まっしゅ★たわごと

街歩き、建築、音楽、フランス、それに写真の話題を少々

『悪人』を読んだ

2010年12月23日 00時51分06秒 | おすすめ
見に行こうとしている映画の原作が小説だった時、その小説が未読である場合、「原作の小説を先に読むべきかどうか?」「原作を読んでから映画を見るべきだったか?」という命題に悩まされる。

今回は映画を見たのちに、小説を読むというスタイルになったが、個人的にはそれが一番ベストだったように思う。原作を見ていたおかげで小説の登場人物たちは、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、松尾スズキさんたちにそれぞれ同化した。そして文中に漂う何とも言えない閉塞的な漂泊感は久石譲の紡ぎ出す旋律に溶け込んでいった。

映画だけでは理解できぬ事柄はたくさんあったが、その全てが今回小説を読むことで全てを埋めることが出来たのは、映画が出来るだけ原作の質感を損なわない様に製作されたからなのだろうと私は思う。映画で淡々と進められるシーンと同じように(「淡々と進んで行く物語」は映像で描くよりも、文章で表現することの方が格段に難しいように思っているのであるが)原作もまた何というか淡々と、それでいて読みながらも切なくて切なくて、目頭が熱くなるシーンがあったりして、それらのギャップがとても不思議でならない気がした。

次は、もう一度DVDなどで映画「悪人」を見直したくなってきた。本当にとてもいい読み物を読んだと思う。ところで上記の命題と同じく「で、結局、映画と原作はどちらが良かったか?」という質問もよく頭に浮かんで来るのであるが、今回は原作に軍配が上がっている。もし、映画を観る前に原作を読んでいたなら、果たして清水祐一や馬込光代の人物像をどのように想像しながら読み進めていたのかも実は個人的に興味津々なところである。

悪人(上) (朝日文庫)

悪人(下) (朝日文庫)

映画「悪人」を見た

まっしゅ、ユニクロ心斎橋店へ行く≪ソワレ編≫

2010年12月13日 23時22分08秒 | 建築



というわけで、街に待った・・・いや、待ちに待った夜!!





ばばぁーん!!





ばばばぁーん!!!





≪マチネ編≫で紹介した某建築雑誌の「恒久的な建築の外装材としては初めて、ETFE(エチレン四フッ化エチレン共重合樹脂)フィルムを採用し・・・」には実は、続きがあって「夜はLED照明で様々に変化する建物だ」という記事が載っている。





昼間に寄って見えた複眼も、夜に怪しく光ると仮面ライダーV3みたいに見えてくる。





ユニクロの建物ばかり見ていると、だんだん目が慣れてきて普通に見えてくるけれど、やっぱり隣の風景と並べて見てみると異様な感じがする。ある子供を連れた通行人は、この緑と赤の市松模様を見上げて「クリスマスバージョンやわ」と言っていた。確かにモミの木の緑とサンタクロースの赤やなって、今更ながらに思った。(仮面ライダーV3とか言ってる場合じゃないな・・・)





建築雑誌には、色目が刻々と変化すると書いていたが、ずっとこのままなので『今日は変わらないのかな??』と半ば諦めて帰ろうとしたときに、変化の兆しが見えてきたので、もう少し居ることにしてみた。(結果、この選択肢は正解であった!!)







 


 


サンタさんのくつが所狭しと動いたかと思えば、また変化を繰り返し気が付けばクリスマスツリーになっていたりする。





いやあ、面白いよ!!この仕掛け!!しかも遊び心満載で、こんなに寒くなければ夜通し見上げていたい感じがする。





LEDが消灯するとこんな感じで、存在感ナシ。だが、すぐにまた点灯と変化は始まるのでアクセントにはいいね。





まだ、世の中が昭和だった頃の都会のイルミネーションは妖しい輝きを呈していたが、時間が次の年号に変わる頃、このLEDによるイルミネーションの色彩もまた輝きを失い、あの日の昭和な時代のように薄ら寂しい雰囲気を醸し出すようになるのだろうかと、ふと思ってみた。


動画をYoutubeにアップロードしてみたので良かったらどうぞ。

・ユニクロ心斎橋店の大型膜面外装1~カウントダウン編~

・ユニクロ心斎橋店の大型膜面外装2~トナカイ&サンタ編~

・ユニクロ心斎橋店の大型膜面外装3~メリークリスマス編~


運が良ければ、こんなものを見れるかもしれない
ユニクロ心斎橋店を彩る太陽工業の大型膜面外装材

まっしゅ、ユニクロ心斎橋店へ行く≪マチネ編≫

2010年12月13日 22時18分44秒 | 建築



先日、仕事場から休日出勤の要請があり淀屋橋へ赴いた。夕方時間があったので2駅先の心斎橋まで歩き、いつか行ってみようと思っていたユニクロの心斎橋店に行ってきた。





某建築雑誌には「恒久的な建築の外装材としては初めて、ETFE(エチレン四フッ化エチレン共重合樹脂)フィルムを採用し・・・」という記事が載っている。太陽工業が開発した高機能の大型膜面外装材だとか。





写真で見ていると、上手いこと周りの風景から切り取られていたので、割と広い通り沿いに建築されたものかと思っていたら、幅員5m前後の狭い路地に面して建っていた。





ユニ黒・・・なんちて





黒いというよりグロいよね、ある意味。本当は白いんだけど。








外壁までギリギリ迫って接写すると昆虫の複眼のようにも見えてくる。





実は、このビル・・・昼の姿よりも夜の姿の方が凄いのだ。





そう!こんなに大人しい顔して、夜はスゴイんです。。。次回≪ソワレ編≫乞うご期待!!






