まっしゅ★たわごと

街歩き、建築、音楽、フランス、それに写真の話題を少々

首藤瓜於の『刑事のはらわた』を読んだ。

2010年10月26日 22時40分14秒 | おすすめ


書店で手にとって最初の10ページ読んでみて面白かったのだけど、その日は購入せずに購入せずに書店を立ち去る。その後、数日たって何店かの書店をめぐる機会があって、書籍名も著者名もわからないまま探してみてはみたもののなかなか見つからず、そうなってくると何だかもう書いてくなってきてしまって、とうとう見つけた近所の本屋で即買い。はて、首藤瓜於って誰だ?下の名前何て読むんだ?ってところから始まる。



以下、ネタバレあり注意



最初の10ページからしばらく読み始めると、この本を購入したことに若干後悔する。何故ならば、司法解剖の様子が延々と綴られるのだが、これがなかなかエグイのである。元々主人公が鑑識課の警官ということもあってか、その手の描写が目を引く感じである。

いやあ何だろうね。。。帯の謳い文句に惹かれて買ってみたものの、今回ばかりは間違ったかなって感じだった。ちなみに、帯にはこんな文句が踊っている。

------------------------------------------------------------------------------
他に誰も書けない首藤ワールド全開で亜空間に読者を誘うスタイリッシュで
ファンタスティックな超絶ミステリー警察小説の新たな扉を開ける衝撃のラスト1行 
講談社創業100周年記念出版

所轄の盗犯刑事から県警本部に引き上げられた若き警部・八神。畑違いの鑑識課で
百戦錬磨のベテラン班員を率いて結果を残していく。ミスさえ犯さなければ昇進を
約束されていたはずの八神だったが、ある現場に臨場したことで突然その歯車が
狂いはじめた――「俺は組織から切り捨てられるのか」
------------------------------------------------------------------------------

そんな風に書いているから、そういう物語なのかと思えば、しかしそうではない感じで物語が進んで行く。一体俺は誰に感情移入させながら読んで行けばいいのか?皆目検討が付かない。前半で展開される小粒の事件が後半での大きなカギになるのかと言えば、そうではなくて、中盤で示された警察内部の誤認捜査がラストで重大な意味を曝すのかと思えば、それもそんなことはなく、主人公の父親の不可解な自殺や彼を昇進に導いた曰くつきの上司の挙動の裏が最後に暴かれるのかと言えば、全然そんなことはなくって、謎は謎のままで見過ごされ、渦中の犯人は結局闇のまま葬られ、主人公のその後の末路も示されず、なおかつ、途中で物語は破たんしたまま軌道修正されることもなく終わってしまった。ある意味、「衝撃のラスト1行」だった。本当に、え??これで終わりみたいな感じで「警察小説の新たな扉を開け」てしまった感がある。あまりいい意味ではなくて。

「感動大作」や「超絶巨編」などという売り言葉に飽きてしまったという人にはお勧めの一冊。いい感じに背筋がひんやりしてくるよ。久々におすすめできなささ加減という点でおすすめ。

ちょいと手にとってみてくだされ → 刑事のはらわた

湊かなえ「往復書簡」を読んだ。

2010年10月24日 00時57分29秒 | おすすめ


   十年後の卒業文集
   二十年後の宿題
   十五年後の補習

往復書簡は三つの異なる物語からなるオムニバスである。
そして、書籍の帯にはこう書かれている。
 
         手紙だからつける
         手紙だから許せる
         手紙だからできる告白
         ---「あのこと」の真相が、封筒から零れ出す。

どれも、重いテーマである。
三つの中で言えば、一番好きなのが最後の「十五年後の補習」次に好きなのが「二十年後の宿題」である。特に「十五年後の補習」では最後の方に、ちょっとウルッと来てしまった。近所の喫茶店で読んでいたのだけど、落涙するのが恥ずかしくて不覚にも必死に涙腺の蛇口を絞ってしまった。
人の生き死にに関する重いテーマではあるが、往復書簡という構成によって救われているところがある。何故ならば手紙で語る言葉には相手へのいたわりと友愛の心で満ち溢れているのである。決してワープロでは表現の出来ない深い味わいがここで再現されているのだ。

湊かなえさんのデビュー作「告白」を読んだ時には妙にローテンションな気不味い読後感があったが、この「往復書簡」について言うならば何となく心が温まるような気がして、読み終わったそのすぐそばから、『時間をおいてまた読んでみたいな』という気持ちになった。(作中人物たちは決して心温まるような行いは為してはいないのだが)



興味のある人はどうぞ・・・往復書簡



以後、若干のネタバレあり注意。



はて?なぜだろうと考えてみた。すると3作とも「結婚」という共通のテーマが通奏低音のようにちりばめられているということに気が付いた。1話目は友人の結婚披露宴で再開した友人同士の懐かしい手紙のやり取りから始まり、2話目は結婚を意識している男性が、かつての担任教諭との書簡をかわし始め、3話目では2年間の海外赴任前に婚約した2人のエアメールのやりとりという形式で進行していくのである。ちょうど私たちと同じ世代である。だからこそ私は登場人物たちのどうしようもないほど切なく哀しい運命に共感し得るのだろう。



かか、神田うのがホンマにアバタった!!

