まっしゅ★たわごと

街歩き、建築、音楽、フランス、それに写真の話題を少々

光の伝説 ル・ミナリエ国物語《前編》

2019年12月15日 19時15分53秒 | ぶつぶつ


勇者がその神殿に辿りついた時には悪魔の祭りは既に始まっていたのだ。巨大なドクロ神殿とその後背にそびえるモノリス神殿に愕然とする勇者。



彼らの行く手を阻むように門番が立ちはだかった。この先進むべからず!門番に気を取られたその一瞬、



モノリス神殿から放たれた光彩柄の電飾ネット!!



「ガハハハ!かかったな!!勇者どもよ!」どこからともなく聴こえる不気味な声。
「だ、誰だお前は!!」



「名前なんてどうだってよい!お前らはココ、ドクロ神殿で命を落とすのぢゃ!」
「お前、さてはドクロ魔人だな!!」
「そうさ、ワシがドクロ魔人ぢゃ、知ったところでお前はここから先のモノリス神殿へ進むことはできん、覚悟致せ!!」
ドクロ魔人が言葉を発するたびに電飾ネットが怪しく明滅し、勇者の体力を奪っていくのであった。為すすべもない勇者は次第に背を丸め、やがては地に平伏さんと膝を地面に付き天を仰いだ。その時であった。



微かに雲間から光が漏れたかと思うと、その穿たれた雲の孔から一筋の光が近くの森に差し込んだ。



光と風が同時に降り注いだ先には、なんと2本の耳が!!
勇者は叫んだ「あ、あなた様は!」

つづく
光の伝説 ル・ミナリエ国物語《後編》

光の伝説 ル・ミナリエ国物語《後編》

2019年12月15日 19時14分18秒 | ぶつぶつ


勇者は叫んだ「あ、あなた様は!伝説の神、ル・ミーナリ様!!」
神も叫んだ「おー、コラコラこっちを見てはならんバレるではないか」
「いや、もうバレていますけど、耳が・・・」
「失敬な、これは耳ではない!タテガミぢゃ。おーそうそうオマエに2種の神器を授けよう」
神の両手には武具と防具が握られていた。



「一つは、氷の杖。コレで魔人どもの炎でできたドクロ神殿を破壊するのじゃ」



「そしてもう一つは、王者の兜。さ、これをかぶるとよい」
勇者は言われるがままに王者の兜をかぶり、氷の杖を手に取ると、



王者の兜が激しく輝き始めたのである。



それまで、静かに事の推移を見ていたドクロ魔人がわなわなと震え始めた。
「甘いわ!!そんなもので、ワシを倒せると思ったか!」
勇者に襲いかかるドクロ魔人。勇者はドクロ魔人の攻撃から身をかわすと、すぐに攻勢に出た。



それまで、穏やかに見えたドクロ神殿は、



まるで炎のごとく妖しく発光したかと思うと、



微振動を繰り返し、やがて激しく揺れ始めた。



神殿の中で繰り広げられている死闘は、きっと想像を絶するものであるに違いない。
一体どのくらいの時が費やされたであろうか、何度かの大振動の後に、



ドクロ魔人の悲鳴が聞こえた。



それがきっと断末魔の叫びであったのであろうとわかったのは、神殿がこれまでになく激しく振動してからのことであった。



先ほどまでの烈火のような赤い輝きは失せ、



全体が異様に白んじ始めたかと思うと、



白い光が神殿全体を包み込むように肥大し、



一瞬の空白の後、



それまで激しく轟いていた地鳴りや森のざわめきも止まり、



・・・世界が破裂した。
歴史を語る生き証人はここには存在しない。
勇者は勝ったのだろうか。それは誰にもわからない。のちの誰かが事の顛末を語るまでは。。。

おしまい。