時の流れの中に!

少子高齢化の中で高齢者はどう生きて行けば良いのか。

認知症を予防する ⑩ 母と暮らす

2017-09-10 13:23:36 | 認知症
帝国劇場の観劇券を渡して一人で行くように言って行き方を説明し

た。押上から都営地下鉄で浅草橋まで行き、JRに乗り換え秋葉原

で、また山手線に乗り換えて有楽町駅で降りる。乗り換えが嫌なら

ば東銀座で降りて有楽町に向かって歩いて行けば良い、ただ歩く距

離が少し長くなると話した。

母は「分かった、行ってみる」と短く答えた。観劇が終わったとの

電話を受け、劇場前まで迎えに行き帰りの途中の有楽町駅近くで

食事をすることにした。食事をしながら母に「どうやってきた!」

と聞いた。

「押上から三田まで行って、三田線に乗り換えて日比谷まで来た」

と想像を超えた返事が返ってきた。

JRを乗らないのは予測できたが、東銀座を乗り越し三田まで行

って乗り換えまでするとは!

確かに日比谷であればJR有楽町よりも歩く距離は短くなるが、

乗り換えまでして遠回りするのは、普通はしないだろう。驚き!

日曜日は二人で健康ランドに行く日と決めている。小岩の湯宴

ランド、両国の江戸遊、お台場の大江戸温泉物語、葛飾区の古

代の湯など週替りで訪れた。よく行くのは小岩の湯宴ランドで

午前中から母ひとりを出かけさせて、夕方、出掛けていた私も

湯宴ランドに向かい、お風呂に入って湯宴ランドの食事処で

食事をして帰ってくる。

ある日、湯宴ランドから帰ってきた時に「二つも買った」と言

ってカーディガンとニットのセータを見せた。「良いじゃない、

どこで買ったの」と聞いた。「金町の店、勧められて二つとも

買ってしまった」最近行くようになりお店の人とも話すように

なったようだ!でも「金町?」小岩に行くのに何故!金町なの

か、金町に行ったことがないので道順が想像できない。

母には小岩への行き方を押上から地下鉄で4駅の浅草橋まで行

き、JR総武線に乗り換え6駅で小岩に着くと教えた。

だが母は向島から都バスで金町行きに乗って終点まで行き、そ

こで小岩行きに乗り換えているようだ。(向島から金町まで

バスの停留所は16で、金町から小岩までは13停留所となっ

ている)

バスに乗ったら誰かが席を譲ってくれるので必ず座れると嬉しそう

に話した。お金が必要なJRは無視、歩く距離が短ければ時間のロ

スは無視、都内は都バスと都営地下鉄で何処へでも行けると母の

徹底ぶりには驚いたが、別に反対する理由にはならないので自由

にさせた。東京の人間は冷たい、他人には無関心だと思っていた

が、老いた母に対しては親切にしてくれているようだ。


※湯宴ランドの食事処前で待ち合わせをして中に入った、席を確保

するために先に歩いた、母は後から遅れてついて来ている。席に座

って待っていると、係りの中年の女性が近寄ってきて小さな声で

「おかあさん、いつもずっと待っているので、もっと早く来てあげ

て」と囁いた。

「えっ!はぁ!」一瞬のことなので言葉にならない。係りの女性は

それだけ言うと離れていった。私と母は他人からみると変なのか、

私は冷たい人間と見られているのか!でも早く来ても一緒に風呂の

入るわけでもないし、一緒に食事をして、一緒に帰るだけで良いと

思っているので、このパターンは変えるつもりはなかった。次に行

った時は、その女性は何も言わなかった。こちらも会釈するだけに

なった。女性の立場から親切心で言われたのだろうが、でもこれは

息子と娘の違いではないだろうか! 
コメント
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