2010年10月14日 21時24分15秒 | おすすめ



今夜のヤフーのトップ記事にこんな記事が出ていた。そう、神田うのがアバターのヒロインネイティリに似ているというネタである。私も昨年末に神田うのとアバターとの関連性を記事にしたことがあるけど、まさか本当になりきるとは意外だった。


まっしゅたわごと
ひぇ~!!映画『アバター』に神田うのが出てる!!

他にも何人かの方が記事にされているのでリンクしてみる
アバターと神田うの
AVATAR(アバター)のネイティリは神田うの?





でも、実際になりきってもらうとあんまりネイティリに似てない。アバターに出てくるネイティリは神田うのに激似だったのに、逆は全くとは似てない・・・はて?何故なのだろうか?
きっと劇中のアバターはニヤニヤと笑ったりはしていないからだろう。何枚か写真があったが、悲愴な表情で遠くを見つめるポーズとかあったら良かったのになあと思った。

JR大阪駅改良工事の3日間

2010年10月13日 23時10分56秒 | 都市
1日目 10月9日(土)




この3連休に駅ホーム改良工事としてホーム屋根の撤去工事を残して最後のものとなる大きな工事が行われた。工期は3日もあるので一日目はそんなに進まないと半分くらいたかをくくっていたが、10/9の夜に同駅を訪れるとそこそこ出来てしまっていたので少し残念だった。こんなことになっているとは思わず、不覚にもカメラを持たずに来てしまったことが相当悔やまれる。(写真はいずれも携帯電話で撮影)





ホームを築造しているところを見たかったのだけど、ホーム屋根の梁の建て方をしているところをしばらく見ることになった。一見するとわかりにくいけど、画面中央部に横向きに梁が吊られている。





線路上に置かれた重機で持ち上げているところである。隣の線路は快速電車・新快速電車が営業運転しているためダイヤの合間を縫って吊り上げ工事が進められる。





突貫工事なので大量の職人さんが投入されている。ホーム上はある意味賑やかに混雑しているのが不思議な感じだった。





溶接か何かの火花が絶えず屋根の上できらめいていて、それがその上にあるトラス橋を青白く映し出していてとてもきれいだった。


2日目 10月10日(日)








快速電車の一番前を占拠して、まあ占拠というほどのものでもないけど、かぶりついて激写してみる。





ホームの上は人材も鉄骨材もあらかた片付いたようで、割と静かな感じで作業が続けられている。





昨夜の鉄骨梁を加工していた場所である。屋根を葺くのはまだのようであるが、屋根の上部には折半の取り付けが出来るような下地材の設置まで済んでいる。







3連休の前に撮った写真(上)と10/10に撮った写真(下)の比較。これは神戸寄りのカットで、







こちらが、新大阪寄りのカット。たった一夜でこいう切り替えが出来てしまう技術力っていつも凄いなあと感心してしまう。







ホーム上では警戒用の黄色い点字ブロックや床材の割り付けが始まっている。下地にペースト状のセメントを鏝で塗り、その上から目地がずれないように慎重にブロックを並べていく作業である。








ちなみに工事エリアとして仮囲いをしているホームの反対側はどうなっているかというとこんな感じ。特に2枚目の写真でわかるのだけど、仮囲いのフェンス部分が拡幅後のホーム幅のちょうど中心線になっている。


3日目 10月11日(月)





夜にたまたま大阪駅に立ち寄ったので工事の模様を見てみた。屋根葺きまで(当然のことながら)終了し、作業員の方たちの表情にも安どの様子が窺われた。





終盤の雑工事や点検をしているようである。



おまけ





ホーム両端の屋根は拡幅する分だけ拡幅されるのであるが、大屋根に潜り込む部分はいずれ、撤去してしまことを踏まえて屋根の拡幅は行われない。だから、昨日からこの屋根の無いところに立って上を見上げると壮大な大屋根の一部が以前よりも鮮明に見えるはずである。さっそくだけど、ゴリモンさんがその壮大な模様を紹介しているのでよかったらどうぞ。


