ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

南畑ダム(再)

2017-10-11 02:19:22 | 福岡県
2017年9月21日 南畑ダム(再)
 
南畑ダム(再)は福岡県筑紫郡那珂川町五ケ山の那珂川水系那珂川本流上流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
人口規模に対して大河の少ない福岡では慢性的な水不足に悩まされる一方、福岡市中心部を貫流する那珂川の治水が必須の課題となっていました。
そこで福岡県は建設省の補助を受け那珂川上流部への補助多目的ダム建設事業に着手し、1965年(昭和40年)に竣工したのが南畑ダム(元)です。
しかし運用開始後も水不足は解消せずとりわけ1978年(昭和53年)~79年(昭和54年)にかけての渇水では福岡都市圏で実に287日間に及ぶ取水制限が実施される事態に陥ります。
これを受け貯水池掘削による利水容量拡大を目的とした再開発事業が着手され1985年(昭和60年)に南畑ダム(再)が竣工しました。
南畑ダム(再)は那珂川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、那珂川源流部にある福岡市水道局脊振ダムと連携した福岡市水道局への上水道用水の供給を目的とするほか、利水従属発電として九州電力南畑発電所で最大1600キロワットのダム水路式水力発電を行っています。
その後1992年(平成4年)には河川維持放流を利用した小水力発電を行う福岡県企業局ちくし発電所(最大出力550キロワット)が増設されました。
さらに2017年(平成29年)には当ダム上流2キロ地点に新たに五ケ山ダムのが竣工し、福岡県最大の貯水量を誇る同ダムの運用開始により那珂川水系の治水・利水事情は大きく改善しました。
 
国道385号線で筑紫耶馬渓を抜けると南畑ダムに到着します。
ダム手前の分岐を左に採ると筑紫耶馬渓遊歩道入口に出ます。ここに車を置いて上流に向かうと南畑ダムが見えてきます。
非常用洪水吐としてクレストに2門のラジアルゲートがありますがオリフィスやコンジットゲートはありません。
ゲートがクレストゲートだけというのは昭和30~50年代竣工の福岡県営ダムでよく見られるスタイルです。
 
左岸の国道385号線から見た下流面。
 
上流面
取水設備は昭和30年代らしく半円形、奥は管理事務所。
 
上流から遠望。
 
天端とゲート操作室。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
福岡県営ダムではおなじみ、減勢池を備えた放流設備。
河川維持放流以外の水は右上の水路から九州電力南畑発電所送られたのち上水道用水として放流されます。
一方右手の白い建物は1992年に完成した福岡県企業局ちくし発電所。
 
ダム湖は総貯水容量600万立米
訪問時は少雨と上流の五ケ山ダムの試験湛水のため水位がずいぶん低くなっていました。
 
堤体にエレベーターがないため、ダム下への移動にはこのモノレールが使われます。
 
インクラインはなく巡視艇は浮桟橋に係留されています。
 
追記
南渕ダム(再)には洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2414 南畑ダム(元)
福岡県筑紫郡那珂川町五ケ山
DamMaps
那珂川水系那珂川
FNW
 
63.5メートル
220.4メートル
5000千㎥/4560千㎥
福岡県県土整備部
1965年
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2451 南畑ダム(再)(1144)
福岡県筑紫郡那珂川町五ケ山
那珂川水系那珂川
FNWP
 
63.5メートル
220.4メートル
6000千㎥/5560千㎥
福岡県県土整備部
1985年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム


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