まっしゅ★たわごと

街歩き、建築、音楽、フランス、それに写真の話題を少々

大大阪、パリ化計画の野望!!

2007年10月31日 23時03分46秒 | フランス

この前の土曜日、ブログ仲間のゴリモンさんに誘われて「大大阪モダン建築」という書籍の出版記念の建築ツアーに参加してきた。ツアーの開始に先立って、まず集合場所となった芝川ビルの4階ホールで、この書籍の監修を行ったという建築史家の橋爪紳也氏よりスライドでの説明を受ける。(ずっと、建築を学んできた私にとっては、今まであまり考えてことも無いアプローチからの大阪建築学で、かなり刺激的な内容だった)

 

 

「大阪」が「大大阪」への変貌を遂げる過程や背景、御堂筋の高さ制限の由来に関する逸話、地下鉄御堂筋線や墓苑の計画に見る「未完の大大阪」、中之島の開発秘話、そして、近代建築を愛して止まないのに、決して懐古趣味的でない語り口。

 

更に、話は「ALWAYS三丁目の夕日」に代表されるような「昭和臭」を懐古するものではないもっと他の次元の進歩的な部分に入って行った。それは例えばコンバージョン等の手法を取り入れ近代建築を遺すことで、まち全体を文化的なるものと位置付け、未来への可能性を提案していくというものであった。氏のモダン建築に対する真摯な姿勢に、私は特に感動した。この人は、なかなか話しが上手いと思う。

 

それとは別に私の胸を打ったキーワードは「通天閣・中之島・御堂筋」である。何のことは無い。ただの大阪三点セットである。

 

通天閣というのは凱旋門にエッフェル塔を載せたトンデモ建築であるというのは割と有名な話なんだろうけれど、中之島の開発がパリのシテ島(ノートルダム寺院・パリ市警視庁・サントシャペル等が有る方の島)をモデルにして作られていたということは知らなかった。

 

そして、御堂筋はもちろんパリをはじめとする欧州の大通りをモデルにして作られ、マロニエの木の代わりに東洋の木である銀杏が植えられ、パリの街並を意識して建物の高さを均一にする高さ規制がなされた。ところで、これも知らなかったことなのだが、そもそもこの「高さ制限31m」の規制は「これ以上建てるな」という意図からではなく、鉄筋コンクリートの建物が珍しかった時代に「頑張って31mまで建てよう!」という想いが含まれていたのだという。更に大川(※1)に架かる橋も、大大阪の時代には華麗な装飾が施され、まるでセーヌにかかるアレクサンドル三世橋のようなアーチが幾つも現存しているのである。(※1:正確には堂島川と土佐堀川になるのであろうが、以下全て「大川」と表現することにする)

 

大大阪パリに満ちている!

 

つまり・・・

 

中之島(シテ島)大川(セーヌ川)に架かり、大川(セーヌ川)には難波橋(アレクサンドル三世橋)をはじめとする華麗な装飾を施した幾つもの橋が掛けられ、川のそばから街の中心部を縦断する御堂筋(オペラ大通り)の両脇に建つ歴史的建築物群は大大阪(パリ大改造)の名の元にファサードが同じスカイラインで整えられ、調和が保たれているのである。

 

 

そして、10月22日。芝川ビルの地下一階にとあるベトナム料理の専門店が開店した。その名は「RIVE GAUCHE(リヴ・ゴーシュ)」私は、この店の名を聴いた瞬間、全身に心地良いビリビリが駆け抜けた!

 

このネーミング、超上手いよ!!

 

ベトナムというのは、かつてフランスの植民地だったこともあるので、ベトナム料理店にフランス語名を付するのはそんなにおかしい話でもないのだが、私の感動のツボは他にあった。

 

そこには、まさに大大阪パリ化計画の野望」が渦巻いているのだ。「RIVE GAUCHE」というのは、フランス語で「左岸」のことを言う。左岸とは「川の上流から下流を向いて左手側」のことであり、現にパリのシテ島の南岸にあるサン・ジェルマン界隈を「RIVE GAUCHE(リヴ・ゴーシュ)」と呼ぶのである。だから、大川の左岸に位置する芝川ビルはまさに「リヴ・ゴーシュ!」というわけである。

 