≪続≫新生!大阪富国生命ビル『フコク生命の森』

2010年12月12日 01時47分53秒 | 建築



フコク生命の森というところに行ってきた。





外観の印象は、個人的にはあんまり好みではないけれども、内観はなかなかいい感じになっていた。





特に、緑と白と茶色のコラボレーションがなかなか素敵なのだ。こういう配色の感覚は日本人の感覚ではそうそうカタチ作れるものではないのかなあという印象を持った。





そして、床。。。これが何とも不思議な質感を持っていてカッコイイのだ。





やんわりと包むかのような輪郭の無い光が吹き抜け天井よりスポットライトでゆらゆらと揺らされながら照射されているのである。





この建物のデザインの一部である縦方向の細長いスリットは、天井面においても鏡面と非鏡面との縞模様で抜かりなく再現されている。面白いねこの視覚的効果は!





大阪らしからぬシャープでスタイリッシュな案内板。まるで東京のミッドタウンにでも迷い込んだような錯覚に包まれた。





緑の壁の部分は、実際は壁ではなく2枚重ねにされたガラスの表面に両側から市松模様のフィルムが貼られていて、それが壁面に向かってルーバー上に配置されている。こういう小細工もアーティスティックな手作り感があっていいなあと思う。





地階から1階に上がり、吹き抜け越しに2階と3階の天井を望む。なんじゃこりゃ?うーむ、ちょっと頂けない感じもするが。。。





1階はイマイチだったので、再び地階に降りると急に外周部の白い部分の窓にあるタテ方向のルーバーがパタパタパタと閉じた。





2枚目の写真と見比べて頂くと一目瞭然だが、急に暗くなった。
一体何が起こったのかと思ったら・・・





床面に予想にもしなかった素敵な癒しのイルミネーションが展開され始めたのであった。





しかもこれ、写真では全然わからないけど、まるで生き物のようにゆらゆらと揺れながら成長したり消えていったり、もうものすごく癒しな動きをするのだ!!これは一見の価値有りっす!!





壁には影絵も。でもあんまり長い時間やってないので、遭遇するのがなかなか難しそうだなあと思った。





ちなみに、今日のいちばんのお気に入り写真はこれ↑


・床のイルミネーション1(特別版)

・床のイルミネーション2(通常版)

・床のイルミネーション3(おまけ)


関連記事
新生!!大阪富国生命ビル










昨日の駅ソトは、今日の駅ナカ 阪急西宮北口駅にて

2010年12月06日 00時31分27秒 | 都市



映画≪SPACE BATTLESHIP ヤマト≫を見に行ったのは昨日12/4のことである。ものすごく久しぶりに阪急西宮ガーデンズに行くべく、西宮北口駅で下車すると、今津南線の新設の高架駅舎がほぼ完成していることに気が付く。





更に、南改札からガーデンズ方面に歩いて行くと、やたら仮設資材での仮囲いが目立つので、そろそろ新設ホームへの切り替えをするのかなと思って掲示板を見てみると、





橋上の構内コンコース階から階段の昇降をせずに今津行きのホームとの往来が出来る構造になるらしいのである。しかも、私がその掲示板を見ている翌日かららしい。コンコースと今津行きホームがレベルで繋がることにより、南改札からガーデンズに至る経路が寸断され、代わりにコンコースの南東側に東改札口が新設されることになっている。





新しい駅構内図によるとこんな感じ。





翌日の供用開始に向けて新設ホームには列車が止まっていた。行き先字幕と列車種別字幕が二つとも白くなっているのはなかなか見ない感じなので、少し新鮮な感じがした。普通なら「試運転」とか「回送」とか書かれている感じなんだけど・・・。





新設される予定の東改札を駅外から見た風景。ちなみに手前の入口みたいなところは、2枚目の通路の写真で南改札口前の券売機前につながっている。つまり駅外の仮設通路ということになる。





仮囲いの中を覗いてみるとこんな感じになっている。床にある黒く長細い長方形の穴のところに自動改札機が設置されるようになっていて、改札機の電気系統の配線は全てこの孔から配線されるようになっている。





遅い時間の映画を見て、飯食って、もう11時を過ぎたので帰宅の途に着くべく西宮北口駅に向かうと、なんと、終電到着後の深夜に作業するのであろうと思っていた切り替え作業がちょうど始まったところであった。





