと横長ダムの多い北海道の中では数少ない高さを感じられるダムです。
 
 
上流面。
 
天端から
ダム下はダム下流公園として開放されていますが、最近はクマの出没が増え常にクマ避けの放送が流されています。
右岸ダム下の建屋は放流設備と電源開発札内川発電所。
 
手前は放流設備、奥が札内川発電所。
 
とかちリュウタン湖と命名されたダム湖は総貯水容量5400万立米。
空撮すると竜のように見えることからこの名がつけられました。
上流には日高の名峰カムイエクウチカウシが控えますがダムから見ることはできません。
 
左岸に管理事務所と資料館があり、管理事務所からインクラインが伸びます。
天端は車両通行可能。
 
ダム湖畔に道路がないため上流面はこれが精いっぱい。
 
 
(追記)
札内川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0173 札内川ダム(1683)
北海道河西郡中札内村南札内
十勝川水系札内川
FNAWP
114メートル
300メートル
54000千㎥/42000千㎥
国土交通省北海道開発局
1998年
◎治水協定が締結されたダム

佐幌ダム(元)

2021-08-17 11:17:34 | 北海道
2021年7月19日 佐幌ダム(元)
 
佐幌ダム(元)は北海道上川郡新得町新内の十勝川水系佐幌川にある北海道建設部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1962年(昭和37年)8月の台風9号による甚大な洪水被害を契機に佐幌川の河川整備が進められ、治水対策をより盤石とするために当地への治水専用ダム建設が決定しました。
佐幌ダム(元)は建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、佐幌川の洪水調節を目的として1984年(昭和59年)に竣工しました。
また河川維持放流を利用して管理用発電を行っています。
 
2016年の平成28年8月豪雨により佐幌川流域では多大な洪水被害が発生しました。
これを受け2019年(令和元年)に『佐幌ダム再生事業』が採択され、当ダムの再開発が決定しました。
具体的には堤高を2.9メートル嵩上げして49.5メートルとし、総貯水容量は1200万立米(+160万立米)、有効貯水容量は960万立米(+160万立米)とすることで、治水能力の増強を図ることを目的として2032年(令和14年)の竣工を目指しています。
 
ダム下から
クレスト自由越流頂は6門
自由越流頂と自然調節式オリフィスが横に並ぶ珍しい形状です。
 
オリフィスゲートをズームアップ。
ゲート上部に操作建屋を配置した縦長構造。
下には低水放流設備であるジェットフローゲートがあります。
 
上流面。
 
右岸の竣工記念碑。
 
ダムの説明板。
 
天端は車両通行可。
 
クレスト自由越流頂とオリフィスが横並になっているため減勢工も独特の形状
手前の草付きはクレスト自由越流頂の減勢工。
 
ダム下には管理用発電所を挟み二本の洪水吐導流部が伸びます。
右手はクレスト自由越流頂及び河川維持放流を利用した管理用発電所からの放流路
左手はオリフィス及びジェットフローゲートの減勢工。
 
貯水池はサホロ湖で総貯水容量1040万立米。
治水専用ダムですが、堆砂容量240万立米分が貯留されています。
 
左岸から
訪問時、再開発に向けた堤体の強度調査工事が行われていました。

0111 佐幌ダム(元)(1682)
北海道上川郡新得町新内
十勝川水系佐幌川
46.6メートル
255メートル
10400千㎥/8000千㎥
北海道建設部
1984年
------------
3709 佐幌ダム(再)
北海道上川郡新得町新内
十勝川水系佐幌川
49.5メートル
260メートル
12000千㎥/9600千㎥
北海道建設部
2019年~