大阪駅! 大屋根! 大空間!
http://gorimon.com/blog/log/eid1330.html

山手幹線全線開通記念ウォークに参加してみた

2010年10月10日 21時27分17秒 | 都市



JR住吉駅下車徒歩10分くらいの防災公園で受付を済まし歩き始める。目的地の芦屋川まではJRの駅で3つ先なのだけれど、この駅間は割と距離が短いので案外楽に行けてしまう。時間を計ってみると、隣の摂津本山までは約15分、そして次の甲南山手までは更に20分で行けてしまう。昔の山手幹線と言えば、この甲南山手駅ができるずっと前までは、この甲南山手駅の少し東側で長い間行き止まりになっていた。そして、当駅の少し西側に国道2号線方面にアンダーパスする道路があって、そこで大抵の車が南下してしまうので、かつてこの辺りにあった市バス車庫に入出庫するバスの専用道みたいになっていたのを思い出す。もうすぐ、この看板も撤去されるのだろうなあ。





芦屋市との市境。かつて、ここから先は住宅が密集していて、コンクリートブロック塀がドデーンと行く手を塞いでいて、その手前に大きな看板で「行・き・ど・ま・り」って書いてあった気がする。ウォーキングに参加しているとなりのオバサングループが、『ここで1.3mくらいの高低差があったんやで、上り坂になって上手いこと作ったね』って話していたとおり、ここから緩やかに2回くらい坂を登っていく。ここは緩やかな上り坂と緩やかなカーブが気持ちいい感じで好きな感じだと思った。





そんな小気味良い界隈を抜けると、もう芦屋川隧道の手前まで来てしまった。写真を撮りながら歩いても住吉から1時間もかからなかったのは意外な感じがした。





開通は今月の末だから、カラーコーンなどで車が入れないようになっている。これから白線を引いたりするんやろうね。





隧道の入口でゴールインの記念スタンプを押してもらい。記念品のペットボトルを支給される。どんなペットボトルかって?最後にご紹介するのでお楽しみに♪ところで、写真右側の手前にある丸い穴たちなんだけど、あまり見たことのないブロックで近寄って断面を見てみると、





こんな形になっている。地上の車歩道の間にある防音用のパネルを支える腰壁と隧道の出入口付近に重点的に設置されているのでおそらく吸音性能に優れたパネル何だろうと思われる。





隧道の中に突如現れたハバタンたん、こんなに愛嬌ふりまいているのに全然可愛くないのは何故か?むしろ愛想のかけらもないリラックマの方が愛くるしいのは何故か?と思ってしまう。。。





隧道の中には救護用のテントがあったり、休憩用のパイプ椅子が置かれていたり、そしてそのすぐそばの路肩にしゃがみ込んでお昼ごはんのお結びを頬張っている人がいたりして、非常災害時の再現のような風景になっていた。





救護所を抜けて隧道の東側に出てみる。イベント会場は西行き車線側で行われていたので、カラーコーンの向こう側の東行き車線はがらんどうになっている。こっちの方が空いているからと行き来する人も何組かいたが、今回のようなユル~いイベントでは、誰も何もとやかく言わないので、そのまま皆が行き来したりして楽しんでいた。いいねえ、こういう雰囲気。








で、私もせっかくの機会なのでいろいろなアングルで撮ってみる。こういう無機質で新しい空間に人の気配のしない感じがとても好きである。人がいるバージョンもいろいろ撮ったのでそれはあまた別の機会に載せるとしよう。





隧道という言葉は、今では誰にも教わる言葉ではないので古い日本語なのかと思っていたが今でもリアルで使う言葉なんだなあというのを実感。ちなみに「トンネル」を意味する日本語が「隧道」なのである。





会場を上から俯瞰してみる。ちなみにこれは東から歩いてきた人たち用のゴール地点。





西側はこんな感じ。整備されて明るい印象になった月若公園から俯瞰できるようになっている。右手前にあるドーム屋根が歩行者用のトンネルの入口になっている。構造体については一体だが、トンネル自体は中でつながっていない。





緩い階段と自転車用のスロープがある。福祉対応のスロープが確保でなかったためからか、階段に併設して緩やかなエレベーターが設置される模様である。軌道だけが見えたがカゴは未設置なのでどんなものなのかは未知。





ちなみに記念品は、ハバタンのワッペンシールと完歩証と、





ペットボトルに入った「芦屋の水」という水である。こんなん作っていたとは意外。。。





後ろを見ると「原材料:水道水」となっていて、品名が「ボトルドウォーター」になっている。ああ、これは水道水だからミネラルウォーターとは言わないのねん。供給元は芦屋市だが製造者は西宮市となっているところがツボかな。それと社名の一部に「布引」とあって、これは神戸市の布引貯水池を想像させるから、これまた個人的にツボである。飲まずしてこれだけ美味しい水に出会ったのはこれが初めてである。