サン・ジェルマンは、かつてパリの文豪たちが集った町。ここは、今でも文化の香りがプンプン匂う町なのである。そして、この芝川ビルも・・・芝川ビルを中心として淀屋橋~船場界隈を中心とする「大大阪モダン建築」群の存在するこの町も、また文化的な町としてこらからも発展を遂げようとしているのである。

 

実は、そんなことを妄想しニヤニヤしながら、まち歩きを楽しんでいた。またいつか、「RIVE GAUCHE」へ行ってみたいものである。

 

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~尖塔と夕景【2】~

2007年10月29日 21時57分34秒 | 夕景

 

 尖塔の

右手に霞む虹色は

ゴーストか?

幻想か?

 

 

まるで

マフラーの如く

 

 

雲を纏う

教会のシルエット

 

 

 そして雲たちは・・・

西洋の

古典的絵画のように

 

 

荒々しく形相を

変化させていくのであった

 

 

それはまさに、

 

 

惚れ惚れするような

荘厳な

夕景であった

 

 

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↓ 

 

 


初めてのシメジと久々の芋焼酎

2007年10月29日 21時45分46秒 | 自然
先週末辺りから急に「キノコが食べたい」という衝動にトリツカレタ私。スーパーで何気に手に取る物はキノコばかり。今夜もエノキを買って帰るも、冷蔵庫にシメジを忍ばせていたのをすっかり忘れていたことに気付く。

というわけで、今夜は「キノコづくし」にしてみた。実は、初めてのシメジである。シメジの袋を自分で開けたのは今夜が初めてなのである。初めての時はいつも料理本を開く。アク抜きは?水洗いは?石づきの処理は?

一通りの知識を頭に入れて調理開始。石づきを包丁で切り取り、手でシメジをバラす。何とも妙な感触である。この作業中に私の中に浮かんできたのは、エヴァンゲリオンで地下の奥深くに囚われていた「足の無い白い巨人」の下半身である。そして、私は思った「このキャラクターは絶対にシメジをモデルにしている!」と・・・。

味噌汁の具にしようと思っていたのであるが全てを鍋に投入するには、かなり多い。これでは、鍋があふれてしまう。普段、味噌汁を作るときは翌日の朝にも食べられるようにと二人分を目安に具を投入するのだけれども、それでも多過ぎる。

というわけで、メインの「にんにく芽と豚肉の炒め物」にシメジの3分の1を分け入れることにした。味噌汁のときもそうなのだが、キノコという食物は今ひとつ火の通り加減がわからない。味噌汁の時は、キノコの香りがいい感じにして来た段階で味噌を投入してみたのだが、炒め物はどうすりゃいいんだ?

なんとなくこんな感じかなというところで、フライパンの火を止めて盛り付けをし、例のごとく記念撮影をしてから食べてみた。なんと言うか、悪くない出来栄えである。もし、何かの間違いがあったとしても、食品として販売されているキノコなので、少々ナマでも大丈夫なんだろなと思う。もし、ダメだったらこの記事が警察の捜査記録に保存されるんだろね、「死因」として(笑)

そんな迷走(冥想)をしながらの料理。そして、今夜は急に焼酎の気分になる。ここ1ヶ月はずっとウイスキーの虜になっていたのだけれども、例年の如く「秋になると焼酎が無性に飲みたくなる」のである。私にとって「焼酎」とは常に「芋のロック」を表す。久々の芋焼酎は美味い!!夏の間は、ずっと敬遠していた焼酎だけれどもやっと美味しい季節になってきた。

「キノコづくし」と「芋焼酎」・・・ここのところ、全く四季を呈さない気候だけれども、気分だけは何だか秋っぽくなってきた。今夜は、そんな秋の晩餐であった。



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昨日の夕景 ~尖塔と夕景【序】~

2007年10月28日 20時18分26秒 | 夕景

 

空を駆ける竜のような雲を見上げ

荘厳な夕景という幻想に心を馳せる

 

 

西の空には教会の尖塔が聳え立つ

 

 

そして、西の丘陵へ陽が落ち行くと

 

 

まるで

西の空から沸き立つように現れる雲は

 

 

やがて、私の妄想を

現実のものへと導くのであった

 

