とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

1年前シリーズ ボブディラン「Blowin’ In The Wind」

2017-11-04 18:58:39 | 音楽
 1年前のブログを振り返るシリーズ。

 ピーターバラカンさんが書いた『ロックの英詞を読む』という本を拾い読みしている。ロックの詞の中でもメッセージ色の強い歌詞を集めてバラカン氏が解説してくれている本である。今回はノーベル賞受賞のボブディランの「Blowin’ In The Wind」

 ノーベル賞受賞と同時にボブディランの代表作としてさまざまな番組で紹介されていたので、繰り返す必要がないかもしれないが、歌詞の最初の部分を引用する。

  どれだけ多くの道を歩めば
  人は人として認められるのだろう
  どれだけ多くの海の上を飛べば
  白い鳩は砂浜の上で休めるのだろう
  どれだけ多くの砲弾が飛んだら
  使用が禁止されるのだろう
  The answer, my friend, is blowin' in the wind
  The answer is blowin' in the wind

 最後の英語の部分がサビになる。「答えは風の中にある」という歌詞は何を表現しているのであろう。私はずっとある種の「諦念」を描いているのかと思っていた。「諦念」を表現することによって人類の不条理を表現しているのだと思っていた。不条理を描くことにより社会を批判していると考えてきた。しかし事実は違うようである。

 このサビの部分について若きボブディランが発言している。Wikipediadから引用する。

  歌詞は、1962年に雑誌「シング・アウト!」に、ディランのコメントとともに掲載された。
  「この歌についちゃ、あまり言えることはないけど、ただ答えは風の中で吹かれているということだ。答えは本にも載ってないし、映画やテレビや討論会を見ても分からない。風の中にあるんだ、しかも風に吹かれちまっている。ヒップな奴らは『ここに答えがある』だの何だの言ってるが、俺は信用しねえ。俺にとっちゃ風にのっていて、しかも紙切れみたいに、いつかは地上に降りてこなきゃならない。でも、折角降りてきても、誰も拾って読もうとしないから、誰にも見られず理解されず、また飛んでいっちまう。世の中で一番の悪党は、間違っているものを見て、それが間違っていると頭でわかっていても、目を背けるやつだ。俺はまだ21歳だが、そういう大人が大勢いすぎることがわかっちまった。あんたら21歳以上の大人は、だいたい年長者だし、もっと頭がいいはずだろう。」


 「諦念」というよりも「反抗」「抗議」である。

 この部分についてバラカン氏は次のように書いている。

 またこの曲の邦題は「風に吹かれて」であすが、「吹かれて」というよりはむしろ風の中で「舞っている、ゆらめいている」というニュアンスのほうが近いでしょう。つまり、「答えはつかもうと思えば捕まえられる場所にある。答えのほうからやって来てくれるのではなく、自分で答えをつかみ取って解決しなければならないんだ」ということですね。

 こうなると積極的な活動を促す歌ということになる。

 もちろん歌詞なのだから曖昧な部分があり、どうとらえようと自由な部分はある。しかしこのようなとらえ方の違いに国民性がでているとも言えるのではないだろうか。それぞれの解釈にそれぞれの意義があり、それが重層性を生み、深い意味を帯びることになる。その意義は知れば知るほど歌の力が強くなるような気がする。

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