時の流れの中に!

少子高齢化の中で高齢者はどう生きて行けば良いのか。

認知症を予防する 母のアイデンティティ

2018-02-08 09:58:18 | 認知症
私は、母に何をしてやれるか、何をすれば喜ぶのかだけを考えていたが、母が何を考え、何をやりたいのか、聞くことも話し合うことも無かった。その当時はあまり気にはしていなかったが、今も蘇る出来事がある。

ある日、母の部屋をのぞくと座卓の上に料理本が3冊乗っていた。すべての本の上部には多くの付箋が見えた。田舎では毎日同じような質素な食事で過ごしてきたが、大きくなった息子には色々な種類の食事を食べさせてやりたい、毎日違う料理を作りたい、料理本を見ていると母の気持ちが伝わってきた。

ある日、二人で夕食を食べている時、母に明日は刺身を食べたいと言った。
翌日の食卓には二つの刺身が並んでいた、それぞれ量が多い、スーパーの刺身はパック詰めのイメージがあったので少し違うと思って、母にどこで買ったと聞いた。母は隣の葛飾区に新鮮な魚を売っている鮮魚店があると、知人から教えてもらって買いに行ったと答えた。海沿いの町に住んでいた母は東京のスーパーで売っている刺身を新鮮だと思っていない。しかしバスに乗ってまで買いに行くとは思わなかった。私はただ、家事の負担を軽くさせてやりたかっただけだったのだが!以降、刺身のリクエストはしていない。

コンピュータ運営の仕事ではトラブルが長引くことがある。帰るのが遅くなりそうなので母に電話をした。「トラブルがあって帰るのが遅くなりそう、先に食事をして寝ても良いから」仕事が片付き0時前に帰宅した。母は食卓のテーブルに顔を埋めうたた寝をしているようだったが、私が部屋に入るとサッと顔を上げて「お帰り」と言った。私は、ただいまも言わず「先に食べて、寝るように言ったやろ」と強い口調で言ってしまった。母に無理をさせたくなかったのだけど、少し言いすぎたと反省しながら気まずいまま食事をした。その後も何回か遅くなった時があったが、母は絶対先に食事をする事はなかった。

母は忙しくしている私を助けたい、炊事、洗濯、掃除等で一日が終わることもあったが、そうした息子の生活の世話をするのが生きがいになっていた。息子に美味しい食事を作りたい。料理本を見て考えながら作っていたのが認知症予防に効果があったと考えています。

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