つづく

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今月の自分へのごほうび

2007年10月26日 23時18分42秒 | 音楽
今月は仕事が大変だった。実は、今月だけではない。6月20日以降の建築基準法大改正により建築業界は荒れに荒れまくっている。というわけで、来月で早や6月目に入るのだけれども、いい加減にストレスを感じるようになってきた。まあ、仕事だから仕方がないのだけれども、しかし、何だね・・・国交省さん、一体ナニがやりたいのかよくわからん。



というわけで、昨夜は仕事を早々に切り上げて職場近くのタワレコに直行。予てから欲しいと思っていたアノ方のCDを購入。

DMITRI SHOSTAKOVICH
1:PIANO CONCERTO NO.1
2:CONCERTINO FOR TWO PIANOS
3:PIANO QUINTET

またショスタコかよ!って突っ込まれてるだろうなあ・・・。

ショスタコーヴィチはシンフォニーと管弦楽曲ばかりを好んで聞いていた私にとっては、何気にピアノコンチェルトは食わず嫌いで、ほとんど聞くことがなかったのだけど、つい最近、昼休みにたまたま立ち寄ったHMVのリスニングコーナーで聴いて見たら「超萌え~」だったので、ほとんど直感的に惚れてしまった。

まず、出だしの何と言うか「微妙なシャイさ」が何とも良い。ああ、この距離感はショスタコだなあと思った。そして、途中で交響曲第11番とよく似た物憂げな旋律もいい感じなのである。国内版は12月5日発売予定。今ならタワレコやHMVで輸入版の視聴と1800円前後での購入が可能。興味の有る人はどうぞ。

ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番、ピアノ五重奏曲、他

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「まっしゅ」でググってみると・・・

2007年10月24日 22時58分10秒 | サイバー

ふと、思い立ってGoogleで「まっしゅ」とキーワードを入力して検索してみた。

すると・・・

 

 

もしかして、マッシュ?」と聞かれながらも、筆頭に計上されていた。

もしや!?と思い、gooとYahooでも同様に検索してみる。

 

 

gooはさすがに、私がgooブログユーザーだからなのか、ご丁寧に画像付きで紹介してくれている。「ライバルは『まっしゅマン』さん!」かと思われたが、Yahooでは、

 

 

次点になっていた。これも何かの縁!と言うわけで、勝手にリンクをしてみる。

森産業株式会社【まっしゅROOM】

まっしゅマン

で・・・・最初に気になっていた「もしかして」の「マッシュ」でも検索してみる。

 

 

ここで気になるのは「株式会社マッシュ」。ちょっとロゴがカッコイイので見てみて!それにしても、関連検索の項が気になる。「必殺技」て??

ちなみに、タイトルの「ググって」という言葉をググってみると・・・

 

 

ワタクシ的には「ググる」という言葉は「googleで検索する」という意味で受け取っていたのだけど、今やネット検索全般を表現する言葉になっていることを知った。(もしや、流行に乗り遅れている??)

ところで、今朝のニュースで「広辞苑」が10年ぶりに改定され、およそ1万項目が追加される」ということが紹介されていたが、はたして「ググる」も収録されているのだろうか?ちょっと、興味深いところである。

 

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「大阪まるごとリノベーション」という考え方

2007年10月22日 23時28分48秒 | 都市

 

ゴリモンさんからのお誘いで「大阪まるごとリノベーション」というトークショウを聞きに行った。会場が淀屋橋のEL PONIENTE CARBON(エル・ポニエンテ・カルボン)であるということが、お誘い頂いたときの最大の関心事であった。一昨年まで淀屋橋に勤めていた際、何度も店の前を通り「美味そやなあ~」と思いながら通り過ぎていた店だったからである。

 

 

【ゲスト】
澤田充(商業プロデューサー)
マーキー(ラジオDJ)
橋爪紳也

(ここより下の写真は、帰りにゴリモンさんたちと夜の都会を撮ったもの。本文の内容とは一切脈絡がないのでご了承くだされ)

 

 

この中で私が知っていたのは設計事務所時代に職場で流れていたFM802のDJであるマーキー氏だけで、「あとは誰??」という感じだった。あまり期待しないで行ったのが良かったというわけではない。本当に中身の濃いトークショウだった。無茶苦茶面白かった。

