読み始めはイメージと違うなあ、とっつきにくいなあと思いながら読んでいたけれど、途中からぐいぐい引き込まれた。そして、不覚にも泣かされてしまった・・・とあるカフェの奥の席でだけどけっこうジュビジュビ涙が出てきた。
ここから
先は
ネタバレ
なのかも。
よく考えられたストーリー構成だと思った。登場人物たちのやり取りが軽すぎて少し疲れるところもあったが、それでも心に刻みつけられるようなハッとする表現も多かった。総じて良い物語だと思った。
前半は、主人公から見た主人公自身の内面と、主人公が見たヒロイン桜良(さくら)の外面のみが描かれる。そして、、、呪文のようなあの言葉「君の膵臓が食べたい」この言葉を発したときに世界が反転する。
後半は、桜良らか見た主人公の外面とヒロイン桜良自身の内面を中心に描かれる。だが、そこには既に桜良はいない。そう共病日記の中で、そして遺書として描かれるのだ。前半をA面としたときに後半はB面となる。全てはこのB面のためにA面が描かれていたのだと思うと、何もかもが切ないものに感じられる。
桜良のいずれやってくる「死」は不可避なモノとして冒頭から提示されるのだが、それこそがこの小説における最大のトリックだったことを知る。謎かけは他のところにたくさん貼っているように見せかけておいて、実は「そこを攻めますか?」という展開が待ち受けていた。本当に「そう来たか!」という驚きがあったし、いやいやそうなんだよねというしっくり感もある。
これはまた時間を置いて再読したいなと思う。
ちなみに、7月28日に映画化されるということだけれども、予告編を見る限り、ラストはちょっと変えてそうな感じがする。見るべきか見ざるべきか迷い中である。
君の膵臓をたべたい