十勝ダム

2021-08-17 11:04:11 | 北海道
2021年7月19日 十勝ダム 
 
十勝ダムは北海道上川郡新得町屈足の一級河川十勝川本流上流部にある多目的ロックフィルダムです。
十勝川は十勝平野全域に本支流を毛細血管のように張り巡らし農業王国十勝を支える重要河川ですが、洪水被害も多くその治水・利水対策は十勝の長年の悲願でもありました。
1962年(昭和37年)8月の台風9号による甚大な被害を契機に『十勝川水系工事実施基本計画』が採択され当地へのダム建設事業が着手され1984年(昭和59年)に十勝ダムが竣工しました。
十勝ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、十勝川の洪水調節(最大毎秒1450立米の洪水カット)、北海道電力十勝発電所での最大4万キロワットのダム式発電を目的としています。

ダム下は十勝ダムキャンプ場できれいな芝生の広場になっていますが、トイレや水道施設が貧弱でキャンパーの利用はあまりなさそう。
木が伸びて堤体を一望することはできません。
 
左岸ダム下の常用洪水吐からの放流口。
 
右岸の非常用洪水吐はラジアルゲート2門を装備
ここから見上げると堤高84.3メートルの高さを実感できます。
 
 
北海道電力十勝発電所と放流路
最大4万キロワットのダム式水力発電を行います。
 
右岸から下流面
北海道のロックフィルダムはリップラップに芝が張られたものが多いのですが、ここはロック材がむき出し。
 
洪水吐から
バップルピアと背の高いエンドシルを装備
上から3枚目の写真は下流の橋から撮りました。
 
ラッパのように大きく開いた洪水吐の導流堤
奥は十勝発電所の取水塔。
 
堤頂長は443メートルあり、天端は道道718号が通ります。
 
東大雪湖と命名されたダム湖は総貯水容量1億1200万立米
ダム右岸(手前)に十勝発電所の取水塔、左岸(奥)に常用洪水吐の取水塔があります。
 
ロックフィルの断面を模した記念碑。
 
左岸の常用洪水吐とインクライン。
 
(追記)
十勝ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0112 十勝ダム(1681)
北海道上川郡新得町屈足
十勝川水系十勝川
FP
84.3メートル
443メートル
112000千㎥/88000千㎥
国交省北海道開発局
1984年
◎治水協定が締結されたダム

元小屋ダム

2021-08-17 10:54:40 | 北海道
2021年7月19日 元小屋ダム
 
元小屋ダムは北海道河東郡上士幌町黒石平の十勝川水系音更川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により新たに北海道電力が誕生しますが、包蔵電力豊富な北海道の電源開発を同社のみで行うのは不可能で、公営発電である北海道企業局や半官半民の電源開発(株)による電源開発が併せて進められました。
電源開発(株)は十勝川支流の音更川や利別川での電源開発に注力、1956年(昭和31年)に音更川上流部に糠平ダム・発電所(最大出力4万2000キロワット)を完成させます。
そして4年後の1960年(昭和35年)に糠平ダム下流5キロ地点に建設されたのが元小屋ダムです。
元小屋ダムは糠平発電所の出力調整に伴う水位変動を緩和するための逆調整池に加え、ここで取水された十勝川水系美里別川にある芽登第1・第2発電所に導水され計5万5500キロワットのダム水力発電に供されます。
元小屋ダムの完成により糠平ダムの2億立米弱の巨大な貯水池のより効率的運用が可能となりました。
 
残念ながら元小屋ダムは一般開放されておらず、その姿を目にすることはできません。
国道273号線沿いの元小屋ダムへの管理道路入り口に立つダムの看板。
 
元小屋へ通じる道路の厳重なゲート。
 
(追記)
元小屋ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0056 元小屋ダム
北海道河東郡上士幌町黒石平
十勝川水系音更川
32メートル
86メートル
2610千㎥/798千㎥
電源開発(株)
1960年
◎治水協定が締結されたダム