ちなみに、商業プロデューサーの澤田充氏は淀屋橋WESTを作った人である。この界隈の飲食店は質がとても高いなあと思っていたが、そのいずれもがこの方の手によるものであることに驚かされた。個人的には、住友ビル2号館にあった愛蓮というikari系列の中華料理屋さんが好きだった。そして、橋爪伸也氏、ものすごく人当たりのいい人で、大阪を愛する大阪人だった。

 

 

ところで最近、実家のマンションのエントランスに「リノベーション」と書かれたパネルが置かれていて、オープンハウスが催されている。建築を仕事としながら『「リノベーション」って「イノベーション」の親戚?』くらいにしか考えていなかったが、今回のトークで、それが真っ赤な大間違いであることを知った。

 





で、「リフォーム」との違いは何ぞやという話の中で「リノベーション」というのは既存のものを綺麗に改修するだけでなく、より資産価値の高いものに仕上げるということを目的としているらしいということを知った。・・・確かに、実家のマンションも築年数がけっこうするのにも関わらず、相当な値がつけられていたのだから納得である。


 



ただし、昨夜語られたリノベーションは主に建築物の用途変更を伴う改修であった。建築基準法において、この「用途変更」というのはなかなか厄介で、法体系の中で事細かに決められた仕様に合わせないといけないために、現実的に実現が不可能という事例もある。

 

 

しかしながら「まち・ヒト・活性」を考えたときに「都会の隙間に出来た無用な空間を有用な空間に変える」ことの意義、そして、それが「まち×ヒト=活性」とり得るための「村づくり」であり、一見すると錬金術みたいな怪しい創造と思われがちで有るが、「解体と建築」を繰り返すよりも「ヒトが活きる場」になるのではないかという可能性を感じられたとき、どこか明るい未来を見たような気がした。


 




そして、ふと思ったのが協創LLPが西成で展開している「無心庵」しかり、「ゲストハウスプロジェクト」しかり、「ああ!そのまんまやんけ!!」と、知らず知らずの内に私自身もリアル・リノベーションに参加していたことに気付かされた。そんな夜であった。

 

 

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パリ・エジプト化計画の謎!!

2007年10月21日 17時08分43秒 | フランス

昨夜の「世界ふしぎ発見」はものすごく良かった。たまたま、新聞のテレビ欄を見ていたところ「知られざるパリ・エジプト化計画の謎」という不思議なタイトルが付されていた。

ルーブル美術館に収蔵されているエジプト関係の美術品がナポレオン遠征の戦利品だったり、オペラ座の近くにあるメトロの「Pyramides」という地名自体がナポレオンのエジプト遠征で勝利をしたことを記念して作られた名前であること辺りを紹介するのかなと思い見てみることにしたのだが、オープニングの予告編で一気に引き込まれてしまった。それは思いもよらない内容であった。

 

 

有名な話だが、エトワール凱旋門からシャンゼリゼ通りを下り、コンコルド広場から(写真前方にある)カルーゼル凱旋門を経てルーブル美術館へ至る、いわゆるパリの歴史軸は、ほぼ写真の位置で左に6度軸がずれている。つまり、軸線上からルーブルを望むとガラスのピラミッドと建物は左手側にずれて見えることになる。

 

 

実は、この6度というのがエジプトのルクソール神殿内の6度の軸の傾きと同じなのだそうだ。しかも、南東側で川に接し軸が東西方向に伸びていること、更にコンコルド広場にあるオベリスクの位置がルクソール神殿のオベリスクの位置と同じで、しかも、それら二つのオベリスクはかつて同一のところに対になって立っていたものであるという!!

 

 

ま、マジですか??

そんなこと全然知らんかった。それからは(ミステリーものには、ありがちだけど)フリーメイソンが出てきたりしてかなり楽しめた。また、ちょっとパリ熱までいかないけど、微熱が出てきた感じ。

 

 

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魔法のカメラで南禅寺を撮る

2007年10月21日 13時12分49秒 | 写真

 

最後に南禅寺を訪れてから、かれこれ5年以上の年月が流れていた。

 

 

個人的に、「いちばん京都らしい風景」として真っ先に思い浮かぶのが、ここ南禅寺なのである。

 

 

先日とある友人を南禅寺に案内したのと前後して、ふらふらと1人で写真を撮りに行った。

 

 

魔法のカメラとは言っても、いろいろと寄り道をしていたため、到着は夕刻近くになり、割と普通な感じの絵柄になってしまっているのだけれども、案外そのことがこの水路閣のレンガ造りの雰囲気を上手く引き出してくれているような気がする。

 

 

水路閣は過去に何度か訪れているが、いつ来ても、ここはいい!