2枚目の写真の前方に見えたべニア板の下には、先ほどの電気配線用の四角い穴があり、べニアを取り除いて配線工事を行おうとしているところであった。







そのうち、自動改札機が台車に載せて持ってこられ据え付け工事が始まる。







翌12/5に同所を再度訪れてみると、東改札口が綺麗に出来上がっていた。





中央のカラーコーンのところが、昼間まで仮囲いフェンスのあったところで、カラーコーンより左側が駅ソト、カラーコーンより右側が駅ナカになっている。ちなみにここでは、床面に貼ってある点字ブロックの誘導経路の施設直しをしているのである。古い経路になってしまう点字ブロックはノミのようなもので上手にひっぺ返し、新しい経路になる部分のに誘導できるように綺麗に貼り直すのである。





翌日には、こんな感じになる。ちなみにここは駅ナカ。同じように対比してみるならば、





この画像が12/4で立ち入り禁止区域(施工区域)になっている。(仮囲いの向こう側が2枚目の写真の駅ソト部分の細い通路になっている)これが翌日には、





コンコースから東改札と今津行きホームにアクセスする構内通路(駅ナカ)になっていて、





手前にある天吊り看板は12/4時点では駅ソトなので暗幕で隠されているが、





翌12/5になると駅ナカとしての行き先案内表示として使用されることになるのだから面白い。



次回予告

「昨日の駅ナカは、今日の駅ソト 阪急西宮北口駅にて」


≪SPACE BATTLESHIP ヤマト≫を見た♪

2010年12月05日 03時05分07秒 | おすすめ



いやあ、最高に面白いエンターテイメントであった。
ネタバレをしてしまうには勿体ない代物である。
削るところは潔く削り、残すところは徹底的にこだわった作品。
そして、スクリーンが涙で滲む衝撃の展開。

見終わった後、グッズ売り場に並べられたアニメ版のセル画を
『あれ?森雪ってこんなに垂れ目だったっけ?』と思わせるほど
黒木メイサのあの吊り上がった目に心奪われていた自分に気付く。
古代進への想いもしかり、アニメより木村拓哉のイメージの方が
いつの間にか勝ってしまっていたことに気付かされる。





特に残されて良かったのが、あの血沸き肉躍る壮麗な楽曲たちと
壮大な宇宙に対する侘び寂びを刻むあのナレーションと、それに
幼き日に心に焼き付けられた、ヤマト航行の定番のアングル描写。
これら3点はどの1つの要素が欠落してもヤマト足り得ないのだ。

ところで、最近の10代20代の若者たちは宇宙戦艦ヤマトのことを
知らない世代なのだという。きっと「木村拓哉と黒木メイサ達が
出演する話題のSF映画」くらいの認識で、映画館に足を運んで
いるのだろうと思う。まあ、これも時代の流れなのだろかと思う。

いずれにせよ、私の脳裏には今でもあの物悲しげなイスカンダル
のテーマ(?)が終わることなく流れ続けているのである。
見に行こうかどうか迷っている人が入れば、ポンと肩を押して
上げたい感じになる、なかなか良い出来栄えの映画だと思った。

追伸
エンドロールのキャストの中に「ささき いさお」という名が
流れていたが、一体どこのシーンで登場されていたのだろうか?

ルミナリエ前夜のハートフルデイ

2010年12月01日 23時55分04秒 | おすすめ



職場の窓から遠めにルミナリエが見えるので、毎年、開催前の夜に試験的に点灯していても、その様子がわかるのだ。ルミナリエ帰りの人たちで、帰りの電車が混雑するのは残念だけど、毎年のこととは言えけっこう個人的にはこの光の瞬間は楽しみにしているイベントの一つなのである。





例年のことだけど、一般公開の少し手前の日に身障者の方限定で東遊園地のみの点灯を行っている。そして、今年の限定公開は、一般公開前日の今夜だったのである。





東遊園地の入口には「一般の方の観覧はお控え下さい」という案内看板が掲げられていたけど、もうそれなりに遅い時間であったし、仕事帰りのサラリーマンがひとりくらい交じっていても周りで観覧されている方の邪魔にならなければいいかという想いで、ちょこっとだけ入場してみることにした。





回廊の真ん中のステージの横にハートフルデイというイベント名を書いた看板があった。その名の通り、穏やかでホッとするようなハートフルな雰囲気が漂っていた。何も特別なイベントがなされているわけではない。ただ、「俺が!私が!」というような混雑でなく、大地と人影の、そして大気と人々の息遣いが同じくらいの比率で混じり合っている感じ。車いすに乗った人が目を輝かせて上空を見上げ、介助する人がゆっくりと介添えしながら回廊に導いている。回廊のただ中には、静かに光の輪を見渡す人々がいた。





それは「もしかするとルミナリエなるものを企画・立案した原初の想いや願いにも似た労わりと友愛の風景なのかもしれないな」と思った。屋台のモーター音、食材を焼いた臭い、人々の織りなす雑踏や歓声、そんなものの一切ない、静かな佇まいを呈した不思議な空間であった。