糠平ダム

2021-08-13 14:06:02 | 北海道
2021年7月19日 糠平ダム
 
糠平ダムは北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷の十勝川水系音更川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により新たに北海道電力が誕生しますが、包蔵電力豊富な北海道の電源開発を同社のみで行うのは不可能で、公営発電である北海道企業局や半官半民の電源開発(株)による電源開発が併せて進められました。
電源開発(株)は十勝川支流の音更川や利別川での電源開発に注力し、1956年(昭和31年)に同社として北海道2番目のダムとして完成したのが糠平ダムです。
ここで取水された水は糠平発電所に導水され最大4万2000キロワットのダム水路式発電を行います。
さらに1960年(昭和35年)には糠平ダム下流5キロ地点に元小屋ダムが完成し、糠平発電所の放流水を流域変更して美里別川にある芽登第1・第2発電所に送り計5万5500キロワットのダム水力発電に供され、糠平ダムの巨大な貯水容量のより効率的運用が可能となりました。
現在電源開発(株)は計7基の発電所を十勝川水系に建設し、計18万キロワットを超える発電能力を持つに至っています。
なお糠平ダムは2021年(令和3年)に土木学会選奨土木遺産に選ばれました。
 
糠平ダム直下に国道273号線糠平大橋が架かりダムと正対できます。
広角レンズでダムと糠平大橋をワンフレームに。
 
糠平大橋はかなり高い位置にあるので、通常とは異なる位置でダムを眺めることができます。
 
北海道の厳冬に耐えるためか重厚感あふれる堤体。
1950年代のダムらしく直線状の導流壁は田子倉奥只見を彷彿させます。
導流部中段の穴は排砂ゲートでしょうか?
 
3門のクレストラジアルゲート。
 
ダム右岸に駐車場があります。
音更川の電源開発のダムの説明板。
 
上流面
ゲート両側の建屋が管理事務所を兼ねています。
 
糠平発電所の取水口
1950年代らしく大掛かりな設備です。
 
天端はゲート部分だけわずかに上流側にクランクしています。
 
天端からの眺め
正面が糠平大橋。
 
天端上流側の円形のバルコニー
昭和20~30年ごろの発電ダムでよく見られる作り。
 
ダム湖の糠平湖
湛水面積822ヘクタールは日本13位、北海道4位
総貯水容量1億9390万立米は日本19位、北海道4位。
 
佐久間田子倉奥只見など同時期建設された電源開発の巨大ダムに比べればスケールでは及ばないものの、糠平大橋の眺めや周辺の豊かな自然環境などトータルで見た魅力はそれらのダムに勝るとも劣ることはありません。
 
(追記)
糠平ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0047 糠平ダム(1680)
北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷
十勝川水系音更川
76メートル
293メートル
193900千㎥/160500千㎥
電源開発(株)
1956年
◎治水協定が締結されたダム

糠南ダム

2021-08-13 01:44:48 | 北海道
2021年7月19日 糠南ダム
 
糠南ダムは北海道足寄郡足寄町芽登の十勝川水系ヌカナン川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリート・フィル複合(フィルコンバインド)ダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により新たに北海道電力が誕生しますが、包蔵電力豊富な北海道の電源開発を同社のみで行うのは不可能で、公営発電である北海道企業局や半官半民の電源開発(株)による電源開発が併せて進められました。
電源開発(株)は十勝川支流の音更川や利別川での電源開発に注力し1960年(昭和35年)に完成したのが糠南ダムです。
ヌカナン川に加えて美里別川状上流のビリベツ取水堰で取水された水がここに貯留されたのち、芽登第一発電所・第二発電所に導水され計最大5万5500キロワットの発電に供されます。
 