 

 

さて、次はいつ訪れようか?

 

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今、あの3兄弟がアツイ!!

2007年10月20日 00時14分25秒 | おすすめ

あの3兄弟と言っても、日本をときめくナニワのボクサー3兄弟のことではない。しばらく前からロシア研究家の亀山郁夫氏の周辺がアツイと思っていたのであるが、とうとう待望の書が刊行されたのである。

その名も「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する (光文社新書 319) (新書) である。カラマーゾフの兄弟の解説本と言えば、ロシア文学者の江川卓氏による謎とき『カラマーゾフの兄弟』 (新潮選書) (単行本) という書籍が15年ほど前に刊行されているが、高校生の私は、この謎解き本を読んで大変感銘を受けたものであるが、この江川卓氏の書籍には「カラマーゾフの兄弟」の続編に関する記述は、少しだけ有るだけで、そのディティールに関してはほとんど言及がなされていなかったように記憶している。「13年後のアリョーシャが革命家への道を歩む」という大雑把な内容だったと思う。(個人的には「チェルノマーゾフ」のくだりがいちばん興味深くて今でも、よく記憶に残っている部分であるが、逆に亀山さんの著書には、この辺りの記述が全くないみたいである。)

これに先立ち、是非とも読んでおかないといけない本があって、それがこれである。

何故エピソード5なのかというと、本編が重要なのではなく、付録として書かれている「ドストエフスキーの生涯」「年譜」「解題《父》を《殺した》のはだれか」が重要なのである。時系列的には、本書が先に書き下ろされ、次いで「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する 」が書かれているはずだろうからである。

カラマーゾフの兄弟がポリフォニックな構造で書かれているのは知っていたが、それが巧妙な3層構造を成しているこのには気がつかなかった。更に、まるでマーラーのシンフォニーのように巧みに同じモチーフごとの様々なバリエーションで構成されているらいいのだが、それも驚きである。

亀山氏曰く・・・

四楽章スタイルの外観というマクロ・レベルだけでなく、ミクロ・レベルでの描写にも、小さなモチーフ(旋律)が何度も、さまざまなかたちでパラレルにあらわれ、意味づけ、動機づけを強調しながら大きなテーマを形作っていく。それが、これまでにもふれた「小さなモチーフの繰り返し」、つまりパラレリズムの手法である。

と著している。この一節を読んだ私の頭の中には、すぐにマーラーの交響曲第2番《復活》の最終楽章の「審判」のテーマが流れ出した。そう、まさにマーラー音楽における宇宙観と酷似しているような気がする。それは、決して大袈裟な表現ではなく、亀山氏の言葉を持って語られる様々な符合は、まさにドストエフスキーが如何に天才であったかを如実に語ってくれている。

カラマーゾフの兄弟」続編を空想する」を読了したあかつきには亀山郁夫氏の新訳による「カラマーゾフの兄弟」を読んでみようかなと思う。高校時代に読んだ原卓也訳のとどう違うか、また高校時代の私の感想とどう違うか、早く読み比べしてみたいものである。

ちなみに、先日NHKでも「ETV特集21世紀のドストエフスキー▽テロの時代の預言書▽新訳40万部」というタイトルで放映されていたが、もちろん主役は亀山郁夫氏である。偶然テレビで見ることが出来たが(かなりの幸運だった!)1960年代の同名のソビエト映画の一部を交え「カラマーゾフ好き」にはタマラナイ内容になっていた。

「カラマーゾフの兄弟」は現在巷でベストセラーになっているとか?NHKにも取り上げられるくらいだから、よほどのことなのだろう。現代の国際的な病理であるテロとの関係性や、若者を中心に読まれている背景などについては、よくわからないけど一種のブームになっているらしい。どうやら、私もそのブームに巻き込まれてしまっているようである。

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