道道88号線から芽登温泉の案内板に従ってダートの林道を西進、温泉への道を分けるとすぐに糠南ダムに到着します。
天端は立ち入り禁止。
 
下流面
ダムの右岸はフィルダムですが、ロックなのかアースなのか区別がつきません。
 
天端と上流面。
 
水利使用標識。
 
実はダムの下流50メートルほどに山道があり、ここを辿るとダム下まで行けます。この道に特に規制はありません。
下流面が間近に見れます。 
 
フィルダム基部の丸石積みの擁壁。
これを見る限りアースフィルダムのようです。
 
左岸の重力式コンクリート部。
自由越流頂余水吐1門と、土砂吐1門を装備。
 
ズームアップ
土砂吐の奥にはスライドゲートがあるようです。
 
土砂吐ですが、いまは河川維持放流ゲートとして使われています。
 
ダム近くにある芽登温泉は山中の秘湯として人気が高いようです。
 (追記)
糠南ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0055 糠南ダム(1679) 
北海道足寄郡足寄町芽登 
十勝川水系ヌカナン川 
 
GF 
183.6メートル 
312.5メートル 
665千㎥/510千㎥ 
電源開発(株) 
1960年 
◎治水協定が締結されたダム 

活込ダム

2021-08-12 13:33:51 | 北海道
2021年7月19日 活込ダム
 
活込ダムは北海道中川郡本別町美里別の十勝川水系美里別川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により新たに北海道電力が誕生しますが、包蔵電力豊富な北海道の電源開発を同社のみで行うのは不可能で、公営発電である北海道企業局や半官半民の電源開発(株)による電源開発が併せて進められました。
電源開発(株)は十勝川支流の音更川や利別川での電源開発に注力し1955年(昭和30年)に同社として北海道初のダムとして完成したのが活込ダムです。
ここで取水された水は約5.2キロの導水路で足寄発電所に送られ最大4万キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
活込ダムは天端のみ開放されています。
右岸から。
 
ダム上流面の河川維持放流用取水ゲート
河川法改正により維持放流が義務化されたのに対応して後付けされました。
 
河川維持用の放流設備
いかにも後付けというのが見て取れます。
 
ラジアルゲートを2門装備。
こちらは右岸側の導流部と維持維持放流用設備。
 
左岸の導流部
ゲートが開放されています。
 
足寄湖と命名されたダム湖
総貯水容量1741万立米。
 
天端は車両通行可能で、昭和20年代設計のダムらしくゲート部分がクランクしています。
 
 
ダム湖左岸にある取水設備。
ここから足寄発電所に導水されます。
 
水利使用標識。
 
(追記)
活込ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0046 活込ダム(1678)
北海道中川郡本別町美里別
十勝川水系美里別川
34メートル
185メートル
17410千㎥/8530千㎥
電源開発(株)
1955年
◎治水協定が締結されたダム

屈足ダム

2021-08-12 01:20:35 | 北海道
2021年7月18日 屈足ダム
 
屈足ダムは北海道上川郡新得町屈足の一級河川十勝川本流上流部にある国交省北海道開発局農水部と電源開発(株)が共同管理する灌漑・発電目的のロックフィルダムです。
1984年(昭和59年)に着工された北海道開発局農水部による国営十勝川左岸かんがい排水事業に発電事業者として電源開発(株)が事業参加し、1988年(平成元年)に竣工しました。
ここで取水された水は約6.3キロの導水路で熊牛発電所に送られ最大1万5400キロワットのダム水路式発電を行うほか、2015年(平成27年)には河川維持放流を利用して最大470キロワットの小水力発電を行うくったり発電所が完成しました。
灌漑については、清水町・芽室町・音更町・帯広市にまたがる十勝川左岸のやく6000ヘクタール超の農地に灌漑用水を供給しています。
また1994年(平成6年)にダムとしては初めてグッドデザイン賞を受賞しました。
 
せっかくのグッドデザイン受賞ダムですが、残念ながら天端を始めダムの敷地は立ち入り禁止。
 
ロックフィルダムですが、凍上対策として芝が張られています。
 
天端も立ち入り禁止。
 
 
上流面はロック材で護岸。
 
ゲートをズームアップ。
『宇宙戦争』に出てくる火星人のようなゲートピアですがグッドデザイン賞を受賞するほどのものとは思えません。
25年前には斬新だったのか?
 
ダムの説明板。
 
小水力発電所であるくったり発電所の説明板。
 
(追記)
屈足ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2912 屈足ダム(1677)
北海道上川郡新得町屈足
十勝川水系十勝川
AP
27.5メートル
220.1メートル
3130千㎥/844千㎥
電源開発(株)・国交省北海道開発局農水部
1988年
◎治水協定が締結されたダム

岩松ダム

2021-08-11 12:57:00 | 北海道
2021年7月18日 岩松ダム
 
岩松ダムは北海道上川郡新得町屈足の一級河川十勝川本流にある北海道電力(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
1939年(昭和14年)に誕生した日本発送電は、戦時色が濃くなる中全国各地で電源開発を進めます。
岩松ダムもそんなダムの一つで1941年(昭和16年)に完成し、ここで取水された水は岩松発電所に導水され最大1万5000キロワットのダム水路式発電を行っていました。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により岩松ダムおよび発電所は北海道電力が事業を継承します。
2016年(平成28年)に老朽化した岩松発電所に変わり新岩松発電所が稼働し、出力も1万6000キロワットに増強されました。
岩松ダムは戦時中の貴重な土木遺産として2019年(令和元年)に土木学会選奨土木遺産に選定されました。
 
岩松ダムは十勝清水とトムラウシ温泉を結ぶ道道718号線沿いにあります。
ダム下から
クレストに7門のラジアルゲートが並びいかにも発電ダムと言った風。
 
ゲート部分をズームアップ
ゲートと扶壁は戦後改修工事が施されています。
 
左岸側の排砂ゲート。
 
減勢工
シュート部分の下流に副ダムがあります。
 
天端は立ち入り禁止。 

水利使用標識。 
 
 
右岸の取水口。
 
取水口の除塵装置。
 
ダム湖と上流面
総貯水容量は902万6000立米となかなかのスケール。
 
上流面をズームアップ
夕日を浴びてゲートが金色に輝きます。
寒冷地で結構な積雪があるはずですが、ゲート巻き上げ機は裸のままです。
 
上流から遠望。
 
(追記)
岩松ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0038 岩松ダム(1676)
北海道上川郡新得町屈足 
十勝川水系十勝川
37.2メートル
190.5メートル
9026千㎥/4131千㎥
北海道電力(株)
1941年
◎治水協定が締結されたダム 

幌加ダム

2021-08-11 00:43:48 | 北海道
2021年7月18日 幌加ダム
 
幌加ダムは北海道河東郡上士幌町幌加の十勝川水系幌加川にある電源開発(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により新たに北海道電力が誕生しますが、包蔵電力豊富な北海道の電源開発を同社のみで行うのは不可能で、公営発電である北海道企業局や半官半民の電源開発(株)による電源開発が併せて進められました。
電源開発(株)は十勝川支流の音更川や利別川での電源開発に注力し、1965年(昭和40年)に音更川に建設されたの幌加ダムです。
ここで取水された水は幌加発電所に導水され最大1万キロワットのダム水路式発電に供されます。
 
国道273号線から幌加川沿いの林道を西へ約2.5キロ進むと幌加ダムに到着します。
天端入り口に厳重な門扉がありこの先は立ち入り禁止。
 
幌加ダムの標識。
 
水利使用標識。
 
ロックフィル下流面。
 
天端
堤体は緩やかなアーチ状。
 
右岸の横越流式洪水吐
ダム湖は総貯水容量49万3000立米。
洪水吐の奥からは河川維持放流の水が流れています。
 
ゲート付近にはフェンスがあるため、樹林をかき分けて湖畔へ。
堤体上流面。
 
上流から。
 
取水設備。
 
(追記)
幌加ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0067 幌加ダム(1675)
北海道河東郡上士別町幌加
十勝川水系幌加川
32メートル
135.5メートル
493千㎥/239千㎥
電源開発(株)
1965年
◎治水協定が締結されたダム